漫画家・まんしゅうきつこさん、ロシア流ウィスキングで蒸される
「サウナの気持ち良さって本当にヤバいよ…」「もっと早く知りたかった…」という会話をあちこちで耳にするようになった今日この頃。「友人に連れられて行ったらハマった」「週3回はサウナに行かないと生きている心地がしない」など、気づけば会う人、会う人が熱に浮かされたようにサウナのことを話している。
な、なんなんだ、この現象は?
気になってしょうがないライブドアニュース編集者。話を聞こうと、サウナ好きが作るメディア「サウナイキタイ」に連絡をとったところ、「サウナが気持ち良いのは僕らにとってはもう当たり前で…それよりロシアのウラジオストクで受けた“ウィスキング”がヤバかったんです(体験記事)。あれを日本の皆さんにも味わってもらいたいんです!」とキラキラした目で熱弁。
「そりゃもう気を失いそうなくらい神秘的な体験でした」「サウナ好きなら絶対に受けて後悔はない」「ロシアからウィスキングのプロに来てもらいましょうよ!」とトントン拍子に話は進み、一緒にウィスキングの体験イベントを開催することに。
イベントのためにロシアから来てくれた「ウィスキングマスター」のアンドレイ(写真左)。
イベントレポートvol.2では、漫画界きってのサウナフリークとして知られる、まんしゅうきつこさんがロシア式ウィスキングを体験!
ここから先は、同じくイベントに協力してくれた超絶サウナラバーである「Sauna Camp.」の大西洋さんを書き手に、9月末に開催した、おそらく日本初の「ロシア式ウィスキング体験イベント」の様子をお伝えします !
はたしてきつこさんは、アンドレイの妙技に何を感じたのでしょうか⁉︎
まんしゅうきつこ、草加健康センターに参上
「草加健康センター、大好きなんですよ!」と、まんしゅうきつこさん。きつこさんは現在、週刊SPA! にてサウナを題材にした漫画『湯遊ワンダーランド』を連載中の漫画家だ。
SPA!での連載を単行本化した「湯遊ワンダーランド」(扶桑社)も好評発売中。第2巻も11月28日発売予定。
サウナに通う日常、恍惚、苦悩、サウナの“ヌシ子”との邂逅、超個人的な妄想などなど…リアルと脳内世界、そして流れる汗が混ざり合う、唯一無二の“きつこワールド”が繰り広げられ、人気を博しています。きつこさん自身、週4日はサウナに通うという正真正銘のサウナフリークなのです。
「もともとオンとオフの切り替えが下手くそだったんですけど、いまはサウナがいいスイッチになってくれてますね。もう不可欠な存在です」
スイッチ…。いい言葉をいただきました‼︎
今日はきつこさんの未知なる「サウナスイッチ」を押しまくります!
今日は体験してもらいましょう…ロシア人のプロフェッショナルによる「ウィスキング」を!
※これはきつこさんじゃないよ。
☆おさらい☆
ウィスキングってなあに?
ウィスキングってなあに?
白樺などの枝葉を束ねたもの(ヴィヒタ)で身体を叩いてもらうサービス。血行促進や肌の引き締めなどに効果があるといわれている。
ウィスキング自体は、以前福岡のIZBA(国内唯一のロシア式サウナ施設)で一度体験したことがあるというきつこさん。「でも、現地で活躍中のプロの技がどんなものか楽しみです」と興奮気味のご様子。
フフフ…そうなのだ…アンドレイの秘技ウィスキングは、ものすごいのだ!期待してくれ!
一方でその頃、当のアンドレイはといえば…
アンドレイ起きて〜!出番だよ!
草加健康センターのうどんと大根サラダをたいらげ、お昼寝中。
☆おさらい☆
アンドレイってだあれ?
アンドレイってだあれ?
ロシアのウラジオストクから来日したウィスキングマスター。ウィスキング修行歴5年、今回きつこさんをヴィヒタで叩く24歳のロシア男児だ。
アンドレイときつこさん、ご対面
「よろしくね、キツコ」と挨拶するアンドレイ、なんだかやけに嬉しそう(さっきまで寝てたくせに)。通訳さんが「美人に弱い」と言っていたことを思い出す。
「熱から髪を守ってくれる女の子用のサウナハットだよ」と優しく説明しながらきつこさんに被せるアンドレイ。おいおいおい、俺が体験するときには問答無用で被せてきたじゃないか!
サウナハット、日本ではまだ被っている人が少ないけど、ウラジオストクのサウナはどこにでも置いてあるんだって。
ちなみにアンドレイのサウナハットには、ロシア語で「漢の中の漢」というようなことが書いてあるらしい。ちょっと欲しいぞ。
「漢の中の漢」にいざなわれ、サウナ室へと向かうきつこさん。
アンドレイの妙技炸裂ーーーッ!
