今が、ようやくスタートライン。声優活動10周年を迎えた、斉藤壮馬の現在地

「斉藤壮馬」とはどんな人物か。彼の声優仲間に尋ねると、決まって“プロ意識の高さ”や“自己プロデュース能力の高さ”が挙げられる。

インタビューの前は常に礼儀正しい挨拶を欠かさず、穏やかな口調で理路整然と受け答えするその様は、なるほど、まさしくプロ意識の塊だ。

かと思えば、好きなミステリー小説を尋ねると、表情が一変。好きな作家や小説について嬉々として語り始めるその姿は、まるで少年のよう。

いったい、斉藤壮馬という人物は、いくつの顔を持っているんだろう。話せば話すほど、彼の内面をもっと知りたくなる――そんな魅力が詰まった彼が次に挑戦するのは、自身としては珍しいダークヒーローもののTVアニメ『憂国のモリアーティ』。

主人公のウィリアム・ジェームズ・モリアーティに真摯に向き合う姿からは、声優活動10年目を迎えてもなお、驕らずに自分の立ち位置を確認し続ける、プロ意識の高さが感じられた。

写真/増田 慶 取材・文/鈴木 幸 制作/リアルコーヒーエンタテインメント
スタイリング/本田雄己 ヘアメイク/紀本静香
衣装協力/wizzard(TEENY RANCH TEL:03-6812-9341)※コート着用時のみ、iot Tokyo ※ジャケット着用時のみ

ウィリアムの声を担当したいと、とても強く思った

もともと『憂国のモリアーティ』の原作コミックスを愛読されていたとのことですが、作品を手にとったきっかけは?
僕は書店で表紙買いするのが趣味のひとつなのですが、主人公のウィリアムが表紙に描かれている1巻を見て、「オーラがあるな、おもしろそうだな」と感じたのが最初の出会いでした。
©竹内良輔・三好 輝/集英社
ストーリーの内容は知らずに手にとったのですが、19世紀末のロンドンを舞台にし、小説『シャーロック・ホームズ』シリーズに登場するシャーロック・ホームズの宿敵、モリアーティ教授をモデルにしたキャラクターが活躍するクライムサスペンスということで、いち漫画ファンとしても大好きなジャンルでした。
オーディションでウィリアム役に決まったときのお気持ちを教えてください。
(ウィリアム・ジェームズ・モリアーティ)
僕たち声優は、たくさんオーディションを受けさせていただく機会があっても、決まらないときは本当に決まらなくて。もちろん、オーディションに落ちてもその経験が次への糧にはなるのですが、やりたければやりたいほど落ちたときの悔しさが大きいので、普段はあまり高望みしないようにしているんです。

それでも、『憂国のモリアーティ』はもともと原作もウィリアムも大好きだったので、声を担当してみたいという思いがとても強くて。

選考が進み合格者が絞られていくなか、まだそのなかに自分が残っているのをリアルタイムで把握していたのでドキドキした日々を送っていましたし、ご縁あって「決まりました」と言われたときは本当に嬉しかったですね。
共演者の方々を知ったときのお気持ちは?
漫画によっては、読んでいるときに「あぁ、このキャラクターはこの方の声が合いそうだな」と考えるときもあれば、そうでないときもあって。『憂国のモリアーティ』はそこまで考えずに読んでいたのですが、実際にキャストが決まってみると壮々たるメンバーで。

(ウィリアムの兄弟である)アルバート・ジェームズ・モリアーティ役の佐藤拓也さんや、ルイス・ジェームズ・モリアーティ役の小林千晃くんをはじめ、役者としても人としても尊敬できる素敵な方々とご一緒できるので、これから掛け合いをしていくなかでどんなものが生まれるのか楽しみにしています。

あとは、みんな情報が早いんですよね。(フレッド・ポーロック役の)上村祐翔くんが「(一緒に出演するから)よろしくね!」と言ってくれたんですが、そのとき僕はまだ自分がウィリアムを演じることを知らなくて。「あ、そうなんだ」って(笑)。

