味噌870円。札幌味噌ラーメンの、一つの到達点ともいえる一杯。コクとまろやかさを兼ね備えたスープの表面を、丁寧に生成された自家製ラードがおおう。中太縮れ麺のコシも素晴らしい

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北海道4大ラーメンといわれる札幌・旭川・函館・釧路のラーメンはそれぞれに特徴がある。今回はその札幌編。札幌ラーメンといえば、なんといっても味噌。野菜を炒め、それに豚骨ベースのスープと味噌ダレで味付けするのが札幌味噌ラーメンの主流だ。うっすらとラードの膜がはり、スープが冷めにくいのも特徴だ。

店内は広々としているが、それでも行列ができるのだから同店の人気ぶりがうかがえる

さて、その札幌ラーメンを全国区にしたのが、

そう、札幌市・中の島にある「すみれ札幌本店」。味噌870円は、札幌味噌ラーメンの一つの到達点ともいえる一杯だ。濃厚でコクのあるスープ。表面をおおう自家製ラードの旨味。そしてスープに負けない、歯応えに富んだ中太の特製縮れ麺。ひと口目からガツンと押し寄せるその旨さに、初めての人は大いに驚き、常連客は「これこれ」と安心感を覚える。

片側3車線の陸橋脇で、決してわかりやすい立地とは言えないものの、昼夜を問わず客足が途切れることはない。地元の常連客はもちろんのこと、レンタカーで訪れる道外客も数多く、その知名度の高さは札幌のラーメン店でも群を抜く。

実は1989年創業と、それほど古い店ではない。上の写真は、現在の「すみれ」の開店時(1989年)の様子。店舗前に立つのが村中代表だ。当時、隣にあった小さな店舗の横に、駐車場付きの大きな店舗を新築したのがはじまりだ。

「すみれ」のすごさは、ただ旨いということだけではない。「すみれ」で修行し独立した若き職人たちの店が人気店となっていることだ。多くの店が「すみれ」の味を超えるべく努力と研鑽を重ね、それが、多彩で豊かな今の札幌ラーメンの活況を生みだしたと言っていい。周囲に与えた影響力と作り上げた歴史において、札幌のラーメンを語るうえで決して欠かすことのできない傑出店なのだ。

●すみれ 札幌本店 ■住所:札幌市豊平区中の島2-4-7-28■電話:011・824・5655■時間:11:00〜21:00(LO)■休み:なし■席数:41席(カウンター15、テーブル26)

【北海道ウォーカー編集部】