芸能界入りは“賭け”だったのかも――浜辺美波、「女優を続けていく」と決めた転機

芸能界入りのきっかけは2011年の第7回「東宝シンデレラ」オーディション。当時10歳の浜辺美波は、その年に新設されたばかりのニュージェネレーション賞に輝いた。

彼女が最初に注目を集めたのは、2015年のドラマ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」。ヒロイン“めんま”こと本間芽衣子役で、その透明感あふれる佇まいが話題を呼んだ。しかし本人は世間の称賛をよそに、「あまりに自分にできないことが多すぎて…」と悔しさを感じていたという。

近年は、映画『君の膵臓をたべたい』が大ヒットを記録した。さらに映画『センセイ君主』、ドラマのseason2を経て、5月3日から劇場版が公開となる「賭ケグルイ」など、出演リストには人気漫画の実写作品が多く名を連ねる。

今でこそ、ゼロ年代生まれを代表する女優として脚光を浴びるが、デビュー当初は、なかなか仕事が決まらず苦しい時期もあった。それでも、不思議と仕事をやめたいと思ったことはなかった――華奢な容貌からは想像できない、彼女の強さが垣間見える。

撮影/曽我美芽 取材・文/黒豆直樹 制作/iD inc.

「ドラマ&映画『賭ケグルイ』」特集一覧

中学卒業とともに上京。大学に通わないことはそこで決めた

この春、高校を卒業されたばかりの浜辺さん。進学せず女優業にしぼって活動していく決断は、ひとつのターニングポイントだったのでは?
大学に通わないことに関しては、高校3年生のタイミングではなく、高校入学のために地元から上京したときにすでに決めていたんです。

地元では中高一貫校に通っていたのですが、そのまま高校に上がるのではなく、あえて芸能コースのある東京の高校に行こうと。なので、ターニングポイントは上京することを決めたときだと思います。
10代半ばの時点で、その先の人生を決断されていたんですね!
けっこう、重い決断でしたね。親元を離れて上京して…というのもそうだし、もともと勉強も好きだったんですが、学歴とは関係ない世界で生きていく決断だったので。できる限り、全力で頑張っていこうと決めた瞬間でした。
その強い覚悟が、ここ2〜3年の活躍に表れていると思います。『君の膵臓をたべたい』のヒットに映画『センセイ君主』、ドラマ『崖っぷちホテル!』、『大奥 最終章』など目覚ましい活躍ですが、こうした状況をどのように受け止めていますか?
評価していただけるのはすごくうれしいですし、今後も機会をいただけるのであれば、全力で取り組んでそのチャンスを活かしていきたいです。

私はこの世界に入ったきっかけが「東宝シンデレラ」オーディションだったのですが、そのときにいただいたのが“ニュージェネレーション賞”で、グランプリでも審査員特別賞でもなかったんですよね。

それもあって、すごく気楽な感じで(笑)ここまで育ててもらったので、少しは事務所に恩返しができるようになったのかなと考えています。

デビュー当初、「オーディションは落ちるもの」と思っていた

最初にオーディションを受けたのは、お母さまにすすめられてだったんですよね。
正直、受かるなんてまったく思っていなかったんです。だから、女優という仕事に対してもそこまでの強い思いはなかったんです。

でも不思議とあまり心配せずに飛び込めたんですよね。大きな覚悟をもってドンっと飛び込んだというよりも、ちょっとずつ覚悟を決めてきた感じです。
デビュー当初は、なかなかお仕事も決まらない時期もあったとうかがいました。そういう苦しい時期をどのような思いで過ごしていたんでしょうか?
それこそまだ小学生の頃だったんですけど、オーディションは受かるものという意識ではなく、落ちるものだと思っていましたね(笑)。

もちろん、お仕事をしたい気持ちはあったけど、お仕事がなければ、できない自分に向き合う必要もなかったので、逆に焦りさえも感じなかったというか…。
もうやめようと思ったことは?
不思議とそれはなかったです。「女優って難しいし、私には向いてないのかな?」と感じることはあったけど、事務所や母に「やめたい」と言うことはなかったです。

小学生だったので、(女優を続けることで)犠牲になるものもあまりなかったというのもあると思います。

その後「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」という作品に携わって、自分にできないことが多すぎて…ちゃんとできるようになりたいと思い、この仕事を続けようと決めました。

いま考えると、たしかに自分の弟や友達にこの仕事を「ぜひおすすめしたい!」とは思わないですし(苦笑)、“賭け”だったなとは思います。
「あの花」で“この仕事を続けていこう”と決意してから、お芝居の面白さ、仕事への向き合い方も大きく変わりましたか?
「あの花」はできないことが多すぎて、とにかく「できるようになりたい!」という意識だけでしたが、ドラマ「咲 -Saki-」で同世代の共演者さんたちと話をして、お芝居を楽しむことを知って、「みんなもこんなに頑張ってるんだから、自分も頑張ろう」と刺激をもらいました。

