撮影:稲澤 朝博

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舞台「鬼滅の刃」の竈門禰豆子役で熱い視線を浴びた気鋭の新進女優、高石あかり18歳。

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満を持しての初主演映画『ベイビーわるきゅーれ』が7月30日(金)より公開となっている。

本作で見事なアクションを魅せた高石に、初めてトライしたガンファイトなどの撮影秘話や、『舞台「鬼滅の刃」其ノ弐 絆』ついて話を聞いた。

ポジティブシンキングで!18歳の新進女優

『ベイビーわるきゅーれ』は、スタントウーマン・伊澤彩織とのW主演映画。

2人が扮したのは、女子高生殺し屋の2人組で、高校卒業を機にルームシェアをすることになる。

高石が演じたのは、明るく活発なちさと役で、極端な“コミュ障”であるまひろ(伊澤)と共に、理不尽な社会に揉まれながらも、友情の絆を深めていく。

2人にとっては待望の初主演作となったが、高石は緊張しつつも、「いける!」というポジティブシンキングで現場に臨んだそうだ。

「何でもやってみないと分からないという精神でいます。私は小さい頃から女優さんを目指してきたから、今回は初主演作ということで、夢のステージに立てる、夢が叶うという、プラスの感情の方が大きかったです」

伊澤とは、本作のメガホンをとった阪元裕吾監督の前作『ある用務員』(20)でも共演している。

今回はバディムービーだが、見せ場のアクションシーンはもちろん、日常生活におけるオフビートなコメディパートでも、伊澤と息の合った掛け合いを見せている。

「くすっと笑えるシーンが肝の映画なので、まずは伊澤さんとの距離感を詰めさせて頂きたいと思いました。

伊澤さんには、前作で初めてお会いした時、そのカッコ良さに心を奪われたんです。

話すテンポ感も合うので一緒にいてとても心地よく、人間性的にもすごく魅力的な方ですし、お芝居では爆発力が物凄くて、見ていて引き込まれました」

高難度の本格的アクションシーンに初挑戦

avex主催のキッズコンテスト「キラットエンタメチャレンジコンテスト2014」でナルミヤオンライン賞を受賞したのをきっかけに芸能界入リを果たした高石。

ダンスなどで身体能力の高さはお墨付きだが、「THE NEXT GENERATION パトレイバー」シリーズで知られるアクション監督・園村健介の指導のもとで、初めて挑んだガンアクションにはかなり苦戦を強いられた。

「これまでダンスをやってきましたが、アクションとは重心の置き方や立ち振る舞いなどを含め、全然基礎が違ったんです。

だから園村さんや伊澤さんに、銃を撃った反動や、体にくる振動などをゼロから教えていただきました。

伊澤さんは現役のスタントウーマンでいらっしゃるから、園村さんが現場に来れない時や、自分の出番がない時でも、私につきっきりで教えてくれたんです」

本作で高難度の本格的アクションシーンに挑んだ高石は、「初めてだったので、発見ばかりでした」と現場を振り返る。

「アクションで『キレを出して』と言われると、私はどうしてもダンスのキレを目指してやっちゃうんですが、そうするとモニターで見た時、違和感を覚えるんです。

アクションは人間業とは思えない動きでも、人間が動いているというふうに見せないといけない。でも、ダンスの場合は、人間離れしたきれいな動きに見せるほうが面白いんです。

そういったキレの違いを出すのが本当に難しくて。やはり何ごとにおいても基礎がないと一流には見えないんだなと、改めて思いましたし、やはり伊澤さんのアクションがすごいなと感動しました」

特に、伊澤がスタントウーマンとして本領を発揮したクライマックスのアクションシーンを見て、高石は琴線と涙腺の両方を揺さぶられたと言う。

誰も想像できないような映画になった

「伊澤さんのアクションシーンを試写で初めて観た時、ウルウルきちゃいました。

アクションなのに、感情と感情のぶつかり合いを見ているようなお芝居で、アクションシーンにここまで感動したのは初めてだったかと。そういう意味では、誰も想像できないような映画になったのではないかと思います。

ハイレベルなアクションと、そことはかけ離れたゆるい日常のシーンが両方入った作品なので、早くみなさんに観ていただきたいです」

『舞台「鬼滅の刃」其ノ弐 絆』に込めた想い

また、8月31日(火)に千秋楽を迎える『舞台「鬼滅の刃」其ノ弐 絆』の稽古中の高石。(取材は2021年7月19日時点)

