『銀魂 THE FINAL』特集 第2回/杉田智和×阪口大助×釘宮理恵「銀時は演技をするうえで、切っても切り離せない存在」

「週刊少年ジャンプ」(集英社刊)での連載開始から17年、テレビアニメ放送開始から15年――。

日本を飛び越え、世界で愛される人気コンテンツ『銀魂』(原作:空知英秋)。天人(あまんと)と呼ばれる宇宙人に支配された江戸を舞台にした奇想天外な設定、主人公の侍・坂田銀時を中心とした個性的なキャラクター、抱腹絶倒のやりすぎギャグ、決めるときは決める熱いドラマなど、その魅力を挙げればキリがない。

そんなアニメ『銀魂』シリーズのラストを締めくくる映画『銀魂 THE FINAL』が、1月8日に劇場公開を迎える。ライブドアニュースでは公開を記念し、主要キャストやスタッフに複数回にわたるインタビューを実施。怒涛の大特集をお届けする。

今回お届けするのは、坂田銀時役の杉田智和、志村新八役の阪口大助、神楽役の釘宮理恵による「万事屋」鼎談。杉田のボケに的確にツッコミを入れる阪口、マイペースだがオリジナリティあふれるワードセンスで、特大の笑いを巻き起こす釘宮……。“リアル万事屋”が、そこにいた。

取材では、アニメシリーズの締めくくりとなる『銀魂 THE FINAL』の舞台裏を中心に、これまでの歩みもたっぷりと語っていただいた。各々が作品始動時に抱えていた不安や葛藤は、必読の内容。さらには、よきライバルである真選組への想いなど、特大ボリュームでお届けする。準備はいいか? 行くぜェェェェてめーらァァ!!!!!

※TOP写真は左から、阪口大助、杉田智和、釘宮理恵。

取材・文/SYO

「『銀魂 THE FINAL』」特集一覧

#6 は近日公開!

「THE FINAL」のアフレコは「平常心の感覚」で挑んだ

『銀魂 THE FINAL』の制作決定のニュースを聞いたとき、みなさんはどう感じられましたか?
杉田 逆に、大きなニュースに対して平常心でいることのほうが重要だと捉えています。だって、一緒になって騒いだら、ものを作れないんですよ。

一緒になって神輿の上に担がれたら、身動きがとれないですよね。だったらお祭りをもっと大局から見て、「どうやったらみんなに楽しんでもらえるだろう。翌日汚くなった町を(笑)、誰が片付けるんだ?」、そういったことを自然に意識できないと、出演者の立場にならない。だから、あんまり重く捉えすぎずにいましたね。

「バカ騒ぎ」という触れ込みであっても、当事者がバカ騒ぎしてしまったら無意味だとは思っていました。
阪口 そうですね……。「終わるのだな」と、ストレートに受け止めましたね(笑)。

原作も終了したわけだし、終わることはわかっていたので、最後まで走りきることができて、非常にありがたかったです。感傷的になることは、一切なかったですね。完走できるうれしさのほうが勝っていました。
釘宮 私も「終わるんだな」と淡々と受け止めましたし、もともと終わるものだとわかっていたので、特別「さみしいな」とか「もうできないのか」みたいな悲観的な想いはありませんでした。

杉田さんが話していたように、そういうニュースをあえてさらりと受け止めるようにしているのかもしれないです。
アフレコに際しては、いかがでしたか?
杉田 現場もまた“平常心の感覚”といいますか、そういった体制で招き入れてくれました。監督やスポンサーをはじめとするスタッフさんの挨拶も特になく、自然に入ってきたら高松信司さん(本作の音響監督)が「収録を始めます」とおっしゃって。「こうだったらいいのにな」と思っていたことが、そのまま行われていましたね。
みなさんが自然体で意識統一されていたのは、素晴らしいですね。
杉田 気負う意味でのストレス、負荷がないんですよね。脱力するとかサボっているとか、頑張らないこととは違う空気感が自然と現場に漂っていて、すごく助かりました。うれしかったです。
『銀魂』本編の収録はひさびさかと思いますが、すんなり入っていけましたか?
杉田 ありがたいことに『銀魂』のキャラクターをしばらく演じない、ということはなかったので、そんなに大変さは感じませんでしたね。

別の現場でもやっぱり『銀魂』の話題は出るし、現場に行って「なぜ僕を起用したんですか?」と聞いたら「いやぁ、『銀魂』の影響で……。万事屋さんが一家を上げて好きなんです」というクライアントさんもいますし。僕と『銀魂』は、切っても切り離せないです。

