完璧じゃなくていい、隙を見せていけ! お笑い界の兄貴・陣内智則に聞く「理想の先輩」

現在、お笑い界では“お笑い第七世代”の躍進が目覚ましい。霜降り明星、EXIT、宮下草薙など、才気あふれる若手芸人たちがさまざまなメディアで取り上げられている。

そうした若手たちから頼られている兄貴分が、陣内智則だ。新人芸人の登竜門番組『ネタパレ』(フジテレビ系)では司会を務め、ゴールデンタイムのバラエティ番組では若手と同じひな壇に座り、大御所たちとのパイプ役を担う。若手たちの特徴を覚え、他番組で伝えることで先輩や共演者との架け橋となり、番組をうまく回す潤滑油となるのだ。

この姿を社会人に置き換えると、理想の中堅社員ではなかろうか。後輩をうまく引き立て、先輩とのあいだを取り持ち、部内の雰囲気をよくする。その結果、先輩からも可愛がられるようになる。

尊敬する先輩と、伸び盛りの後輩。そんな上下に挟まれた陣内が考える「理想の先輩」とは。新社会人を迎えるこのシーズン、お笑い界の“中堅社員”に処世術を聞いてみた。

撮影/すずき大すけ 取材・文/篠崎美緒

面白くなるのなら、悪者になってもかまわない

陣内さんといえば、お笑い第七世代の芸人さんから慕われている印象が強いです。
ハハハ、第7世代の子たちと一緒に仕事する機会は、たしかに多いですね。
EXITのりんたろー。さんが「第7世代の活躍の立役者は、間違いなく陣内さん」と発言していました。
(明石家)さんまさんやダウンタウンさんみたいに、いわゆる大御所さんの番組に彼らが出演するときに僕がいることが多いので、自動的にパイプ役となるからですかね。

だからといって、「俺がなんとかしてあげよう」という意識はそこまでないですよ。もちろん彼らにはいい状態でしゃべってもらいたいと思いますけど、「なるべくやりやすい環境にしてあげよう」くらいの感じですかね。
陣内さんが若手芸人さんと接するタイミングといえば、『ネタパレ』が多いと思います。初めて見た芸人のどういうところをチェックしていますか?
面白いところを探すのはもちろんだけど、「お客さんが彼らにどういうイメージを持っているのか」を見ますね。

たとえばEXITなんて、最初に出てきたとき(2018年6月29日放送)は嫌悪感しか持たれていなかったですから(笑)。彼らが登場した瞬間、お客さんが「何、この人たち……」みたいな空気になって。
EXITは最初、そんな状況だったんですか?
あまりにチャラすぎて、みんなドン引きでしたよ(笑)。僕も「エライのが出てきたな!」と感じましたしね。

でも、「コイツら、漫才なんて絶対できへんやろ」と思っていたみんなの雰囲気を、だんだん自分たちの世界へと引き込んで、最後はドーンと爆笑を取ってみせた。

だから僕は漫才後のトークで、「最初に出てきたときの(お客さんの)食わず嫌い感、スゴかったよね」って言うたんですよ。ほめるだけじゃなく、どこか欠点というか、ちょっとおかしなところを見つけようとは思ってます。それをうまく使って、笑いになったらいいなあって。
つまり、イジるポイントですか?
そうですね。草薙(宮下草薙)も今でこそあのキャラが定着してますけど、初登場は「暗くて気持ち悪い人」というイメージがありましたから。そういうときに「お前、暗いな!」と言葉にすることで、お客さんと共有できるんです。

もっとも彼らがブレイクできたのはそれだけじゃなくて、個々のポテンシャルの高さがあるからだと思いますけど。
逆にあまりイジるポイントが見えづらそうな、霜降り明星みたいなタイプに対しては?
霜降り明星は自分でやれるやろうから、僕が橋渡しをしている感覚はなかったです。ただ、普段あまりツッコまれない粗品をイジることで、彼がツッコんできて面白くなるパターンはありますよね。

