TVアニメ『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』特集/第6回:小松未可子「マァムは強くても等身大の女の子」

1989年〜1996年に『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載された漫画『ドラゴンクエスト ダイの大冒険(以下、『ダイの大冒険』)』(原作:三条陸、作画:稲田浩司)。人気RPG『ドラゴンクエスト』の世界観をベースに、魔王軍の脅威に対し、少年勇者・ダイとその仲間たちの戦いを描いたバトルファンタジーだ。

強大な敵とのバトルシーンは、一瞬も目が離せない手に汗握る展開。さらに友情、成長、絆、愛など、涙なしには語れないドラマも特筆すべき内容で、コミックスの累計発行部数は4,700万部超を記録。まさしくジャンプ黄金期を支えた不朽の名作が、2020年10月、新たにTVアニメ化を迎えた。

ライブドアニュースは今回、2020年版『ダイの大冒険』に大注目。キャラクターに命を吹き込むキャスト陣、最新CG技術とのハイブリッドで作られた映像を生み出すスタッフたちにインタビューを行い、新生したアニメ『ダイの大冒険』の魅力をシリーズでお届けしていく。

シリーズ第6回はマァム役の小松未可子。他のキャストと同じように、子どもの頃から原作に親しんできたひとりだが、彼女がその目で追いかけていたキャラクターは、ダイ(CV:種﨑敦美)でもポップ(CV:豊永利行)でもなく、自らがのちに演じることになるマァムだったという。

撮影/西村康 取材・文/原常樹

“私自身がなり得るポジション”のマァム視点で読んでいた

小松さんの『ダイの大冒険』との出会いは、どのような形だったんでしょうか?
6歳か7歳ぐらいのときだと思います。古民家を借りた教室でマリンバを習っていたんですけど、その古民家の持ち主の方が古い『週刊少年ジャンプ』(以下、『ジャンプ』)を収集していて……。待っている時間にずっとバックナンバーを読んでいたら、その連載ラインナップの中に『ダイの大冒険』があったんです。
誌面を順に追っていたという意味では、筋金入りの『ジャンプ』読者だったわけですね。
そうなんです! 誌面だとちょうどいい場面で次号に続いたりするので、待ち時間の許す限り次の号に手を伸ばして……ということを繰り返していました。

逆に1991年に放映されたアニメに関しては、リアルタイムでは観ていませんでした。
小学生の女の子の視点で『ダイの大冒険』はどんなふうに映りましたか?
アツかったですね! もともと少女漫画よりも少年漫画を読むことが多かったので、すんなり楽しんでいました。

いつも主人公のダイ(CV:種﨑敦美)に感情移入しつつ……でも、ダイはちょっと特別な存在でもあったので、どちらかというとマァムの目線で物語を見ていることが多かった気がします。彼女の視点でダイやポップ(CV:豊永利行)を追いかけていて。

境遇的に特別な部分はあるんですけど、物語の中でマァムが“いちばん私自身がなり得るポジション”だったのも大きかったと思います。
恋愛模様も描かれているので、マァム視点で読むといろいろ考えちゃいますよね。
そうなんですよ〜! 複雑な関係というか、登場人物それぞれに思う相手がいて……みたいなお話は、女の子的に嬉しかった要素です。
マァム、ポップ、ヒュンケル(CV:梶裕貴)の三角関係は複雑ですよね。ヒュンケルは女性人気も高そうですが。
私はヒュンケルには転びませんでした(笑)。最終的にはいい面もいっぱい見られたんですけど、登場したときの悪役の印象がどうしても強かったんですよね……。

個人的には、ダイが自分よりも年上っぽい存在だったら、たぶん好きになっていただろうなって思います(笑)。小学生の頃は王道な少年漫画の主人公に憧れますし、自分の目線とも近かったので。

あと好きだったのは、やっぱりアバン先生かもしれませんね。道化師みたいに飄々とした感じで、おちゃらけているときは目の奥を見せないじゃないですか。でも、本気を出したらスゴい……というのは子どもながら惹かれる部分があったと思います。まさに今アニメでクローズアップされている序盤は、好きなシーンのてんこ盛りです!

