AnimeJapan特集 第3回/プロデューサー座談会「来年に繋いでいくためのAnimeJapan 2021に」

“アニメのすべてが、ここにある。”をキャッチフレーズにした、世界最大級のアニメイベント「AnimeJapan」。

2014年から毎年開催され、回を重ねるごとに規模を拡大させていった本イベントだが、2020年は新型コロナウイルス感染症の影響で惜しくも開催を断念。そして今年、2021年のAnimeJapanは初めての「オンライン開催」という形で復活することとなった。

ライブドアニュースでは今回、そんなAnimeJapanに注目。さまざまな形で本イベントと関わるキャストやプロデューサーにインタビューを行い、世界最大級のアニメイベントがどのようにして作り上げられているのか、その裏側をシリーズでお届けしていく。

第3回となる本記事では、AnimeJapanプロデューサーの座談会を敢行。計23社が実行委員会に名を連ねる、他に類を見ない運営方式のAnimeJapanがどのように作られているのか……。コロナ禍と戦った2020年の振り返りから本イベント制作の舞台裏まで、企業の垣根を越えて協業する5人に話を聞いた。

取材・文/鈴木 幸、栗山アンナ 制作/リアルコーヒーエンタテインメント

「AnimeJapan 2021特集」特集一覧

コロナに悩まされた2020年。アニメ業界が受けた打撃

寺田さん/avex pictures
AnimeJapan 2021の総合プロデューサー

中嶋さん/タツノコプロ
AnimeJapan 2021の総合プロデューサー

北村さん/ぴえろ
Production Works Channel プロデューサー(※)
※アニメ制作の現場を紹介するコーナー。2020年以前は「Production Works Gallery」。

田中さん/アニプレックス
AJステージ プロデューサー

前川さん/アニメイト
コスプレイヤーズワールド プロデューサー
2020年は新型コロナウイルスによってエンタメ業界にもさまざまな影響があったかと思います。皆さんが直面した変化で、対応に苦労されたことについて教えてください。アニメ制作に近い現場にいらっしゃる中嶋さん、北村さんはいかがでしょうか?
何よりも大変だったのは、アニメーション制作が止まったことです。
そうですね。制作プロダクションも、去年の1回目の緊急事態宣言(7都府県を対象に2020年4月7日から)を受けて、いったん出社をやめました。でも、誰も経験したことのない未曽有の事態だったので、当然リモートワークの環境が整っていたわけではありません。

さらに、アニメを作る部門はアナログの作業も多いので、1週間止まるだけでも本当にダメージが大きかったです。

作る側だけではなく、放送する側もいろいろなトラブルがあったと思います。作品によっては放送時期が1年近く変更されてしまったので、商品や宣伝など準備していたものをすべて考え直さないといけなくなり、業界内のどのセクションも大変だったのではないでしょうか。
制作に限っていうと、作画はもちろん、アフレコが止まってしまったこともかなり大きかったですね。10週近く再放送で繋いでいたこともありました。
最低でも4週、1ヶ月分はやりましたよね。みんな出社できないなか準備をして、振り返り特番なども実施しました。
アニメイトさんは実店舗をお持ちですが、また違った苦労があったのではないでしょうか?
春はお客さまが新生活を迎え、さらにゴールデンウィークという連休が控えているので、本来であれば、多くのお客さまがお店にいらっしゃる時期ですので、非常にツラいタイミングでしたね。

あとは、インストアイベントなどが延期・中止になってしまい、お客さまも非常に残念な気持ちになられたと思います。
店舗を完全に閉めていたときもあったんですか?
店舗の営業を一時的に、時短営業・臨時休業をさせていただくこともありました。

イベントも取材もできず…作品PRも試行錯誤だった

田中さん、寺田さんはいかがでしょうか?
僕は、4月と7月スタートのアニメと、秋に劇場公開を控えた作品の宣伝を担当していました。これまで行ってきたフィジカル(物理的)な宣伝の手法が実施できなくなったことが影響としては大きく、ある程度覚悟はしていたものの、プランの組み直しなどが発生したことは大変でした。

前川さんのお話にもありましたが、店舗でイベントを行うのはCDをリリースしたときの常套手段なんですけど、当然、緊急事態宣言下では実施できません。

じゃあ、代わりに何をしようか、対面は無理でもオンライントーク会ならできるんじゃないか……そうやってできることを探して進めていくのは勉強になり、大変でもあった時期でしたね。

