AnimeJapan特集 第2回/高橋李依「お金をいただくからには無料配信とは違うことをしたい」

“アニメのすべてが、ここにある。”をキャッチフレーズにした、世界最大級のアニメイベント「AnimeJapan」。

2014年から毎年開催され、回を重ねるごとに規模を拡大させていった本イベントだが、2020年は新型コロナウイルス感染症の影響で惜しくも開催を断念。そして今年、2021年のAnimeJapanは初めての「オンライン開催」という形で復活することとなった。

ライブドアニュースでは今回、そんなAnimeJapanに注目。さまざまな形で本イベントと関わるキャストやスタッフにインタビューを行い、世界最大級のアニメイベントがどのようにして作り上げられているのか、その裏側をシリーズでお届けしていく。

第2回となる本記事では、女性声優ではAnimeJapanのステージ最多出演を記録する高橋李依にインタビュー。出演者として、イベントの思い出やオンライン開催となるAnimeJapan 2021への思いを聞いた。

撮影/川野結李歌 取材・文/鈴木 幸、小山恭之 制作/リアルコーヒーエンタテインメント
ヘアメイク/Yuu.(Leading)

「AnimeJapan 2021特集」特集一覧

リポーターから、ステージ最多出演の女性声優へ

高橋さんは、2017年以来、過去3年間で11回と女性声優のなかではAnimeJapanのステージに最多出演されているそうです。
えっ! そうなんですか!? 光栄です! きょうのインタビュー、私が“AnimeJapan好き”を公言していたから呼んでいただいたのかと思っていました(笑)。
そんな高橋さんに、AnimeJapanのお話をたくさんお聞きしていこうと思います。AnimeJapanは毎年15万人近い人が訪れる一大イベントですが、初めて声優として参加されたのはいつでしたか?
養成所を出てすぐの頃、2013年のTAF(東京国際アニメフェア/2014年以降はアニメ コンテンツ エキスポと統合され、AnimeJapanとして開催)で上田麗奈さんと斉藤壮馬さんの3人で、現地リポーターとして出演させていただいたのが最初でした。
今になって振り返ると豪華な共演ですね! どういった番組だったのですか?
NOTTVさんの番組(『東京国際アニメフェア2013がわかるガイド番組決定版 ここが未来。東京国際アニメフェア2013』)で、コスプレ会場で当時流行りのコスプレを紹介したりしていました。

私自身も『リボンの騎士』のコスプレをして、リポーターをやったんです。麗奈はたしかクリィミーマミちゃん(『魔法の天使クリィミーマミ』)だったかな?

ふたりとも養成所で同期だったのですが、今ではなかなか3人一緒にはなることは少ないのでよく覚えています。

その経歴があったからこそ、AnimeJapanで声優としてステージに立てた喜びもひとしおで。「今年からは楽しませる側なんだ!」と気合が入りましたね。
では、AnimeJapanのステージに初めて登壇されたときの思い出を教えてください。
初めての登壇はAnimeJapan 2016の『Re:ゼロから始める異世界生活』(以下『リゼロ』)放送直前スペシャルイベントで。そのときに行われたバラエティ企画でのエピソードは、今でも話のネタになっているんですよ。
具体的にどういったエピソードなのでしょう?
「魔法を英語で何というか」というクイズが出たのですが、本当なら「MAGIC」と答えるところを、「MAHO」って言っちゃったんです(笑)。

私、『魔法つかいプリキュア』でキュアミラクルを演じさせていただいたときに『魔法アラ・ドーモ!』という歌で「M.A.H.O.(エムエーエイチオー)」ってコールしていたんです。だから、私の中ではずっと魔法は「MAGIC」じゃなくて「MAHO」ってイメージで。

2016年からパーソナリティをやらせていただいているラジオ(『Re:ゼロから始める異世界ラジオ生活』)では、今でもそれをネタにずっとイジられています(笑)。

衣装はすべて自前! 作品によって毎回変えています

そのほかにも今まで数多くのAnimeJapanのステージに登壇されていますが、印象深いエピソードはありますか?
毎年いろいろな作品のステージに立たせていただいていますが、とくに大切にしているのは作品ごとに衣装を変えること。作品によってイメージカラーがあるので、できるだけそれを取り入れた服を身に着けたいなと思っていて。

だから、AnimeJapanでは毎回キャリーケースで大移動(笑)。それもまた、私の楽しみのひとつです。
スタイリストさんではなく、全部ご自身でご用意されていたのですか?
そうなんですっ! 2017年のGREENステージの頃から、衣装を自分で用意するようになりました。

