不断の努力の先に、必要としてくれる場所がある。福山 潤×前野智昭の知られざる足跡

「はいっ! よろしくお願いしまーす!」といつもの調子で取材場所に現れた福山 潤。いつもニコニコと場を和ませ、次々に面白いエピソードを繰り出し、多弁すぎて底が見えない。芝居の振り幅が大きく、共演者によると感性が常人とは異なるという。

一方の前野智昭は、常に礼儀正しくまじめで、シャイな雰囲気をまとい、口数が多いタイプではない。

ふたりはプライベートで交流があるわけではないし、共通点もない。でも、マイク前の芝居を通して確かな信頼関係ができあがっている。

声優への注目度が高まり、今やムーブメントを牽引していく存在となったふたりも、20代の頃は、実力派と個性派がひしめく声優業界で、「どこかに自分の居場所がないか?」と必死で探していたという。互いの役者論からふたりの足跡までを追う。

撮影/祭貴義道 取材・文/千葉玲子 制作/アンファン
スタイリング/浅井直樹(Vigroo)【福山】、MASAYA【前野】 ヘアメイク/福田まい(addmix B.G)【福山】、横手寿里【前野】 衣装協力【前野】/メガネ\36,720(BJ CLASSIC COLLECTION/Eye's press)、その他スタイリスト私物

「2019春のアニメ」特集一覧

▲左から福山 潤、前野智昭

コミュニケートについて考えることがエンターテインメント

おふたりの初共演はいつ頃でしょうか?
福山 いやぁ、いつだろう? 前野くんとレギュラーって、そうそうなかったんですよ。アニメの現場では『金色のコルダ』(2006年〜2007年)だったよね?
前野 僕がホントに新人の頃ですね。
福山 しっかり掛け合いをしたのはドラマCD『艷漢(アデカン)』(2011年〜)が初めてかな? 『金色のコルダ』の次にアニメのレギュラーで一緒になったのって…。
前野 『にゃんこい!』(2009年)がありましたよ!
福山 ああ〜、そうだ! 前野くんは、新人の頃から「大変まじめな人だな」という印象でした。

その後、アニメ『双星の陰陽師』(2016年〜2017年)で1年間一緒だったりしたんですが、同じ現場にいてもセリフを掛け合うことがあまりなかったので、この『真夜中のオカルト公務員』がホントに新鮮です。
『真夜中のオカルト公務員』では、福山さん、前野さん、入野自由さんの掛け合いを中心に進む部分も多いですね。
前野 そうなんです、現場でみなさんと掛け合いをして初めて完成するものだなって、改めて感じています。
4月スタートのTVアニメ『真夜中のオカルト公務員』で福山 潤が演じるのは、新宿区役所の「夜間地域交流課」に配属された新人職員の宮古 新。なにやら、陰陽師・安倍晴明と関連があるらしい。新の直属の上司で、業務リーダーの榊 京一を演じるのが前野智昭。入野自由演じる研究員の姫島セオと共に、人知れず存在する妖精、妖怪、天狗、天使といった「人ならざる者=アナザー」の事件解決にあたる。奮闘する公務員の姿を通して、人間とアナザーとの交流・共存を描いていく。
原作やシナリオを読んで、いかがでしたか?
福山 タイトルを分解すると、「真夜中」と「オカルト」と「公務員」。不思議な響きだなぁと。加えて、主人公たちの勤務地は新宿。公務員や新宿といった身近な要素と、「人ならざる者=アナザー」というオカルト要素を組み合わせた、地に足のついたファンタジーといった印象でした。
前野 収録スタジオへ行くときなんか、新宿あたりはわりと通るじゃないですか。第1話に新宿御苑が出てくるんですが、地続きの場所で彼らが働いているのがいいですよね。

アナザーは僕らには見えないはずですが、「もしかしたら、妖精や天狗が身近にいるんじゃないか」とみなさんに感じていただけたら、より楽しんでもらえると思います。
福山 さまざまな設定が組み合わさっていますが、ドラマとしては、奇を衒(てら)わずに正面から描いている印象も受けました。
どんなところでしょうか?
福山 前提として、僕が演じる新には「砂の耳」という特別な能力があるんです。
アナザーの声を聴くことができる力ですね。
福山 そう。京一とセオは、アナザーの姿が見えるけど、声は聴こえない。