また、映画館が一時的に閉館していたので、劇場作品は公開日の調整が困難でした。映画の配給をされている他社さんのお話を伺っても同じことをおっしゃっていたので、皆さん苦心されていたんだと思います。

今は2年目のターンに入ってきたので、去年の手法を活かして何ができるのかを、より具体的に考えられるようになってきているのではないでしょうか。
昨年の経験を踏まえて、新しい体制ができあがりつつあると。
新しい体制を作っては更新して、という感じでしょうか。
全部ではないですね。パートによっては新体制もなじんできたという感じでしょうか。
とくに、イベントは緊急事態宣言が出てしまうとリアルでは開催できないですしね。
そうなんですよね。僕も田中さんと同じで、会社では宣伝の立場で働いています。ちょうど緊急事態宣言が発令される前、1月〜3月まで放送していた作品を抱えていて、リアルイベントの開催の是非についてかなり悩んだ経験があります。

ネコをテーマにした作品でしたので、2月22日(ネコの日)に特別上映会を開催したのですが、それがいろいろとギリギリなタイミングで。お客さまを入れて映画館を密の状態にしていいのかなど、当時はまだ探り探りのなかでの運営となりました。

しかし、その直後くらいからリアルイベントは行えない状態で、AnimeJapan 2020も開催中止になってしまい……。最終回の放送に向けて仕込んだAnimeJapanの舞台でのPRができなくなってしまったのは悔しかったです。

そして、宣伝の人間としてもっともツラいのは、取材ができなくなること。それだけでも大打撃なのに、レギュラーで行っているラジオの収録もリモートでやらなければならず、「Discord(ボイスチャットツール)ってなんぞや?」みたいなところから始めました(笑)。

今でこそリモートの収録も当たり前になりましたが、当時は番組へのブッキングすらままならず、PRの手段はだいぶ制限されていましたね。
リモートのラジオ収録って、笑いまでに一瞬“間”が空くんですよね。
そうそう。ラジオはあの密閉空間で、2人もしくは3人でのアイコンタクトをもってして進んでいくので、やはりリモートだとテンポの取り方が難しいと思います。
変な空気になりますよね。いっせいに話そうとして、「あ……」みたいなことも起こりますし。
そうなんですよね。
対面のものができなくなってしまったのは、たぶんどこの会社にとってもツラかったと思います。

移動時間がどれだけ取られていたか、会議のオンライン化で痛感した

では、リモートに移行していくなかでの苦労はありましたか? 先ほど「アナログ作業が多い」とおっしゃっていたように、アニメ制作の現場はとくに大変だったのではと思うのですが……。
もともとデジタル作画が進んでいる会社は、リモートワークを機にデジタル化がグッと推進されたと思いますが、なかなかそれが難しい会社もあって。正直に言えばあまり大きくは変わっていないと思います。
そうですね。正直なところ、CGチームはテレワークが進んでいたりもしますが、全体を考えると弊社もまだまだ課題が多いと思います。
ただ、これまでも遠方のアニメーターさんと電話で作画打ち合わせをすることはあったので、リモート会議はそんなに抵抗がなかったと思います。
あと、便利になったとよく聞くのは、本読み(シナリオ会議)でしょうか。脚本家さんは同時期に複数本を掛け持ちされていることも多いのですが、対面で打ち合わせを行っていた頃と比較すると、移動に使っていた時間も作業にあてられるので。

脚本作りに特化して言えば、オンライン化はプラスに働いているようにみえます。
私も、オンラインになっていちばんよかったことは打ち合わせだと思います。移動時間がどれだけ取られていたのか痛感しました。

ただ、こちらから企画を提案しに行く場合は、直接お会いしたいですね。今まで「お伺いする」一択だったので、使い分けができるようになったのはよかったです。
たしかにそうですね。
逆に、「ここは対面のほうがよかった」と思うことはありますか?
僕は古い人間なので、すべてにおいてリモートよりも対面のほうがいいと思ってしまいますね。若い人はどうなの?
相手の表情が見えない状態で、「こういう施策を実施したくて」みたいな話をするときはやりにくさを感じます。頷いてくれているのかピンときていないのか、反応が見えない中でのご提案になるのは不安な部分も大きいです。

