猫になって、魂を分ける!?/画像提供:かんさび(@kansabi_kk)

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「猫の魂は、9つある」そんな言い伝えをご存知だろうか?大切な愛猫は忘れてしまっても、また別の姿になって戻ってくる魂のつながりを描いた、かんさび(@kansabi_kk)さんの「化け猫の絵の話」を紹介したい。

【漫画】本編を読む

■9つある1つの魂に「人間」でもやらせておけばいいさ

これは、猫にまつわる伝承の話。本作のベースになっている伝承について、かんさびさんに話を聞いた。「猫の魂が9つあるというのはかなり古くから伝えられているようで、その起源はエジプトやヨーロッパなどと言われていますが、はっきりとはわからないようです。しかし現代の日本人の私たちまで知っているぐらいですから、猫というのはそれぐらい、神秘的な動物だとされている部分があると思います」(かんさびさん)

店に「化け猫の絵を見たい」と一匹の猫が訪れた。見にきたのは、猫が人間だった頃に欲しかった絵画だ。しかし、すでに絵の買い手は決まっている。それを猫に伝えると、「そうさ。買いに来るのはぼくさ」と、不思議なことを言う。

その後、買いにきたのは、人間の男性だった。しかし、猫は「それは、自分だ」という。伝承に基づけば、猫の魂も人間の魂も元は同じだったのだろう。「忙しく生活する現代の私たちは、とくに古代から変わらない猫の性質に憧れ、猫になりたいと願うことすらあります。そこで、その夢を叶えた人の一例をお話にしてみたかったんです」(かんさびさん)

「僕はねえ、あの男でもあるんだ」猫と男は、同じ時間軸で生まれ変わったのだ。魂が同じ世界に存在する不可思議については、「実は、魂は過去にも未来に生まれ変われる…つまり同じ時代にも生まれ変わることがある、というセオリーを聞いたことがあります。なので、猫の魂が同じ時代に人間に生まれ変わっていて、それをまた別の魂が見ている、というちょっとややこしいお話になっています」(かんさびさん)

9つに分かれた魂は、過去にできなかった後悔を埋めながら、猫の生、人間の生をそれぞれ謳歌しているようだった。

奇妙な話ではあるが、結末はいつも優しい余韻を残すかんさびさんの漫画。「悲しく怖い、辛い怪談や不思議な話に少々疲れていまして。 不思議な話や一見怖い話でも、実は温かい側面や理由がある、救いがある、というような考えが好き」という。不思議な短編漫画は、心地よい読後感を与えてくれる。

取材協力:かんさび(@kansabi_kk)