首のトレーニング。力は入れすぎずに、優しく

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テレワークの普及で、運動する機会が減り、体の不調に悩まされる人は多いのでは?筆者もその一人で、肩こりが慢性化し、ずっとおもだるい状態が続いている。「体の不調を解決したい!」と思い、登録者数35万人以上を誇るYouTubeチャンネル「ゆう先生のセルフ整体塾」を配信する整体師・大山裕也先生(ゆう先生)を直撃。簡単にできる全身のトレーニング法を発信するゆう先生に、なかなか解消されない体の不調の原因と、おもだるい体を改善するおすすめのトレーニングについて聞いてみた!

【写真】5STEPの全身トレーニングを画像で解説!

■すべての不調は、血流が原因!?

「原因が分からないが、体がだるい」「体の疲れが全然とれない」「首こりや肩こりが解消できない」など、テレワーク中の体の悩みは尽きないはず。これらの症状に共通するのは「血液の流れが悪いのが原因かもしれません」と、ゆう先生。

「血流が原因で太りやすく、老けやすい状態になっているかもしれません。体の痺れや自律神経の不調なども、血流不良が原因で引き起こされることがあります。血がよく流れるようになったら、体の不調は解消されやすいですよ」と、今回の悩みもまさに血流に問題があるかもしれないと、教えてくれた。

原因が分かったところで、ゆう先生が考案してくれた血流を促すトレーニングをいざ実践。トレーニングのコツは「軽いストレッチをした後に、普段使えていない筋肉を使う簡単なトレーニングも行うと、さらに体がスッキリとしますよ」と、意識していない筋肉に意識を向けるのが重要のようだ。では、30〜40秒でできる5STEPのトレーニングで、重くてだるい、運動不足の体をスッキリさせていこう!

■STEP1:まずは頭をスッキリさせる!首のトレーニング

現代人に多いストレートネックや猫背が原因で、首が前に出やすくなる人は多い。その体の状態では、血液が脳に流れにくいので、まずは、首をほぐすことから始めよう。首周りの筋肉が凝り固まっていると、肩こりや腰痛にも繋がるので、しっかりと念入りにほぐすことを意識すべし。

【首を前後に動かすトレーニング】

(1)イスに座って背筋を伸ばす(正座でもあくらでもOK)。両手を組んで後頭部にセット。

(2)手の力で頭と首を前に押し出す。

(3)頭と首に力を入れて、手のひらを押し返そうとしながら前に出た頭と首を引く。

(4)上記の動きを交互に20秒間×2セット行う。

「手の力と頭の力を均等に働かせるのがポイントです。吐く息と吸う息の呼吸に合わせて、行うとより効果的ですよ」

■STEP2:肩コリ改善に繋がる!肩甲骨のトレーニング

続いては、肩甲骨の筋肉にアプローチ。悩みが絶えない肩や肩甲骨周りは、背中の大きな筋肉にも繋がるので、丁寧にほぐしていこう。

【腕を大きく回す肩甲骨のトレーニング】

(1)座り姿勢のまま、両手を前に出す。手のひらは下向き。親指を内側ににぎって拳を作り、手首を小指側に傾ける(手首の内側が伸びる感覚があるはず)。

(2)首を後ろへ引いて、背筋を伸ばしたら、ぐるっと大きく腕を後ろへ回す。

(3)肩甲骨から腕を大きく回すようなイメージで、20秒×2セット行う。

「にぎり拳を作ったら、小指側までしっかりと握ること。肩コリが激しい人は腕を回すと、ゴリゴリと音が鳴る場合もあるので、ゆっくりと丁寧に回してください。首が前に出ないように、首を後ろへ引き続ける意識も大切です」 

■STEP3:ぷよぷよお腹がスッキリ!?脇腹&お腹のリンパ流し

続いては、お腹周りのリンパ流し。日常生活の動きのなかでも側屈(片側の脇腹を縮めて反対側の脇腹を伸ばす)は特にすることが少ないと言われ、体の側面の筋肉は意識的に伸ばさないと、血流が滞りやすくなる。脇腹やお腹を伸ばし、血液が全身に流れていくイメージでやってみよう。

【脇腹とお腹周りのリンパ流し】

(1)座り姿勢を整え、バンザイをして頭上で左手首で右手首をつかむ。

(2)体を左へ倒しながら、肋骨脇腹を右へ突き出し、一呼吸ついたら正面へ戻る。

(3)この動きをリズミカルに10回(1セット)繰り返す。

(4)右側を伸ばせたら、左側も同様に10回行う。

(5)上記のセットを左右それぞれ2セット行う。

「左手で右手を引っ張ると、右の肋骨や脇腹が伸びる感覚が強くなるはず。さらに、体を真横に突き出すイメージで倒すると、伸びが深まります。家事の合間など、隙間時間に立ちながらでもできるのでやってみてください」

■STEP4:カチコチ股関節をトレーニングし、さらに血流促進!

