TVアニメ『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』特集/第4回:櫻井孝宏「ハドラーには勝てないと何度も思った」

1989年〜1996年に『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載された漫画『ドラゴンクエスト ダイの大冒険(以下、『ダイの大冒険』)』(原作:三条陸、作画:稲田浩司)。人気RPG『ドラゴンクエスト』の世界観をベースに、魔王軍の脅威に対し、少年勇者・ダイとその仲間たちの戦いを描いたバトルファンタジーだ。

強大な敵とのバトルシーンは、一瞬も目が離せない手に汗握る展開。さらに友情、成長、絆、愛など、涙なしには語れないドラマも特筆すべき内容で、コミックスの累計発行部数は4,700万部超を記録。まさしくジャンプ黄金期を支えた不朽の名作が、2020年10月、新たにTVアニメ化を迎える。

ライブドアニュースは今回、2020年版『ダイの大冒険』に大注目。キャラクターに命を吹き込むキャスト陣、最新CG技術とのハイブリッドで作られた映像を生み出すスタッフたちにインタビューを行い、新生したアニメ『ダイの大冒険』の魅力をシリーズでお届けしていく。

シリーズ第4回は、主人公・ダイ(CV:種﨑敦美)たちの導き手となる勇者の家庭教師、アバン役の櫻井孝宏。序盤のハイライトでもある第5話、因縁の相手となる元魔王・ハドラー(CV:関智一)との死闘を振り返ってもらった。

インタビューでは、10月31日(土)放送の第5話のストーリーにも言及しています。
撮影/西村康 取材・文/岡本大介

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ハドラーのひるんだ芝居が、僕としては鳥肌モノ

ハドラーとの激闘、お疲れ様でした。
いやー、疲れました(笑)。めちゃめちゃ強かったですね、ハドラーは。
ハドラーを演じる関智一さんとの共演も見応えがありましたが、いかがでしたか?
楽しかったです。関さんの底知れないエネルギーがハドラーに見事に乗っかっていて、「これは勝てないな」っていう瞬間が何度もありました。

関さんって本当になんでもできちゃう人で、改めてスゴいと思わされました。ハドラーのちょっとひるんだ芝居なんて、僕としては鳥肌モノでしたね。現場の空気感も素晴らしくて、自然とアバンの気持ちになってハドラーに挑むことができました。
最期はダイたちを救うために「メガンテ(自己犠牲呪文)」を唱えましたが、まさに序盤のハイライトといえるシーンになりました。
そうですね、アバンとしてはあそこが最大の見せ場ということもあり、映像のインパクトも相まって印象に残るシーンになりました。今回のアニメに関しては、呪文を大声で叫んで扇情的に散っていくというよりも、もう少し控えめで丁寧な演出になっていたなと思います。
具体的にどんなところがそう感じましたか?
たとえば「メガンテ」の発音も、原作の表記だと「メ・ガ・ン・テ!!」と一音ごとに区切っているんですが、僕は今回、「メガンテ……!」っていう感じでとスッと言っています。
たしかに。それは監督からのディレクションで言い方を工夫されたんですか?
台本の表記がそうでした。あと、今回の映像や演出の方向性を考えたらこっちなのかなと思って、そういう唱え方にしてみたんです。おそらくこれが今作のアプローチであり表現で、現代ナイズドされている部分なんだと思います。だから僕もスッと言ったほうが、アバンの覚悟がよりしっかりと伝わるかなと。

必殺技の「アバンストラッシュ」もそうですね。もちろん普通のセリフよりは言葉を粒立てていて、僕なりに詠唱の醍醐味を拾っているつもりではありますが、必要以上に過剰にせず、ちょっぴりビターなイメージで芝居を心がけていました。
アバンの登場は今回のハドラー戦でひと区切りとなりましたが、収録を振り返ってみていかがでしたか?(櫻井さんは本作でナレーションも担当)
結果的に納得はしているんですけど、それでも録り終わったあとに違うプランやアイデアが浮かんできたりもして、いまだに自問自答を続けている感じもあります。まあ、いくら悩んだところでもう収録しちゃっているのでどうしようもないんですけど(笑)。

でも、それくらいアバンにはいろいろなアプローチができる余地があるというか、とにかく奥深いキャラクターだと感じています。
『ダイの大冒険』は熱烈なファンも多い作品だけに、プレッシャーを感じることもあったのでは?
期待値が大きいことはわかっていたので、ちょっとドキドキしましたね。それこそ原作はもちろん、1991年版のTVアニメをリアルタイムで楽しんでいたファンの方々も観てくださると思いましたし。

