身につけている装飾品が「不安の数」を可視化/画像提供:かんさび(@kansabi_kk)

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よくないことが起きると「お守り」や「数珠」を身につける。その度に増えていくせいで、バッグにお守りの類がたくさん。しかし、それは本当にお守りなのだろうか?「お守りは、持ち主の前向きな姿勢があって初めて効果がある」という話を描いた、かんさび(@kansabi_kk)さんの「子狐の根付の話」に4.5万いいねがついている(2023年5月15日時点)。

【漫画】子狐の根付の話を読む

■なんで、私はこんなにお守りを身につけているんだろう?

ある日、たくさんの装飾品を身につけた女性が訪れた。身につけているものは、お守りや数珠など。ひとしきり見て回った後、彼女は小狐の根付を見つけて「これって縁起のいいものですか?」と尋ねた。根付とは、今でいうマスコットチャームのようなものだ。彼女はそれを購入すると、早速カバンに取り付けた。

次に彼女が現れた時、以前に身につけていた装飾品がなくなっていた。話を聞くと、夢の中に小狐が現れ「お前の願いは、不安を並べて身につけておくことだな。その願い叶えた」と言い、数珠繋ぎにした不安や恐怖を体に巻きつけてきたという。

目覚めた女性は、どうしてこんなに装飾品を身につけているのかと違和感を持ち、外すことに決めた。今までお守りだと身につけていたが、自分の不幸の数を可視化していた。この話を聞き、「お守りは、持ち主の前向きな姿勢があって初めて効果がある」と感じ、本作を描いたかんさびさん。実際にどのような出来事だったのか話を聞いた。

ーー「小狐の根付のお守り」が今回のテーマでしたが、体験談も混ざっているのでしょうか?

私はいつもお話を考えるとき、まず道具や風習を調べてからお話を考えるんですが、お守りを調べている時に、昔働いていた天然石屋さんに来ていたお客さんたちのことを思い出しました。何か悪いことが起こるたびにお守りを買いにくる人がいて、それって悪いことを逆に忘れないんじゃないかなと思ったことを思い出してこのお話を作りました。

ーー夢というのは、いろいろな場面で大事なシーンな気がします。小狐のお告げがキーでしたね。かんさびさんもお告げのようなをしたことがありますか?

はっきり覚えている不思議な夢というものはありますが、夢での不思議な体験というものは特にないですね。

ーー不思議なお話をたくさん描かれていますが、それだけ不思議な体験談をしているということでしょうか?

私は霊感もないですし、不思議な体験というものをほとんどしたことがないです。ほとんどというのは、今考えれば「不思議な縁だなー」というようなこともありましたが、それでとくにあれはスピリチュアルな体験だったと言えることではないと思います。経験がないからこそ、不思議な世界に惹かれるのかもしれません。

ーー不思議なお話を描く理由があれば教えてください。

“物書きの不思議な話”のシリーズは体験談ではなく全て創作です。私が興味があって調べている民俗学や伝統などからヒントを得て、漫画を描いています。

ーー「石を集めることが好き」と拝見しました。石の魅力を教えてください。

何万年もかかって成長して、ここまで私たちを魅了しているのが不思議であり、自然の美や歴史を感じられるところが好きです。

ーー「お守り」は、どのような力があると思いますか?

これは持つ人がどのような姿勢でお守りを持つかによって影響力が違ってくると思います。ただ持っていたら神様が助けてくれるというようなものではなく、持つことによって自分が乗り越えたいものを意識できる戒めのようなものだと思っています。

ーーその他、どのような漫画を描いていますか?

今はこの“物書きの不思議な話”だけに集中して制作をしています。

物書きの不思議な話は、伝奇、民話、伝承、民俗学、逸話、妖怪、文学、怪談、付喪神などの怖くない(たまにちょっと怖い)不思議な創作話がたくさん。短編漫画で読みやすく、枕のお供にぴったりだ。

取材協力:かんさび(@kansabi_kk)