さっそくウィスキング体験開始。ご存知の通り、サウナは熱い。しかも、ここは数あるサウナの中でも「激アツ」として知られる草加健康センター。湿度も高く、ブワッと汗が噴き出します。
ここまで読んだ皆さん。「ウィスキングって適当に葉っぱで叩くだけでしょ?」って心の中で思ってますよね。思ってますよね⁉︎でも、違うんです‼︎実は、叩くことと同じくらい重要なポイントが蒸気を浴びせること。
ウィスキングマスターは、いわば蒸気使いのプロフェッショナル。施術中は何度も熱いサウナストーンに水をかけ、発生した熱い蒸気をヴィヒタを繰って受け手に浴びせます。そうすることで身体を芯から温めるのです。
ヴィヒタを浸けておいた水には香りが溶けだしていて、サウナストーンにかけるたびに、白樺の爽やかな香りが立ち込めます…。
蒸気も熱も、当然目には見えません。しかし、アンドレイには、室内の熱の流れが見えているのです‼︎
絶妙なタイミングで蒸気を発生させ、常に受け手にちょうど良い熱を送り出す。熱い蒸気で湿ったヴィヒタは適度に柔らかくなっていて、肌当たりが柔らかい…。
見てください。サウナの奥でちゃっかり、まんしゅうきつこさんの担当編集・高石さんもサウナをキメ込んでます。
はじめはソフトに、徐々にハードに叩いていき、受け手を蒸しあげていく…さすがプロの技。
ふたりともいい表情だ!
10分弱の施術を終え、キリッと冷えた水風呂でフィニッシュ!
ウィスキングマスターの妙技は、サウナから出ても続きます。かけ水から、水風呂に浸かる時間までエスコートしてくれるのです。クールダウンまでしっかり面倒を見てくれるんですね。
ウィスキングマスターの妙技は、サウナから出ても続きます。かけ水から、水風呂に浸かる時間までエスコートしてくれるのです。クールダウンまでしっかり面倒を見てくれるんですね。
きつこさん、ウィスキングはどうでしたか?
日本のサウナーはサウナ→水風呂→外気浴の流れが一般的だけど、ロシアではウィスキングを受けた後は水風呂や外気でクールダウンして、最後に少し湯やサウナに入って温めるスタイルもポピュラーなんだって。
―アンドレイのウィスキング、どうでしたか?
きつこ「最高でした‼︎ずっとヴィヒタのさわやかな香りに包まれていて、本当に気持ちよかったです。匂いって重要ですよね。全部のサウナがこの香りになってほしいくらい」
アンドレイ「強さはどう?痛くなかったですか?」
きつこ「全然痛くない!思ったよりソフトタッチで心地よかったです。最初はやさしく、後半は強めになっていて…個人的にはもっと強く叩いてくれてもいいくらい!」
―ウィスキングのマッサージ要素も感じてもらえました?
きつこ「熱いヴィヒタを腰や胸にギューッと押し付けるヤツ、気持ちよかったな。ちょっと整体を受けた気分になりました。日本の女性にも受け入れられそう」
アンドレイ「ウィスキングはロシアでは女性にも人気がありますよ。マッサージの意味合いも強いからね。気に入ってもらえて嬉しいです」
きつこ「最高でした‼︎ずっとヴィヒタのさわやかな香りに包まれていて、本当に気持ちよかったです。匂いって重要ですよね。全部のサウナがこの香りになってほしいくらい」
アンドレイ「強さはどう?痛くなかったですか?」
きつこ「全然痛くない!思ったよりソフトタッチで心地よかったです。最初はやさしく、後半は強めになっていて…個人的にはもっと強く叩いてくれてもいいくらい!」
―ウィスキングのマッサージ要素も感じてもらえました?
きつこ「熱いヴィヒタを腰や胸にギューッと押し付けるヤツ、気持ちよかったな。ちょっと整体を受けた気分になりました。日本の女性にも受け入れられそう」
アンドレイ「ウィスキングはロシアでは女性にも人気がありますよ。マッサージの意味合いも強いからね。気に入ってもらえて嬉しいです」
ウィスキング後には、体を温めてくれるロシア流のハチミツティーと、蜂の巣のおやつをいただきます。うまいんだな〜これが。
ウィスキングは「神社のお祓い」みたい?
―ウィスキングって、普段のサウナとはちょっと別モノの体験ですよね
きつこ「ヴィヒタを振る様子がなんか神聖な感じがしたんです。神社でお祓いやるような、なにかそういう宗教的な意味もありそう、って思いました」
―確かに!ありそうですね。どうなのアンドレイ?
アンドレイ「そういうのはないね」
きつこ「ないのかい」
アンドレイ「でも、ロシアではバーニャ(ロシアのサウナ)は自然界とつながっていると古くから信じられているよ。火、水、風、土…そういうものを感じる場所でもあったと言われているかな」
きつこ「結構あるじゃん」
ウィスキングマスターの仕事ってどう?