たとえば、AnimeJapan 2018での『こみっくがーるず』のステージだと、演じさせていただいたキャラ(勝木 翼)がボーイッシュな女の子なので、水色のパーカーの衣装にしようとか……。
AnimeJapanが始まる1、2ヶ月前くらいから、「あの作品はステージがありそう」と耳にするので、それを聞いた瞬間にはもう衣装を探し始めていましたね(笑)。それもとっても楽しみなんです。
髪型も服装によって変えられているのがとても素敵でした。
ステージごとにメイクさんに相談しているんです。朝イチのステージは「スプレーかけないでおくね」と対応してくださったり、全ステージで共通でできそうな髪型にしていただいたり……。そういった打ち合わせも、メイクさんとよくしています。
たくさんのステージに登壇されているので、ステージ間の移動をしながらお着替えをされるのは大変そうです。
どんなに時間がなくても、衣装の着替えの時間だけはとっていただくようにお願いしていました(笑)。

衣装を着替えると自然とスイッチが働いて、ステージで話したい内容に頭を切り替えられるんですよね。なので、ステージの移動ごとに誰よりも先に更衣室に直行していました(笑)。

AnimeJapanは、みんなの頑張りを確認し合える場所

先ほど「AnimeJapanが大好き」とおっしゃっていましたが、どんなところがお好きなのでしょうか?
いちばんは、“文化祭感”でしょうか。舞台裏で同じ事務所のメンバーとすれ違うときに「お疲れ!」と声を掛け合っているのが文化祭っぽくて楽しくて。私、お祭りが大好きなんですよね(笑)。

それに、声優仲間や先輩や後輩、お世話になったスタッフさんたちなど、アニメを通して関わってきた方々が一堂に会している様子を見られるのもうれしくて。また、普段なら同じ現場で会うことがない方々が、制作会社や作品ごとの垣根を全部取っ払ってAnimeJapanの舞台裏を駆け巡っているのを見るのが好きなんです。
同窓会のような感じもありますね。
そうかもしれません。「あの作品には誰々さんが出ているんだ」「あの方は今、あの作品をやられているんだ」と、“みんなの頑張りを確認し合える場”だとも思っています。

いろんな方々の頑張りを見られるからこそ、改めて「アニメ業界が好き」って思える場所なんですよね。
毎年規模が拡大しているAnimeJapanですが、お客さんの熱気が増していくのを感じることはありますか?
やっぱり、熱量をダイレクトに感じられるのは、お客さんとの距離が近い企業ブースだと思います。企業ブースだと、ステージの途中で立ち止まって観てくださる方がどんどん増えてくるのがわかるのもうれしくて。

それに、企業ブースは座席が先着順なので、もしかしたら私よりもステージ間の移動速度が速い方もいるんじゃないかと思ったり(笑)。

私は裏導線で近道させてもらえていますが、通常ルートであんなに大きな会場を回って私が登壇しているステージに来てくださると、「よくここまで来たねっ!」とうれしく思います。

年々イベントの規模が大きくなるにつれて私の移動量も増えていくのですが、そのたびについてきてくれている方々にも熱量を感じますし、何より感謝の気持ちでいっぱいです。
では、もしプライベートでAnimeJapanを回るとしたらどんなふうに過ごしたいですか?
やっぱり、声優さんに会いたいですね。私も声優なんですけど(笑)。

もちろん、その方個人としてもお好きなのですが、せっかくのAnimeJapanなので「この作品を演じているときのあの方に会いたい!」という気持ちが強くて。AnimeJapanなら作品ごとに声優さんのステージがあるので、その気持ちを叶えることができるのもうれしいですよね。

あと、『ひぐらし』(高橋さんは『ひぐらしのなく頃に』シリーズのファン/ご自身も『ひぐらしのなく頃に 命』に鳳谷菜央役として出演)のステージにはぜひ行きたいです!
過去の展示で印象に残っているものはありますか?
AnimeJapan 2017の『FGO』(『Fate/Grand Order』)の展示が印象に残っています。

第1部の旅の振り返りをプロジェクションマッピングで放映する催しがあったのですが、そこに、第1部のシナリオ最後のセリフに声が入ったものが初出しされたんです。AnimeJapan限定の映像で今は観ることができないので、とても思い出に残っています。

無料配信と有料配信の違いを考え続けている

昨年のAnimeJapanはコロナ禍の影響で中止になってしまいましたが、2年ぶりの開催についてのご心境はいかがですか?
昨年はAnimeJapan自体はなくなりましたが、AnimeJapanでステージを企画していた作品が、それぞれ配信をやっていたんですよね。