かわいさと男勝りな一面。マァムの心情は理解しやすかった

オーディションはマァム一本で受けたのでしょうか?
いえ、最初のテープオーディションの段階ではダイを受けて、そのあとにスタッフさんから「マァムの音声もください」と言われまして。だからスタジオオーディションでは両方の役をやらせてもらいました。ただ、ダイに関してはかなり難しいなと悩んだ記憶があります。

一方で、マァムは「聖母」とも言われるぐらい包容力があって、彼女の名前の由来(mom)にもなっているぐらい母性にあふれていますけど、中身は等身大の女の子という点では心情の理解がしやすかった感じがします。普通にかわいらしい面もありつつ、でもちょっと男勝りな部分もありつつ。
オーディションの課題では、どんなセリフがありましたか?
まずはダイとポップに出会った最初のシーンの「なにすんのよ、このスケベ!」から始まり(笑)。それにくわしくは言えませんが“ヒュンケルとのシーン”や、中盤に出てくる“彼女が大きな方向転換をする決意のシーン”などのセリフですね。それに決め技の叫びもありました。
いろいろな時系列のシーンのセリフがあったんですね。
はい。とはいえ、そこまで終盤のセリフがあったわけではなかったので、成長過程などはとくに意識せずに演じられた気がします。

私の中にあるマァムのイメージで、わりと気の強い部分を押して演じさせてもらったんですけど、スタッフさんからとくに「こうしてほしい」みたいなディレクションもなく、すんなりと終わった気がします。
気の強いお芝居というと、小松さんの真骨頂というイメージがあります。
負けん気が強くて、芯の強い女性を演じることはたしかに多いですね(笑)。

マァムも例に漏れませんし、劇中では誰かを叱咤激励するシーンが多いので、かなりエネルギーがいるなという印象で……。なので、オーディションでも彼女の強さを前面に押し出してみました。
そういう意味では、ダイたち一行の中でもとくにエネルギッシュなのは彼女かもしれません。
たしかにそうですね。全編を通じてそうなんですけど、とくに序盤は、強大な相手に対しても物怖じせずに思ったことをバッと伝えるシーンが記憶に残りますよね。あのお調子者のポップが「なんだ、あいつ…」と引くぐらいですし(笑)。

そういうブレのなさはアフレコでもとくに大事にしています。そう思うと、ダイたちってすごくバランスのいいパーティなんですよね!

ポップとの掛け合いは、想像以上の関係性を築けている

最初に原作を読んでいたときと比べて、マァムのイメージで変化した部分はありますか?
自分の中ではそんなになかったかも……? でも、オーディションを受けるにあたって、改めて原作を読み直したら、「ただ気が強いだけじゃなくて、なんて感情豊かなんだ!」とは思いました。誰かのために涙を流したりもしますし、懐の深さをひしひしと感じましたね。
ただ一本気なだけじゃなくて、度量が大きいからこそ視野も広い。
そうじゃないと、中盤の“方向転換をする決意”にはたどり着けない気がするんです。「仲間のために自分は何ができるんだろう?」と改めて考えて、思い切って実行に移すという……。

今までの生き方を一度崩しているわけですし、それってものスゴいことだなって。大人になればなるほど、そういう生き方はできるものじゃないなって、改めて感じました。
女性として憧れる部分も?
憧れますね! ずっと輝いていて、まったく色あせない子だなと感じますし、だからこそマァム役に決まったときも嬉しかったです。ダイたちにはものすごく重い使命が課せられているので、彼らをサポートしつつ、自分も引っ張っていけるキャラクターができたらいいなと!
実際にアフレコで共演者の方々と掛け合ってみた手応えは?
やっぱり実際に掛け合ってみることで変わってくる部分はありましたね。たとえばポップとの掛け合いも、豊永(利行)さんがもともと持っているポップのイメージにアドリブなどのプラスアルファで魅力を倍増させて演じていらっしゃるので、マァムとしても(アドリブで)対抗せざるを得ないというか(笑)。

現場に来て初めてどうやろうか考える部分も出てきましたし、そういう意味では想像以上の関係性を築けているのかな、という印象もあります。
豊永さんはインタビューで、「(難波圭一さんが演じた)昔のポップもちゃんといる“今のポップ”に」と話していました。
そうなんですよ! 「みんながイメージしているポップが蘇った!」みたいなポイントを押さえつつ、でも新しいパーティのポップでもあるんですよね。豊永さんの努力が本当にスゴいなって、現場でいつも感動しています。

もちろん、マァムとしては負けていられませんし、ポップに対してもちゃんと返せるようなエネルギーを込めて演じさせてもらっています!