いい意味で、代表作やイメージを置いていくのも大事かなとは思っていますが、かといって捨て去ることはできない。それこそ、「それを捨てるなんてとんでもない!」というメッセージが来るんで。
阪口 (笑)。
杉田 ただ、かといってその使い方を間違うのもよくないから、気を付けています。僕が「俺が坂田銀時だ!」と言ってテレビに出て調子に乗っていたら、蹴りを入れてください。
阪口 蹴りなんだ(笑)。

僕はやっぱり、台本をもらったときは「ああ、終わるんだ」と思いました。でも、さっき杉田くんが言ったように特別な儀式は何もなくて。

こんな状況(コロナ禍)なので、スタジオにいるキャストも万事屋3人や、子安武人さん(高杉役)くらいで大人数だったわけではないですし、終わったあとに花束をもらうこともなく……(笑)。本当にいつもの『銀魂』でした。
杉田 (笑)。
阪口 「なんかやってやろうぜ! 最終回だぜ!!」みたいな感じではないですし、エンディングもあんな感じで日常に戻っていくお話ですから、そんなに何か気張ってやることもないですよね。

アクリル板1枚で、万事屋のチームワークに危機到来!?

3人で一緒に収録できたのは、いかがでしたか?
阪口 それは本当にありがたかった!(満面の笑顔)
杉田 当たり前だと思ってたんですけどね。案外そうじゃなかったんだと思って……(しみじみ)。
阪口 本当にね。この状況になって、当たり前が当たり前じゃなくなったのが怖いなとは思います。だからここで3人が集まれたのは、僥倖ですよ。本当にありがたかったです。
釘宮 私も2人とまったく同じ感覚で、いつも通りみんなが全力で“普通に”頑張った収録だったと思います。3人そろっての収録も本当にありがたかったです。

ただ、3人そろっているにもかかわらず、マイクとマイクのあいだにアクリル板が立っていたことで……。
杉田 (何かを思い出したように)ふふふ。
阪口 ああー……(苦笑)。
釘宮 新八と息を合わせて同じセリフを言うことが多いんですが、普段はアクリル板がないから、ちょっとしたアクション(せーの、といった感じで動きを合わせる)と空気の振動でほぼ合わせられるんです。でも、アクリル板ってそういった気配を断ち切ってしまうみたいで、ちょっとオーバーにやらないと息が合わなくて……愕然としましたね。
阪口 (笑)。
釘宮 私、アクリル板があるからだってわからなくて、「あれ……久しぶりだから、かな……? 忘れちゃったのかなぁ」ってけっこうショックでした(笑)。

よくよく考えてみたら、アクリル板で空気の振動がさえぎられていたんだなと。やっぱり声も普段よりは大きく聞こえないところもあって、いつもとはちょっとだけ違う仕様なんだと感じましたね。
どういったタイミングで、アクリル板が原因だと気付いたのでしょう。
釘宮 私は「なんでだろう……」と悩んでしまったのですが、(阪口)大助さんはすぐ「アクリル板だね」って気付いてくださって(笑)。さすが勘がおよろしいんだな、と……(笑)。
阪口 馬鹿にしてんのかっ!(笑)「およろしい」ってなんだ!!
杉田 ははは。『かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』みたいで興奮しますね。
阪口 興奮しますね(笑)。
杉田 別のアニメの話をするんじゃないよっ!
阪口・釘宮 (笑)。
阪口 でも、そうなんですよね。ちょっとした変化なんですが、OKが出たあとで録り直したこともありましたよね。「微妙にズレてるぞ、気持ちが悪いな……。でもOK出たからいいのか?」とも思いつつ(笑)。
杉田 ありましたね! 横で見ていて「なぜなんだろうか」と思っていました。「(阪口さんと釘宮さんの息が)合わないなんてことないのにな……」って。

まさか薄い衝立(ついたて)1枚に、こんな効果があったなんて……不思議でならない。

『銀魂』始動時に抱えていた、声優としての苦悩

本作を観たファンは、約15年の歴史がフラッシュバックして、涙するかと思います。お三方が万事屋として初めてアフレコに参加した際の第一印象は、どのようなものでしたか?
阪口 最初は、「ジャンプアニメツアー2005」のときですかね。
杉田 ですね。あのときはずっと背伸びしたような気持ちで、マイク前に立っていた気がします。ちょっとでも力を入れたら転倒してしまうくらい、地に足がついていなかったですね。

