アイドルであることに負い目なんてない。乃木坂46・松村沙友理、女優としてのカタチ

撮影ではカメラに向かって「パーンチ!」と可愛らしい“さゆりんごパンチ”を見せてくれ、瞬時に場を明るくする。「さゆりんご」のニックネームで親しまれる松村沙友理は、アイドルになるべくしてなった人間だろう。

松村が所属するのは、年々勢いを増し続ける乃木坂46。ビッググループの1期生として、その中心に立ち続けている。

近年では、女優としても活躍しており、昨年話題を呼んだドラマ『アンナチュラル』にも、ソロでゲスト出演を果たした。

そんな彼女が現在放送中のドラマ「賭ケグルイ season2」と、5月3日から公開の劇場版で演じるのは、アイドルとして輝きながらも裏でファンをののしり、私欲のために手を尽くす、“真っ黒”な役である。

アイドルであれば引き受けるのを躊躇してしまいそうなこの役に、松村は「演じるうえで恐怖はまったくなかった」と笑顔で語った。そこには女優としての揺るぎない覚悟がうかがえる。

撮影/ヨシダヤスシ 取材・文/木口すず 制作/iD inc.
スタイリスト/市野沢祐大 (TEN10) ヘアメイク/小坂知未

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アイドルの裏側を演じることに、怖さはなかった

松村さんはドラマ「賭ケグルイ season2」から、夢見弖ユメミ役で出演されています。
season1を見たときに、完全に『賭ケグルイ』の世界観が作り上げられているなと感じたんです。だからそこに自分も入れるんだ!とすごく楽しみでした。
すでにできあがっている座組に入ることに緊張はありましたか?
みなさん気さくに話しかけてくださいましたし、とても和やかな雰囲気の現場だったので、とくに緊張はなかったです。

ただ、今話したように共演者の方々の作り込みというか、キャラができあがっている感じがスゴくて。それにただただ圧倒されてしまいました。「何か私、スゴいところに入ってきたんだな…!」と、撮影が始まってから感じていました。
ユメミのツインテール&学生服姿がとてもお似合いで、可愛かったです!
(嬉しそうに)えへへへへ。ありがとうございます!
ユメミの姿になった感想は?
フリフリが付いたお洋服やミニスカは大好きなので、普段と違う感じで楽しかったです。ユメミの衣装は、(ほかのキャラと違って)スカートの裾にフリルが付いていたり、胸元のタイがお花だったりするんですよ。とても可愛かったです!

乃木坂46はどちらかというとシンプルな衣装が多いから…もちろん、それも可愛いんですけど!
ユメミは学園でも人気アイドルですが、ドス黒い裏の顔を持っています。役とはいえ、「松村沙友理」にユメミのようなイメージが植え付けられるかもしれない…という怖さはありませんでしたか?
怖さはまったくありませんでした。

私自身、ユメミちゃんは“そういう子”だと知っていたので、むしろ演じるのが楽しみでした。ファンの方も、ドラマに出られることを喜んでくれましたし。なかにはユメミという大変な役をやることに驚かれていた方もいらっしゃいましたが、私はそれすらも嬉しくて。

私のことを知らずに『賭ケグルイ』を見た方は、「松村沙友理」を、ユメミのような子だと認識するかもしれません。でもそれはそれでありなのかなって思うんです。“こっちの勝ち”というか、そう思わせる芝居ができてよかった!という気持ちです。
周囲からの反響を気にされることもないのでしょうか?
以前、別の作品(『アンナチュラル』)で誘拐された女の子の役を演じたんですけど、そのときも私がアイドルだと知らずに見ていた方のほうが多かったと思います。

私は、「松村がこの役をやるの!?」といった驚きの反響も含めて、全部嬉しいです。とくにファンの方は、私の性格をよく知ってくれているので、「演技がうまくなったね!」とほめてくれると思います(笑)。

ドスの利いた声を出すために、低い声の練習をした

ユメミの二面性を表現するのは難しかったですか?
そうですね。私は普段、怒鳴ることってないんです。彼女の怒りが爆発する様子を、ちゃんと表現できるかな…というのは不安で。