僕が面白いと思ったのは、詳しくはまだ言えませんが、アナザーを説得したらどうかと言い出す新に、セオが「交渉する代わりに、命を差し出せって言われたら、お前どうするんだ?」と言うシーンがあるんです。

新だけ言葉がわかるからこその弊害といいますか、なぜアナザーが人間のことを理解してくれると思うんだ?っていう。
先ほど「地に足のついたファンタジー」とおっしゃいましたが、客観的な視点を持ったキャラクターがいるんですね。
福山 そう。「違う生き物なんだ、そこを踏み越えちゃいけないよ」という警鐘のような言葉も、この作品の魅力だと思いますね。

「言葉がわからない別の生き物は相容れない」っていうわけでもないし、かといって、「言葉がわかると気持ちが通じる」と思い込んでしまうのも違うというか…。

翻訳機器すら登場した現代では、国や人種が違っても同じ人間だからわかり合えるという考え方もあるでしょうし、アニメでもマンガでも、ファンタジーの世界で違う種族同士がなんだかんだでわかり合う、といったストーリーもたくさん描かれてきましたよね。そんな中で、根底にある「コミュニケート」というものを正面から描いていく。

僕が大人になったからこそ感じる部分でしょうけれど、正解を探すのではなく、コミュニケートについて考えること自体がエンターテインメントだなと思います。

信頼する音響監督の言葉がキャストの背中を押してくれる

演じるキャラクターについてはいかがですか?
福山 新は22歳の新人で、特別な能力(「砂の耳」)はあれど、まじめに仕事をこなし、責任感があり、相手と正面から向き合う、いたって真っ当な青年です。順応力が高く、物事をハッキリ言えるという長所はありつつも、視聴者と近い位置にいるキャラクターです。変なことをせずに正々堂々と演じていこうと。

状況をあらわすキャラクターは周りにいるので、彼はどちらかというとリアクションする側。目の前の出来事に驚く、疑問を抱く、喜ぶ、悲しむ…そういった人間として無理のない出力ができれば、と。

そのために、画から受け取る情報だけでなく、前野くんや自由くんの声の情報が頼りになります。
前野 京一は前職がホストで、コミュニケーション能力に長けていて、非常にモテる性格。ただ、職場の女性とはそういう関係にならないとか大人な面もありますし、元ホストってだけじゃないモテる要素が何かあるんでしょうから、彼のバックボーンについていろいろと考えましたね。
福山 先の話数になるけど、人間ドラマとしては、京一の過去がキモになってくるよね。
前野 京一は、アナザーが原因で過去に失ったものがあるんです。アニメでどう描かれるか早く観てみたいですね。
主人公の宮古 新(声/福山 潤)。新宿区役所の「夜間地域交流課」に配属された新人職員。
新の直属の上司で、業務リーダーの榊 京一(声/前野智昭)。
オーディションでは、おふたりとも新と京一だけを受けたと伺いました。キャスティングの理由はお聞きになりましたか?
福山 音響監督の鶴岡(陽太)さんから「恐ろしく想像通りだったよ」と最高の褒め言葉をいただきました(笑)。
オーディションのときにですか?
福山 鶴岡さんとはこれまでもご一緒していて、立ち位置として新に近いキャラも演じたことがあるんです。で、録る前に「どういうふうに演(や)る?」と聞かれたので、「たぶん…鶴岡さんの想像通りだと思いますよ?」と返したら、鶴岡さんも「俺もそう思う」って(笑)。

そういう流れで「想像通り」という褒め言葉をいただきましたので(笑)。若い頃だったら、その言葉をどう受け止めていいかわからなかったと思います。でも今は、信頼する音響監督からそう言ってもらえて、自信を持ってキャラクターを構築していく後押しになりました。
前野 僕も、配役が決まってから鶴岡さんと少しお話する機会があって、「前野もこういう役を任せられるようになってうれしいよ」と言っていただけて、すごくうれしかったです。若い頃にいろんな役で使っていただきましたが、メインで鶴岡さんの現場に入れることってなかったので。
福山 僕も新人の頃、「オマエ、台詞3行あるとヤバいな」って言われてた(笑)。
前野 そのくらい、新人の頃からよく見てくださってる音響監督さんなんですよね。
アフレコ現場の雰囲気は?
福山 適度ににぎやかな現場です。どのキャストも、会話劇ならではのチューニングをしているなというのが伝わってきます。それが心地いいなぁと。会話劇は言葉の置き方ひとつで大きく変わるので、渡邊(哲哉)監督も鶴岡さんも、僕らが出す言葉の印象を注意深く聴いてくれています。
前野 常に話題の中心に福山さんがいるんです。周りの方をイジったり会話を振ってくださるのもそうですし、きょうも自由くんが福山さんのおさがりの服を着ていて、「これ、福山さんからもらったんですよ〜」って話していたり。

