難波:担当者と一緒に煩雑な手続きを数ヶ月かけて行って、審査結果が届くまでだいたい3ヶ月待ちました。障害基礎年金2級が認められ、月換算で6万円強の年金を受けられるようになったんです。「精神障害で年金を受けるのは難しい」と聞いていたので、信じられない思いもありました。

また、遡及請求も認められたので、一気に4年間分の年金も入ってきました。私の場合は、400万円。医療費以外にも家にお金を入れられるようになり、心が明るく照らされた感じがしています。

◆物書きで定期収入を得るのが最大の目標

――ご著書を、どのような人に読んでもらいたいですか。

難波:「なぜ自分はこれほど生きづらいんだろう」と思っている人に読んでもらいたいです。私は父から暴力を振るわれたときが辛かったんですけど、その他の箇所は「これが私の人生だ」と思って書いているので。自分にとっての「普通」なんですね。考えてみたら、生きやすいと思った体験もしていないかもしれません。

――難波さんと同じ思いを抱えている人は多いかもしれません。40年間無職ですが、今後の人生設計は。

難波:定期的にお金を稼ぎたいです。ものを書いて暮らしていくのが、好きというより合っているな、と感じました。今、『気がつけば本屋さんに行っていた。』というリレー小説をX(旧Twitter)で書いています。私より前に「気がつけば○○ノンフィクション賞」を受賞した、忍足みかんさん、畑江ちか子さんと3人で。1人がポストしたら中2日空けて次の人が投稿しているんですけど、今のところ誰かが投稿すると翌日に投稿するみたいな感じで、更新頻度が多いんですね。追いつくように頑張っています。

――1回に140文字では書き足りないのでは?

難波:物語を作るのがあまり得意ではないので、助かっています。ものを書いて定期収入を得る。今、最大の目標です。

<取材・文/内埜さくら 撮影/山田耕二>

難波ふみ(なんば・ふみ)
1983年 神奈川県生まれ、千葉県育ち。幼少期に父から受けた暴力がトラウマとなり、様々な精神障害を引き起こす。この世に生を受けてから一度も働いたことがない。第1回「気がつけば○○ノンフィクション賞」に応募、最終選考まで残る。応募当時は39歳だったため、タイトルを「39年間」から「40年間」に変更。本書発売年は、41歳の年となる。趣味は読書、好物は甘いもの。

【内埜さくら】
うちの・さくら。フリーインタビュアー、ライター。2004年からフリーライターとして活動開始。これまでのインタビュー人数は3800人以上(対象年齢は12歳から80歳)。俳優、ミュージシャン、芸人など第一線で活躍する著名人やビジネス、医療、経済や一般人まで幅広く取材・執筆。趣味はドラマと映画鑑賞、読書