また、二面性は彼女の大きな特徴ではありますが、それ以上に彼女は夢を追いかけている強い子なので、そこがきちんと表現できていたらいいなと思いながら演じました。
英 勉監督から、具体的なディレクションはありましたか?
「中途半端にやらないで全力で」とは、本読みの段階からずっと言われていました。だからそこは意識しつつ演じました。
そのほかに撮影で苦労されたことは?
ユメミは怒りながらドスの利いた声を出すので、低い声を出す練習をしたんです。怒っているときって、逆に声が高くなりがちじゃないですか。「キー!」みたいな。私も、普段は全然出さないトーンだったので、助監督の長野(晋也)さんたちと一緒に、どれくらいまで低い声が出せるか…と試したりして(笑)。
普段の松村さんとは本当にギャップがある役なので、メンバーのみなさんはビックリされそうですね。
そうですね! メンバーの感想もぜひ聞きたいです。堀(未央奈)ちゃんはseason1を見ていて、私が今回出演すると聞いて「楽しみです!」と言ってくれていました。

元乃木坂46・伊藤万理華との共演は「誇らしい気持ち」に

蛇喰夢子(じゃばみ・ゆめこ)役の浜辺美波さんと一緒のシーンが多かったと思います。共演された感想は?
とにかくしっかりしている方だな、という印象です。わかりやすくスイッチが変わるというよりも、スッ…と夢子ちゃんになる感じがさすが女優さんだな…!と。

そうして演じる夢子ちゃんがまさに夢子ちゃん!という雰囲気で、スゴいなと思いました。迫ってくる場面なんかは、本当に怖かったですし。間近で演技を拝見できて、とても楽しかったです。
夢子もアイドル姿になって、劇中歌をおふたりで披露されていました。
はい、楽しかったです! ダンスレッスンも一緒にして。
アイドルとして、松村さんからアドバイスされたことはありましたか?
いえ、全然!(笑)振り付けの先生が、たまたま乃木坂46の振り付けもしてくださっている方で、私は知り合いだったんです。それで「松村が引っ張れよ!」と言われていたんですが…。

でも浜辺さんとお会いしてダンスを拝見したら、私が引っ張るという感じではまったくなくって。ご本人は「ダンスが苦手」とおっしゃっていましたけど、今までアイドルやってたんじゃないかな!?というくらい、自然にこなされていました。
そのほかに共演された方から、お芝居の面で刺激を受けることはありましたか?
豆生田(楓)さん役の中川(大志)さんとは、現場でご一緒できるシーンがあまりなかったのですが、完成した映像を見たらスゴい迫力で! 廊下を歩きながらひとりでしゃべるシーンとか、(威圧的な)“豆生田感”が満載だなと。

やっぱり役者の方はスゴいなと、改めて実感しました。
▲犬八十夢役・伊藤万理華
乃木坂46の卒業生・伊藤万理華さん(犬八十夢役)とも共演されましたね。
はい。一緒に撮影するシーンはなかったのですが、万理華ちゃんは乃木坂46内でも表現力のある子だったので、卒業してからもこうやって同じ作品に出られることが誇らしいです。

「うちの子はスゴいんだぞー!!」っていう親心に近いです!(笑)

“アイドルだから女優がやりづらい”と感じることはない

お芝居の経験を重ねていますが、ご自身で成長を感じますか?
自分ではまったく感じていないです(笑)。でもこうして実際に私の芝居を見てくださった方からほめていただけるのは、単純にとても嬉しいです。

自分としては、演じていたときとできあがった映像を見たときに、ズレを感じることがあるんです。「自分の中ではこうやって演じていたつもりだけど、客観的に見るとこうなっていたんだな…」という食い違いもまだたくさんあって。

今後はそういうズレをなくせるようにできたらいいなと思います。
松村さんが思うお芝居の魅力や面白さとは?
自分が演じていることももちろん楽しいんですけど、どっちかと言うと周りの方の演技を見られることが面白いなと感じています。今回も浜辺さんのお芝居を間近で見られて楽しかったですし。

