結婚から妊娠まで。 おさえておきたい身体のこと

写真拡大


執筆者:松本 たお(正看護師、新生児蘇生法NCPR専門コース終了認定者)


近年、女性の晩婚化が叫ばれています。

厚生労働省によれば、平成26年現在の日本人女性の平均結婚年齢は29.6歳とのこと。
一方、産科では「35歳以上での初産は高齢出産」とされ、いわいる「ハイリスク妊娠」に区分されてしまいます。特に都市部の女性には「仕事をバリバリこなしてきたけど、そろそろ結婚や子どもを…」と考えるものの、ハイリスク妊娠が心配だというケースが多くあるようです。

結婚して新婚生活を満喫したい。でも、周りからの情報や親・親戚からのプレッシャーで、妊娠に焦りを感じてしまう…なんてこともありそうです。
しかし必要以上に不安に感じることは、かえって悪影響となることも。

妊娠前からの体づくりを心がけておくことで、健やかな妊娠・出産を迎えられる準備が出来るでしょう。

それでは、妊娠準備のための体づくりにはどのようなことが必要なのか、詳しく見ていきましょう。

「冷えは万病の元」 平均体温を上げよう

現代女性のほとんどが「冷え性」持ちであると言われています。
特に平均体温が36.0℃未満の方は要注意です。
「冷えは万病の元」と言うように、温かい体は様々な病気や不調を撃退してくれますし、卵巣機能の低下も防いでくれるのです。
体温を上げるには、以下のことが有効です。

1.シャワーだけで済まさせず、湯船にしっかりつかる(半身浴や足湯は更に効果的です)
2.生姜や温かい飲み物を摂る
3.腹巻やレッグウォーマーなどで調節する

意外と知られていない、生理用ナプキンの特徴

体温を上げることに加え、子宮を温めておくことがとても大切です。


衣類や食べ物で温めることも大事ですが、意外と知られていないのが生理用ナプキン。
最近は「吸収」「漏れない」などが売りの紙ナプキンがたくさん出ています。

しかし、これらの吸収剤に使われている「高分子ポリマー」という成分が体を冷やしてしまう特徴がある、ということはあまりご存知ないのでは。
つまり紙ナプキンが結果的に「子宮を冷やしている」という側面があるのです。(ちなみにですが、生理痛やPMS(月経前症候群)が重い人は、この子宮の冷えが原因のひとつだとも言われています。)
最近では使いやすい布ナプキンや、成分にこだわった紙ナプキンも出ています。
経血の少ない日から取り入れてみると良いかもしれません。

現代女性は意識的に運動を

ひと昔前までの女性は、畑仕事や釜戸での料理などで体を動かし、
また食卓でもちゃぶ台の様な低いテーブルだったために中腰になる機会が多く、日常生活の中で自然と足腰が鍛えられていました。

しかし現代ではそういった機会は少なく、意識して体を動かさないと深刻な運動不足に陥ってしまいがちです。
適度な運動は、出産の際に必要なオキシトシンというホルモンをしっかり分泌させてくれ、スムーズに陣痛を進めてくれます。足腰の強さが出産力と言っても過言ではありません。
適度な運動は、心地良い睡眠や食欲にも良い影響を及ぼしてくれます。自分が気持ち良いと思える運動を継続して行っていけると良いですね。

バランスの良い食事を今から始めよう

また現代女性によくみられる特徴として、生理不順や無排卵月経になってしまっていることがあります。若い頃の過度のダイエットや偏食が原因もあるでしょう。
食生活の乱れから来る不調は、なかなかすぐには改善しにくい場合があります。


今からバランスの良い食事を心がけておくことで、スムーズな妊娠のスタートを切れる準備ができます。1日3食を基本に、なるべく規則正しい時間帯に食事が摂れるようにしたいですね。

しっかり準備し、幸せな時間を

これまで見てきたように、妊娠に向けた体づくりは少しの心がけで出来る、とても基本的なことばかりです。
世の中に溢れる情報に惑わされて不安になったり、それらを気にしてストレスになったりすることは、かえって悪影響になりかねません。

結婚してパートナーと一緒に、「いつか赤ちゃんを…」という気持ちを共有出来るのはとても幸せな時間です。
これらの準備を今からしっかりしておけば、その時間がさらに幸せになることでしょう。


<参考>
『平成28年我が国の人口動態(平成26年までの動向)』
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/81-1a2.pdf (厚生労働省)

<執筆者プロフィール>
松本 たお(まつもと・たお)
正看護師、新生児蘇生法NCPR専門コース終了認定者。精神科、産婦人科、助産院での臨床経験を持つ正看護師。現在は育児に奮闘中の2児の母。