「どうしよう、目上の人だらけだ……。どうして自分の声はこんなに出ないんだろう、なんでもっと声が伸びないんだろう」とか「存在感って何だろう」とか、結果を出すことばかり考えて焦っていました。それだけをすごく覚えています。
そうだったんですね……!
阪口 新八としては何も……何もって言い方はひどいな(笑)。ただ、気負いなく入れるキャラだったので、僕に関してはプレッシャーはなかったですね。ただただ『銀魂』という作品のノリと勢いについていくだけでした。

こういう作品ですからね。もちろん真剣にはやりますが、最初のアニメツアーのときに「演者が楽しくなければ伝わらないな」と思ったんです。新八に関しては、その状況状況を楽しむだけでしたね。すごく楽しかった思い出があります。
釘宮 うらやましいですよ!そんなに最初から楽しめたなんて。私は緊張しすぎて「空気……薄いな」「酸素、減ってる……?」って思ってました(笑)。
阪口 はははははは!
釘宮 最初の2、3年はずっとキャラクターが固まらなくて……。「いわゆる中国人のキャラクターみたいなしゃべり方にはしないでください」っていうのがオーディションのときに言われた言葉だったので、そうならないように自分の中で毎回必死に、いわゆる真反対に行くようにしていました。

自分の中で「ここはこういうふうにやっていきたい」という気持ちと、「何が正解かわからない」という気持ちで迷子になりながら……。
杉田・阪口 ふふふ。
釘宮 楽しい作品だけど、「本当にこれで合ってるのかな」と思いながらやっていたので、しょっちゅう大助さんに「本当に神楽でしたか……?」って聞いていた気がします。
阪口 (笑)。でもできあがったものは本当に神楽だったし、杉田くんだって背伸びしている感じは全然なかったよ。
杉田 僕は、釘宮さんが不安を抱いていたなんて、信じられない……!
釘宮 えー! わりと数年、そんな感じでしたよ。
阪口 数年!?(笑)
杉田 まったく気付かなかった……。『学園戦記ムリョウ』(2001)という、この3人がそろって出ていた作品があるんですが、その頃から「釘宮さんはディレクターさんの信頼を得て、ものすごくうまいお芝居をする方」というイメージがあったので……。

『学園戦記ムリョウ』の頃の自分は、ほぼ何をしてるかわからなかったです。もう「不安」と「つらい」しかなくて。当時はアフレコをしに来ているのに、目の前が真っ白になっていて……。19か20歳くらいでしたが、「自分は到底プロでいられないな」って思っていました。
そこまで……。
杉田 だから、最初の事務所がなくなったとき、逃げるようにフリーランスの道を選びました。大学生というモラトリアムを過ごしつつ、実は親と同じ公務員になる未来を3分の2ぐらい意識していましたね。

ただ、フリーランスの時代に決まった仕事や、そのあとに所属した事務所の手前、逆に「プロであり続けなきゃ」と思っていた時期でもありました。でも実感がないから、悪夢を見続けるような日々で。そんな頃、25、6のときに『銀魂』が決まって、「どうしよう」という不安がピークに達したんですよ。
いや、これは衝撃です……。『銀魂』での主役抜擢の裏に、そんな物語があったとは知りませんでした。
杉田 当時は「まずい! 世の中に死んで詫びなきゃ」というくらい思い詰めていましたね。
阪口 究極だろっ(笑)。
杉田 でも、それを表に出すともっとよくないから、打ち上げとか打ち入り(作品の決起集会)から逃げまくってました。

ケータイに「きょうは来る?(声マネ)」って釘宮さんからメールが来るんですよ。「あっ、忘れてました!」と返すと「しょうがないなぁ」って返事が来るんですが、あれは意図的に行ってなかったんです……。みんながいる場が怖くって。正直に言うと、逃げまくっていましたね(苦笑)。

ただあるときから――おそらく、共演する人たちが自分より若い世代になってきたときに「これじゃダメだな」と思い立ったんです。基本は自己否定から入る人間なのですが、自己肯定から始めないともたないなと考えるようになって。

