カンヌ国際映画祭では毎年、世界中から名だたるスターたちが集結し、彼らの豪華なレッドカーペットルックが大きな話題を呼ぶ。

今年はシアー素材のドレスや、流れるようなトレーンが美しい衣装、ゴージャスに輝くジュエリーなどが視線を集めるなか、意外なトレンドとして「デニム」も注目されている。シエナ・ミラーは、今シーズンを象徴するバレルデニムをスマートに着こなし、アニャ・テイラー=ジョイはボタンのついたAラインのデニムスカートを復活させた。

ファッションの面において、今回の映画祭から学ぶべき教訓があるとすれば、「素晴らしいデニムが1本あれば、どんな場面でも主力級の存在になってくれる」ということ。フォトコールからディナー、レッドカーペット、アフターパーティまで、デニムは主役の座に君臨している。

まず注目したいのは、ダークカラーのウォッシュデニム。シエナ・ミラーのような着こなしなら、デニムのカジュアルなイメージを払拭することができる。バレルレッグのシルエットが強調された「スキャパレリ」のデニムに、クリーム色のブークレジャケットを合わせることで、シックな雰囲気に。そこにボーホー風のラフなウェーブヘアと、ゴールドのアクセサリーを重ねて、“イットガール”らしいセンスを見せつけた。

映画『ザ・ホエール』で第95回アカデミー賞助演女優賞にノミネートされた俳優のホン・チャウも、オーバーサイズのデニムをセレクト。こちらは、「ディオール」のワイドシルエットのデニムで、ロールアップした部分にはブランドのロゴが入っている。爽やかな白のシャツと黒のシューズを合わせて、控えめながらに洗練されたルックで登場した。これなら、手持ちのアイテムで簡単に真似することもできる。

フランス人俳優ジュディット・ゴドレーシュの娘で、同じく俳優のテス・バルテルミーも、デニム素材の半袖のトップスとミニスカートのセットアップを着用し、上級者テクニックを披露。そこにフレンチガールらしい、“ほとんど何もしていない”ようなナチュラルメイクと、自然なウェーブヘア、黒のパンプスを合わせている。このルックは夏に取り入れたい、素晴らしいインスピレーション源となりそう。

ダークカラーのデニムをイブニング仕様にするなら、いま旬のデニム・オン・デニムを取り入れるのもおすすめ。カンヌ国際映画祭がケリングと開催した「ウーマン・イン・モーション」プログラムのディナーで、共同司会を務めたケイト・ブランシェットは、大きめのクロスステッチが施されたシャンブレー生地のセットアップを着用。俳優であり、スタイルアイコンとしても知られる彼女は、そこにワイヤーフレームの眼鏡と、白のシューズを合わせてルックをまとめた。

レッドカーペットでは「ディオール」の“ニュールック”のセットアップを着用し注目を浴びたフランス人シンガーのイズー(Yseult)も、カンヌ到着時には「バレンシアガ」のデニム・オン・デニムをセレクト。彼女のルックを特徴づけたのは、大ぶりな襟と、床まで広がるワイドなパンツ。ワークウェアのようなこのセットアップは、驚くほどどんな場面にも適しており、スモーキーなアイメイクと合わせれば、職場にもディナーにも着ていくことができる。

モデルのアビー・リーはブルーデニムのスーツに身を包み、お腹を大胆に露出した白のタンクトップと、ブルーのシューズ、デニムのバッグを合わせて、“クールガール・シック”な雰囲気を醸し出していた。

さらに、デニムとジャケットを組み合わせるのもトレンド入り。デニム・オン・デニムのコーディネートを得意とする俳優のジュリアン・ムーアは、「ウーマン・イン・モーション」プログラムのフォトコールで、オーバーサイズのチェック柄のジャケットにウォッシュデニムを合わせて、エフォートレスな着こなしを披露した。

いっぽう、今回審査員を務めているエヴァ・グリーンは、ディナーに出かける際、コルセットがプリントされたTシャツにサテンラペルのジャケットを重ね、ストレートタイプのウォッシュデニムと、シャネルのサングラスをコーディネートした。

自分にぴったりなコーディネートを見つけて、今年はデニムファッションでお出かけしてみてはいかが?

Translation: Masayo Fukaya From ELLE UK