オンラインも充実させるけれど、リアルの楽しさも忘れないで

オンラインイベントを実施するうえでの苦労や、反対にオンラインならではのよさを感じられましたか?
オンラインイベントというと生配信のイメージが強いと思いますが、もともと僕は事前収録して編集したものを納品することが多かったんです。

もちろん生配信ならではのよさもあるのですが、テロップや編集が入ると完成度の高い映像になりますので、個人的にはオンラインイベントも楽しんで取り組むことができました。
リアルなイベントを打つよりそっちのほうがいい?
それは難しい問題ですね(笑)。オンライン配信が世の中に浸透してきて誰でも手軽に観られるようになり、ひとりでも多くの方にイベントを観ていただけるようになったのはとてもいいことだと思っています。

一方で、昨年の10月末にイベントを開催し、お客さまを招待したことがあったんです。収容率は5割なので会場にお越しいただけるお客さまの人数も限られ、マスクは必須、飛沫感染を予防するために声を出すこともできません。

そういった制限が多いなかでも、お客さまは温かい拍手で迎えてくださいました。その熱量はやはり会場でないと感じられない特別なものだなと改めて感じました。
なるほど。
オンラインイベントをやってみてリアルのよさも改めてわかりました。緊急事態宣言が解除されたあと、バーチャル展示会、サイン会をすべてオンラインで行うイベントを実施したのですが、遠方に住まれている作家の先生などにイベントを開催するところまでご足労いただく必要がないのは、オンラインのメリットだと感じました。

弊社はリアル店舗に来ていただいて、友達同士で楽しんでいただくのが大きな強みなので、オンラインに集中してしまって、リアルの楽しさを忘れられると怖いな、と思っています。
僕は、(イベントの)ステージを作ったことはありましたが、番組を作ったことはなかったので、お金がかかるんだろうなというイメージを持っていて。そのあたりはどうなんですか?
登壇者同士の距離を空けないといけないので、必然的にカメラの台数が増え、それに比例して機材の費用がかさんでいきました。
ものすごくわかります(笑)。
画面の見栄えの面でいうと、アクリル板が意外と厄介なんですよね。番組やイベントで斜めから撮ろうとすると、照明が反射して声優の皆さんの姿を邪魔してしまうんです。そうすると、どうしても正面からの画ばかりになってしまって。

券売状況が直前までわからないという恐ろしさ

ソーシャルディスタンスを徹底するとカメラ機材の費用がかさむ、というのは盲点でした。
お金がかかるのはたしかですが、こういう状況になっていなかったら思いつかなかったこともたくさんあります。たとえば、マスクを装飾してスタッフマスクを作るなど、そういうところも気にするようになりました。

あと、イベントや配信がTwitterのトレンドに入るのは、配信を観てくださっている方がリアルタイムでSNSに書き込んでくれるからこそなんですよね。現地だとスマホをいじりながら観ることはないので。

とくに日本はアニメファンの方々のTwitterが活発に動いているので、作品もエンタメ業界も盛り上がっていると思ってもらえる要因のひとつなのかなと思います。
では、僕からは苦労面を。券売状況が把握しづらくなったのがいちばん大変です。

通常なら、1発目の情報解禁では大きく露出をするので、チケットは販売初日や2日目の数字が大事だと思います。もちろんたとえそこで完売しなくても、売れ行きを見ながら宣伝をして券売を伸ばすことができました。

それが、オンラインイベントに移行したら、チケット購入のタイミングがイベント前日や当日に偏ってしまったんです。また、オンラインイベントにはチケット完売という概念がありません。

無尽蔵のチケットを当日までPRし続けなくてはならず、伸びの結果が出てくるのはイベント当日含めた直近日。最後まで把握がしづらいのは、なかなかツラいものがありますね。
精神的にきついですよね。
でも、すごく興味深い話ですね。
たぶん弊社だけでなく、どこの会社も同じ状況だと思います。箱のキャパにとらわれず売り伸ばしができるので、結果的に購入者が増えてくれればうれしいのですが、前日くらいまで調子がわからないのはすごく怖いですね。
ちなみに、コロナ禍を受けてオンラインという選択肢ができたうえで、実際にイベントにお客さまを入れるかどうかはどう判断されていたのですか?
緊急事態宣言が解除されてからの仕事の仕方は、本当に会社によって違ったと思います。
そのなかでも国のガイドラインが整い始めて、9月19日、20日に京都で「京都国際マンガ・アニメフェア(京まふ)2020」がリアルで開催されたことは、その後にかなり影響したと思います。
「京まふ」は事務局がAnimeJapanと同じですからね。
そうですね。当時はGo Toトラベルキャンペーンの開始もあり、世の中的に「このまま新型コロナウイルスも収束に向かい、日常が戻ってくるんじゃないか」という期待感も強く、楽観視していました。