具体的に「これが転機」とか「これがキッカケ」というのは思い出せないですが……。でもすぐそばにお二方がいてくれて、感謝してもしきれません。

僕はたぶん、すごく甘やかされていたんだと思う

阪口さんと釘宮さんが、『銀魂』における杉田さんの大きな支えだったのですね。
杉田 2人は僕にとって、いろいろと踏みとどまれた特大のセーフティネットですね。なのに、ある日、そのネットに俺をくるんで思いっきり投げるんですよ。「やったァァァァァァ」っていう(笑)。
阪口 なんで喜ぶんだよ!(笑)
杉田 そのまま顔面着地しましたね。不時着ですが、「これもありだ!」と思えました(笑)。
阪口 お前の癖(へき)の話はいいよ!(笑)
杉田 (笑)。
釘宮 でもたしかに、最初は(スタッフが)飲み会とかセッティングしてくれていましたが、だんだんなくなっていきましたね(笑)。
阪口 なんにもなくなったよね。
杉田 お昼の現場だったってこともあるけどね。
阪口 そうそう。
釘宮 でも、これだけ始まって終わってを繰り返していたら、その都度(打ち上げや打ち入りを)やってもおかしくない仕事だと思うんですが、なくても空気感ができあがっていたから、察してくれていたのかもしれないですね。
阪口 あえてなのかもね。
杉田 近年、公式が用意してくれた打ち上げはなかったかもしれない。
阪口 それこそ、前回の映画(『劇場版銀魂 完結篇 万事屋よ永遠なれ』。2013年公開)が終わったあとの打ち上げが最後くらい?
釘宮 映画の公開日当日か、両国イベント(『銀魂』恒例の大型イベント)で乾杯するくらいでしたよね。両国イベントだと、打ち上げで毎回プロデューサーが泣くという……。
杉田 『(風雲!)たけし城』みたいな丸太のある部屋で……。
阪口 たけし城!(笑) うん、まぁでも丸太、丸太だな。たしかにあれは丸太だ(納得)。
釘宮 (笑)。
杉田 そこで挨拶するうちに、プロデューサーが泣き出すんです。あの名物が見られて、「ああイベントが終わったなぁ……」と思うというね。
阪口 うんうん、「ここまでがイベントや」という感じだよね。
杉田 「終わったな、よかったな」という想いから、「みんな優しいな……なんでこんなに優しいんだろう?」と考え始めて。僕たぶん、すごく甘やかされていたと思うんですよ。
阪口 いやでも、それは僕もそうだよ。僕らも杉田くんに甘えてたからね。お互い甘え合ってますから(笑)。
杉田 そうなのかなぁ……。自分ではわからないんですよね(考え込む)。

『銀魂』でコメディに慣れすぎた自分を反省した

釘宮 逆にみなさん、他の現場でも甘えますか?
杉田・阪口 ……っはははははは!(一瞬の間のあと、吹き出す)
阪口 なんやその質問!(笑)
釘宮 いや、皆さんどうなんだろうな?と思って……(笑)。
杉田 他の現場では甘えられてばかりだと思います。自分より若手だったり、年上の方であっても「不安なんだ」と言われたり、というのはよくあります。

そういうときは自分の経験則の中から必死に言葉を探して、「僕はこう思います」「僕はこうして、難を逃れました」と、言うようにしていますね。必ず「僕は」を付けます。だって(相手のことは)わからないから。

若い世代には「銀時に憧れてこの業界に入りました!」という方もいますからね。そうなると「情けない姿は見せられないよな」という考え方に至るようにはなりました。

でも相手に対して、「ちゃんとしなきゃ」「努力しなきゃ」「頑張らなきゃ」ってあんまり口に出してしまったら、終わりだなと思っています。

「こうしなければならない」って、人に対して“脅し”になるんですよ。そういうのは嫌だなと思っているけど、遠回しにそう伝えてしまうときがあって……。僕が持っている悪い強迫観念を、もし他の人に与えているとしたら悪い癖だと思います。

僕、「言い訳」が、人生の中ですごくウェイトを占めているんですよ。
ほう!
杉田 「叱られないためには」というか……。中学に上がったときの話なんですが、3年生が「お前の兄貴にいじめられてたんだよ」ってこっちに来まして。そのときに「じゃあ兄を一緒に殺しましょう」って返して……(笑)。
阪口 怖い怖い!(笑) 悪い弟だなー(笑)。
杉田 常にそういう悪知恵を働かせて切り抜けていましたね。

ゲーセンで格闘ゲームに負けた不良が俺を殴りに来たときは、「もしもギース・ハワード(ゲーム『餓狼伝説』のキャラクター)が『さらりとした梅酒』のCMに出たら」みたいな適当な声マネを披露して、不良が笑った瞬間に勝ちなんですよ。
阪口・釘宮 (笑)。
杉田 「こいつ変なヤツだけど、面白いから殴るのはやめよう」となった瞬間、「よし!(ガッツポーズ)」って(笑)。そんなことの繰り返しでしたね。
阪口 どんな過去だよ(笑)。
少年時代のエピソードが濃すぎる……(笑)。
杉田 この作品においても、「笑い」が武器であり答えであり、逃げ道になっちゃってるところがありますよね。