クロコダインはダイに次ぐピュアなキャラクターかも

これまでの収録で、とくに印象に残っているシーンはありますか?
またまたポップの名シーンになっちゃうんですけど、やっぱりクロコダイン(CV:前野智昭)との決戦ですね。マァムがポップに幻滅して、一方でほんのちょっとだけ希望を抱いているところは印象に残っています。

大人になればなるほどポップの気持ちがよくわかるし、その後の彼の感情がせめぎ合うシーンにもグッときたんですけど、マァムはまだ10代の女の子なので「…あんたなんか最低よ‼」って突き放しちゃう。でも、心のどこかでは信じているといいますか(笑)。
ポップの情けなさも際立ったシーンですよね。
私が子どもの頃は、主人公のように「あのキャラだったらなんとかしてくれる」という信頼感があって、それをドキドキとワクワクに変えて読んでいたので、ポップの姿に情けないと思った方は多かったかもしれませんね(笑)。

でも、今はちょっとずつ時代が変わって、ああいう状況でも「逃げたっていいじゃない」という考え方も出てきましたし、そういう意味でポップの行動は時代を先取りしていたのかなって。

そんなポップも含めて、いろいろな思いを持ったキャラクターたちが世界を救うために頑張る。……そういう魅力がギュッと詰まった作品が『ダイの大冒険』だと思うんです。みんながみんな、道を切り開くために自分を奮い立たせていくので、読者も自然とエネルギーを受け取れるような。
たしかに。女性キャラクターもみんなエネルギッシュですし。
マァムはもちろん、レオナ姫(CV:早見沙織)も芯の強いキャラですよね。そして、男女問わずに“仲間がいることの心強さ”が描かれているのもこの作品の大きな魅力だと思います。これはどの時代の作品であっても、共通するテーマだと思いますけど。

あと、敵キャラクターも個性的ですよね! クロコダインなんて誇り高い武人の精神を持っているのに、マァムに非難されて逆ギレしちゃうし……。むしろ序盤は「かわいそう」って気の毒に思っちゃうシーンもありました(笑)。もしかしたらダイに次ぐピュアさを持ったキャラクターじゃないかと、愛おしくなっちゃいます。
(笑)。今後もアフレコが待ち遠しいシーンがたくさんありそうですね。
多すぎて悩んじゃうぐらいです(笑)。ポップの受難はこれからもしばらく続きますけど、やっぱり“アバンの印”のシーンはそれまでの関係性が爆発するシーンなのでどう描かれるのかな、とか……。

マァムとしては、やっぱりアルビナス(ハドラー親衛騎団のひとり)とのシーンがハズせないです。「守らなければいけない大切な人がいるのは…あなただけじゃない…!!!」という名ゼリフもありますが、女同士のすごくアツい展開なので、演じるのが本当に楽しみです!
これからの展開も期待しています!
ありがとうございます! 今までの伏線が回収されつつ、さらに広がりつつ、エネルギーになりつつ……そんな展開が終盤にギュッと詰まっている作品。一歩一歩の積み重ねが無駄じゃないって、そう思わせてくれるシーンの連続なので、最後まで楽しんで観ていただけたら嬉しいです。
不朽の名作たるゆえんのひとつですよね。
本当に! もともと少年漫画ではありますけど、あまり男性っぽい感じもなくて入りやすいので、女性の方にもぜひ観ていただきたいです。

女性視点でも“自分が戦っている感覚”に自然となっちゃうぐらい、心理描写が洗練されているので、きっと楽しんでいただけると思います。みんな大好き、アバン先生もいますしね!(笑)

ダイたちの試練はまだまだ続きますが、心が折れそうな状況でも自分を奮い立たせながら、ドンドン強くなっていく姿にエネルギーをもらえるはずです。私自身、「特別じゃなくても、自分にもどこかにこういう力が眠っているはず」って思えた素晴らしい作品です!
小松未可子(こまつ・みかこ)
11月11日生まれ。三重県出身。B型。2010年、アニメ『HEROMAN』(ジョセフ・カーター・ジョーンズ役)で声優デビュー。主な出演作に、『半妖の夜叉姫』(せつな役)、『呪術廻戦』(禪院真希役)、『アルテ』(アルテ役)、『スター☆トゥインクルプリキュア』(香久矢まどか/キュアセレーネ役)、など。

作品情報

TVアニメ『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』
テレビ東京系列で毎週土曜日朝9:30から放送中
※放送日時は編成の都合などにより変更となる場合があります。
公式サイト
https://dq-dai.com/
Twitter(@DQ_DAI_anime)
https://twitter.com/DQ_DAI_anime

© 三条陸、稲田浩司/集英社・ダイの大冒険製作委員会・テレビ東京 © SQUARE ENIX CO., LTD.

サイン入りポラプレゼント

今回インタビューをさせていただいた、小松未可子さんのサイン入りポラを抽選で1名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

応募方法
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受付期間
2020年11月14日(土)10:00〜11月20日(金)10:00
当選者確定フロー
  • 当選者発表日/11月24日(火)
  • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから11月24日(火)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき11月27日(金)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
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