オンラインに何を求められているのか考え続ける必要がある

2020年の大きな変化を通して、2021年以降のアニメ業界や作品制作の現場はどのようにあるべきだと感じますか?
本来であれば、アニメ制作は今をチャンスととらえてデジタル化を進めていくべきなんでしょうね。

ただ、ペンタブといったデジタルツールがこれだけ主流になっても、紙と鉛筆にこだわりを持っていらっしゃるアニメーターさんはたくさんいらっしゃいますし、それが日本のアニメーションのよさでもあると思いますので、それを考えると、簡単ではないですね。
アナログのアニメーション制作現場って、原画などの素材を次の作業場へ移動させる必要があるんです。スタッフが届けるにしても、配送会社を使うにしても、リアルでやらなければいけないことの筆頭で。

デジタル化のインフラがもっと整えば、人が動かなくて済むようになって、海外とのやりとりももっと効率がよくなるはずなんです。これはある種まっとうな進化だと思うので、それが少しでも進めばいいなと。
難しいところではあるんですけどね。
結局みんな、もうインターネットやメールのない仕事には戻れないじゃないですか。それと同じことが業界にも起こりつつあるといいなぁ(笑)。
わかります、「いいなぁ」なんです(笑)。
宣伝を担当されている寺田さんと田中さんは、これからのオンラインイベントの在り方をどのように考えていますか?
宣伝は制作が作ったものを伝える立場の人間なので、多少過程が増えたとしても、コロナを言いわけに情報伝達が疎かになるのはよくないと思っています。

どういう手段をとるかは日々皆さん模索中だと思いますが、宣伝は人にリーチができてなんぼだと思うので、絶えず新しいやり方を見つけないといけないタイミングにきていると考えさせられました。オンラインなのかリアルなのか、何が今の時代にいちばん適しているのかはまだわからないので、考え続ける必要があると思っています。
今は配信プラットフォームがたくさんあるので、視聴する側の楽しみ方にバリエーションが出てきました。そして、配信で観るということ自体に慣れつつあるので、僕たちもユーザーに寄り添っていけるような新しいアプローチをする必要があります。

リアルはリアルのよさ、オンラインはオンラインのよさが見えるようにすることが課題ですね。

とくにイベントは開催すればいいというものではなく、応援してくださる方や楽しみにしてくださる方がいて、初めて成立します。今、皆さんがオンラインに何を求めているのか。それを考えて実行することが、僕たちがすべきことだと思いますね。
たしかに、コロナ禍をきっかけにNetflixやアマゾンプライムなどの動画配信サービスでアニメを観る方も増えましたよね。
圧倒的に増えていると思います。とくに各配信サービスがオリジナルコンテンツ制作にも注力していますし、この1年で相当増えたんじゃないでしょうか。
「サブスク」という単語がより注目されるぐらい、皆さん動画配信サービスなどを利用して視聴していたんだろうなと思います。

当初は、リアルとオンライン両方の開催を検討していた

では、ここからはAnimeJapanのお話をお聞きしていこうと思います。皆さんはAnimeJapan 2020のときもスタッフとして関わられていたのですか?
僕以外は皆さんそうですよね。
そうですね。AnimeJapan 2020の中止が決まったとき、中嶋さん以外の4人はいらっしゃったと思います。
総合プロデューサーは毎年変わるんですけど、じつは僕らは去年からそのまま関わらせていただいています。そのとき寺田さんの担当は何でしたっけ?
僕はステージ担当でした。
ちなみに、寺田さんと中嶋さんが総合プロデューサーになることが決まったのはいつ頃ですか?
たしか、去年の6月くらいですかね。
7月より前には決まっていたと思います。
そうですよね。緊急事態宣言も明けていたはずなので、5月末か6月くらいかと。もはやその辺の時間の感覚がまったくないです(笑)。
では、AnimeJapan 2021の準備はいつ頃から始められたのですか?
例年であれば3月にイベントが終わって、4月に実行委員会で打ち上げを行い、ひと区切りついたのちに、7月くらいから次の準備が始まるという流れがありました。

