ポイントは冷風? 美髪をキープするドライヤー使いをご紹介

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執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ


日々のヘアケアに欠かせないドライヤー

温風で髪を乾かすのは当然のことながら、冷風機能はいかがでしょう… 活用していますか?

ドライヤーといえば必ずついている冷風機能、その機能のメリットは意外と知られていないようです。

今回は、冷風機能の効果的な使用法について、髪や頭皮をケアするという視点からご説明いたします。

髪の毛の構造

日本人の髪の太さは、0.07〜0.10ミリメートル(平均値)だといわれています。

髪の毛の構造は、外側から中心まで3層になっています。

いちばん外側は「キューティクル:毛表皮(または毛小皮)」、中間部は「コルテックス:毛皮質」、中心部は「メデュラ:毛髄質(もうずいしつ)」と呼ばれています。

各層のおもな役割は次のとおりです。

キューティクル:髪の毛のつや

毛髪の表面を覆っているキューティクルは、外部の刺激から毛髪の内部を保護しています。
たんぱく質や水分が失われないようにすると同時に、髪につやを与えます。
主成分は、ケラチンという硬質たんぱく質で無色透明です。

キューティクルは硬いのですがもろいという特徴があり、摩擦に弱いです。
雑なブラッシングや荒々しいシャンプーによって、傷ついたり、はがれやすくなったりします。

コルテックス:髪の毛の質感

コルテックスはケラチンの集合体で、毛髪の大部分を占める大切な部分です。
弾力性に富み、太さ・硬さ・強さといった毛髪の質感はこの層の状態によって決まります。
さらに、含まれる水分は毛髪の「しなやかさ」を左右しますし、髪の色を決めるメラニン色素もこの層に含まれています。

コルテックスは薬剤の作用を受けやすく、たとえば、パーマ剤の使用によりたんぱく質が溶け出してしまうことがあります。
そうすると、つやがなくなったり、水分調節機能が低下したりします。

メデュラ:髪の毛の芯

毛髪の芯にあたるメデュラ。
空洞の細胞がハチの巣状に並んでいて、細かい空気を含んでいます。

実は、メデュラの機能や役割は未解明な点が多く、一般に太い毛髪ほど多いといわれますが、メデュラ自体がないこともあります。
通常、産毛や新生児にはありません。

冷風機能によるヘアケア

熱風で髪を乾かした後、仕上げに冷風機能を使用すると、次のようなメリットがあります。

髪が乾燥しにくくなる

水分をたっぷり吸った髪は、キューティクルがうろこ状になって開いている状態です。
つまり、開いたすき間から髪の内部の水分がどんどん流れ出てしまうわけですから、髪の乾燥が進みます。
ドライヤーの冷風は、開いたキューティクルを閉じる、という役割をして乾燥を防ぐ対策になります。

髪が傷みにくくなる

キューティクルが開いていると、水分で髪が膨張しているため髪の毛同士の摩擦が生じやすい状態でもあります。
摩擦はキューティクルがはがれて髪が傷む原因になります。
そこで、ドライヤーでしっかりと髪の毛を乾かし、仕上げに冷風でキューティクルを閉じることで、髪の傷みを防ぎます。

髪が絡まりにくくなり、つやが出る

キューティクルが開いた状態の髪の表面は、ざらざらとして絡まりやすくなっています。
やはり、冷風機能でキューティクルを閉じることで、表面をつるつるに整えることができます。

地肌へのドライヤーの影響

ドライヤーを上手に使いこなすと頭皮のケアもできます。

まずは、タオルドライをして髪の毛の水分をふき取ります。

次にドライヤーをあてますが、このとき「頭皮エッセンス」などを使ってもよいでしょう。

ドライヤーによる頭皮の乾燥を抑えてくれます。

ドライヤーの温風だけをあてると、頭皮も乾燥するのは髪の毛と同じなのです。

ある程度乾いたところで冷風に切り替えて髪の毛を乾かすと、地肌への影響も緩和されます。

とくに温風の段階では地肌に近づけすぎないように注意してください。

効果的な冷風機能の使い方

最後に、ドライヤーで髪を乾かすポイントをおさえながら手順を確認しましょう。

◆タオルドライをする

 シャンプーやトリートメント後の濡れた髪の毛の水分をとる。
 ゴシゴシとこするのではなく、タオルで髪をはさむように押さえる。

ドライヤーで乾かす

 最初は温風を使って髪を全体的に乾かす。
 キューティクルは下向きに広がっていることを意識し、ドライヤーは上から下に温風をあてて使う(下から上にあてるとめくれあがる)。
 また、根元から乾かし始める(表面からだと後で内側を乾かしている間に表面の乾燥が進む)。

◆仕上げ

 冷風を上から下にあてる。毛先をつかんで少し引っ張るようにブローすると効果がある。


<執筆者プロフィール>
吉村 佑奈(よしむら・ゆうな)
保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。某病院での看護業務を経て、現在は産業保健(働く人の健康管理)を担当


<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供