とはいえ、「そこと比較して観てやるぞ」という類のものでもないとは思うので、新しい『ダイの大冒険』として楽しんでもらえたら嬉しいなと思っています。まあ、完全にこっちの言い分になっちゃいますけどね(笑)。

つねに飄々としたアバンは役者泣かせなキャラクター

オーディションはアバンだけを受けたんですか?
僕はアバンとヒュンケルの2役を受けました。ただ、これは僕が自分で選んだというよりも、弊社マネージャーからの申し出でした。もしかすると「どちらかひとつを選んで受けてくれ」ということだったのかもしれないですが、どちらも受けちゃいました(笑)。
アバンとヒュンケル、どちらを演じてみたい気持ちが強かったですか?
やっぱり今の自分の年齢を考えたときに、アバンにトライしてみたい気持ちはありましたね。
アバンは作中のキャラクターでもっともつかみどころがなく、芝居的には難しそうな印象があります。櫻井さんはどう感じましたか?
そうですね。僕のなかでは1991年版のTVアニメでアバンを演じていらっしゃる、田中秀幸さんのイメージが強かったんです。きっと往年のファンの皆さんもそうじゃないかなと思いますが、スゴいお芝居をされていましたからね。

僕は当時、アニメをしっかりと追い続けていたわけではないんですけど、それでも田中さんが作るアバンは強烈なインパクトがあって脳裏に焼きついていますから。
では、田中さんのアバンを意識することも?
昔のアニメを観直したら、きっと田中さんのアバンに引っ張られてしまうと思ったので、今回はしませんでした。結果的にどう聴こえているかはともかくとして、僕としてはなるべく自分なりの人物像やシルエットをイメージして表現したつもりではあります。
櫻井さんはアバンをどんな人物だと捉えていますか?
つねに飄々としていて、本当に食えない人ですよね。でも、そういう態度の奥には真剣な思いもあって、そっちが彼の本性だったりバックボーンだったりするわけじゃないですか。

そういう部分をどこまで計算したうえで芝居をするかでアプローチの仕方が変わってくるので、最後まで悩みました。どこまでも理詰めで計算して役作りすることもできるし、何も考えずにフィーリングでやったほうがいい場合もありますから。

僕の場合、中学生のときに触れた原作のアバンのイメージとTVアニメで観たイメージ、さらに大人になって感じるイメージと、そのどれもが異なっているので、すごく惑わされましたね。
結果的にはどんなイメージで演じられたんですか?
あまり考えすぎてしまうと頭でっかちな芝居になって、ただの自己満足になってしまうと思ったので、最終的には現場の雰囲気重視で取り組みました。

それでも「やっぱり別のアプローチがよかったのかも」と思う瞬間もあって、いまだにぐるぐると考えちゃうんですよね。もちろんスタッフさんからOKをいただいたお芝居ですし、それもそれで正解だとは思いつつ、どうしても考えてしまう。
アバンって役者泣かせな役柄なんですね。
そうかもしれません。それでちょっと気になって調べてみたんですけど、田中さんがアバンをやってたときの年齢って、今の僕よりも若いんですよ。うわー、調べなきゃよかったなって(苦笑)。

改めてスゴいなと思ったし、僕ももっと頑張らなくちゃいけないな、と思い知らされました。

物語のテーマは「大冒険」。今の時代に作る意味がある

ちなみに原作が『週刊少年ジャンプ』で連載されていた当時、櫻井さんは読まれていましたか?
正直に言うと「つまみ読み」的な感じだったと思います。というのも、連載が開始された当時の僕は中学生だったんですけど、ちょうど『週刊少年ジャンプ』から卒業しようとしていた時期なんですよね。
たしかに青年誌に移行するタイミングってありますよね。
王道の少年漫画が少し子どもっぽく感じてきて、もっとクセが強くて尖った大人の作品に興味が移っていく、まさに過渡期だったんですね。

だから途中までは追っていたんですけど、次第に『ジャンプ』自体から離れていって……。それでもときどき友達から借りて読んだりTVアニメをチェックしたりしていたので、ストーリーの細かい部分はわからずとも、パンチの強いキャラクターや必殺技などはすごく鮮明に印象に残っていますね。
そうだったんですね。当時好きだったキャラクターはいましたか?
何を隠そう、アバンだったんですよ。真っ赤なコスチュームに貴族のようなカールがかかった髪型なんて、もうインパクト抜群じゃないですか(笑)。そんなビジュアルだから、最初はすっとぼけたキャラクターだと思っていたんですけど、物語が進むにつれてとんでもない能力を持った人だということがわかってくる。