しかし、2020年はイベントの開催自体がなかったので、そのまま切れ目なく2021年の準備に続いていった感覚です。
「お疲れさまでした!」みたいなのがなくて。2021年はどうなるんだろうと思いながらズルズルとね。
AnimeJapan 2021は、当初からオンラインで進める予定だったのですか?
委員会のなかでもオンライン重視という考えが多かったので、最初からオンラインは行う予定で動いていました。

リアルイベントの可否に関しては、さっき少し触れた「京まふ」という9月開催のイベントが、AnimeJapanと同じソニー・ミュージックソリューションズ運営のもとリアルで行われる運びになっていたので、その結果を踏まえて決めようという話をしていて。

正直、「オンラインだけでもいいのでは」というご意見もいただきました。ただ「京まふ」が実施できたこととGo Toトラベルキャンペーンが追い風となっていたので、オンラインとリアルの両方やりましょうと舵をとりました。
そうですね。それが去年の9月末です。
しかし、再び感染者数が増加し、年明けに緊急事態宣言が出てしまったので、リアルは難しそうだとオンラインのみの開催に変更となりました。

急にリアル開催ができなくなったAnimeJapan 2020と違って、オンラインとリアル開催の両軸で走っていたからこそ、オンライン開催を残すことができたのは、結果大きかったと思います。

67プログラムすべてを観られるのが、今年のAJの最大の強み

特集第2回の高橋李依さんのインタビューでは、今まで無料のイメージが強かった配信を有料で観てもらうことに対する葛藤をお伺いしました。運営側の皆さんは、そこについてはどのようにお考えでしょうか?
もちろん、有料にするからにはそのぶん価値があるイベントにする必要があると思います。

今回に関しては、“全部のステージを観ることができる”というのが最大の強みですよね。アンバサダーである西川貴教さんのLIVEも決定し、名だたる作品のステージと小規模ステージが、2日間で合計67プログラムもあるんです。
それがすべて観られるのは、今のところ今年しかありません。そこが、チケットを購入する最大の魅力だと思います。人気のキャストさんは番組を掛け持ちされているので、そんな皆さんの姿を一気に観ることができるのは、配信だからこそではないでしょうか。
それに、これまでのAnimeJapanは、結果論ですが、抽選で当たった人だけがメインステージを観賞できる、プライオリティが高い状態でした。しかし逆にいうと、直接情報をお届けできるのは閉ざされた空間にいる一部の人に限られてしまっていたんです。

今年はチケットを購入していただくことで全面開放し、アーカイブで24時間再視聴ができる。しかも、ステージ単価にすると出費は数百円程度です。一緒にイベントを作り上げている皆さんと何度もお話をしてそこまで踏み込ませていただいたので、お金を出していただける価値のあるステージになっていると思っています。
例年だと観光という楽しみもあるとはいえ、海外から渡航費をかけて日本まで来てくれていた海外の方にとっては、自宅でこの値段で全ステージ観賞できるというのはお得なのかなとも思います。
国内でも東京以外に住んでいらっしゃる方からは、交通費と移動時間がかからないので参加しやすくなったというお声もTwitterなどで拝見しました。
プラスにとらえてくださる声も届いていますね。
やはり、完全無料で来年以降も継続して運営していくというのは現実的に難しいです。僕たちも喜んでいただけるステージ作りを心がけていくので、ご理解いただけるとうれしいなと思います。
他に、オンラインで開催するからこそのよさはありますか?
田中さんのアイディアで進めていただいているのですが、『インターネットラジオ音泉』さん協力のもと、ステージとステージの幕間で、出番が終わった登壇者さんとミニコーナーをやる予定です。

これまでは役者さんをステージでしか観られませんでしたが、オフの表情を観て声が聴けるというのは、今回の新しいチャレンジのひとつです。
それはたしかにオンラインならではですね。
あとは、コスプレイヤーズワールドですよね。毎年、大名行列のようにコスプレイヤーさんに行進してもらったり撮影会をしたりしていたのですが、オンラインではそれができないので今年は番組を配信することにしました。