他の現場で「杉田さん、コメディに慣れすぎた芝居しちゃってるから、ちょっとそれ抜いてもらっていい?」って言われて、目が覚める瞬間がありました。

「そっか、無意識のうちに『自分が人を笑わせてやってる』とか『面白くしてやろう』という、“悪い上から目線”になってるんだな」と思いました。

つい「何かを仕掛けてやる」って考えちゃっていて、「それはこの作品にはいらない」って言われたときに「だよな!」と感じたんです。そういうときにスッと捨てられるようにならないと、プロじゃないなと思いました。

世界一のツッコミ志村新八と、ミラクルレシーバー神楽

ここで突然ですが、他己紹介をやっていただきたいと企画していまして……。
釘宮 たこ?
失礼しました! 自己紹介ならぬ、他の人を紹介する“他”己紹介です。杉田さんは新八と神楽について、といったような形で、万事屋キャラクターの魅力を教えていただけますでしょうか。
杉田 ファミコン版『ドラえもん』の海底編に出てくる、触手で思いっきりドラを縛り付けているあいつ(大ダコ)のことしか出てこなかった……。
阪口 わかりづらいわ!(笑)
釘宮 (笑)。
杉田 くっ! あのタコのことはいったん忘れろ……! うおおおおおお!
阪口 忘れて忘れて! そこの話してもしょうがないでしょ(笑)。
(笑)。
杉田 改めて……。世界一のツッコミ志村新八と、ミラクルレシーバー神楽ですね。
阪口 ああ、いいですね。『銀魂』が『銀魂』であるゆえんの坂田銀時は、作品を象徴する存在ですよね。そして、ムードメーカーであり、何かひと味加えるのが神楽です。
杉田 神楽は自分でレシーブも上げるし、点も決められるんですよ。
阪口 万能ですよ。
杉田 当てはまるポジショニングの言葉が出てこないんですよね。もし神楽が11人いたら、最強のサッカーチームになっていたと思います。
阪口・釘宮 (笑)。
阪口 最悪、ゴールキーパーいなくなるね。
杉田 むしろしないと思う、キーパー。
阪口 全員で前線に上がってっちゃうんだ(笑)。
釘宮 (笑)。
杉田 …っていう表現です(笑)。
ありがとうございます。釘宮さんはいかがでしょう?
釘宮 こういうの苦手なんですよ……。ひと言で言うと、銀時は銀時だし、新八は新八だから……(笑)。
阪口 ホントにひと言じゃねぇか!(爆笑)
釘宮 なんでしょうね、えっと、今から全話観直してきて!
杉田・阪口 (笑)。
阪口 お前で考えろと!(笑)
釘宮 それくらい、私にとっての銀時と新八は銀ちゃんと新八でしかないので、同じ感覚が通じるかわからないし、それぞれの銀時なり新八なり神楽を見つけてほしいなぁ……。
阪口 あはははは。無理やー!(笑)
杉田 『(魔法騎士)レイアース』のオチみたいだ(笑)。なんだよ、いっそタコよ、締め上げろ!
阪口 タコは忘れろ!(笑)

沖田は、さまよう刃。近藤と出会って見えない鞘が生まれた

では、真選組の近藤・土方・沖田についてはいかがでしょう?
杉田 近藤さんの頼りがいは、隊士に対してだけじゃないんですよ。それは他のキャラクター含め、出演者にとってもそうで、最もブレない存在だと思います。コラボ企画の台本における、近藤さんのブレない信用度ったらない。
釘宮 安定してますよね。
阪口 安定して面白いんだよなぁ……。
杉田 全裸、ゴリラ、あと他にいくつ武器がある?っていう。どこの現場においても、抜群の安心感なんです。近藤さんが全裸になったら絶対に面白いし、コラボカフェのメニューはバナナでいいし……。
釘宮 (笑)。
阪口 ははは、たしかに!(笑)
杉田 アトラクションも、基本は近藤さんに向かって球を投げつければいいんですよ(笑)。ものすごく頼りにしています。局長である理由はこれだ!って。
阪口 そこなのか!?
杉田 逆に土方は、怖くてしょうがないです。怖いけど、キレる寸前までおちょくるとめちゃくちゃ面白いんですよ、ええ(笑)。どうやって土方にいたずらしようかってことばっかり考えてます。