「本番いきまーす」の声に、福山さんが「よしょしゃしゃしゃーす!!(よろしくお願いします)」って返すお寿司屋さんみたいなかけ声もね(笑)、自然と「よし、頑張るぞ」っていうスイッチが入るんです。座長としてやりやすい雰囲気を作ってくださっているんですよね。
福山さんは、OPテーマ『dis-communicate』も担当されています。
福山 アニメのタイアップ曲であり、個人名義の3rdシングルでもあるので、それぞれの成分をフィフティ・フィフティにしたい、というのはありました。今回も松井洋平さんと共作なんですが、「新宿という街をどう見ているか?」とディスカッションすることから始めました。

それと、アニメのOPで使われるのは約90秒間。僕なりに頭の中で絵コンテを描きながら作詞にトライしたので、僕の頭の中の絵コンテと、監督たちが描くタイトルバックが実際どこまで合ってるかな?っていうのも楽しみです(笑)。

僕は歌詞にあまり英語を入れないのですが、めずらしく「Another」と「Terminal」が入っています。作品サイドから「Another」を入れてほしいという要望がありまして。僕はなんとか「砂の耳」を入れたくて。
前野 先日、福山さんから、曲の最初と最後を「砂」と「耳」で挟んだと聞いて感銘を受けました。よく思いつきますよね。
福山 そのまま入れるんじゃなくて、挟んじゃおうって(笑)。
前野 僕は歌詞を書いたことすらないので、いや〜無理ですね。
福山 仕掛けとして「隠れ新宿」も盛り込んでおりますので、探してみてください!
前野さんも、個人名義で音楽活動とか、お誘いはあるのではと思いますが…。
前野 音楽活動に抵抗とかもないですし、今までそういったお声がなかったわけではないのですが…。「ライブ活動などもやってみたいな」という気持ちもある反面、リハーサルなどでレギュラーのスケジュールに迷惑がかかってしまったら…という不安もあったりして。だったら今はいいかなぁと、現状にいたっているんですけど。

あとね、僕、キャラクターソングのお仕事がすごく好きなんですよ。
福山 うんうん。
前野 お芝居の延長線上で、「このキャラは、きっとこう歌うだろうな」と想像する時間が楽しくて。キャラクターソングのお仕事にすごく満足しているので、あえて前野智昭名義で音楽活動をしなくてもいいのかな、ってところに落ち着いているというか。

それと、僕自身は、「音楽でこういうメッセージを伝えたい」とか「こういった楽曲を世に送り出したい」という、音楽に関しての明確なビジョンがないんです。そんな僕が、用意していただいた曲や歌詞をそのまま歌うっていうのは…。

それなら、キャラソンのお仕事でキャラクターとしての思いを届けてみなさまに聴いていただくほうが、僕はうれしいかなと。現在そういう活動をしていない理由のひとつですかね。

声を変えなくても、ハートを変えればいいんだ

お互いの役者としての印象はいかがですか?
福山 前野くんの出演作はアニメや外画でいろいろ拝見してますけど、めずらしいタイプだなぁと。
どんなところが?
福山 すごく美点だと思うんですが、前野くんの普段の声と、お芝居しているときの声が地続きで、ナチュラルに成立しているんです。

もちろん作品によってキャラクターそのものが存在していて、お芝居の質で役を演じ分けている。僕からしたら、これってスゴいこと。
前野さんご自身は意識されているのですか?
前野 そこまで気にしていないですが、若い頃、外画のお仕事が多かったのも大きいかもしれません。