ひとつのセリフに、いろいろな感情を滲ませる芝居に

では、作品の魅力はどんなところにあるとお考えですか?
ウィリアムを筆頭に、“完全なる正義”でも“完全なる悪”でもない、清濁あわせ呑むようなキャラクターたちが魅力的ですね。

それに、ウィリアムやシャーロックをはじめとしたキャラクターたちの頭脳戦がハイレベルで。基本的にどのキャラクターも非常に有能で、ウィリアム陣営の面々はウィリアムが練り上げたプランを完璧に遂行していきます。複数の作戦が同時進行で動きつつ、最後には綺麗にまとまる様子は、まるで1本の映画を観ているかのような壮大さと疾走感を得ることができて、とてもおもしろいです。
では、ウィリアムの魅力はどんなところでしょうか?
ウィリアムの魅力は、つかみどころがないがゆえに、もっと彼のことを知りたくなって、彼のことばかり考えさせられるところ。僕も、「これは建前と本音、意図があるのかないのか、どっちなんだろう?」と常に考えながら漫画を読んでいるんです。

アフレコ現場でも「ここでのウィリアムの発言にはこういう意図があります」という説明は受けなかったので、自分で感じるしかなくて。アニメのウィリアム像が、観てくださった方にもいい形で伝わればいいなと思っています。

じつは、アニメの収録は現在(※取材は8月下旬)第3話までしか進んでいないので、原作のエピソードはまだほとんど演じられていなくて。これからアフレコが進んでいくにつれてキャラクターがたくさん登場したり日常会話のシーンが増えたりするなかで、今まで見えていなかったウィリアムの新たな顔も見えると思うので、そこでさらに彼のことを掴めるのかもしれない、と感じています。
ご自身とウィリアムの共通点はありますか?
どうなんでしょう……。似ているところがありそうだと思われるかもしれないのですが、けっこう違うんじゃないかな。ウィリアムのほうがもっと複雑な味がする人だと思いますね。意外と人と感性がズレていて、そこがまた魅力的なのですが、僕と似ているとは思わないです。

自分と似ているかどうかというよりは、役を演じるうえで「この人カッコいいな」という憧れに似た感情はあるかもしれないですね。
現在、第3話までアフレコが終わっているとのことですが、現時点でのやりがいや難しさについて教えてください。
第1話は、アニメオリジナルエピソードだったんです。原作の第1話は幼少期のウィリアムたちのエピソード、つまり彼らの原点から描かれますが、アニメの第1話は大人になってからのウィリアムのエピソードから始まるので、“原点がわからないのが正解”という作りになっていて。

なぜ彼らがそういう行動をとっているのかがまだ不明瞭で、第2話以降も観たくなるような絶妙なバランスが狙いなのかな、と思っています。

そういう意味では、すべて決め打ちでわかりやすく表現するというよりは、観てくださる方を煙に巻くような芝居のほうがいいのかなと思ったので、ひとつのセリフのなかにいろいろな感情が伝わるような芝居を心がけました。

内心ほくそ笑んでいるのかシビアに考えているのか……どちらともとれるような、いい意味で彼の感情や行動の意味を限定しすぎないようにしたので、「おもしろそうな物語が始まったぞ」と思ってもらえれば嬉しいです。

それと、第1話でいちばん印象的だったのは、「アルバートとルイスに声がハマるとこうなるんだ!」と初めてわかったこと。冒頭に3兄弟で話すシーンがあるのですが、まったく違和感がなかったんです。オーディションのときはほかの役の方の声を聞いていなかったので、すごく新鮮でした。

ここからキャスト3人の関係を築いていくわけですが、きっとすごくいい3人組になれるだろうなという予感がして、とても嬉しかったです。

グレーな部分を持つウィリアムは、演じてみるとすごく難しい

現在放送済みの第1話では、どのようなディレクションがあったのでしょうか?
「クライムコンサルタントの、このウィリアム・ジェームズ・モリアーティがお引き受けしましょう」という印象的なセリフは、オーディションでも課題になっていて。決まり文句としてしっかり際立たせて言うか、あくまでも紳士的なウィリアムとして表現するか、僕はどちらもありかなと思っていたんです。