「第2作なので、1作目を超える、という言い方は少し違うかもしれませんが、とにかく2作目はまた新しいものを作りたいという気持ちで挑んでいます。

前作とはお話もメンバーも変わるし、今回は“絆”がテーマになっているので、そういうものを感じて頂ける作品になればいいなと思っています」

映画の撮影と舞台の稽古、常にそれぞれの現場で、その役に切り替えて没頭できるというのが高石の強みだ。

「基本的に何かの役を自分のなかに取り込んだ瞬間、私はそっちに切り替えられるんです。日常では、直さないといけない部分でもあるのかもしれないけど、1つのことを集中して考えると、ほかに何も考えられなくなるんです。」

まさに“全集中”できることは、女優として最大の武器になるのではないかと。また、ライブである舞台と、カットごとに吟味して撮影をしていく映画の違いをそれぞれに楽しめたそうだ。

「舞台は1か月間ずっと同じメンバーで作り上げて、毎回生で芝居をします。一発勝負だから、そこがとても刺激的で、また台詞などを間違えてはいけないという怖さと緊張感が常にあります。

もちろん映画でも同じように緊張感はありますが、基本的にはシーンごとに自分のお芝居を見せて演出を受け、『それは違う』となったら、そこからやり直すことができる。

正解への導き方が舞台とは違うなと。怖さや受ける刺激は違うけど、私は映画も舞台も両方ともすごく好きです」

着々とキャリアを積み、夢へと邁進してきた高石。幼少期にドラマ「花より男子」(05)を見て、井上真央に憧れたことがきっかけで女優を目指してきたが、今に至るまでに、立ちはだかった壁などはなかったのだろうか。

「たぶん壁にぶつかっていても、見て見ぬふりをしています(苦笑)。壁だ!と認めてしまったら終わりだと、どこかで思っているので、ずっと楽しくやろうと努めている感じです。もちろん辛いこともあるけど、そこは考えないようにしてきました」

そんなポジティブシンキングの源は、どうやら家庭にあったようで、小さい頃から家でネガティブな言葉を吐かないようにという教えを受けてきたと言う。

「小学3年生くらいの頃、お母さんに『疲れたってどういう意味?』と聞いたらしいんです。家では誰も使わない言葉だったので。おそらくそういう家庭で育ったからなのか、あまり弱音を吐かないようになったのかもしれないです。

もちろん悩みがちな部分もあるんですが、思考がそっちに気をとられると、そのまま“悩んでいる自分”になってしまう。だから、必死に考えないようにします。イメージ的にはモヤモヤを4分割に切って、後ろに吸い込ませるような感じかと(笑)」

とはいえ、コロナ禍で舞台が延期になったり、撮影の延期を余儀なくされたりと、心の葛藤も容易に想像がつくが、「それも切っていきました」という高石。

「そういう悔しい想いもきっといつかお芝居につながるのかなとは思ったりします。将来につながる何かを得ているんだと切り替えるようにするしかなかったです」

将来的に目指したい女優像はこの人!

将来的に目指したい女優像として、井上真央はもちろん、宮崎あおいも目標に掲げている。

「宮崎あおいさんのお芝居にすごく憧れています。私はこれまで、原作ありきのキャラクターを演じることが多かったし、今回のちさとも元気な時は超元気なアニメっぽい要素のある役柄でした。

だからいつか、そういう要素が一切ない超絶“人間らしいお芝居”もやってみたい。また、人間としてはカッコいい女性になりたいです」

常に向上心を持ち、前進してきた高石。いよいよ公開となるった『ベイビーわるきゅーれ』については「アクション映画、殺し屋映画ですが、コメディ映画でもあるし、いろんな要素が詰まった作品になっています。

アクションと日々のだらだら感のギャップも楽しんでいただきたいです」とアピール。

『鬼滅の刃』の舞台での活躍も含め、女優・高石あかりが、大いに飛躍する夏となりそうだ。

『ベイビーわるきゅーれ』は7月30日(金)より全国順次公開中。

※高石の「高」ははしごだか。禰豆子の「禰」は「ネ(しめすへん)」が正式表記となります。