怒ったらまず確実に怖いんだけど、どこまでおちょくってもいいだろうって。本当にトッシー(土方)の芝居のクオリティがすさまじいですからね。
阪口 せやな。
杉田 テンション上がりきったところでの中井(和哉)さんのツッコミが好きすぎて、よその現場で中井さんのあのツッコミ方をパクりました。すみません。
阪口・釘宮 (笑)。
杉田 沖田くんは、さまよう刃みたいな存在で、鞘がないまま生まれてきた刀なんですよね。
阪口 綺麗なたとえだなぁ……詩的な表現だわ。
杉田 でも、抜群の包容力を持った近藤さんと出会ったことで見えない鞘が生まれて、収まっているんですよね。そのあと、同じくらいの強さを誇る戦闘民族(夜兎である神楽)と出会って、神楽と喧嘩しているうちに、自分にはないと思っていたものがあることに気付く。

そして、自分にとって壁となった神威(神楽の兄)と戦うことで、沖田ってちょっとずつ変わっているんですよね。ただでさえ、姉(ミツバ)の死があって……。あと、史実通りの沖田総司であれば、若くして病死しないといけないじゃないですか。

でも沖田総悟は死なない、となったときに、彼のその後って想像ができないんですよね。じゃあまた、さまよう刃に戻るのかといったら、「そうはさせるかい」と引き留める隊士たちや、彼と接する他のコミュニティがあって、だからこそ彼は踏みとどまれたんじゃないかと思います。そんな3人です。
素敵なお言葉、ありがとうございます。ちなみに先ほど、釘宮さんは「アフレコ時にちゃんと神楽だったか阪口さんに聞いていた」とおっしゃいましたが、やはりみなさん、それぞれの中にお互いのキャラ像がしっかりあったのでしょうか。
釘宮 全然ないですよ!(笑) 「こんなことを聞くなんて役者として最低かも」と思いながら、聞いてました(苦笑)。
阪口 そこまで!
釘宮 「聞かれたほうも困ってるよごめんね……」と思いながら、大助さんの「んお?(困惑)」という返答に対して「そっか、『んお?』ですよね」とか言いつつ……詮無いことを聞いてたんです……。
阪口 詮無い!
杉田 聞いたことのない単語が出てきた……! 普段は絶対に釘宮さんの口から出てこない言葉が……!
釘宮 どうしようもない話をね、あまりにも自信がないのでしていたという話です。

みんながみんな、他のキャラクターのことがしっかり自分の中にあるのかというとそうではなく、その瞬間瞬間を積み重ねて今に至っているので、その当時は自分のことをやるだけでいっぱいいっぱいだったのではと推察しますね。
杉田・阪口 (笑)。
阪口 やたら硬い(笑)。
杉田 もう許してください……。
釘宮 すみません本当に許してください……。
阪口 謝り始めた(笑)。

いつ『銀魂』が再開してもいいように、心構えをしていた

本作で約15年のアニメシリーズの歴史に終止符が打たれますが、そのことについてはみなさんいかがですか?
杉田 何度も「終わり」と言っていると、もはや終わりを意識できなくなってきます。
阪口 麻痺してるんだ(笑)。
杉田 はい。感覚がないんですよ。先ほども言った通り、どこに行っても話題は出るし、自分が演技をしていくうえで切っても切り離せない関係なので。

仮に「終わらないこと」が終わりだとしたら、ネバーエンドになって、ループしてんじゃねぇかっ! ちょっとした恐怖ですよね……。
(笑)。
杉田 ただ、『銀魂』には、その状態に入ってもなぜか笑い飛ばせる不思議な魅力があるんです。「いいか、メビウスの輪でも」って、思える。

死ぬと思ったら戻ってこられるし、「なんかすみません」が通っちゃうんですよね。スゴいことだなと思います。
たしかに。『銀魂』ならではの特長ですね。
杉田 よその作品に出るときも、「『銀魂』みたいな演出」と言われますし、『銀魂』ネタって概念化していますよね。それがこの作品の培ってきた魅力のひとつの答えなのかもしれません。「ウチも『終わる終わる詐欺』やっていいかなぁ」と言われたりとか……(笑)。
阪口・釘宮 (笑)。
釘宮 狙ってやったわけじゃないのにね。
阪口 「本当だよ?」って思うよね。
杉田 うんうん。いつも「終わる」って言うときって、次の決定がされていない状態で出してるから、マジで終わってるんですよ(笑)。

