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2015年、プランタン百貨店は創業150周年を迎える。3月20日、春分の日、外観に5500枚以上の花びらの形をしたモチーフが、夜間には照明となり点滅する仕掛けや、アーティストたちによる、独創的なショーウィンドーで、季節にぴったりのピンク色に包まれる、大イベントの”Happy 150 Printemps”が幕開けする。プランタンとは、フランス語で春を意味する。記念の節目を季節とともに祝福する。

写真上:パリのプランタン百貨店のファサード Manuel Bougot

150周年のために、400のブランドがオリジナルアイテムを1000点ほどデザインした。販売は、もちろんプランタン百貨店限定である。一部の商品は、ネット販売も予定されているが、ファッション、アクセサリー、コスメティック、ライフタイル商品など多岐に渡る膨大な商品群である。既に広い面積の百貨店の中で、さらなる宝探しの心境になれるだろう。


数年前からファッション部門のアートディレクションを担う、Maria Luisa Poumaillou(マリア・ルイーザ・プマイユ 以下マリア)さんは、全身からみなぎるパワーを秘める。強い意志を持ち、人生を駆け抜けて、さらに前進していく積極的な姿が、存在からも伝わって来る。そんな彼女が提案する、マリア・ルイーザカプセルコレクションは、着心地や組み合わせが簡単で、自由な日常生活を意識した服ばかりだ。デジタル模様に解体されたような、グレーと黒にピンクの花柄をプリントした、シャツ、スイート、パンツ、ジャケット、スカート、ポーチは、ファンタジーに偏らず、シックでクールだ。今年のファッションで欠かせない、コンビ・パンツは、黒の無地。アクセント的に花柄が内側にプリントされている。Tシャツは、胸元に花柄のポケット。女性のエレガントさを無地の組み合わせで上手にスタイリングするパリジェンヌだが、今年の春は気持ちを入れ替えての挑戦にかられるかもしれない。

多様化するウェディングスタイルを捉えた、
マリア・ルイーザのウェディングコレクション


さらに、マリアさんが力を入れている、恒例のウェディングコレクションからも目が離せない。「今日は、多種多様なスタイルのウェディングがあります。しかし、結婚式は人生の中でも特別な日です。質が求められます。自由奔放な髪型や服装が許されない日でしょう」と、女性の自由をファッションから伝えてきたマリアさんだが、「この日だけは自然流儀ではなく、ウェディング衣装にも厳格さがあったほうがいいと思います」と力を込めた発言。「幸せの頂点を象徴的に演出するウェディングスタイルに、白の他にも黒の花柄やピンクなども取り入れました」と白も色彩として、捉えている。

「例えば、ベッカムやカルヴェンのデザインは、とてもファション好きなカップルに似合います」と時代のスタイルについても触れた。さらに、斬新な装いは、アレクサンドル・ヴォティエがデザインした真っ白のスモーキングだ。「私は、大好きです。パンツ姿で結婚を希望する女性もいるでしょう。みんなが、レースのイメージだけを希望するわけではないのでね。大半の女性は、1年前から母親や家族とドレスを検討しますが、最近では、挙式3週間前に訪れてデザイナーのドレスを購入するケースも増えています」と社会の動向についてへのコメントも興味深い。「最近では、再婚も増えていますし、子連れ同士の複合家族も珍しくありません。そうした方々は、ウェディングドレスのイメージが異なるのも当然でしょう。だから、パンツ姿の女性もソフィスケートしていて美しいです。それに、後々、使い回しができるでしょう」と、チャーミングに微笑む。そんなマリアさんには、2度の結婚歴がある。「初回は、それは伝統的で盛大な結婚式でした。ピエール・バルマンの3メートルのベールがあるドレス。現在は、パリのファッション美術館に寄贈しましたけど。2度目は、市役所での調印だけでした。スポーティーな白のジャケットに白のスカートでした。両極端なウェディングだったと言えます」と昔話も披露してくれた。

フランスは、同性結婚を認可している。ショーでも、少しニュアンスを感じさせるシーンもあった。「マリア・ルイーザは常に革新的なイメージを打ち出してきましたが、ヴォーグ誌面でも、まだ本格的に同性結婚の挙式特集はしていません。プランタン百貨店は、一般大衆者もお客様です。今年は、皆でどうするか検討しましたが、同性カップルをイメージしたモデルをランウェイさせませんでした。来年は挑戦してもいいかなと思います」と、ためらいも払拭させる熱意で締めくくった。

■PRINTEMPS
http://www.printemps.com/

(取材・文 浦田薫) 写真提供:Printemps