危険な三角関係にハマる?ほろ苦い恋を学べる「大人の恋愛小説」3選

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ラブストーリーは好きですか?それとも、恋愛ものはちょっと…という感じでしょうか?

若者向けの恋愛小説はひたすら胸キュンするお話が多いけれど、大人のための作品は一味違います。
そろそろ“大人の恋愛”がしたいなと思ったら、時間のあるときにじっくり読んでみましょう。

今回は女性作家が書いた三角関係モノをピックアップ。複雑に絡み合った恋愛関係って、いろいろ勉強になりますよ!

◆一組の夫婦+女子大生の三角関係


小池 真理子・著『恋』



超傑作との呼び声も高い『恋』の作者・小池真理子さんは、ご主人の藤田宜永さんともども直木賞を受賞しています。美人作家と言われ、エッセイ『悪女のすすめ』もベストセラーに。

『恋』はミステリー仕立ての作品です。軽井沢で女子大生・布美子が男性を射殺、さらに、もう一人の男性にもケガを負わせ、服役しますが、その事件に関心を持ったジャーナリストが、犯人である布美子にコンタクトを取って…というストーリー。

その殺人事件の謎も「えっ?」という結末なのですが…。
主人公の布美子は、文学部助教授・信太郎の翻訳を手伝うことになり、彼の妻・雛子とも親しくなります。
しかし雛子は恋に奔放で、夫公認の愛人が複数いる&信太郎もやりたい放題。

そして布美子は信太郎と関係を持ちますが、信太郎と雛子のどちらも愛しているという三角関係…。官能的な描写が多く、とても美しい小説です。

この作品は2013年に石原さとみさん主演でドラマ化され、話題になりました。信太郎は井浦新さん、雛子は田中麗奈さんが演じています。

◆ゲイの夫+彼の恋人+妻の三角関係


江國香織・著『きらきらひかる』



『東京タワー』『落下する夕方』『冷静と情熱の間』など、映像化された作品も多数執筆している江國香織さん。
アンニュイな雰囲気の美女、という印象の彼女の小説の中で、今回ご紹介する三角関係ものは『きらきらひかる』です。

親のすすめでお見合いをした妻・笑子はアルコール依存症で、医師である夫・睦月は同性愛者。お見合いの席で秘密を打ち明け合った二人は、お互いに納得して結婚しました。

やがて睦月の恋人・紺と笑子との間には、睦月を愛する者同士の友情が芽生えます。この三角関係は、嫉妬というより、不思議な連帯感や愛情で結ばれていくイメージ…。

1992年に映画化されていて、主人公の笑子は薬師丸ひろ子さん、夫の睦月は豊川悦司さん、恋人の紺は筒井道隆さんが演じました。睦月と紺のラブシーンもあるので、興味のある方はDVDでどうぞ!

◆年上の男+年下の男+女の三角関係


瀬戸内寂聴・著『夏の終わり』



瀬戸内寂聴さんと言えば、ありがたい説法やエッセイを届ける女性の味方、という印象が強いかもしれませんね。今でこそ僧侶の寂聴さんとして知られていますが、その昔は瀬戸内晴美名義の作家でした。

作家デビュー当時、文芸誌の新人賞第一作の『花芯』がポルノ小説であると批判され、作品はスキャンダル小説的な扱いを受ける事態に。
その後、文芸誌からの依頼がなくなり、苦境に陥ったこともあるそう。そしてご本人の男性関係も波乱万丈。お見合い結婚をした夫の教え子と不倫、という過去をお持ちです。

そんな体験をモデルにしたと言われているのが小説『夏の終わり』。厳密に言うと、作中には年上の男&妻、年下の男、自分という四角関係が描かれています。

主人公の知子はバツイチで前夫と子どもがいますが、その離婚の原因になったのは、6歳年下の愛人・涼太。彼は夫の教え子です。

夫の予想通り、涼太とはすぐに別れ、その後に出会った、妻子持ちの売れない作家・慎吾と関係を持って8年。
慎吾は知子が引っ越すたびに転居先にやって来て、妻子がいる家と行ったり来たりの生活を続けます。そして涼太とも再会し…。

人間関係がかなり複雑なのですが、主人公の知子は「この夏、あたし何もしなかった」と一言。
女性は恋愛にハマったり悩んだりすると、こうなるよねぇ、と共感してしまいます…。ちなみに何かが「終わる」小説でもあります。

満島ひかりさん主演の映画版もおすすめ。小林薫さん演じる慎吾、綾野剛さん演じる涼太の間で揺れ動く女心が丁寧に描かれています。

◆終わりに


あなたが気になるのはどの小説ですか?どれも魅力的な作品なので、ぜひ手に取ってみていただければと思います。

読みながらヒロインになりきって危険な恋に溺れるも良し、男性心理や使えそうな恋愛テクニックを学ぶも良し。
ただし、現実では三角関係の恋は、できればしないほうがいいでしょう。

その予防策として、禁断の恋のあれこれをみっちり学んでおく、というのもいいかもしれませんね。

ライタープロフィール


天野りり子
ライター/編集者
大学在学中からライター&編集稼業をスタート。女性誌ではビューティ&ヘルス企画、男性誌では恋愛記事を多数執筆、書籍編集も手がける。
趣味は読書とタロット占い、そして恋バナを収集すること。