たぶん僕って、コンビ間でイジられないほうを逆にイジるのが好きかもしれません。宮下草薙だったら宮下(兼史鷹)、EXITならりんたろー。に行こうとか。新たな面白さを発見できますし、みんなちゃんと返してくれるから楽しいですよ。
陣内さんのツッコミは、その人の面白さを気づかせてくれることが多いです。
ありがとうございます。後輩に限らず、先輩にもツッコめる人には行こうと心がけているつもりです。アッコさん(和田アキ子)であろうが泉ピン子さんであろうが、みんなが感じていることを僕が言うことによって、「この人たちがかわいらしく映ったらいいな」と思うので。
陣内さんのひとことで周りからイジられるし、先輩にはツッコむことでかわいらしさを世間に見せてあげられる、と。
みんなが持っている共通の違和感を言葉にすることが、僕の中の楽しさです。お客さんが「そうそう!」と思ってくれたらええなぁ、と。
ただ、代償はありますよ。よかれと思って言ったものの「あんな言い方、失礼や」「〇〇くんがかわいそう」「いじめないで」と非難されることも。

一方で、僕がワルモン(悪者)になったほうがいいんだろうなあと思ってるところもあって。笑いになってくれるならそれでいい、と。それがいちばん自分のできることだと思っているので、共演者の誰かが「やりやすかった」と言ってくれたら十分ですね。
なるほど、その場に応じて面白いと思ってもらえることを実行しているんですね。
芸人にとって、自分がスベってても笑ってくれる人ってありがたいんですよね。僕も仕事していて笑ってくれる先輩はスゴいなと思ってるので、相手がどんだけスベっててもどこか面白いところを言ってあげようって心がけてるつもりです。
とくに若手芸人さんにとっては、陣内さんのイジりは彼らの取扱説明書になっていると思います。
たしかに、最初はみんな彼らを知らないですからね。EXITの兼近(大樹)だったら「こう見えてお酒が飲めないんですよ」「じつはベビーシッターをやってるんです」と伝えることで、彼らのよさと意外性が出るんじゃないかと思うんです。

飲み会より、仕事の現場でコミュニケーションを取りたい

若手の芸人さんが台頭してくることに、危機感はありませんか?
やっぱり負けたくないという思いはありますよ、同じプレーヤーですから。

でも何より、「陣内さんがおったら助かる」「陣内さんは頼りがいがある」と思われたい。後輩にとって、信頼できる先輩でありたいんです。もっと言ったら、第7世代が冠番組を持ったときに僕を使ってほしい(笑)。
「信頼できる先輩」になるために、どんなことを意識しているのでしょう?
うーん…僕も隙を見せて、後輩にイジられることを許しているからかもしれません。

完璧に振る舞おうとは思っていないし、自分がスベったら収録後に「きょうは全然アカンかったわ」と言う。後輩をうまくフォローできなかったら「ごめんな、俺のせいで。こうしたら、もっとウケたのにな」と言います。

あえて伝えているつもりはないんですけど、それが信頼につながっているのかも。
彼らから、「もっとこうしてほしかったです」と言われることも?
いえ、彼らは彼らで「すいません、さっきは僕が……」と謝ってくるので、「いやごめん、俺もああしたらよかったな」となりますね。お互いが自然に反省して、次に活かせたらいいんです。だから僕も彼らに隙を見せたいし、その隙を突いてほしいと思います。
後輩に対してジェネレーションギャップを感じる人もいると思いますが、陣内さんが「今の若手って、どうなの?」と思うことはありますか?
いやぁ、もうそういう時代じゃないんじゃないですか。大阪にいた頃は「なんでアイツ、あいさつに来えへんねん」ってカチンと来ることもありましたよ。僕自身、若くしてMCのお仕事をいただいてたので、あえて威厳を保とうとも思っていたところもあって。

でも、今はあいさつに来なくても、なんとも思わなくなりましたね。柔軟になったのかなあ、現場でパフォーマンスさえよかったら、あとは気にならなくなりました。
それは何かきっかけがあったから?
うーん、だんだんというか、自分の中で余裕ができてきたのかも。でもいちばんはやっぱり、時代が違うんやなと思います。僕が若手の頃は、「他の芸人のネタで笑うとかあり得ない」「先輩が楽屋にいたら、後輩は入れない」という時代やったので。

それがどこかのタイミングで、みんなが「こんなんじゃないよな」って気づいたんでしょうね。そういう意味で、僕ら世代(NSC大阪校11期生)は転換期にいたんだと思います。
後輩とは、プライベートでも遊びますか?
いや、ごはんを食べに行ったりはあまりしませんね。
いわゆる“飲みニケーション”はしないんですか?
僕は、あまり。“忘年会スルー”という言葉が流行ったくらいですから、そういうのは古い気がして。みんなが行きたくて、それで仲よくなれるならいいけど、嫌な人もおるやろうしね。

