食事中にうっかり頬の内側を噛んでしまうことは誰しもあるけれど、無意識に頬の内側を噛むことが癖になっていたら注意が必要かもしれません。これは、爪噛みと似て、ストレスが原因と見られる症状で、放っておくと深刻な問題に発展する可能性もあるのだとか。

本記事では、頬の内側を噛んでしまう一般的な原因や、潜在的な健康への影響を、口腔外科医のリチャード・マルケス医師に取材。<ネットドクター>からお届けします。

頬噛みとは

頬の内側を噛んでしまう癖(頰粘膜歯圧痕)は、自傷行為の一種と見られ、うっかりやってしまう場合もあれば、故意に繰り返してしまう場合もあるそう。

生活に支障をきたしたり、重傷を負ったり、ストレスになったりするようなら、メンタルヘルスとも関係している可能性があるとのこと。しかし、こういった深刻な頬噛みや習慣的な頬噛みは、めったにないケースなのだとか。

頬を噛んでしまう原因

一般的な要因として、ストレス、不安、退屈が挙げられるそう。

2012年に発表されたある研究によると、頬噛みを含む身体集中反復行動(自分の体の一部をむしったり噛んだりする直前に緊張感や不安を抱いていて、その行動を行うことで、そうした感情が和らぐこと)は、小児期後期に始まることが多く、成人期を通して続く傾向があるのだとか。

マルケス医師によると、歯ぎしりしているときや食べているときに起きることもあるそう。

「頬を噛むのが無意識の癖になっている人もいます。そうすると、歯が頬に当たる部分が傷ついてしまい、白い斑点状になります。くちびるや舌にも影響が出ることがありますが、最も一般的なのは頬です」

頬噛みの危険性

頬噛みも、一度きりのものから、痛みをともなう自傷行為まで、程度はさまざま。繰り返し噛むことにより、口内の細胞が傷つき、口が痛くなったり、潰瘍ができたりすることも。

癖になっていると、一定の場所を繰り返し噛んで傷つけてしまうケースも。深刻な場合は、ざらざらとした傷ついた粘膜を「なめらかにしたい」という衝動から、さらに噛み続け、癖がやめられなくなってしまうそう。

「潰瘍は一度形成されると噛みやすくなってしまうため、さらに問題になりえます」とマルケス医師。

頬噛みと口腔がんの関係

口内の損傷と口腔がんを関連づける研究もあるものの、頬噛みとの関連は特定できないそう。ただし、慢性的に頬を噛む癖がある場合は、潰瘍や舌の傷となるため注意が必要。こうした長年にわたる傷は、口腔がんの潜在的な要因として、イギリスのNHS(国民保険サービス)のウェブサイトにも挙げられています。

「繰り返し、深く頬を噛むのが一番危険です。頬粘膜を傷つけ、非常にまれですが最悪のケースでは、頬の組織の変化から細胞の変化にまで至り、口腔がんのリスクを高めることになります」

頬を噛む癖をやめるために

口内を噛んでしまうことが多いなら、マウスピースが役に立つかもしれません。マウスピースは、柔らかい素材でできていて、歯がこすりあわないようにするほか、歯の鋭い部分をカバー。気になる人は、かかりつけの歯科医に相談してみましょう。

「歯ぎしりをしてしまうなら、夜の間、あるいは日中もマウスピースをつけることで頬の損傷を和らげられます」と、マルケス医師。

ストレスが原因の場合の対処法

もしストレスなどによるものなら、認知行動療法(CBT)を試すのもおすすめ。他にも、以下を参考にしてみて。

誘因を探る

仕事の締め切りやプレゼンが迫っているときに、頬噛みをしていませんか? 頬を噛んでしまう誘因がわかったら、ガムなど別のものを噛むようにしてみて。

リップクリームを塗る

くちびるを噛んでいる場合は、リップグロスやリップクリームを塗ってみて。自制できるようになるか、少なくとも噛んでいることを自覚できるようになるそう。

ストレスを減らす

ストレスを減らし、定期的な運動や瞑想など、不安を解消する別の方法を探しましょう。

催眠療法を試してみる

信頼できる専門家を探し、相談してみて。

※この翻訳は、抄訳です

Translation:mayuko akimoto

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