第1話の雰囲気的にどちらもいけそうだったので、テストで際立たせて言ってみたら、音響監督のはた(しょう二)さんから「大事なセリフだけど、音としては印象付けすぎなくていいです。決めセリフのように見栄を切る必要はありません」と、細かいバランスまでチェックしていただいたのが印象的でした。このあとのアフレコでも、こうやって調整が進んでいくんだろうなと感じましたね。

でも、『憂国のモリアーティ』のアフレコでは、「こうしてください」とはあまり言われなくて。なんでも人に聞いて正解をもらうのもどうかなと思うので、まずはしっかり考えて自分の意見を持ち、現場でディスカッションしていければ、さらにいいものができていくと思います。
第2話では、原作の第1話に当たるウィリアムの幼少期のエピソードが描かれます。
そうですね。石上静香さんがとても素敵に演じてくださいましたし、原作に忠実に、すごく丁寧に描かれていたので、ここでウィリアムのキャラクター像を掴んでいただけるのではないかと思っています。
以前のインタビューで「年上のキャラや、非常に強い敵役を演じる作品に出会えたらうれしいですね」と語られていました。まさしく、ウィリアムはそういった役どころかと思いますが、実際に演じてみていかがですか?
そうですね。もともと、時に戦うこともあれば、たまに味方となって共闘するような、トリックスター的な役柄が好きなんです。戦隊モノでいえば、ブラックのような立ち位置ですよね。

ウィリアムはトリックスターというわけではないのですが、ひとつのカテゴリーに収まらないグレーな部分が彼の魅力で、そこがいち読者としてすごく好きで。

ただ、実際にやってみるととても難しいですね。いち読者として接しているときは彼の掴みどころのない曖昧さをエンターテインメントとして純粋に楽しめるのですが、ウィリアムとして声を発するときはそうもいかなくて。

でも、曖昧な感情自体は、時にそのままでもいいと僕は思っているんです。人間も常にひとつだけの感情で言葉を発しているわけではなく、本音と建前や相反する気持ちを同時に抱えていることはあるので。“すごく嬉しいけどどこか悲しさもある”、みたいなことは珍しくないですよね。

ただ、感情をひとつに絞る必要はなくても、それぞれの感情がどのくらいの割合で含まれているのかは感じておかなければならないと思っています。
アフレコ現場の雰囲気はいかがでしょうか?
レギュラーメンバーでいうと、佐藤(拓也)さんにはもうずっとお世話になっていて。(小林)千晃くんも最近現場で一緒になることが多く、本当に兄と弟のような感じです。おふたりとも穏やかで優しい方なので、休憩中ものんびりした雰囲気が漂っていると思います。

それと、第1話で衝撃だったのが、ゲストキャラクターを演じる皆さんが豪華すぎること。キャスティングに騙されてしまうくらい、巧妙な配役になっていたと思います。そして何よりも、皆さんのお芝居が素晴らしくて。

具体的に言うと、敵役のてらそま(まさき)さんが息を吐くだけのアドリブのシーンでこぼした、たったひとつの吐息。吐息だけで一気に惹きこまれて、その表現力に圧倒されました。

安心できる兄弟と一緒に、凄まじい先輩方と戦えるというのはすごく楽しいことだと感じています。

読書家・斉藤壮馬がすすめるミステリー小説は?