後輩を誘おうにも、「呼べば来るだろうけど、本当は嫌だと思ってるんちゃうかな」と、こっちが気を使っちゃう。だから誘わないようにしています。

一方でプライベートを見せないぶん、仕事場で隙を見せていかなアカンなと。
飲みの場で見せるほうが、楽じゃないですか?
そういう内輪の感じより、ちゃんとした場でコミュニケーションを取っていきたいな、と。「スベってごめんな」と言い合える関係は仕事をするにあたって大事やけど、なあなあになりすぎちゃいけない気がして。先輩・後輩の壁は、なくなったらアカンと思うんです。

僕が若手のとき、板(舞台)の上でちゃんとした仕事を見せてくれる先輩は、プライベートがどうであれカッコよく見えました。めちゃくちゃ優しくて、一緒にいても緊張しないけど、舞台で何もできない人は、やっぱり魅力的じゃなかった。

あと人間としての魅力に欠ける方も、なんとなく伝わる気がしますね。テレビでどんだけ自分のことをええように言ってても、「あんた、そんな人とちゃうやん」って。見てる人はちゃんと見てる。

逆にどんだけイジられてても、カッコええ人はいる。出川(哲朗)さんや(山崎)邦正さんは、すべてをさらけ出してカッコつけないところが、僕は好きだしカッコいいと思います。
後輩との距離を縮めるための“飲みニケーション”は、絶対に必要なものではないんですね。
だと思いますよ。たとえばサラリーマンだったら、会社での立ち振る舞いを後輩はちゃんと見てますから。飲み会でどれだけ熱く語ろうとも、その人がいい加減なヤツやったら、後輩は本心でそう思ってるはずなんです。

さんまさんとダウンタウンさんには「面白い」と思われたい

新社会人を迎える人が、陣内さんのように慕われる先輩になるには、どうしたらいいのでしょうか。
僕個人の考えですけど、やっぱり隙を見せることかなって思います。「あの先輩って厳しいけど、なんかかわいいところもあるよね」って。

でも前提として、できるところをきっちり見せていかないと。「あの人に怒られたならしょうがないな」と思われるには、まず憧れる存在じゃないと。

真面目に取り組む姿勢はちゃんと見せる。失敗したとしても一生懸命やった結果なら、後輩もわかってくれると思うし、逆にそこが隙に見えると思うんです。

別に後輩に媚びを売る必要はないですけど、一生懸命やって結果的に失敗したときに、周りに「ミスしました」とさらけ出せる人って、よくないですか? 僕は、そういう人についていきたいと思うんです。
そのぶん、後輩のこともちゃんと見ていなくちゃいけない気がします。
そうですね。芸人は同じ仕事場だとチームみたいな感じですから、「一緒に笑いを取れたらええよな」となる。僕も後輩の芸人たちにいっぱい頼ります。

「これを言ったら、コイツはこう言ってくれるはず。それで笑いが起こるよな」と考えながら、やりとりしています。笑いは、みんなで一緒に作り上げるものなんです。
では、陣内さんの中で理想的な先輩は誰でしょう?
やっぱりさんまさんはすべてを兼ね備えたスゴい人やと思いますね。だって共演するとき、いまだに緊張しますもん。

さんまさんは人生をかけて「明石家さんま」をまっとうする男。すべてを笑いに注ぎ、笑いに変える人。凹まない。ある意味、冷酷さを持っている。
冷酷さもいいところなんですか?
そうですね、自分のことでもアカンと思ったらスパッと切る。
「いまだに緊張する」とは、どんな緊張ですか?
やっぱり「認められたい」っていう緊張ですよね。この人には面白くないと思われたくないし、頼られたい。「コイツが失敗してもしゃあない、かわいいやっちゃな」と思われたい。

さんまさんって、一生懸命笑いを取ろうとしている相手には、「そこで笑いが起きるなら、なんでもやってあげるよ」というスタンスなんです。そんな人に、「コイツ適当やな」とは思われたくない。

それはダウンタウンさんにも当てはまると思いますね。ダウンタウンさんも笑いに関してすべてを兼ね備えている人たちですから、おふたりに「面白い」「かわいい」と思われたい。
実際に「面白かった」と言ってもらえることってありますか?
松本(人志)さんは普段、何も言わないんですけど、一度だけ番組後に「嫉妬したわ」と言ってくれたことがあって。あのときは本当に嬉しかったですね。
それはどういうシチュエーションでしたか?
『ダウンタウンDX』(読売テレビ/日本テレビ系)で、僕が「しばくぞおじさん(※1)」の話をしたときです。収録後にボソッと、「おもろかったな…嫉妬したわ」って。

