堅実女子のお悩みに、弁護士・柳原桑子先生がお答えする本連載。今回の相談者は星野月優未さん(仮名・33歳・建築関連会社勤務)。

「私の名前は”るうみ”と読むのですが、まず初回で読んでもらえません。高校受験で面接があったのですが、そのときに”へえ〜”という反応をあからさまにされました。そして、就職活動の時も名前が原因なのか惨敗。だれと付き合っても、どこの会社に行っても、名前が原因でいじられているような気がしてなりません。

今、営業職なのですが、誰に会っても”あ〜”という顔をされがちです。両親に名づけの由来を聞いたら、”漢字が可愛かったから”という返事が返ってきました。確かに、小学校4年生くらいまでは、自分の名前が誇らしかった時期がありました。

でも、中学生くらいから、名前でいじられる機械が激増。恋愛や進学、仕事もうまくいかず、社会からこっそり笑われているような気がして、引っ込み思案になってしまいます。このことを、先生や友人に相談すると、”なんでも名前のせいにして逃げてはダメだ”というようなことを言われます。

去年、結婚話が持ち上がって、相手の両親から名前について”個性的なお名前よね”という感じで、いやみっぽく笑われました。自分の名前を堂々と使えない人生は、本当に苦痛だと感じます。

できれば改名したいけど、今の法律でそれは可能でしょうか? そしてそれは、どのようにすればよいのでしょうか」

弁護士・柳原桑子先生のアンサーは次のページへ

まず、名前の変更をするには、家庭裁判所の許可を得る必要があります。名前とは、個人を識別する情報であり、その機能などを鑑みると、個人的な趣味や感情等で自由に変更することは認められていません。
家庭裁判所が、名の変更を求めることについては、正当な事由の有無を判断します。名前を改名できるとされる「正当な事由」について、過去の事例を紐解いてみました。あくまでこれは一例ですが、下記に羅列します。
・奇妙な名である
・難しくて正確に読まれたことがない
・身近に同姓同名がいる
・異性と紛らわしい
・外国人と紛らわしい
・神官や僧侶となった
・通称として長年使用している
・いじめを助長する名である
・使用することによって,長年の苦痛を感じている 

名前を変更する希望があるなら、住所を管轄する家庭裁判所へ「名の変更許可の申立」をします。改名を希望する事情により、どういった資料を提出するべきかは、理由によって異なり、個別に判断することになりますので、まずは家庭裁判所の窓口に行って、相談をしてみてはいかがでしょうか。

中学校時代から名前が原因で、内向的な性格になり、人と交わらない毎日を送るようになっていたとか。



■賢人のまとめ
管轄は家庭裁判所。まずは窓口に相談に行ってみるといいでしょう。

■プロフィール

法律の賢人 柳原桑子

第二東京弁護士会所属 柳原法律事務所代表。弁護士。

東京都生まれ、明治大学法学部卒業。「思い切って相談してよかった」とトラブルに悩む人の多くから信頼を得ている。離婚問題、相続問題などを手がける。『スッキリ解決 後悔しない 離婚手続がよくわかる本』(池田書店)など著書多数。

柳原法律事務所http://www.yanagihara-law.com/