読書家でいらっしゃる斉藤さんですが、普段はミステリー小説を読みますか?
読みますね。
おすすめの作品があれば教えていただきたいです!
おすすめかぁ、そうですね……僕がもともとミステリーに触れたのは舞城王太郎さんをはじめとする『メフィスト』系列のノベルズがきっかけで、ミステリーとしては新しい部類のジャンルから読み始めたんです。

舞城さんの作品だと『ディスコ探偵水曜日』というすべてのエンタメジャンルが詰まっている小説が好きです。長いのですが、お家時間で余裕がある方はぜひ読んでいただきたいです。

今のミステリーって、学園モノやSFの要素が加わったクロスジャンルになってきているものも多いのですが、TVアニメ化された『氷菓』の作者、米澤穂信さんもおすすめです。

あと最近は、学園モノをよく書かれている青崎有吾さんの作品で、コミカライズもされた『アンデッドガール・マーダーファルス』を読んでいます。1巻はミステリーだったのですが、2巻で急に能力者バトルモノのような爽快な世界が提示されてきて。ミステリーを読んでみたいけれどどこから入ろう……という方も読みやすいのではないでしょうか。

海外の名作だと、ジョン・ディクスン・カーという推理小説作家が好きで。なかでも『夜歩く』という小説がすごくおもしろいです。
たくさん挙げていただきありがとうございました。たくさんのミステリーを読んでいる斉藤さんなら、途中でトリックや犯人がわかってしまうこともありそうです。
それが、まったくわかりません(笑)。つくづく、僕はちゃんとミステリーを読めていないんだなと感じてしまいますね。

TVアニメでも探偵キャラで出させていただくことがあるのですが、暗号とか一切わからないですね。一応、読みながら推理してみても、1回も当たったことはなく(笑)。感覚的に「この人犯人っぽいな?」と思うこともあるのですが、基本的にはエンタメとして謎に追われているのを楽しんでいます。

そういえば、三津田信三さんというオカルトとミステリーを融合させたようなお話を書かれている作家さんがいらっしゃって。オカルトかと思って次のページを読むとミステリーで、ページをめくるたびにワクワクするんですよ。とくに『厭魅の如き憑くもの』は僕の好きな民俗学的要素も入っていてとても好きなのですが、序盤で「(犯人が)わかった!」と思ったのに、どんでん返しの連続で、結果わかっていなかったということもありました……(笑)。

でも、そうやってお話が進むごとに世界が覆されるところが、ミステリーの醍醐味かなとも思います。

『憂国のモリアーティ』は天才同士の頭脳合戦なので、事件が解けていくスピード感がミステリー小説と比べてめちゃくちゃ速くて、僕にとっても新しい読書体験ですね。

先輩の教えも、芝居も、パスしてつなげていくことが大切

今年で、声優活動10周年を迎えられます。おめでとうございます!
ありがとうございます。
斉藤さんは、常にご自身を客観視する冷静な視点をお持ちでいることに驚かされます。そんな斉藤さんにとって、10年という節目を迎えたご自身はどのように映っているのでしょうか?
10年経って思うのは、後輩もたくさんできて、僕が今まで先輩方からもらってきたものを次につなげていく時期にさしかかっているな、ということ。

これからは、今まで先輩方から教わってきたことを自分のためだけに使うのではなく、後輩たちにパスしていくという在り方も大事だなと思っています。エンタメや芝居の業界は技術より心意気みたいなものが継承されてきていると思うので、とくに意識していますね。

ただ僕は、後輩の立場から見たら、何を考えているのかわからなくて、とっつきづらい人だと思うんです。でも、“この方がいてくれたらすごく安心してその現場に入れる”と思う先輩がたくさんいらっしゃるので、そんな先輩方にならって、相手のパフォーマンスを引き出せる存在になれるよう、頑張っていきたいです。
芝居についての考え方は、変化しましたか?
声優を始めた当初は掛け合いが苦手で、「人のセリフが全然聴けていない」とよくご指摘をいただいていました。でも、いつの間にか、人が投げてくれたボールをキャッチして次の人にパスを回す“掛け合い”の楽しさが、自分のなかで大きくなっていたことに気づかされたんです。
芝居でも、“パス”が大切だと気づいた、と。
そうなんです。それに、今までは芝居に対して論理一辺倒で考えていたのですが、感性も大事だと思うようになりました。