当時の監督の藤田陽一さん(本作では監修)は、『おそ松さん』や『貧乏神が!』の監督をやりながら、いつ『銀魂』が再開してもいいように、ちょっとずつスケジュールを空けていたらしくて。そうしないと、本気で取り組めないから。
阪口 へぇ!(感嘆)
杉田 『貧乏神が!』の現場などで話していたときに、「いつ来てもいいように、心を空けている」と話していて、あの言葉は忘れられない。僕自身もそうですから。そういった“構え”がありました。

『銀魂』は金曜日の朝に録っていましたが、金曜日は朝早くに目が覚めるんですよね。なんとかの奇妙な冒険の収録は水曜日の朝だったから、今でも水曜日と金曜日の朝は「カッ!」と目が覚めてしまう。おそらくこの先も、この癖が抜けることはないだろうと思っています。
阪口 『銀魂』って、本当に幸せな作品だと思いますよ。続けたくてもリタイアに追い込まれる作品もありますしね(苦笑)。

ちゃんと最後まで走りきれたのはとても幸せなことだし、それは応援してくれた人の力でもあり、制作してきたスタッフ・キャスト全員含めて、いろいろなものがいい形でここまで運んできた結果なんだろうなと思います。

どこかが欠けてしまったら間違いなくこんなには続かなかっただろうし、こんなエンディングを迎えることができなかったと思うので……。そこに関われて、よかったです。
釘宮 本当にその通りだと思います。こんなに本気で「もう次はない」と言われた作品はないので……(笑)。
杉田・阪口 はははははは!(吹き出す)
釘宮 最初に「終わる」と聞いたときは「たしかに、危ない橋を相当渡っているし、二度とできない本気の遊び方をしちゃっているから致し方ないのかな」という思いはありつつ……。

でも「奇跡の大逆転が起こってまた始まります!」、そのあとに「今回こそ本当に終わります!」みたいに、私たちもファンの方々が知る前段階で毎回だまされてきたんですよ(笑)。
杉田・阪口 (笑)。
釘宮 毎回乗り越えて続けられて、完走できるっていうのは、応援してくださっている方の熱量がスゴかった。ひとえにそのおかげですし、制作陣も本気で怒られながらも、作品をそのままを伝えようと頑張っていたと思います。

いっぱい謝りながらも、みんながみんな全力で、応援する人も全力だし、作る人も、声を当てる私たちも全力だし、相乗効果でなんとかここまでたどり着けました。本当にすべてのみなさんのおかげで、ここまで来られたんです。

これまでの積み重ねがあって、幸せなエンディングを迎えられた

それでは最後に、作品を楽しみにしているみなさんにメッセージをお願いします!
杉田 ヤバいヤバいヤバいどうしよう……(焦り)。
阪口 ギース・ハワードのときと全然違うじゃん(笑)。
杉田 あのときはほら、「このままだと殺される」っていう状況だったから……。目の前にでっかい拳があれば、俺だって必死に命乞いをしますよ。…ってそういうことじゃない!
阪口 そういうことじゃない!(笑)
杉田 楽しみの選択肢の話をしますと、基本的に選べるのって1個なんですよ。子どもは、時間はあるけどお金が限られてる。大人はその両方が不足してる場合もある。その中で「きょうは『銀魂』を観に行こう」となるんだったら、スゴいことですよね。

世の中には他にもいくらでも面白いものがあって、「娯楽」と呼ばれるものの選択肢がとても多いですよね。ゲームも日々発展しているし、携帯電話の端末の中にあるものやその向こうにある世界はとても魅力的だし、アナログであえて書籍を買うことも大事だし……。

そんな中で「きょうは『銀魂』の映画を観に行こう」って思ってくれたとしたら、感謝しきれないです。今までも、そしてこれからも感謝します。……もう許してください。
釘宮 (笑)。
阪口 最後は謝るんかい(笑)。

そうですね……。こんなに息の長いコンテンツになると思っていませんでした。まさか『銀魂』を観て育った人たちが続々と業界内に現れるなんて……。本当に15年って長いなと思いますし、15年間応援してくれて、本当にありがたいですね。

逆にここから、これだけいろいろな情報が流れていく中で興味を持って、『銀魂』を好きになってくれる人もいるかもしれない。とにかく感謝だけですよ。

みなさんの力や応援があって、こうやって幸せなエンディングを迎えることができたので、ぜひぜひ劇場に足を運んでいただいて「楽しかったな」って言ってもらえれば、エンタメとして成功だなと思っています。
釘宮 正確なところはわからないですが、今回本編の尺にすごくボリュームがある気がするんです。一瞬一瞬が全部大事なシーンで、観ているとあっというまに過ぎていくんですが、15年間積み重ねてきたものがスゴいテンポで進んでいくので、もう瞬きすらしないで、ずっと追いかけてくださってきた方には噛み締めて全部見届けてほしいと思います。