いまは作品ごとに環境が変わって、数ヶ月ごとに新しい場所に身を置くことにワクワクもするし、役や見せ方によってこんなにも違うんだと学んでいるところ。

正直まだまだできないことばかりですが、それにちゃんと向き合ったことで、「難しい」のが「楽しい」と思えるようになった部分はあります。

批判的な声を、作品を通して覆せたときが一番うれしい

ドラマ「賭ケグルイ」ですが、この春よりseason2が放送され、さらに劇場版が公開となります。少し時間を空けて、同じ役を演じる経験はいかがでしたか?
同じ役を長く演じるのは初めてでしたが、season1の頃から英勉監督をはじめ、スタッフ、共演者のみなさんが本当に優しくて面白い方ばかりで。撮影も毎日楽しくてずっと「season2をやりたい!」と思っていたんです。だからすごくうれしかったです。

撮影もseason1に負けないくらい楽しくて、現場でもみなさんとより深くコミュニケーションを取ることができて、とても貴重な経験になりました。
「ギャンブルの強さがすべて」である私立百花王学園を舞台に、学生たちがお金や権力のためにさまざまなギャンブルに興じる姿を描く本作ですが、浜辺さんは無類のギャンブル好きであるヒロイン・蛇喰夢子(じゃばみ・ゆめこ)を演じられています。
同じ役を半年ほど空けてもう一度演じるということで、「ちゃんと夢子に戻れるのかな?」と不安で…。

新キャストのみなさんと本読みをしたときは全然感覚が掴めなかったのですが、撮影に入って森川(葵/早乙女 芽亜里役)さんや高杉(真宙/鈴井涼太役)さんたちと絡んだら「戻ってきた!」という感覚がありました。
▲蛇喰夢子役・浜辺美波
▲早乙女 芽亜里役・森川 葵、鈴井涼太役・高杉真宙
本作の実写化が決定したときは、浜辺さんが夢子を演じることに、「ちょっとイメージと違うんじゃないの?」という声も多かったかと思いますが、そんな声を見事にひっくり返しましたよね。
最初にニュースが出たときに「(役と)ぴったり!」と言われることはもちろんうれしいんですが、それではいつも同じような役ばかりになってしまうと思うんです。

むしろ「全然違うじゃん!」と言われていても、実際の作品を見ていただいたあとに「よかったね」と言ってもらえたら、それが一番うれしいんですよね。それを目標にやっていたので、(称賛の声に)安心感と達成感を覚えました。
とはいえ、やはり不安もありましたか?
ありましたね、やっぱり(笑)。とにかく賭け狂っていないといけないし…アニメ版もすごくパワーがあって、そういう魅力的な作品が先にあるので、それと同じかそれ以上のものを出せないと実写の意味がないですから。
夢子を演じるうえでもっとも大切にした部分はどこですか?
もちろん、かわいらしさもあるんですけど、とにかくギャンブルに対する愛が強すぎるところですね。

行動や発言に不思議なところがあって、何を考えているのかわからないし生い立ちも謎なのですが、そういうことを感じさせないくらい、とにかく“ギャンブル狂い”であるというのを大切にしていました。実際に演じながら夢子のことを「あぁ、本当にそれ(=ギャンブル好き)が生きがいの女の子なんだな…」と感じていました(笑)。

濃いキャラばかりで、アドリブを入れたくてムズムズした

劇場版は完全オリジナル脚本による物語が展開します。最初に物語に触れた際の印象は?
シリーズの集大成だと思いました。新しい人たちも含めていろんなキャストが登場しますし。

最初に脚本を読んでビックリしたのが、英さんが考えた新キャラクターの名前で(笑)。変わった名前のキャラクターがたくさん出てくるんですけど、字を読んでも性別すらわからないんですよ(笑)。

実際に現場でお会いしたら、それはそれはみなさんキャラクターが濃くて(笑)。私自身、初号試写で自分が出ていないシーンを見て、「こんなんだったんだ!」ってたくさん笑いました。

