台風30号で甚大な被害が出たフィリピンに対して、日本政府は約1180人の自衛隊員派遣を決めた。あくまでも国際緊急援助活動としての派遣であるが、中国では戦後最大規模の自衛隊派遣に対して「日本の野心が明らかになった」と警戒感をあらわにしている。

 報道によれば、自衛隊員らは医療や防疫のほか、輸送活動を展開する予定で、22日を目処にフィリピン近海に到着する。

 中国の簡易投稿サイト・微博で、新浪視頻(アカウント名)は自衛隊派遣について「戦後最大規模の自衛隊派遣は日本の野心を示すもの」と警戒感を示した。中国メディアによる「いわれなき批判」は、中国国民に向けて「日本警戒論」を煽る内容だ。中国の微博ユーザーらもメディアに見事に煽られ、

 「日本鬼子は悪さをしたくてうずうずしているようだ」 「自衛隊派遣は陰謀だ!」

 など、メディアの主張に同調して自衛隊を批判した。大半のユーザーは自衛隊派遣には救援活動以外の意図があると考えているようで、

 「日本政府はフィリピンの地形を探って、中国攻撃の足掛かりにするに違いない」

 などといった憶測も絶えなかった。また、1000人規模の自衛隊を派遣するとなれば、その費用もかなりの額になることが予想される。そのためか、

 「カネをフィリピンに義援金として渡せば良いはずだ」

 との主張もあった。

 中国はフィリピンとの間でも領有権をめぐる問題を抱えているため、中比関係は決して良好ではない。日中関係も冷え込んでいるなかで、今回の自衛隊派遣に多くの中国人が疑心暗鬼に陥っているようだ。

 中国メディアがフィリピンへの自衛隊派遣を批判する一方で、中国政府はフィリピンへの「緊急援助医療隊」派遣を決定した。中国が派遣するのはあくまでも医療隊だが、解放軍を派遣したいというのが本心ではないだろうか。中比関係の悪化によって自国が解放軍を派遣できないため、日本に対するあてつけとして批判を展開している可能性も排除できない。(編集担当:畠山栄)