歯学博士が警告!歯周病が引き起こす全身疾患とは?
歯周病という病名もメジャーになり歯医者へ行けば治ると思われてる方が大半だと思います。しかし、現在医学も進歩し、従来では”完治”とされていた歯周病治療も、血液中に歯周病菌が存在する為、完治自体が難しい事が判ってきてます。
完治が難しくなった”歯周病”は大切な『歯を失う』だけで無く、何と『全身疾患』とも関係性があることが判明しています。
歯周病が全身疾患を引き起こす原因は?歯周病は歯周病菌という細菌によって起こる「感染症」です。歯周病菌は歯垢(プラーク)や歯周ポケット(歯と歯茎の間)に入り込み増殖して行きます。歯周病菌が増殖すると歯の周りの歯茎を攻撃し歯茎が腫れてきます。そして腫れた歯茎から出血し、血管内に歯周病菌が入り込むのです。
但し、血液に入った歯周病菌のほとんどは、体内の免疫細胞による死滅します。死滅した際に剥がれ落ちる細胞壁をLPS(リポポリサッカライド)と言います。通称、エンドトキシン(内毒素)です。このエンドトキシンが免疫細胞により死滅させられた歯周病菌から剥がれ落ちた際に血管内に残る事になります。
これが全身を巡る事で、『心臓疾患』・『気管支炎』・『糖尿病』などの合併症を引き起こすと考えられています。
・歯を磨いて歯茎から血が出る
・歯がグラグラする
・歯茎が赤く腫れている
・口臭が気になる
・歯石が多く付着している
・歯茎が下がってきている(歯が長くなってきている)
・歯がしみてくる
・噛むと痛さが出る
・起床時の口腔内がネバついている
(1) プラークコントロール
ブラッシングのトレーニングをしっかりとした上で、プラーク(歯垢)を付けない様にコントロールして行きます。歯周病の原因であるプラークの除去が一番大事な項目となります。
(2) スケーリング
次に歯の周りについた歯石を除去して行きます。歯石はプラークと唾液で生成され、軽石の様な小さな穴が空き細菌が増殖するので、その細菌を超音波の振動を与えて砕く事で歯石を細菌ごと取ります。
(3) スケーリング及びルートプレーニング
歯茎の中にまで入ってしまった歯石を取る治療です。この歯石は血液を含み歯茎の中で黒く硬く歯にこびり付いています。超音波の振動や歯石を取る細い器具を使って取って行きます。
この時、歯茎が腫れていたり、出血があると取り残しが増えるため、出血が無い歯茎の状態にしてから、歯石を取る必要があります。歯周病ポケットの深さは4mmまではこのディープスケーリングで対応します。
(4) エムドインゲルを使った最新の歯周病治療
エムドインゲルとは、スウェーデンのビオラ社で開発された新しいブタ歯胚(しはい)組織歯周病再生用材料です。エムドインゲルの主成分(エナメルマトリックスデリバティブ)は、子供の頃、歯が生えてくる時に重要な働きをするたんぱく質の1種です。現在の科学水準に基づく高い安全性確保の下、幼若ブタの歯胚(しはい)から抽出精製したものです。
エムドインゲルを使った治療の流れ
(4)-1 歯周ポケットの測定
(4)-2 麻酔をかけて、最初に治療する部分の歯肉を切開し、剥離します。
(4)-3 歯根表面の清掃を行い、エムドインゲルの塗布を行います。
(4)-4 最後に切開した歯肉部分を縫合し終了です。
※施術時間は約1時間です。
※抜歯は施術日から約2〜6週間後となります。
機能的な歯周組織を取り戻すまでには、数ヵ月〜1年程度かかると言われてます。歯周組織が再生する期間及び程度は個人差が有り、歯周病の進行具合によっても異なります。従って、担当医の指示に従って、定期的な検査を必ず受ける様にして下さい。
歯周病を再発させない為には、歯や歯の周りをいつも清潔な状態に保つ事が重要です。
いつまでも美味しく食事が出来るために、自分の歯を大切にしていきましょう。
歯学博士が警告!歯周病が引き起こす全身疾患とは?はWoman Wellness Onlineで公開された投稿です。
【筆者略歴】
小瀬木克英
新橋にある「最先端の技術力と設備機器」で「最新の完全無痛治療」を行う歯科医院ケイデンタルオフィスの院長であり歯学博士。東京慈恵医大・済生会中央病院と連携して歯科のプロと麻酔のプロがチームを組み、安心・安全且つ高い水準での歯科治療を提供中。