6月6日17時過ぎから、日本代表はオマーン、マスカットにあるロイヤル・オマーン・ポリス・スタジアムで公式練習公式練習を行なった。陽の当たる場所での気温は40度近くまで上がり、湿度も高く蒸し暑さを感じる。約20分の公開練習後は、非公開練習となり、ハーフコートでのゲーム形式の練習が行なわれた模様だ。合計1時間弱の練習が終わり、選手たちが思い思いのストレッチなどを行なっている中、スタメン出場が予想される玉田圭司がロッカーへ引き上げてきた。

「今日は結構きつかった」とシャワーを浴びてミックスゾーンへ姿を見せた玉田は、呼吸などが苦しかったと話した。「この暑さもあるし気持ちで負けると、相手のやりたいサッカーをやられてしまう。相手が嫌がるプレーをしたい。前の試合は3−0で勝ったけど、そこで油断するわけにはいかない」と気を引き締めた。

 6月4日に監督が突如、代わったオマーン代表。新監督のハマド・アル・アザニは、「明日の試合には、この間の試合に出られなかった5人の選手が試合に出られる」と負ければ予選敗退が濃厚となる状況だけに、意地を見せたいところだろう。

 中村俊輔もオマーンに対し「主力の5人が帰ってくるので、全く別のチームのつもりでやらないといけない」と警戒を口にし、「とにかく先に点を上げることが大事」と先制点の重みを口にした。

 練習後、ロッカールームへ向かう選手の多くが、大量の汗をかき、濃い疲労度を浮かべていた。高温多湿という環境がもたらすものは、小さくはない。肉体の疲労だけでなく、試合の流れが悪ければ、精神的なダメージも大きくなるだろう。だからこそ、試合開始から主導権を握るために、積極的なプレーが必要となる。

 前半にゴールを上げられなければ、3月のバーレーン戦のような展開にもなりかねない。ましてや、前半から飛ばしすぎたツケを後半に支払うような状況も考えられる。そのためには守備からでなく、攻撃からゲームへ入ること。得点が挙げられなくとも、焦れずに自分たちのサッカーを続けることは、たとえ結果が悪くとも、次につながるはずだ。ホームでの試合では面白いようにパスが繋がった。その感触だけを求めているとアウェーでは戦えない。芝の長さや気候など、環境の違いをいち早く理解し、自分たちのサッカーをどうアレンジするのか?そういう選手の臨機応変な対応が求められるだろう。

 当然難しい試合になるのは間違いない。そんな中、遠藤保仁は試合に向けてのイメージはできている。

 「猛暑の中での90分間。できるだけ早い時間で先制して、前半のうちに有利な状態を作りたい。もし先制点を許せば、相手のペースになり、より難しい状況になる。でも僕や、俊(中村)、(中澤)佑二や(楢崎)正剛、玉田など、前回のワールドカップ予選を経験している選手たちで、上手くゲームをコントロールしていきたい。とにかく明日の試合でいい結果を残して、3次予選突破に弾みをつけたい」

 アウェーでの試合の難しさを知っている彼らべテランの存在が大きな影響力をチームに与えるに違いない。

text by 寺野典子

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