コスプレ雑誌『COSPLAY MODE』さんとタイアップをし、ウィッグを忠実に作る方法や、どうメイクをしたらいいのかなど、HOW TOを提供する予定です。

今までは完成しているクオリティの高いコスプレを観ることしかできなかったのが、コスプレのやり方といった細かい部分を知ることができる、そこが今年ならではですね。
コスプレ文化に新しく興味をもっていただくためにはどうするか、が課題です。コスプレは最初からオンラインを主軸にやると決めていました。アイディアベースでは何をするべきかずっと考えていたのですが、くわしい人たちのアイディアを借りるのがいいんじゃないかというところに着地しました。
『COSPLAY MODE』さんと組んだことで、よりくわしい方たちからご意見を頂戴することができ、スムーズにことが運びました。

また、広いステージでコスプレ講座をやっても、手元の細かい部分まで丁寧に見せるのは無理があって。とくに後方の席からだとまったく見えない可能性もあるので、配信だからこその企画だと思います。
初めてコスプレ文化に触れる人にも楽しんでもらえたらいいですよね。今までは興味がある人を中心に楽しんでいただいておりましたが、今回の配信ではより多くの方に興味を持っていただける機会だと思います。

「AJを開催したい」という気持ちは全員に共通していた

総合プロデューサー以外のお三方にお伺いしたいのですが、それぞれがご担当されている部門のオンラインならではの苦労もあるのでしょうか?
僕以外の皆さんもそうですが、メインでステージを担当しながら、それ以外の業務にも携わっているんですよ。僕は宣伝分科会にも入っていて、イベントをPRするため皆さんと日々知恵を絞っています。

今年は西川貴教さんにアンバサダーを務めていただいているので、どうやって広報活動していくかというところも含めて、いろいろな分科会と連携を図っていかなければなりません。

Production Works Channelはどうですか?
Production Works Channelは例年とそこまで大きな差はありません。これまでは展示をメインに、アニメーターや制作スタジオのスタッフからアニメの作り方を学ぶといった内容でやってきて、それを配信番組に変えました。
ちなみに、AnimeJapan 2021に関わっている方は全体だと何名くらいなのでしょうか?
23社参加していて、1社あたり1人のところもあれば、3人のところもあります。だいたい40〜50名ですね。
たくさんのエンタメ企業が一堂に会するのがAnimeJapanのよさのひとつだと思いますが、そもそもここまで多くの企業の垣根を越えた共同事業って、あまりないことのように思うのですが……。
アニメの業界は少し特殊で。複数社がお金を出し合って1本の作品を作る製作委員会方式をとっているので、広い意味でいえばあります。しかし、23社もの企業が集まるというのは珍しいです。
基本的に、こういう大きなイベントでない限り、他社さんと密接に関わりながら仕事をすることはないですよね。
「東京ゲームショウ」や「東京モーターショー」など、他の業界の一大イベントが僕たちのようにやっているのかはわかりませんが、ここまで業界内他社同士が連携して大規模イベントを作り上げているのは稀有な例で、かなり特異な委員会なんじゃないかと。
では、40〜50人の上に立たれる立場として、総合プロデューサーならではのご苦労もあると思いますが、いかがですか?
皆さん本当にアイディアが豊富なので、どちらかというと勉強させていただいている心境です。まとめる立場としての苦労はほとんどないのですが、ひとつ言うならばスケジュールですね。

本来であれば夏頃から準備を始めたかったのが2ヶ月ほど遅れ、さらに今年の1月でまたひっくり返ってしまったので、時間がないことがいちばんのネックだったと思います。
そうですね、とにかく時間でしょうか。分科会と委員会で合わせて、いったい何時間AnimeJapanに割いたんだろうと(笑)。

自社の仕事ももちろんあるので、それ以外の時間で集まって何時間も打ち合わせをしたのに、それがまた1ヶ月後には別の方向性に変わってしまった、というのが3〜4回繰り返されました。その苦労は確実にありましたね。

もうひとつ大変なのが、会社の人間として、さらに実行委員会の一員として、両方の顔を持たないといけないところですね。当然ながら、23社それぞれの会社の事情を挟まざるを得ないこともあって。何か意見が挙がったときは、とにかく話を聞いて解決していくしかなくて。