ただ、ここ最近は逆に感性頼りになりすぎていて。ウィリアムの場合は決めどころもあるので、論理的に考えることの重要性も改めて感じています。ウィリアム・ジェームズ・モリアーティという人も、まさに論理と感性の両輪で生きていると思うので、そこに寄り添って彼の思いを掴んでいる最中ですね。
芝居を論理的に考えるというのは、たとえば“このセリフを言うとき、この感情は何割で、ほかの感情は何割にじませて……”というような考え方ですか?
そうですね。料理で言うと、その作業は食材を切る下ごしらえのようなもので。収録までに自分なりのプランを用意しておくんです。

ただ、普通に会話をしているときって、「じゃあ今は60%くらい悲しいから、そういう感じのトーンで話そう」と思っているわけではなくて。斉藤壮馬としてはそういう情報を入れておきつつ、収録が始まったらウィリアムの感性で会話をするのが理想です。

まだまだ声優として日々技術を積み重ねていく身なので、至らない点をどう改善していくかが苦しくもあり楽しくもあるのが僕の現状。もちろん、至らない部分はできるだけみなさんに見せないよう努めていますが……。
では、改めて、この10年を振り返って大事にしてきた考え方はありますか?
声優の道に入ったときに、いろんな先輩方から「まずは10年やって、そこがスタートラインだ」とおっしゃっていただいたのが僕のなかですごく糧になっていて。ここまでの積み重ねや縁は自分の大切な財産として持ちつつ、またここから1つひとつ積み上げていく気持ちが大事だと思っています。

それと、昔も今も変わらず“驕らずにいること”は大切にしていて。僕は調子に乗ってしまいやすいので、折に触れてこういう機会で口に出して、言霊で自分を戒めていくつもりです。

自分のためだけではない、利他的な生き方を

話を少し変えまして、自粛期間はどのように過ごされていたのでしょう?
仕事はなかったのですが、僕は普段からインドアなので、本を読んだり映画を観たりと基本的な生活はあまり変わらなかったです。

あとは、6月にシングルを出す予定でデモテープを作らないといけなかったので、家で作業ができる環境を整えようと動画編集や音声の録音ができる機材を購入し、曲をたくさん書いていました。

それに、料理をすることも好きなのですが久しくしていなかったので、いい機会だと思って食べたいものをたくさん作っていました。それこそ、料理は日々の積み重ねだなと思いましたね。包丁さばきやどれだけ効率よく調理と片づけを同時にできるか……そういう感覚って、やらないと失われてしまうんだなと実感して。
たしかにそうかもしれません。
味つけの分量はなんとなく覚えているのですが、調理の工程となると「うわ、もうお湯が沸騰してる! でも今洗いもの中だし!」と、うまくできなくなっていたのが、自粛期間中に感覚を取り戻すことができました。

話は逸れるのですが、「びゅんびゅんチョッパー」という、みじん切りが簡単にできる調理器具を買いまして(笑)。そうやって、時短調理法や調理器具を使ってちょっと豪華なものを作る方法を、番組やSNSなどで皆さんが世のなかに発信してくださった時期だったので、よく調べていました。

結局は“与えられた時間をどう使うか”しかないと思うのですが、僕としては、自粛期間のその先に向けて備えるための有意義な時間を過ごすことができたと思います。
インプットの時間だったのでしょうか?
そうですね。インプットもしたし、自分で音声の編集をしてみると、普段ミキサーさんやエンジニアさんにどれだけ音を綺麗に録ってもらっていたのかがわかりました。当たり前のように人に甘えていたことに気づけてよかったと思います。ただ、のうのうと受け身でいるだけではダメだ、と。

なので、徐々に仕事が再開したときはすごく嬉しかったですし、改めて自分は芝居が楽しいし、好きなんだなと再認識できました。
「まずは10年やって、そこがスタートライン」というお話が挙がりましたが、もうすぐ30歳を迎える斉藤さんの今後の目標は?
30歳というのは、ひとつ大きくステージが変わるような気持ちがしていたんです。でも、一般論的になってしまって恐縮ですが、“子どもの頃に思い描いていた30歳って大人だったけど、そうでもない説”って本当だったんだなと(笑)。