オススメは、『銀魂』をまったく知らない人を『銀魂』漬けにして(笑)、映画館に連れていく。時節柄なるべく少人数にはしてもらいたいですが、そうなると脳内にいい感じのやつが出てくると思います。
杉田・阪口 はははははは!
阪口 いい感じのやつが……(笑いを抑えられない)。
杉田 スゴい表現だ……!
釘宮 『銀魂』って人が生きていくうえで共感できるシーンや名言も多いですし、『銀魂』の世界をまったく知らない人にも共感してもらって、1個でも2個でも引っ掛かるところがあったよっていう人が、ひとりでもふたりでも広がっていったらいいなって思います。

すごく下品なので嫌な気持ちになるようなシーンもあるかもしれませんが……。
杉田・阪口 (笑)。
釘宮 でも、それも含めて人生なんだな、って思うんです。
阪口 おおー(感嘆)。
釘宮 「人生訓」というところが大きい作品なので、みんなで、もしくはひとりでも楽しんでもらいたいなと思います。
杉田智和(すぎた・ともかず)
10月11日生まれ。埼玉県出身。B型。1998年に声優デビュー。主な出演作に、『銀魂』(坂田銀時)、『ジョジョの奇妙な冒険』(ジョセフ・ジョースター)、『涼宮ハルヒの憂鬱』(キョン)、『ハチミツとクローバー』(真山巧)、『七つの大罪』(エスカノール)など。
    阪口大助(さかぐち・だいすけ)
    10月11日生まれ。新潟県出身。A型。1992年に声優デビュー。主な出演作に、『銀魂』(志村新八)、『CLANNAD』(春原陽平)、『機動戦士Vガンダム』(ウッソ・エヴィン)、『血界戦線』(レオナルド・ウォッチ)、『炎炎ノ消防隊』(ヴィクトル・リヒト)など。
      釘宮理恵(くぎみや・りえ)
      5月30日生まれ。熊本県出身。B型。1998年に声優デビュー。主な出演作に、『銀魂』(神楽)、『キングダム』(河了貂)、『ミュークルドリーミー』(ゆに)、『呪術廻戦』(西宮桃)、『フルーツバスケット』(草摩楽羅)など。

        作品情報

        映画『銀魂 THE FINAL』
        2021年1月8日(金)ROADSHOW!
        原作:空知英秋(集英社ジャンプコミックス刊)
        監督/脚本:宮脇千鶴 監修:藤田陽一
        声の出演:杉田智和、阪口大助、釘宮理恵 ほか
        アニメーション制作:BN Pictures
        配給:ワーナー・ブラザース映画

        オフィシャルサイト
        https://gintamamovie.jp
        公式Twitter
        https://twitter.com/gintamamovie #銀魂ザファイナル

        ©空知英秋/劇場版銀魂製作委員会

        「『銀魂 THE FINAL』」特集一覧

        #6 は近日公開!

        サイン入り色紙プレゼント

        今回インタビューをさせていただいた、杉田智和さん×阪口大助さん×釘宮理恵さんのサイン入り色紙を抽選で1名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

        応募方法
        ライブドアニュースのTwitterアカウント(@livedoornews)をフォロー&以下のツイートをRT
        受付期間
        2021年1月9日(土)12:00〜1月15日(金)12:00
        当選者確定フロー
        • 当選者発表日/1月18日(月)
        • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
        • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから1月18日(月)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき1月21日(木)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
        キャンペーン規約
        • 複数回応募されても当選確率は上がりません。
        • 賞品発送先は日本国内のみです。
        • 応募にかかる通信料・通話料などはお客様のご負担となります。
        • 応募内容、方法に虚偽の記載がある場合や、当方が不正と判断した場合、応募資格を取り消します。
        • 当選結果に関してのお問い合わせにはお答えすることができません。
        • 賞品の指定はできません。
        • 賞品の不具合・破損に関する責任は一切負いかねます。
        • 本キャンペーン当選賞品を、インターネットオークションなどで第三者に転売・譲渡することは禁止しております。
        • 個人情報の利用に関しましてはこちらをご覧ください。
        ライブドアニュースのインタビュー特集では、役者・アーティスト・声優・YouTuberなど、さまざまなジャンルで活躍されている方々を取り上げています。
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