私は、木渡(潤/矢本悠馬)が大好きなんです(笑)。原作では、序盤であっさり負けてしまうのでその後はあまり出てこないんですけど、映画ではなかなかの活躍を見せてくれるので、ぜひチェックしてほしいです!
森川さんが芽亜里と木渡のアドリブシーンについて話していましたが、浜辺さんもアドリブを求められましたか?
序盤の部分で、周りをからかったりするところは、わりと自由にやっていい部分だったので、すごく細か〜くふざけてました(笑)。ただ終盤は、夢子がふざけすぎると重みがなくなっちゃうので、監督からも「夢子は横綱相撲で」とずっと言われてて…。
本当はバンバン、アドリブをやりたいけれど…?
そうなんです! やりたいんです本当は(笑)。周りのみんなを見てるとムズムズするんですけど、あくまでもみんながふざけることで夢子の存在が際立つんだって監督からは言われてまして…(苦笑)。
そうしたコメディの部分など、「賭ケグルイ」との出会いにより、演技の幅が広がったと感じることも多いのでは?
すごく成長させていただいた作品だなって思いますね。まずseason1では、現場で楽しみながら考えてやることを学ばせてもらいました。season2と映画では、season1よりも演技のバリエーションを増やして、そのキャラクターができる範囲、幅をできる限り広げて攻めていくことを学ばせてもらったと思います。

ただ夢子はやりすぎちゃいけないので(笑)、周りのみなさんのお芝居を見て、「私もやりたいな」という気持ちが芽生えて、グッと溜めて、ここぞというところで全力でキメる!など、いろんなことを学びました。
ここまで演じてきて、夢子のどんなところに魅力を感じますか?
危なっかしさはかわいい部分かなと思いますね。ギャンブルのためなら、それこそ命も含め、すべてを賭けてしまう――何をしでかすかわからないところが、ほっとけない魅力があるなと感じます。
浜辺さん自身はリスキーなところに身を置くギャンブラー気質ですか? それとも石橋を叩いて渡るタイプ?
そうですねぇ…、保険は大事だなと思います(笑)。危なっかしいことをやりたい気持ちはあるし、そういうことにもどんどん挑戦していきたいけれど、そこにいたるまでにできる限りのことは尽くしたいですね(笑)。
昨年4月にTwitterのアカウントを開設し、およそ1年が経ちました。以前は「SNSは苦手」とおっしゃっていましたが、やってみていかがですか?
情報発信は大事だと思っているので、出演作やイベントの告知は忘れないようにと気をつけています。写真もなるべく(現場での)オフショットを上げようとは思ってはいるんですけれど…。
「○○を食べました」とか「△△に行きました」みたいなプライベートでのことをアップしては?
自分から主張したいことがあまりなくて(苦笑)。Instagramとかも気になるんですけど、写真を1枚上げたら満足しちゃいそうな気がします…。でもやっぱりみなさんが見ていてくださいますし、できるだけ頑張りたいと思います!
浜辺美波(はまべ・みなみ)
2000年8月29日生まれ。石川県出身。B型。2011年、第7回「東宝シンデレラ」オーディションでニュージェネレーション賞を受賞。同年公開のショートムービー『空色物語「浜辺美波〜アリと恋文〜」』に主演し女優デビュー。2015年のドラマ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』でヒロインを演じ注目を浴びた。2017年、映画『君の膵臓をたべたい』で第41回日本アカデミー賞新人俳優賞ほかを受賞。主な出演作にドラマ『咲-Saki-』(毎日放送)、『崖っぷちホテル!』(日本テレビ系)、映画『となりの怪物くん』、『センセイ君主』など。2019年は7月26日公開の映画『アルキメデスの大戦』、9月20日公開の『HELLO WORLD』、年内公開の『屍人荘の殺人』が控える。

「ドラマ&映画『賭ケグルイ』」特集一覧

作品情報

ドラマ「賭ケグルイ season 2」
MBS/TBSドラマイズム枠にて放送中!
『映画 賭ケグルイ』
5月3日(金・祝)ロードショー
https://kakegurui.jp/

サイン入りポラプレゼント

今回インタビューをさせていただいた、浜辺美波さんのサイン入りポラを抽選で3名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

応募方法
ライブドアニュースのTwitterアカウント(@livedoornews)をフォロー&以下のツイートをRT
受付期間
2019年4月30日(火)12:00〜5月6日(月)12:00
当選者確定フロー
  • 当選者発表日/5月7日(火)
  • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから5月7日(火)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき5月10日(金)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
キャンペーン規約
  • 複数回応募されても当選確率は上がりません。
  • 賞品発送先は日本国内のみです。
  • 応募にかかる通信料・通話料などはお客様のご負担となります。
  • 応募内容、方法に虚偽の記載がある場合や、当方が不正と判断した場合、応募資格を取り消します。
  • 当選結果に関してのお問い合わせにはお答えすることができません。
  • 賞品の指定はできません。
  • 賞品の不具合・破損に関する責任は一切負いかねます。
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