きっと、何年かして今の自分を振り返ってみたらターニングポイントがあるのかもしれないのですが、今29歳の僕の目標は、声優業に限らず自分のためだけではない利他的な生き方をすること。
なるほど。ここでも、“パス”が大事になってくるんですね。
もらったエネルギーや縁を自分のためだけに使うことは簡単で。それだけにとどめておかず、社会の大きな流れのなかに自分もいるのだということを感じていたいなと思います。

声優としては、今まで演じさせていただいてきた主人公や中心に立つ人物が持つ、若さゆえの魅力を後輩につなげていきたいですね。僕は、そんな後輩をいろんな立ち位置の役どころで支えられるような、曲者をやらせたいと思っていただけるような声優になりたいです。

きっと、歳を重ねていくと芝居の質も声の質も変化していくと思うので、年齢が上がるにつれて新たにどんな作品やキャラクターに出会えるのか、今から楽しみなんです。

人としては本当に心穏やかに健やかに、平穏に生きられればそれでいいので(笑)。草木を愛でながらボートで暮らしたいんです。堀江敏幸さんの『河岸忘日抄』という、異国を流れる川に浮かんでいるボートで生活する男が、夜に古書を読んでその時代に思いを馳せてどんどん連想が進んでいく小説があるのですが、その男のように穏やかに生きられればいいですね。
これから挑戦してみたいことはありますか? 8月の『U-nite! 81Wednesday』では、とても楽しそうにラジオのパーソナリティーをされていたのが印象的です。
僕、ラジオがすごく好きなんですけどなかなかご縁がなくて。今、石川界人くんとやっている1本くらいなんですよ。

以前は、リスナーさんの「“左中間へのライナー性のある打球”って言葉が好き」みたいなマニアックな“好き”を送ってもらう『斉藤壮馬のSOマニアック!』という番組をやっていて。そこで、本人からしたら普通のことなんだけど、第三者からしたら変わっている話を聞くことが好きだと気づいて。また、そんな話を聞くラジオや、好きな音楽をかけられる番組がやりたいですね。
とても楽しそうです。ほかにはありますか?
ほかには、語学の勉強がしたいし、いっぱい文章も書きたいです。あとは……運動……はやりたくないな(笑)。でも、いい加減ちゃんとしなきゃ……! ギターも一応弾けますが教わったことはないので習いたいし、自分という楽器をうまく扱えるようにボイストレーニングも受けたいです。

もちろん、僕のいちばんの軸は声の芝居なので、それはこれから先も変わらないものとして持ちつつ、想像もしていなかった新しい表現もなるべく積極的に挑戦していきたいです。
ぜひ、この記事をお読みの方で「こういうのどうですか?」とご提案いただけることがあれば、81プロデュースまでご連絡いただけますと幸いです(笑)。
斉藤壮馬(さいとう・そうま)
4月22日生まれ。山梨県出身。B型。主な出演作は、『ハイキュー!!』シリーズ(山口 忠)、『刀剣乱舞』シリーズ(鶴丸国永)、『アイドリッシュセブン』(九条 天)、『KING OF PRISM』シリーズ(太刀花ユキノジョウ)、『ヒプノシスマイク』(夢野幻太郎)、『ピアノの森』(一ノ瀬 海)など。 2017年よりソロアーティストとしても活動している。

    出演作品

    TVアニメ「憂国のモリアーティ」
    TOKYO MX/毎週日曜22:30〜
    BS11/毎週火曜24:00〜
    MBS/毎週火曜26:30〜
    にて放送中
    https://moriarty-anime.com/

    サイン入りポラプレゼント

    今回インタビューをさせていただいた、斉藤壮馬さんのサイン入りポラを抽選で3名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

    応募方法
    ライブドアニュースのTwitterアカウント(@livedoornews)をフォロー&以下のツイートをRT
    受付期間
    2020年10月12日(月)12:00〜10月18日(日)12:00
    当選者確定フロー
    • 当選者発表日/10月19日(月)
    • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
    • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから10月19日(月)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき10月22日(木)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
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