中学生の僕からすると、もしも自分があんなスゴい実力を持っていたら絶対に周りにひけらかしたくなるのに、アバンは全然それをしないで、むしろ隠しているところに惹かれるものがあって。まさに「能ある鷹は爪を隠す」を体現したようなキャラクターだなと思ったんです。

当時はまだ彼の美学やカッコよさを完全には理解できていなかったんですけど、とにかく「大人っぽいなあ」って思っていたんですよね。
今回、改めて原作を読み返したりも?
今ちょうど読み直しているところです! たった数日の特訓でめっちゃレベルアップする感じとか、今読むとすごく新鮮ですね(笑)。

当時は何も引っかからずに読み進めていましたけど、1週間で勇者になるとか、今ってそういう作品はあまりないと思うので逆に面白いです。
たしかに30年前の作品ですから、時代を感じさせる展開や描写もありますね。
でも、不思議と「古い」とは感じないんですよね。ビンテージなものとしてではなく、純粋に今の感覚で楽しんでいます。それってやっぱり作品のテーマが普遍的で、ものすごく強い証拠なんでしょうね。

そもそも『ドラゴンクエスト』の世界観を引き継いでいるので設定は完璧ですし、ストーリーもすごくよく練られているなと感じます。ダイはもちろん、ポップの成長も描くことでW主人公のように感じられますし、とにかくキャラクターたちがストーリーに無理なく乗っかっている感じがするんですよね。
たしかに、ポップの存在が『ダイの大冒険』を不朽の名作へと押し上げているという声は多いですね。
ホントにそうなんですよね。最初こそ嫌われ役で子どもっぽい側面が目立ちますけど、いちばん感情移入できるのはやっぱりポップなんですよね。ダイにはなれないけど、ポップになら頑張ればなれるような気がする。連載期間のなかで読者がいっしょに成長していくことができる、現実の時間経過を含めた物語のスピード感もちょうどいいんじゃないかと思います。
中学生当時とはまた違う、客観的な受け止め方をされているんですね。
そりゃあ今の僕は40歳を超えていますから(笑)。当時はそこまで深くは考えていませんでしたけど、大人になって再読すると、とにかく完成度が高いなと感心するところが多いんですよ。原作の三条陸先生はいったいどこまで考えて作っていたんだろう、と。
長年愛され続けている理由がわかる気がします。第5話を持って残念ながらアバンは退場してしまいましたが、改めて今後の見どころを教えてください。
『ダイの大冒険』というタイトルにある通り、この作品で描かれている大きなテーマのひとつは「大冒険」そのものだと思っています。

今の時代、子どもも大人もなかなか「冒険」ってできないじゃないですか。でも、「冒険」があるから成長があったり発見があったりもしますよね。今後、ダイたちが体験していく壮大な冒険は、そういう懐かしい気持ちを思い出させてくれる気がするんです。

そういう意味では、ジュブナイル作品ではありますが、大人が教わることもたくさんありますし、今の時代に新しくアニメ化される意味と意義は大きいなと思います。まだまだ冒険は始まったばかりですが、ぜひ最後までお付き合いください。

あ、それとできればアバンのことも忘れないでください(笑)。
いなくなってもアバンはずっとダイたちの師匠ですし、今後もことあるごとに名前が出てきますから、きっと大丈夫だと思います。
そうですよね。アバンの使徒たちの回想にもちょくちょく登場する予定ですから、まだお別れではないです!
また街中で子どもたちの「アバンストラッシュ」が見られるといいですね。
いいですね。30年前の僕らがやっていたみたいに、今の子どもたちが「アバンストラッシュ」のマネをしている姿を見たら、ちょっと感動しちゃいますね(笑)。
櫻井孝宏(さくらい・たかひろ)
6月13日生まれ。愛知県出身。A型。1996年に声優デビュー。主な出演作に『コードギアス 反逆のルルーシュ』(枢木スザク役)、『おそ松さん』(松野おそ松役)、『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない』(岸辺露伴役)、『鬼滅の刃』(冨岡義勇役)、『フルーツバスケット』(草摩綾女役)、『デジモンアドベンチャー:』(テントモン役)など。

    作品情報

    TVアニメ『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』
    テレビ東京系列で毎週土曜朝9:30から放送中
    ※放送日時は編成の都合などにより変更となる場合があります。
    公式サイト
    https://dq-dai.com/
    Twitter(@DQ_DAI_anime)
    https://twitter.com/DQ_DAI_anime

    © 三条陸、稲田浩司/集英社・ダイの大冒険製作委員会・テレビ東京 © SQUARE ENIX CO., LTD.

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