上半身の筋肉がほぐせたら、今度は下半身の筋肉を中心にトレーニング。特に、股関節の鼠蹊部のリンパ節を意識しながら動かし、むくみやすい足をスッキリさせよう。

【股関節の血行促進トレーニング】

(1)椅子に座り、背筋を伸ばす。足を腰幅にして、股関節を外へ開く。

(2)足裏はかかとを起点にして親指を天井方向へ、ぐっと向ける(かかとだけが地面についている状態)。

(3)その足をキープしたまま、もも上げをするように、股関節から片足ずつ交互に持ち上げる。

(4)15秒×2セット繰り返す(休憩をはさみながらでOK)。

「ポイントは足を股関節からしっかり外に開くこと。手は脇腹にそえて、お腹にも力が入っていることを確認しながら行います。正しく動けていれば、インナーマッスルにも効くので、お腹痩せにも効果的です」

■STEP5:むくみ知らずの足へ!足全体のトレーニング

最後は、足指やふくらはぎ、内腿など、足全体の筋肉を働かせるトレーニング。上半身からほぐしてきたトレーニングの集大成となる最後のステップだ。

【足全体の筋力を刺激するトレーニング】

(1)椅子に座ったまま、股関節を外に開き、足裏同士を合わせる。

(2)足の親指をぎゅ〜と握る。足の裏同士で15秒しっかり押し合う。

(3)これを2セット行う。

「ポイントは足の指にぎゅ〜っと力を入れて握ること。足裏の筋肉にスイッチが入り、足の筋肉が働きやすくなります。足裏はつりやすいので、休みながらトレーニングしてください」

トレーニング後、トレーニング前の体と比べてみて欲しい。しっかりと血液が全身に巡り、体がポカポカになった感覚があれば、体に詰まっていた老廃物やリンパがドバドバ流れた証拠!毎日、順番通りに5STEPのトレーニングができれば理想的だが、時間がない場合などは、気になる箇所のトレーニングだけでもOK。日々続けることで、きっと体の不調も改善されるはずだ。

■血流促進トレーニングをあらゆる角度から発信!

理学療法士として病院に勤務した後、2017年1月から地元・京都で整体院を始めた、ゆう先生。「学生時代の同級生が開業し、『自分も力を試してみたい』と思ったのがきっかけでした」と、整体師を目指した理由を語ってくれた。開業から現在まで、治療のなかで特に大切にしていることは?の質問には「やはり、最終的には血流だと思って治療しています」とのこと。

「血流をよくするためにストレッチや筋トレ、運動をするのも大切ですが、水分量が減っていると、そもそもの血液量が減ってしまうため、流れが悪くなります。水分量が足りていても、栄養素がなければ、エネルギーが作れません。筋肉に力を入れるにも、力を抜くにも、エネルギーが必要になるので、筋肉がゆるまない。また、ビタミンやミネラル、タンパク質などの必要な栄養素も不足していたら、臓器が正常に働かない。臓器が働かないと、基礎代謝が落ちる。基礎代謝が落ちると、太りやすくなる。そのように繋がっていくので、最終的には、血流が重要だと思っています」

ゆう先生のチャンネルでは、血流促進のエクササイズはもちろん、血行不良をあらゆる角度から改善するため細胞や神経に働きかけるような内容もアップされている。動画を見た視聴者からは、「別の整体院では治らなかったけど、この動画1本で体の不調が治りました」などのうれしい反響も届いているという。

■YouTubeチャンネルのヒットの理由とは?

YouTubeチャンネルを始めたのは、2016年の夏で、整体院を開業する前だったそう。「見るものだと思っていたYouTubeで、友人が配信を始めたのを知りまして。整体院をオープンする前に練習のつもりで撮影をしました。とりあえず、YouTubeから発信してみよう!と始めましたね」

しかし、チャンネル開設から2年間は、1日2本の動画を投稿するも、数字に伸び悩んでいたという。

「伸びるコツを知り合いのYouTuberに聞いたところ『視聴者さんが喜ぶものをアップする』と言われて。目からうろこでした」そこから、視聴者目線の動画を意識するようになり、2000年からの2年間で登録者が10万人以上にも伸びたという。さらに、2022年の冬に始めたTikTokのショート動画に爆発的な反響が寄せられ、1カ月でTikTokのフォロワーが10万人に。連動するように、InstagramもYouTubeも登録者数が増えたという。

配信を開始してから、現在に至るまでの約5年間で上げた動画は、約2000本にも及ぶ。

「動画をアップするために、知見が広がり、治療できる幅も増えたので、配信を続けていてよかったなと思います」。技術・栄養セミナーではあらゆる知識を、海外の解剖セミナーでは、自身でメスを握り皮膚や筋膜を解剖し、より専門的な知識を身につけられたと、ゆう先生。どんな体の悩みにも答えてくれる知識量と、独自のメゾットに基づいて発信される動画は、誰でもどこでもできる簡単なものばかり。ゆう先生の動画を見れば、きっと血流が改善され、テレワーク疲れもすぐに吹き飛ぶはずだ。

取材・文=左近智子(glass)