当時の現場で、先輩から「声を変えるんじゃないんだ。ハートを変えれば変わっていくんだ」と言っていただいたことがあって。その意識はどこかにあると思います。
福山 声優がひとりで何役もやれることのスゴさやおもしろさは、もちろんあります。でも、声を変えることが重要なんじゃない。変える必要がないなら、変えなくていいんだよ?という思いがずっとあって。

いろんなタイプの役者が交わって作品を構築するのだから、ひとつの価値観だけで声優という職業の価値を定着させてしまうのは怖いなぁと。自分たちの道を狭めてしまうような気がして。

前野くんのような若い世代が、別のアプローチで演じ分けることができると提示してくれるのは、大変心強いですね。
前野さんは、福山さんについていかがですか?
前野 福山さんの声を知ったのは、まだ僕が学生の頃、ゲーム『テイルズ オブ デスティニー2』(カイル・デュナミス)でした。いちプレイヤーとして楽しませていただいていて。

自分も声優になって間近で拝見して、改めて、なんて振り幅が大きい役者さんなんだろうと。『金色のコルダ』から10年以上経って、今も業界を牽引されてる先輩で…ホントにスゴいとしか言えないです。

福山さんの語彙力もものスゴいですよね。止めなかったらずっとひとりでしゃべってるんじゃないかっていう…。
福山 はははは!
前野 ネタの豊富さ、情報量の多さでも唯一無二な方だと思います。いろんな意味で底が見えない先輩です。
一緒にお仕事をしている前野さんから見て、福山さんのお芝居のうまさとは…?
前野 感性が常人とは違うんですよね。僕の少ない語彙力で申し訳ないんですけど、サッカーのシュートにたとえれば、正面から狙ったほうが入りやすいのに、あえて角度のないところから打って、確実に決めてくる。なんでわざわざ難しい角度を選ぶんだろう、っていう(笑)。
福山 ははは!
前野 そういう発想力がお芝居につながっているのかな。僕はビビリなので、何事も成功率が高いオーソドックスな方向でやろうするタイプですが、福山さんは何事も恐れずに挑戦して、失敗せず着地までいける。それが真似できない、真似されないところだと思います。

あとは頭の回転の速さ。正直、努力だけではいけない領域にいる方ではないかと…。
福山 だんだん、むず痒くなってきましたね(笑)。
前野 ははは!
ちなみに、プライベートでの交流や共通点はありますか?
福山 プライベートの交流はゼロです!(笑) 前野くん、プライベートで同業者と会ったりする?
前野 ほぼほぼ、ないです。寺島(拓篤)くんぐらいですね、プライベートで会うのは。一緒に映画を観に行ったりしますけど。
福山 僕はこれまでプライベートで同業となかなか交わりませんでした(笑)。今は飲み会などに呼ばれたら行くようにしてるけど、自分から誘うってことがないですね。
前野 僕もなかなか自分から連絡しないです。そこは共通点ですね(笑)。

実力派・個性派声優の隙間に、自分のポジションを探した

福山さんは声優歴20年を超えていて、前野さんも15年以上のキャリアですが、若い頃に憧れた声優像と、現在のご自分を振り返ってみるといかがですか?
福山 デビューの頃から、「この声優さんみたいになりたい」というイメージってなかったんです。先輩方の存在が大きくて真似しようとしてもできないし、先輩と掛け合えるポジションを探したい、と考えていましたね。
前野 僕も、小学生の頃から子安(武人)さん、三木(眞一郎)さん、緑川(光)さん、置鮎(龍太郎)さんといった先輩方に強い憧れを抱き続けてきたので、そういった偉人たちを超えたいという思いを抱いたことはなくて。今も、少しでも近づけたらという意識でずっと続けています。
福山 僕、18歳でこの業界に入って、ハタチを過ぎたら渋い声になると本気で思っていたんですよ。変声期がもう一度来て、26、7歳になったら大塚明夫さんみたいな声になるって(笑)。でも実際は、「声って老けないんだな」という現実に打ちひしがれまして。

新人の頃は、僕がオーディションを受けられる少年役ってまだ少なかったんです。幼い少年はほとんど女性が演じる時代だったから。オーディションでは女性声優さんと子役と僕っていうこともあって、なかなかチャンスをつかめなかったですね。
そうだったのですね。
福山 それと15〜20年前は、声優は個性の時代だったんですよ。僕が20代前半の頃に学生役や青年役でオーディションを戦っていた方たちって、関 智一さんとかですよ?(笑) そこへ若手として出てきたメンバーには、森久保(祥太郎)さんや、鈴村(健一)さんや、櫻井(孝宏)さんがいて。

