今回のビジネス女子マナーは、人材サービス会社勤務の能登きさらさん(仮名・25歳)からの質問です。

「趣味でインスタを楽しんでいます。自分の記録にもなるし、フォロワーさんからの反応も励みになります。質問は、“業務時間後の会社のみんなやクライアントと会食をしたときの写真や動画をSNSに投稿してもいいのか”です。どうぞよろしくお願いいたします 」

SNSは楽しく、役立つツールのひとつです。しかし、個人のSNS炎上も頻繁に起こり、問題にもなっています。堅実女子のみなさんなら「なんでもかんでも発信していいわけではない」ことは、当然わかっていますよね。しかし、会社に勤め、日々仕事に追われた生活をしていると「会社の仲間とプライベートごはん」「親しくなった取引先の会社の女性とプライベートランチ」のように、「仕事か仕事じゃないのか」という線引きが難しいものも多くなります。そして、SNSで発信したいと思う人ほど「どれがOKでどれがNGなの?」と悩みがちです。

会社関係の方との会食などでも、業務時間後や直接今の業務と関わりがないなら、プライベートといえるのでしょうか。今回は、インスタグラムの画像投稿を中心に、ビジネスマナーの視点での注意点などを鈴木真理子さんに教えてもらいます。

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会社関連の飲み会や会食の「意義」を考えて

「インスタは、プライベートで楽しむもの」。堅実女子のみなさんはわかっていますよね。仕事中にどこで、誰と、なにをしているか、それらの情報には守秘義務があります。ですから、不用意にSNSで公開してはいけません。

しかし仕事をしていると、相談者さんのように「どこからがプライベートか」というところで悩んでしまう……ということはあるかもしれません。

基本的には、「仕事にまつわる人間関係」はすべて「業務関連」と考えておけば間違いありません。業務時間外とはいえ、メンバーが会社の人やクライアントなら、仕事の一環。ビジネスマナーとしては、人が写っていない料理の撮影でも「しない」というのが賢明でしょう。

また、食事中に料理の撮影をすることを好まない人もいます。その比率は、年配の人ほど高くなります。

そして何より、その「会食の目的」が何なのか、意義を理解して行動することです。

たとえば、社内の歓送迎会なら、主役の人に喜んでもらうのが最優先ですよね。クライアントの接待なら、おもてなしするのがあなたの役割です。

そんな状況のときに、インスタ映えするかどうかで頭がいっぱい、手にはスマホを握りっぱなし、なんてことでは……。ビジネスマナーという視点からもよろしくありませんし、仕事人としてのプロ意識が足りないと思われかねません。

プライベート画像投稿も位置情報はオフに

最近ではストーリーのような、自分のタイムラインに残らないSNSもありますね。でも1度ネットに公開されてしまえば、それは自分の預かり知らないものとなってしまいます。動画や静止画を問わず、「100%プライベート」のこと以外SNSに投稿するのは、社会人、企業人としてトラブルを起こしかねないことを自らしていると心得てください。

自分は「料理だけのつもり」でも、自分や相手の会社のロゴが入った紙袋や、誰かの顔や衣服、持ち物の一部など、余計なものが映る可能性もありますよね。そこから誰であるかを割り出すというのは、スキルがある人ならば、あなたが思っている以上に簡単なことなのです。

また、プライベートで撮影するときも、位置情報機能をオフにすると安心です。「プライベートなんだからいいじゃない?」と考えがちですが、日時や場所の情報から、あなたの動向が丸見えになります。仕事関係の方がそれをチェックするという場合もあります。あなたは「問題ない場所」と思っていたところでも、たとえば、取引先の競合相手の関連だったりすることもあるのです。

休憩中にインスタを見るのはOK?そのマナーは

そのほか、今回はSNS関連での気になるビジネスマナーもご紹介しますね。

まず、よく質問されるのが、「仕事の休憩中などにインスタを見るのはOKかNGか」ということ。内勤の方は特に社内にずっといるので、休憩中も自由度が低くてきゅうくつ……と感じる人も少なくないようです。でもランチタイムなど、休憩中に自分のスマホからSNSをチェックしたり閲覧したりするのは問題ありません。

ただし、休憩中だとしても会社支給のPCからアクセスするのはNGです。会社から支給されているものを、個人利用するのはいけません。

会社の公式アカウントの個人SNSリツイートはNG

いきなりですが、ここでクイズです。「会社の新製品などを自分のSNSで紹介する」 これは、OKだと思いますか?答えは「自己判断の場合はNG」です。

たとえ、良かれと思って紹介したとしても、発売日時をフライングして公開してしまったり、間違った情報を書いてしまったり、情報漏えいとお咎めを受けたなら……逆効果となることも多いです。
なお、会社からの指示があった場合なら問題ありませんが、その場合にも正しいかどうかなどの確認は必要となるでしょう。

 では、二問め。最近では、企業の公式アカウントも増えていますね。「自分が勤務している会社の公式アカウントのコメントを、自分の個人アカウントでリツイートする」。これはOKだと思いますか?答えはNGです。

会社が発信する情報の相手は、市場や消費者です。身内の援護は世間から「やらせ」と受け取られかねません。かえってあなたの勤める会社の評判を下げてしまうこともあります。

 

出張先で意外な組み合わせの知り合いを偶然発見!その感動をSNSで配信……なんてこともNGです。出張先=業務内、他人のプライベートをネット上に公開することにもなりビジネスマナー違反。それ以前にプライバシーの侵害は人として、行なってはいけないことです。

 



■賢人のまとめ
仕事中にどこで、誰と、何をしているか、それらの情報には守秘義務があります。ですから、不用意にSNSで公開してはいけません。会社の宣伝になるかもと、良かれと思っての行動も裏目に出る場合が。個人のSNSに、個人の判断で会社関連のことを投稿するのはやめましょう。

■プロフィール

女子マナーの賢人 鈴木真理子

三井海上(現・三井住友海上)退職後、“伝える”“話す”“書く”能力を磨き、ビジネスコミュニケーションのインストラクターとして独立。セミナー、企業研修などで3万人以上に指導を行う。著書は『ズルいほど幸せな女になる40のワザ』(宝島社)のほか、近著『仕事のミスが激減する「手帳」「メモ」「ノート」術』(明日香出版社)、『絶対にミスをしない人の仕事のワザ』は7万部を超えるヒットとなる。 

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