そもそも、全社が諸手を挙げてOKを出すというのは無理な話なんです。せめてなるべく多くの会社に賛同していただき、納得できる基準まで整える、そのために僕と中嶋さんはいるんだろうなと。
民主的にやっているからこそ時間がかかってしまうし、なかなか難しいです。
皆さん、AnimeJapanの仕事をしながら、普段のご自身のお仕事もされているんですか!?
そうなんですよ。
そうですね。通常スキームであれば問題ないのですが、コロナ禍で何度も状況が変わるので、そこが大変だったところでしょうか。
そして、AnimeJapanという共同体でのカロリーは、なかなか担当以外の方は把握しづらいでしょうね(笑)。
ただ、AnimeJapanは立ち上げの1年目2年目こそ苦労したかもしれませんが、すでに8回目なのでスキームが全部できているんです。

どんな新しい試みをするか、お客さまを増やすにはどうしたらいいか、というアップデートは繰り返していますが、スキームが崩れることは今までありませんでしたね。
そのスキームが、2020年は初めて崩れてしまったのですね。
そうなんです、初めて崩れたんです。
去年初めて中止という目にあって、今年はすったもんだですよ(笑)。
そんななかでも、「AnimeJapanをやりたい!」という気持ちはみんな一緒でしたね。
では、オンライン開催のスキームは、今年である程度できあがりましたか?
そうですね。(イベントを終えて)4月になったらそう言えるかもしれないです。
でも、来年は来年でまた大変かもしれませんね。今年初めて挑戦したことの結果が出るので、成功した部分と失敗した部分をきちんと分析する必要があると思いますし、もし来年リアル開催ができる環境になっていたとしたら、それはそれでやることが多いと思うので。
ありがとうございました。最後にAnimeJapan 2021を楽しみにしている読者にメッセージをお願い致します。
ステージに関しては、注目のタイトルや僕も観たいと思えるステージがたくさんあります。なおかつ、今年は短い時間ではございますがアーカイブもありますので、皆さんご自宅でゆっくりしながら観ていただけるとうれしいです。エンタメの火を灯し続けていきましょう!
今年のAnimeJapanは、初めての試みが多いのでお客さまも戸惑いがあると思います。

しかし、スマホやタブレットなど視聴媒体がふたつある方は同時に2ステージを観ることができますし、視聴媒体がひとつしかなくてもアーカイブが残るので複数のステージで行われている企画をすべて観ることができます。

それが、リアルではできないオンラインの強みです。お客さまそれぞれの楽しみ方で、一緒に盛り上がりたいと思っています。
今年はオンラインのみという形になってしまいましたが、イベントをやっている側としてはいつもと変わりなく準備を重ねてきたつもりです。

去年のように中止にならなくてよかったと思いつつ、皆さんがオンライン開催をどのように受け取るのか正直不安もあります。しかし、せっかくのAnimeJapanなので楽しんでください。
僕からはひと言だけ。実行委員会23社が一丸となって、オンライン第1回の開催に向けものすごく頑張って準備してきましたので、ぜひ観てください!
今年のテーマは「繋ぐ=∞」です。これまでは6回目だから「ロック」、令和初開催だから「和」など、わかりやすいテーマを掲げてきました。

それに比べると「繋ぐ=∞」は少しわかりづらいテーマかもしれませんが、来年再来年のAnimeJapanに「繋」いでいくためのAnimeJapan 2021になると思っています。

ぜひ、チャレンジとなる2021年のAnimeJapanを楽しみにしていてください。
寺田浩史(てらだ・こうじ)
10月20日生まれ。静岡県出身。これまで関わった作品に、『WAVE!! 〜サーフィンやっぺ!!〜』、『異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術(一期)』、『ネコぱら』など。アーティストに『Run Girls Run!』など。
    中嶋俊介(なかじま・しゅんすけ)
    10月29日生まれ。石川県出身。2016年に株式会社タツノコプロ入社。コンテンツビジネス部に所属し、キャラクターライセンス営業を中心に行いつつ、昨年は『ハクション大魔王2020』でアソシエイトプロデューサーを担当した。
      北村耕太(きたむら・こうた)
      12月24日生まれ。東京都出身。1998年に株式会社ぴえろプロジェクト入社。『NARUTO-ナルト-』、『BLEACH』などの宣伝物やグッズデザインを担当。近年は自社作品のイベント業務を中心に行う。
        田中 瑛(たなか・あきら)
        6月18日生まれ。北海道出身。これまでに関わった作品に、『かぐや様は告らせたい?』、『はたらく細胞!!』、『〈物語〉シリーズ』など。
          前川桂子(まえかわ・けいこ)
          10月11日生まれ。兵庫県出身。2013年入社。イベント業務をメインに、番組制作プロデューサーなどを担当。