僕には、森久保さんほどの個性も、鈴村さんほどのまっすぐさも、櫻井さんほどの飄々とした色気もない。少年役では手練れの女性声優さんに遠く及ばない。

そういった実力と個性が居並ぶ隙間に、「どこかに僕の居場所がないかな?」と探していました。
個性を伸ばそうとしたのですか…?
福山 逆なんです。個性の世界では生き残れないから、あえて個性を消して隙間を模索しよう、先輩方と共演できる役がもらえるかもしれない、と。無個性を貫いた先にクオリティが生まれたら、生き残る道があるのかなと考えていました。

寡黙な少年でも、熱血キャラでも、自分がクオリティを保っていけばどんなイメージを投影してもらうこともできる。「福山 潤はこういう役者だ」と思われないようにしよう、どんな役でもやっていこう、って。
現在の福山さんの振り幅の広さは、そういった積み重ねがあってのことだったのですね。前野さんは、若手の頃にセルフプロデュースなどをお考えになったことは…?
前野 若い頃は、僕は吹き替えやボイスオーバー(※)の仕事がほとんどだったのですが、新人は、老け役も子役も年相応な役もできなきゃいけない。その中で僕はなぜか老け役を評価していただいた時期があって、23、4歳の頃は「ボイスサンプルを録るからセリフを用意してきて。前野くんは、必ずひとつ老け役を入れるように」とマネージャーさんから言われていました。

当時の事務所の先輩といえば、鈴村(健一)さんや、保志(総一朗)さんなどが変わらず第一線で活躍されていて、「俺が肩を並べてアニメーションの世界に入っていくのは無理だろうな。外画の現場で実績を作って、少しでも名前を覚えてもらいたい」と、そういう生き残り方をしようと思っていました。

そうして現場経験を積み重ねて、事務所に「アニメのオーディションも受けたいです」と言えるようになって。ようやくアニメで役をいただけるようになったのが26、7歳の頃でした。
そうだったのですね。
前野 20代の頃、みなさまからいただいたファンレターや色紙を、部屋の壁一面に飾っていた時期があって。「この人たちが応援してくれているから、この方たちに恥ずかしくない生活をしよう」と自分を戒めながら暮らしていたんです。

これからもずっと、そういう心構えでお仕事と向き合っていきたいです。

(※)ボイスオーバー:吹き替えと違い、英語などの原音を小さな音量で流しながら、翻訳した日本語の音声を重ねる手法。

若手を育てて、ライバルを増やさないといけない

福山さんほどの方でも、若手が出てきて危機感を覚えることもあるのでしょうか…?
福山 20代の頃は危機感もあったと思うんですが…30を過ぎてから気にならないですね。作品に呼ばれるときは理由があるはずだし、呼ばれないなら呼ばれないで理由があるはず。

それを気にするよりも、現場に立ったときに、今の自分に何が出せるかが重要なんです。フィールドに立つ以上は、求められるパフォーマンスよりちょっと上を目指したいですね。

むしろ、今の若い子が現場でどう向き合っているのか、よく見るように心がけています。
ちょうど今年から、立花慎之介さんと声優養成所「BLACK SHIP Lab」をスタートされますね。
福山 そうなんです。これからの人たちに、自分は何を学んでどうトライしてきたか、キャリアを積んだ今どう感じているのか、言葉を投げかける意味って大きいんじゃないかと、この数年ずっと思っていたんです。

後進の育成をスタートするには40歳っていい機会なのかなと。若い子たちに僕ら世代のことも理解してほしいし、ゆくゆくは業界に還元できたら。

それに、先ほど危機感とおっしゃいましたけど、若手が育たないと、僕らは死ぬと思っているので。

むしろ、ライバルを増やさないといけない。
福山さんが、前野さんのお芝居を頼もしいと感じるように。
福山 前野くんがやってることは、僕には絶対できない。でも前野くんと掛け合うことで、クオリティを高め合うことはできますよね? これが重要なんです。