なので当時は、アニメに携わるみんながいったんバラバラになり、個々でアニメ業界を盛り上げようとしているイメージがありました。

それが、今年はみんながAnimeJapanに集結してくれることになって。やっていることは配信で距離を感じるかもしれないけれど、個人的には「AnimeJapanが帰ってきた!」といううれしい気持ちがあります。
2020年はAnimeJapanだけでなく、さまざまなイベントが中止になってしまいました。アフレコ現場でも試行錯誤された1年だったかと思いますが、高橋さんの仕事や作品への向き合い方で変わった部分はありますか?
たくさんあったと思います。ただ、コロナ禍でのアフレコは大変だろうと思っている方も多いかもしれないのですが、実際はスタッフさんのおかげでずいぶんと楽をさせていただきました。

たとえば、音響制作さんが重要なシーンで掛け合う人だけを同じ時間に集めてくださったりして。そのおかげで、少人数ではあるものの、掛け合いから生まれるお芝居を感じながらアフレコすることができました。

なので、皆さんが思ってるよりはひとりぼっちではなかったんです。
そうなんですね。
今、私が出演させていただいているアニメだと、『リゼロ』だったら昴(ナツキ・スバル/CV:小林裕介)やフォルトナ母様(エミリアの育ての母親/CV:戸松 遥)と一緒にやらせてもらえて。

話数やシーンに合わせた調整はキャストさんたちだけではできないからこそ、スタッフさんに作っていただいた時間でできる最大のものをやろうと思いましたね。
では、イベントがオンライン形式になっていくにあたり感じたことはありますか?
もともと無料の配信番組には出演させてもらっていたのですが、それが有料になったときに何をしたらいいのかな、ということは少し考えました。

今まで“配信番組は無料”という印象が強かったと思うのですが、その金額の差をキャストが背負いこむべきなのだろうか、普段の無料番組で話しているお話を有料になったときにもそのまましてもいいのだろうか……って。

でも、そうは言っても「ここからは課金です」みたいな面白いトークの引き出しがあるわけでもなくて。もちろん、自分の中で最大限できる面白い話を考えることはしたいんですけど……。

そういう意味で、無料と有料の違いって何だろうとは、今も考え続けています。
たしかに難しい問題ですね。運営側が考えることかもしれませんが、実際に出演するのはキャストの皆さんなわけで。
普段、無料のネットラジオや生配信番組をやらせてもらっているのですが、そこで私を応援してくださる方は学生さんが多いと聞いたことがあったんです。

多くの学生さんにとって配信はお金を払わないものなのか、でもこれからはそれにお金を払ってもらう感覚を新たに作っていかないといけないのか……と思うと、私に何ができるかなぁって。

難しいですね。まだ答えは見つかっていないんです。現実問題として無料でモノは作れないわけで。でもだからこそ、お金をいただくからには無料とは違うことをしたいし、その違いを皆さんに感じてもらいたいし……そういうことを、いつも考えています。

SNSではわからない、リアルな距離の近さを感じられた

では、配信イベントが主体となって、ファンの方との距離感は変わりましたか?
私はSNSをやっていることもあって、ファンの方との距離が遠くなったとはそこまで感じていなくて。それに、コロナ禍をきっかけにインスタグラムも始めたことで、海外の方も自分を知ってくれていることを知りました。本当に、SNSが発達した時代でよかったなぁと思っています。

ただ、この前久しぶりのリアルイベントとなる『ゆるキャン△』の先行上映会があったですが、マスク越しでもファンの方の目もとがすごく笑っているのや、私が話をしたことに対し「うんうん」と頷いてくれているのが感じられて。

そのときに、改めてファンの方とのリアルな距離の近さを感じることができて、「人とのコミュニケーションって、これだなぁ!」って思ったんです。

それまでは、インターネットで繋がっているからそんなに離れていないだろうと思っていたのですが、このリアルな距離感を忘れていたんだなぁって。というより、気にしないようにしていたのかもしれません。

コロナのせいで会えないからこそ、ファンの方がお手紙を書いてくださったりリプライを送ってくださったりしたので、寂しさを感じることはなかったのですが……でもやっぱり、ファンの方と直接お会いしたことで、リアルなコミュニケーションの重要性を強く感じました。
ありがとうございました! 最後に、AnimeJapan 2021を楽しみにしている方々にメッセージをお願いします。
今回、AnimeJapan が2年ぶりに復活します。画面越しではありますが、ステージの高揚感や、アニメーション作品の垣根をなくし手を取り合って日本のアニメ業界を盛り上げようと頑張っている熱量は、きっと届くんじゃないかなと思っています。