アンドレイが24歳と知って驚くきつこさん。そしてアンドレイのこのニヤけた顔である。
きつこ「もっと仙人みたいな人が来るのかと思ってたけど、24歳か〜!若いのね」
アンドレイ「ウィスキングのプロで活躍できるのは大体20代〜50歳くらいまで。僕は大学の頃から修行を始めたから若い方だと思います」
きつこ「アンドレイはなんでウィスキングのプロになろうと思ったの?1日に何人もウィスキングするってすごいハードな仕事じゃない?」
アンドレイ「昔から家族でバーニャに行くことが多かったから。最初はお父さんに教えてもらって、家族や友達に披露したらみんな喜んでくれて。やりがいを感じてプロを目指すことにしたんだ」
きつこ「ウィスキングのプロって、いろんな施設に呼ばれていくの?それともどこかに所属してるの?」
アンドレイ「ぼくはフリーだから、お客さんのところに呼ばれていくのが基本。フリーは腕が確かじゃないと成立しないから、モスクワの研修に通ったり常に努力してますよ」
アンドレイ「ウィスキングのプロで活躍できるのは大体20代〜50歳くらいまで。僕は大学の頃から修行を始めたから若い方だと思います」
きつこ「アンドレイはなんでウィスキングのプロになろうと思ったの?1日に何人もウィスキングするってすごいハードな仕事じゃない?」
アンドレイ「昔から家族でバーニャに行くことが多かったから。最初はお父さんに教えてもらって、家族や友達に披露したらみんな喜んでくれて。やりがいを感じてプロを目指すことにしたんだ」
きつこ「ウィスキングのプロって、いろんな施設に呼ばれていくの?それともどこかに所属してるの?」
アンドレイ「ぼくはフリーだから、お客さんのところに呼ばれていくのが基本。フリーは腕が確かじゃないと成立しないから、モスクワの研修に通ったり常に努力してますよ」
ウラジオストクでアンドレイとデート決定…!?
―きつこさん、ロシア行ってみたくなりましたか?
きつこ「今回ウィスキングを受けて、本場で体験してみたくなりましたね!ウラジオストクって成田から3時間くらいですごく近いし。バーニャ体験してみたいですね」
アンドレイ「本来ウィスキングは天井が低くて狭いところでやるものなんだ。ダイレクトに熱い蒸気を浴びせられるからね。日本のサウナは広くて天井が高いから、完全に同じ体験は難しいと感じたよ。公衆浴場だから仕方ないけど…ウラジオストクならもっと本格的な体験ができます。ストーブもめちゃくちゃ大きくてパワフルだし、ぜひ理想の環境で受けてほしいな」
きつこ「行きたいなぁ〜、週刊SPA!がお金出してくれたらいいのになぁ〜」
アンドレイ「ウラジオストクのバーニャを漫画にしてほしい!」
―それは読みたい!
きつこ「わたしあれやってみたい!水風呂の代わりに、凍った湖に穴をあけて入るヤツ」
アンドレイ「そう、ウラジオストクの海は真冬に凍るからそれができるんですよ。マイナス20℃の外気浴も最高だし、冬のバーニャは最高!もしキツコさんが遊びに来たら、ウラジオストクで一番の観光地、ルースキー島を案内するよ」
きつこ「わーい!ありがとう」
もしかしたら『湯遊ワンダーランド』ウラジオストク編が読める日が来るかも…?担当編集の高石さん、ぜひ企画お願いします。まんしゅうきつこさん、ありがとうございました!
※撮影のため施設から特別に許可を頂き、水着で入浴しています。
施設紹介
草加健康センター
草加健康センター
激アツの麦飯石サウナとキンキンに冷えたバイブラ水風呂で、サウナ愛好家たちから絶大な人気を誇る。ブロワーを使って熱波を送る「爆風ロウリュ」が名物。自社薬草工場で8種類の漢方をブレンドした「効仙薬湯薬湯」には身体を温めるカプサイシン成分が入っているため、「チンピリの湯」として一部のマニアに溺愛されている。そのほかお背中流しサービスや、4万冊の漫画、スーパー銭湯アイドル「純烈」のライブ開催など、常に話題に事欠かない温浴施設。
埼玉県草加市北谷2-23-23
048-941-2619
年中無休・24時間営業
次回予告
次回はサウナー達のウィスキング感想レポート。「正直ナメてた」「ロシアの森が見えた」「俺はヴィヒタ」などなど、アンドレイの妙技で迷言が続出です!
おまけ:ロシア語単語集
バーニャ:
ロシアではサウナを“バーニャ”と呼ぶ。サウナとバーニャは明確に異なる定義があるが、本稿では「サウナ」と表記している。
パレーニエ:
白樺などの葉で身体を叩くこと。ウィスキングと同じ意味。
パリーシュク:
パレーニエを行う人。プロフェッショナルが存在する。
ヴェーニク:
白樺などの葉を束ねたもの。日本では“ヴィヒタ”という名称で浸透し始めている。
写真/阿部ケンヤ
文/大西洋(Sauna Camp.)
デザイン/桜庭侑紀、上條慶(イベントロゴ)
企画/サウナイキタイ
文/大西洋(Sauna Camp.)
デザイン/桜庭侑紀、上條慶(イベントロゴ)
企画/サウナイキタイ
宮川サトシさんによる連載漫画「サウナマン」も合わせてどうぞ!