「できないことをできるようにする」のももちろん大事ですが、「できることを伸ばす」ことがより重要。
前野さんは、次の世代に向けた思いはありますか?
前野 まだ、僕が教えられるものってないんですよ。精神論や根性論になってしまいそうで。いずれは…って考えることもあって、同じ事務所のトリさん(鳥海浩輔)ともそういう話をするんですけど、何を教えればいいかわからないから無理だろうなって。
福山 教える場に出なくても、現場で収録に臨む姿勢を見せることが、すでに育成の一旦を担っているんですよね。

お名前が出た鳥海さんも、前野くんもそうですけど、バランス感覚が優れた方って、芝居はもちろん、現場の所作やディレクターとの会話、共演者とのコミュニケーションの取り方だとか、口にしなくても伝わることがたくさんある。

前野くんには前野くんなりの…今こうして話す言葉もそうですよね? さっきキャラクターソングについて話してくれたけど、今の若い子は歌うことも込みで仕事を受けることも多いので、ひとつの姿勢を提示してくれることが後続につながると思うんです。
貴重なお話をありがとうございます。最後に、声優さんが最前線で活躍するのに必要な力って何だと思いますか?
前野 やっぱりね…運ですよ。
福山 ああ〜! 一番欲しいヤツだね。
前野 役とのめぐり会わせも運に左右されるところが大きいのかなと思いますし、僕より才能があって声優になれなかった方もたくさんいらっしゃると思うので…。努力した人が必ず上にいける世界じゃないというか。

もちろん、努力を続けられる人が運をつかむのだと思いますが、それもひっくるめて。
福山 僕は、モチベーションかなと思います。並の承認欲求と並の自己顕示欲だけだと、3年で尽きるので。

たとえば「アニメに声優として参加したい」だけでは、挫折のほうが先に来るかもしれない。でも「その先に何をやりたいか」の思いが強ければ強いほど、モチベーションは続く。認められないことへの反発だったり、認められたらより向上を求めて。

若いうちは明確なビジョンじゃなくてもいいので、自分の中に確固たる熱量を持ち続ければ道は拓けるんじゃないかと思います。
福山 潤(ふくやま・じゅん)
11月26日生まれ。大阪府出身。A型。1997年に声優デビュー。主な出演作に『コードギアス 反逆のルルーシュ』(ルルーシュ・ランペルージ)、『青の祓魔師』(奥村雪男)、『デュラララ!!』(岸谷新羅)、『暗殺教室』(殺せんせー)、『おそ松さん』(松野一松)など。4月24日に3rdシングル『dis-communicate』をリリース。
前野智昭(まえの・ともあき)
5月26日生まれ。茨城県出身。A型。主な出演作に『図書館戦争』(堂上 篤)、『暁のヨナ』(ハク)、『うたの☆プリンスさまっ♪』シリーズ(カミュ)、『刀剣乱舞』シリーズ(山姥切国広)、『はたらく細胞』(白血球〈好中球〉)、『Fairy gone フェアリーゴーン』(フリー・アンダーバー)など。

「2019春のアニメ」特集一覧

出演作品

TVアニメ『真夜中のオカルト公務員』
4月7日(日)よりTOKYO MXほかにて、毎週日曜深夜に放送予定
http://occultkoumuin.com/
©2019たもつ葉子/KADOKAWA/「真夜中のオカルト公務員」製作委員会

CD情報

TVアニメ『真夜中のオカルト公務員』OPテーマ
福山 潤3rdシングル
『dis-communicate』
4月24日(水)リリース


左上から初回盤、通常盤、アニメ盤、きゃにめ盤

【初回限定盤】(CD+DVD)
¥1,800+tax
【通常盤】(CD only)
¥1,500+tax
【アニメ盤】(CD only)
¥1,500+tax
【きゃにめ盤】(CD+DVD)
¥2,200+tax

サイン入りポラプレゼント

今回インタビューをさせていただいた、福山 潤さん×前野智昭さんのサイン入りポラを抽選で3名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

応募方法
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受付期間
2019年3月27日(水)12:00〜4月2日(火)12:00
当選者確定フロー
  • 当選者発表日/4月3日(水)
  • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから4月3日(水)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき4月6日(土)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
キャンペーン規約
  • 複数回応募されても当選確率は上がりません。
  • 賞品発送先は日本国内のみです。
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