私も楽しみにしていますので、今年は今年ならではの楽しみ方で、日本のアニメ業界を一緒に盛り上げてもらえたらうれしいです!
高橋李依(たかはし・りえ)
2月27日生まれ。埼玉県出身。2013年に声優デビュー。主な出演作に、『からかい上手の高木さん』(高木さん役)、『かくしごと』(後藤 姫役)、『彼女、お借りします』(桜沢 墨役)など。

イベント情報

AnimeJapan 2021
■公式HP:https://www.anime-japan.jp/
■日程:3月27日(土)〜3月30日(火)
■チケット
3月27日(土)チケット/3,800円(税込)
※視聴可能時間:
日本時間3月27日(土)9:00〜3月28日(日)23:59まで

3月28日(日)チケット/3,800円(税込)
※視聴可能時間:
日本時間3月28日(日)9:00〜3月29日(月)23:59まで

2日通しチケット/7,300円(税込)
※視聴可能時間:
日本時間3月27日(土)9:00〜3月28日(日)23:59まで
日本時間3月28日(日)9:00〜3月29日(月)23:59まで

第3回AJプレゼンテーション 開催前夜スペシャル〜出展プログラム特集〜
■日時:3月26日(金)20:00〜21:00予定
■出演:鈴木崚汰(MC)、藤田茜(MC)
■内容:AnimeJapan 2021 出展プログラム特集
・ニコニコ生放送 https://live.nicovideo.jp/watch/lv330999520
・YouTube Live https://youtu.be/M0auIQc0Lqw
・ペリスコープ(Twitter) https://twitter.com/animejapan_aj
詳細はAnimeJapan公式サイト(https://www.anime-japan.jp/)にて

公式アンバサダー 西川貴教LIVEステージ決定!
AJステージ/AJスタジオ 全67プログラム ラインナップ勢ぞろい!

●公式アンバサダー 西川貴教 ∞キャラバン
(読み:公式アンバサダー 西川貴教 無限大 キャラバン)

<下記配信プログラム内に出演予定>
3月27日(土)11:15〜「音泉 presents AJステージお疲れ様!アフタートーク!Vol.2」・・・※
3月27日(土)12:30〜「ポニーキャニオン配信プログラム」
3月27日(土)13:20〜「KADOKAWA配信プログラム」
3月27日(土)14:00〜「Fate/Grand Order配信プログラム」
3月27日(土)15:30〜「エイベックス・ピクチャーズ配信プログラム 」
3月27日(土)16:05〜「TOHO animation配信プログラム」
3月27日(土)17:15〜 AJステージ 無限大(Infinity)RED STAGE
『AnimeJapan 2021 公式アンバサダー 西川貴教LIVEステージ』・・・※

【注】西川貴教さん出演のプログラム(※印)を視聴するには、オンライン視聴チケット(3月27日)が必要です。詳細は、公式サイト(https://www.anime-japan.jp/)にてご確認ください。


©AnimeJapan 2021

「AnimeJapan 2021特集」特集一覧

サイン入りポラプレゼント

今回インタビューをさせていただいた、高橋李依さんのサイン入りポラを抽選で3名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

応募方法
ライブドアニュースのTwitterアカウント(@livedoornews)をフォロー&以下のツイートをRT
受付期間
2021年3月24日(水)18:00〜3月30日(火)18:00
当選者確定フロー
  • 当選者発表日/3月31日(水)
  • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから3月31日(水)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき4月3日(土)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
キャンペーン規約
  • 複数回応募されても当選確率は上がりません。
  • 賞品発送先は日本国内のみです。
  • 応募にかかる通信料・通話料などはお客様のご負担となります。
  • 応募内容、方法に虚偽の記載がある場合や、当方が不正と判断した場合、応募資格を取り消します。
  • 当選結果に関してのお問い合わせにはお答えすることができません。
  • 賞品の指定はできません。
  • 賞品の不具合・破損に関する責任は一切負いかねます。
  • 本キャンペーン当選賞品を、インターネットオークションなどで第三者に転売・譲渡することは禁止しております。
  • 個人情報の利用に関しましてはこちらをご覧ください。
ライブドアニュースのインタビュー特集では、役者・アーティスト・声優・YouTuberなど、さまざまなジャンルで活躍されている方々を取り上げています。
記事への感想・ご意見、お問い合わせなどは こちら までご連絡ください。