            イベント情報

            AnimeJapan 2021
            ■公式HP:https://www.anime-japan.jp/
            ■日程:3月27日(土)〜3月30日(火)
            ■チケット
            3月27日(土)チケット/3,800円(税込)
            ※視聴可能時間:
            日本時間3月27日(土)9:00〜3月28日(日)23:59まで

            3月28日(日)チケット/3,800円(税込)
            ※視聴可能時間:
            日本時間3月28日(日)9:00〜3月29日(月)23:59まで

            2日通しチケット/7,300円(税込)
            ※視聴可能時間:
            日本時間3月27日(土)9:00〜3月28日(日)23:59まで
            日本時間3月28日(日)9:00〜3月29日(月)23:59まで

            第3回AJプレゼンテーション 開催前夜スペシャル〜出展プログラム特集〜
            ■日時:3月26日(金)20:00〜21:00予定
            ■出演:鈴木崚汰(MC)、藤田茜(MC)
            ■内容:AnimeJapan 2021 出展プログラム特集
            ・ニコニコ生放送 https://live.nicovideo.jp/watch/lv330999520
            ・YouTube Live https://youtu.be/M0auIQc0Lqw
            ・ペリスコープ(Twitter) https://twitter.com/animejapan_aj
            詳細はAnimeJapan公式サイト(https://www.anime-japan.jp/)にて

            公式アンバサダー 西川貴教LIVEステージ決定!
            AJステージ/AJスタジオ 全67プログラム ラインナップ勢ぞろい!

            ●公式アンバサダー 西川貴教 ∞キャラバン
            (読み:公式アンバサダー 西川貴教 無限大 キャラバン)

            <下記配信プログラム内に出演予定>
            3月27日(土)11:15〜「音泉 presents AJステージお疲れ様!アフタートーク!Vol.2」・・・※
            3月27日(土)12:30〜「ポニーキャニオン配信プログラム」
            3月27日(土)13:20〜「KADOKAWA配信プログラム」
            3月27日(土)14:00〜「Fate/Grand Order配信プログラム」
            3月27日(土)15:30〜「エイベックス・ピクチャーズ配信プログラム 」
            3月27日(土)16:05〜「TOHO animation配信プログラム」
            3月27日(土)17:15〜 AJステージ 無限大(Infinity)RED STAGE
            『AnimeJapan 2021 公式アンバサダー 西川貴教LIVEステージ』・・・※

            【注】西川貴教さん出演のプログラム(※印)を視聴するには、オンライン視聴チケット(3月27日)が必要です。詳細は、公式サイト(https://www.anime-japan.jp/)にてご確認ください。


            ©AnimeJapan 2021

            AnimeJapan 2021 オフィシャルグッズ プレゼント

            AnimeJapan 2021 オフィシャルグッズ AJガチャ:缶バッジ(全20種)を1名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

            応募方法
            ライブドアニュースのTwitterアカウント(@livedoornews)をフォロー&以下のツイートをRT
            受付期間
            2021年3月25日(木)18:00〜3月31日(水)18:00
            当選者確定フロー
            • 当選者発表日/4月1日(木)
            • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
            • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから4月1日(木)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき4月4日(日)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
            キャンペーン規約
            • 複数回応募されても当選確率は上がりません。
            • 賞品発送先は日本国内のみです。
            • 応募にかかる通信料・通話料などはお客様のご負担となります。
            • 応募内容、方法に虚偽の記載がある場合や、当方が不正と判断した場合、応募資格を取り消します。
            • 当選結果に関してのお問い合わせにはお答えすることができません。
            • 賞品の指定はできません。
            • 賞品の不具合・破損に関する責任は一切負いかねます。
            • 本キャンペーン当選賞品を、インターネットオークションなどで第三者に転売・譲渡することは禁止しております。
            • 個人情報の利用に関しましてはこちらをご覧ください。
            ライブドアニュースのインタビュー特集では、役者・アーティスト・声優・YouTuberなど、さまざまなジャンルで活躍されている方々を取り上げています。
            記事への感想・ご意見、お問い合わせなどは こちら までご連絡ください。