作品の世界に入って、その世界を間近に感じられることは、お芝居をするうえでのもうひとつの楽しみなのかなって思うんです。
この先もお芝居に取り組んでいきたいと考えていますか?
はい、どんな役でもやりたいです! ユメミを演じるのは本当に楽しかったので、こういう衝撃的な役もまだまだ挑戦してみたいなと。
「アイドルの子がやる女優業」という見方をする人もいるのかなと思うのですが、それに対して悔しさを感じることはありませんか?
私は乃木坂46がなかったら芸能界に入っていなかったので、それはあまり感じていないです。もともと女優になりたかったわけではなくて、乃木坂46に入ってから演じることが楽しいと思えるようになったので。

ユメミというアイドルの役をいただけたのも、きっと私がアイドルをやっているからでしょうし、アイドルであることへの負い目などは感じずに、演技のお仕事も楽しくやらせていただいています。

結局のところ、与えてもらった役をどれだけやりきれるかどうかだと思うので、アイドルだから女優がやりづらいと感じることは全然ないですね。

乃木坂46のメンバーのことを、心から尊敬している

『あさひなぐ』のときのインタビューでは、「25歳になり、今後のことを一番考えなければいけない時期」とお話されていました。それから約1年半たった今、何かご自身の中で見えてきたものはありますか?
私がこの世界に入ったきっかけでもあるアイドルはずっとやっていきたい、というのが大前提ですが、乃木坂46で活動するなかで、女優の仕事をさせていただき、ようやく自分の中で「やりたい!」と思えるようになってきました。だからこそ、もっともっと突き詰めていきたい。
乃木坂46のメンバーには、女優として活躍されている方もたくさんいらっしゃいますが、周囲の活動に触発されることも…?
自分は自分のペースでと思っているので、みんなを見てもとくに焦ったりはしないんですよね。

私はメンバーを心から尊敬しているというか…。ちょっとネガティブな発言をするのですが、私って本当にダメ人間で(笑)。でもこんなダメな私とたまたま同じグループに、天才的な子ばかりいるんですよ。

メンバーが出ている作品を見ると、毎回感動してしまうんです。ほとんど毎日一緒にいるのに、「いつのまにそんな練習してたの!?」って(笑)。アイドル業があるなかで、台本をしっかり覚えて、舞台に立っている姿などを見るとすごく誇らしくて。尊敬の気持ちでいっぱいです。
メンバーの方と、女優業についてお話することはあるのでしょうか?
あまりないんですけど、一緒に舞台をやっているときは、みんなでお芝居の話を延々としていますね。あのシーンはもっとこうやったほうがいいんじゃないか…とか、何度も何度も話し合って作っていました。
今後の松村さんのご活躍を楽しみにしています。
ありがとうございます! 女優業もですし、最近は、海外に目を向けての活動ももっとできたらいいなと考えるようになりました。
それはグループとして? それとも松村さん個人としてでしょうか?
どっちもですね。もともと、海外には興味があったんですが、乃木坂46として海外でライブをやらせていただいたりするなかで、どんどん魅力に感じてきて。

握手会には中華圏の方も多く来てくださるのですが、その方たちとお話するのも楽しいんです。だからいろんな国の方と交流を持てる仕事もいいなと思っています。
松村沙友理(まつむら・さゆり)
1992年8月27日生まれ。大阪府出身。B型。2011年に乃木坂46のオーディションに合格し、1期生として活動を開始。2012年、グループの1stシングルとなる『ぐるぐるカーテン』でメジャーデビューを果たす。以降、2018年11月発売の最新曲『帰り道は遠回りしたくなる』まで、すべての表題曲に選抜入り。2015年からは『CanCam』(小学館)の専属モデルとしても活躍。ほかにも『少年アシベ GO!GO!ゴマちゃん』(NHK Eテレ)などで声優活動にも力を入れる。

「ドラマ&映画『賭ケグルイ』」特集一覧

作品情報

ドラマ「賭ケグルイ season 2」
MBS/TBSドラマイズム枠にて放送中!
『映画 賭ケグルイ』
5月3日(金・祝)ロードショー
https://kakegurui.jp/

サイン入りポラプレゼント

今回インタビューをさせていただいた、乃木坂46・松村沙友理さんのサイン入りポラを抽選で3名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

応募方法
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受付期間
2019年4月5日(金)12:00〜4月11日(木)12:00
当選者確定フロー
  • 当選者発表日/4月12日(金)
  • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから4月12日(金)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき4月15日(月)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
キャンペーン規約
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