最近レバノンで数千人の死傷者を出した「爆弾ポケベル」を製造したハンガリーの工場はイスラエルの幽霊会社が運営していた所だとニューヨーク・タイムズが18日に報道した。数年前から欧州に幽霊会社を構えて機会をうかがっており、製造段階で爆発物と起爆装置が挿入された爆弾ポケベル数千個をヒズボラに販売するのに成功したという内容だ。

同紙はこの日、イスラエル情報当局関係者3人の話として、「台湾企業のゴールドアポロの受注を受け契約を締結したハンガリーのブダペストにあるBACコンサルティングはイスラエル情報当局が運営する幽霊会社」と伝えた。

爆発事件が発生した直後、ゴールドアポロの許清光会長は記者会見で、爆発したポケベルについて「わが社の製品ではない。商標だけわが社」と明らかにした。同紙はイスラエル情報当局が運営する幽霊会社がこの工場のほかにも最小2カ所あるとも伝えた。

同紙によると、BACは平常時には正常な製品を製造したが、ヒズボラが注文した製品は「爆弾ポケベル」として作った。爆薬を入れたりバッテリー表面に高爆発物質であるペンスリット(PETN)を塗布した製品だった。この爆弾ポケベルをめぐり同紙はイスラエル情報当局がこの爆弾ポケベルをいつどこでも押すことができる「ボタン」と呼んだと伝えた。

BACは爆弾ポケベルを2022年に初めてレバノンに配送した。当時は少量にとどまったが、今年初めにヒズボラが携帯電話使用を控える代わりにポケベル使用を始めてから数千個が作られ配送された。

ヒズボラが組織レベルで携帯電話の代わりにポケベルを使ったことにイスラエル側の宣伝が一定の役割をしたという推定も出ている。数年前からアラブ圏ではイスラエルが携帯電話をハッキングし遠隔でマイクとカメラなどを動かし監視する機能を開発したという話が伝えられていた。これに対しヒズボラと同盟勢力では携帯電話は安全でないとの見方が広がりポケベルを好むことになった。同紙は多様なうわさなどで携帯電話を不信に思う雰囲気を作った主体がイスラエルかもしれないと推定した。一方、イスラエルは17〜18日にレバノンで発生したポケベル・無線機の爆発について公式な立場を出していない。

背後をめぐる各種推測の中でイスラエル軍内の秘密諜報機関である8200部隊が注目を浴びている。ロイター通信は西側安保消息筋の話として、今回の作戦に8200部隊がポケベルと無線機生産段階で爆薬を装着できるかをテストする技術的側面で介入したと伝えた。部隊員が数千人でイスラエル軍内の単一部隊としては規模が最も大きいとされる8200部隊は、信号情報のモニタリングだけでなく、暗号化、防諜、サイバー戦、軍情報収集と偵察など多様な任務を遂行する。米国家安保局(NSA)とも連係して活動することでも知られる。