お金に苦労せず、幸せに生きていくことを目指す【脱貧困診断】。今回の相談は、生活用品メーカーに勤める佐々木香奈恵(仮名・28歳)さんから。

「auと契約しているのですが、毎月のスマホ代が約8000円です。これは高いでしょうか。SIMフリーは1か月で3000円程度とネットに書いてあるのを見て、気になっているのですが、どこで買っていいのかわからないし、万が一、不便があったり、もろもろの料金がかかったり、結局同じくらいの額を払うことになるのなら、手続きが面倒くさいので変えたくありません。SIMフリーにしたほうがいいでしょうか。基本的に、ネットの閲覧や友達とのやりとりに使っています。通話はLINEかFacebookの無料通話を使っています」

森井じゅんさんに教えていただきましょう。

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格安スマホなら月額支払いが3分の1に!?

一言で言えば、相談者さんの場合、格安スマホにした場合節約となる可能性が非常に高いです。格安スマホは、その名の通り、ドコモ、au、ソフトバンクといった大手キャリアのスマホと比べて安く利用できることが一番大きな特徴です。大手キャリアのスマホを使っている人が格安スマホに変えた場合、平均的に月額で3分の1になると言われています。その差は大きいですよね。

MVNOとは?

格安スマホを説明するのに大事な言葉が、「MVNO」です。MVNOは日本語で「仮想移動体通信事業者」といいます。「楽天モバイル」「mineo」「U-mobile」「NifMo」「UQ mobile」といった会社がMVNOです。格安スマホにする場合、私たちユーザーは、大手キャリアから回線を間借りしてユーザーに提供する「MVNO」と直接契約することになります。

格安スマホはなぜ安いの?

ドコモなどの大手キャリアは、人件費や新規技術開発、基地局、収容局の維持、メンテナンスに高額なお金が必要となります。 いくつもの基地局を日本全国に作り、日々メンテナンスをするだけでなく、販促物・CM製作などの広告宣伝、さらには直接営業販売も行なっていますから非常にたくさんのコストがかかります。一方、自社の通信設備を持たないMVNOは大手キャリアの回線を安く使わせてもらっています。安い料金で借りたものをたくさんの人に使ってもらうことで安い料金を実現しているのです。

格安スマホにする方法は? 今のスマホはそのまま使える?

格安スマホに変更する方法はふたつ。ひとつは、MVNOで格安SIMとSIMフリーのスマートフォンを購入すること。もうひとつは、MVNOで格安SIMを購入し、使っているスマホのSIMと差し替えて乗り換えることです。つまり、格安スマホに乗り換える、ということは大手のSIMをやめてMVNOの格安SIMを使うということなんです。

今のスマホをそのまま使えるかどうかは、乗り換え先のMVNOがどこのネットワークを利用しているかによります。
MVNOはドコモ系とau系の2つがあります。言い換えれば、MVNOはドコモかauどちらかの通信網を借りているということ。基本的に、ドコモの端末ならドコモ系MVNO、auの端末ならau系MVNOのSIMカードに差し替えるだけで、そのまま今使っているスマホを使うことができます。

質問者さんは現在auと契約しているとのこと。au系のMVNOを利用するのであれば、今使っているスマホをそのまま使える可能性が高いです。現在SIMフリーのスマートフォンを購入するのは、SIMとセットで購入する方法だけでなく、ネットや大手家電量販店で購入することもできます。

au系のMVNOは「mineo」「UQ mobile」があります。それぞれのホームページで、動作確認された端末が一覧として掲載されています。相談者さんのスマホが一覧にあれば、今使っているスマホをそのまま使うことができます。もしなければ、SIMフリーのスマホを購入することになります。まずは、MVNOのホームページを確認してみてください。

格安スマホに不便はない?

相談者さんは格安スマホに乗り換えた場合の不便も気になっているようですね。もちろん、電話がつながりにくかったり、ネットが遅くなったりするのはイヤですよね。ページがなかなか開かなかったりすると、ストレスが溜まりますね。格安SIMはつながりにくいのでしょうか?

先ほどご説明したように、MVNOは大手キャリアのネットワークを借りて通信を行ないます。つまり、格安SIMと契約していても、通信ネットワークは大手キャリアのものを使っているのです。ですから、対応エリア等は今までと同じです。しかし、MVNOにより差がないかというとそうではありません。通信速度もさまざまですし、容量や使い方についてもそれぞれプランがたくさんあります。また、速度は時間や場所により各社優位性はさまざまです。実際どのプランが自分のスマホの使い方に向いているかは、使ってみないと分からないところがあります。

乗り換え費用はどのくらいかかる?

格安スマホに乗り換える時、今契約中のキャリアに3000円ほどの事務手数料を支払うことになります。また、今と同じ携帯番号を継続して使うためには、2000円ほどの転出費用がかかります。つまり、うまく乗り換えれば5000円強プラス乗り換え先のMVNOへの初期費用で済みます。

一番の注意点は、既存のキャリア・端末の解約費用です。

契約月以外の解約の違約金と、分割購入した端末の残債に注意してください。解約月以外に解約してしまうと、1万円前後の解約金が発生する場合があります。また、スマホの端末代金は分割払いが一般的となっています。端末代金実質0円となっている場合でも、実質0円になるのは、月々の分割代金と同等額の割引をされている仕組み。この割引は契約を継続している事が条件になっていますから、解約にあたり残額を払うことになる場合があります。これらの解約費用で数万円となるケースもあります。事前に解約月や残債を確認しておくことが大事です。

自分の使い勝手を試すのにいくつか格安SIMを経験するのもいいかもしれません。周りの人の体験談や口コミ、実際の自分の体験を踏まえて自分にベストなSIMを選んでくださいね。

月の支出の中で、いちばん節約可能性アリなのがスマホかも!



■賢人のまとめ
解約費用がかからないタイミングを狙えば、初期費用5000円ほどで月額支払い額が3分の1になることも。実際に使ってみないとお得度がわからない場合が多いので複数試してみるのもおすすめ。

■プロフィール

女子マネーの達人 森井じゅん

1980年生まれ。高校を中退後、大検を取得。レイクランド大学ジャパンキャンパスを経てネバダ州立リノ大学に留学。留学中はカジノの経理部で日常経理を担当。

一女を出産し帰国後、シングルマザーとして子育てをしながら公認会計士資格を取得。平成26年に森井会計事務所を開設し、税務申告業務及びコンサル業務を行なっている。