「カールスジュニア」の定番商品「オリジナル シックバーガー」。日本での販売価格は未定

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ここ数年、牛丼やハンバーガーなどを扱うチェーン店に元気がない。高級志向ブームが続くなか、安さが売りの「ファストフード」が苦戦を強いられているようだ。そんななか、飲食業界で注目を集めているのが「ファストカジュアル」という業態。特徴は、低価格と質の高さを両立させていること。先駆者であるアメリカのハンバーガーチェーンが日本進出を発表するなど、今後ブームに火がつきそうな気配。果たして、その実態は?

【写真を見る】焼き立て、できたてが安価に食べられる!本場イタリアに負けないマルゲリータを350円で提供するナポリス ピッツァ&カフェ

ファストカジュアルは、ファストフードとファミリーレストランの中間に当たる業態を指す。要するに、質の高い食事を提供するファミレスと、価格面で気軽に利用できるファストフードのいいとこ取り。注文を受けてから調理するため、一般的なファストフードより待ち時間が長いものの、作りたての料理が食べられるのが魅力だ。

価格はファストフードより高めだが、ファミレスよりは安め、または同程度であることが多い。外食頻度の高いアメリカでは、健康意識の高まりもあり、2000年代初頭から成長が続いている市場なのだ。

日本では、長らく続いた不景気の影響で、安さが売りのファストフードが重宝されてきたのはご存知の通り。これまでファストカジュアルが話題になることはあっても、業界的にブレイクするには至らなかった。

ところが近年、アベノミクスの影響や健康意識の高まりもあり、「多少高くても、いいものを食べたい」という時代へと変化。このようなニーズに応えるため、改めてファストカジュアルが注目されている。

そんな絶好のタイミングで、アメリカ生まれの老舗ハンバーガーチェーン、カールスジュニアが今秋の日本進出を発表した。

素材にこだわったプレミアムなバーガーを信条としている同店。それを象徴するのが、ブラックアンガスビーフ100%のパティだ。さらに、全てのパティを直火焼きで調理し、野菜の鮮度にもこだわり調理も全て店舗内で行っている。

また、ベーシックなハンバーガーは3.39ドル(約500円)から、ブラックアンガスビーフのハンバーガーも4.59ドル(約600円)から設定されており、良心的な価格も魅力。日本展開時の価格は未定だが、ファストカジュアル店の火付け役として期待されている。

ハンバーガー以外にも、最近はファストカジュアルに位置付けられるさまざまなジャンルの飲食店が登場している。なかでも注目したいのが、池袋サンシャインシティに先月オープンしたばかりの、日本初となるラップサラダ専門店、サラディッシュだ。

注文を受けてからチョップするサラダは、フレッシュなだけでなくバリエーションも豊か。平均カロリーは300kcal以下で、成人病や太りすぎを気にする男性のランチにもおすすめだ。脇役的存在だったサラダを食事として楽しませてくれる存在として話題を集めている。

続いて、レストラン並みの本格的な窯焼きピザを激安価格で提供するファストカジュアル店がナポリス ピッツァ&カフェだ。イタリア食材にこだわった25cmサイズの窯焼きマルゲリータがなんと350円!

誰でも素早くピザが焼けるような独自の石窯を開発したことで、人件費の削減が可能になったという。2012年4月に1号店をオープンして以来、その圧倒的なコスパで急成長を続け、現在は全国に15店舗展開している。香港やバリ島への出店など海外進出にも成功しているピザ業界における革命児的な存在だ。

その他にも、サラリーマンにはおなじみの存在である富士そばチェーンも、すでにファストカジュアルに参入している。2012年10月に、つけ蕎麦 たったんを渋谷にオープン。従来の富士そばより上位という位置づけで、全メニューにヘルシーなだったんそばを使用している。

メニューは、最も安い「もりそば」で480円。富士そばより200円高いものの、店内は高級感ある内装で、女性客が急増したという。ちなみに、だったんそばは脳卒中や高血圧症などの予防効果が期待されるルチンが通常のそば粉の約100倍も含まれている!ヘルシー派の女性だけでなく、ミドルエイジの男性にとってうれしい。

また、そばと並んで日本人の国民食であるカレーにも、ファストカジュアル店がある。2012年11月にオープンしたスパイスプラスだ。こちらはロイヤルホストの新業態のショップで、店内は従来のファストフード店と同じくカウンターオーダースタイル。しかし、1番人気の「18種スパイスのビーフカレー」は、厨房でビーフを焼くなど1皿ずつ本格的に仕上げている。

このように、メニューの絞り込みやサービスの簡略化で、低価格で丁寧な調理を実現しているファストカジュアル店。デフレによって飲食業界全体として不振からの脱却を目指すなか、同業態が定着するのか、今後も見守りたい。【東京ウォーカー】