それがきっかけで、ホンマは出る予定のなかった『人志松本のすべらない話』(フジテレビ系)に、たぶん松本さんが入れてくれたんですよ。しかもその回で、MVS(Most Valuableすべらない話)を取らせてもらって。ちゃんと見てくれていたんだ、という嬉しさがありましたね。
編注:陣内智則のTwitterに現れ、あらゆるツイートに「しばくぞ」とコメントしてくることから名付けられた。『ダウンタウンDX』で陣内が同人物との奇妙なやり取りを紹介したところ、一躍有名に。
では、さんまさんから信頼を得た、と感じたできごとは?
今でもやっている「それ、ワシやないかい!」のくだりが生まれたときです。

たしか『さんまのスーパーからくりテレビ』(TBS系)のロケのときなんですけど、チュートリアルの福田(充徳)が当時うわさになった女の子と…みたいな話をしてて、僕は遠くでボーッと聞いていたんですよ。

するとさんまさんが「だからホテルニューオータニで写真撮られんねや」と言い出したので、遠くから「それ、ワシやないかい!」とツッコんだんです。それがドーンとウケた。

さんまさんは「陣内、この感じで来るんや」と思ってくれたでしょうし、その後、何度も同じネタを振ってくれて。僕も「さんまさん、気に入ってくれたかも」と思えました。
自分の失敗が笑いになることは、芸人としては嬉しいですか?
もちろんありがたいですね。僕が離婚して猛反省してたときも、真っ先にイジってくれたのは松本さんだったんですよ。

「松ちゃんが笑うんなら、面白いんやろうな」って、世間の人は思うじゃないですか。後輩へのこういう助け方は、スゴいなと思います。笑いですべてのことを覆せるんやと、証明してくれるから。

ケンコバが「見ろ!」と言った壁に書いてあったのは……

陣内さんは先輩だけでなく、NSC大阪11期生の同期の方々とも仲がいい印象があります。そしてケンドーコバヤシさんや中川家さんなど、皆さん活躍していらっしゃいますね。
ありがたいことにそうですね。でも当時を知ってる人からしたら、僕がこうしてテレビに出てるなんて誰も想像してなかったと思いますよ。

中川家はおもろくてすぐ売れるなと思ってたし、コバの才能も当時からスゴかったけど、僕らリミテッド(1992年に結成、1995年に解散)は本当におもろくなかったんで。まず、自分でも売れると思えませんでしたから。
リミテッド時代のお話は、これまでのインタビューでも「いちばんつらい時期だった」と振り返っていましたね。
しんどかったですね。「見ると不幸になる」とかさんざん言われましたから(苦笑)。もう1回、同じ人生やれと言われたら無理やと思いますよ。周りの協力とか出会いとか、今の状況は本当に運や縁が重なったおかげなので。
その時期、先輩に相談はしなかったんですか?
してました、してました。でも当時の悩みって、「ウケないんです」レベルなんで(苦笑)。原因はわかってましたからね、「ネタをちゃんと作ってなかった」という。お笑いと、きちんと向き合っていませんでした
解散したのは、そこが理由ですか?
そこですよ。本当におもんなかったし、ウケなかったし。当時の心斎橋筋2丁目劇場(1999年に閉館)は千原兄弟さんやジャリズムさん(2011年に解散。現・桂三度とインタビューマン山下)を中心とした猛者ばかりで、僕は何もできてなかったですから。
それで解散して、すぐにピン芸人になろうと。
そもそも芸人を辞めようと思ってました。

「もう無理や、これじゃ売れへん」という嗅覚は、ちゃんとあったんですよ。売れなくてもダラダラ続けようという気はさらさらなかったし、そんな恥をさらすのも嫌やったし。変にプライドがあるほうなんで、「もう醜態をさらしたくない」って。
芸人を続けたのは、周りに引き止められたからですか?
いやー、そんなこともなかったですよ。ある日、僕が辞めると聞きつけたコバが家に来て「なんで辞めんねん!」と怒るんですよ。「辞めるなよ、リミテッドを応援してくれてる人たちもおんねんから!」って2丁目劇場の屋上に連れていかれて。

それで言うんです。「お前のファンはいっぱいおる。ここには、そんなファンが書いた落書きがある。あのメッセージを見てこい!」って。

見に行ったら、「リミテッドおもんない」とデカデカと書いてあったんですよ。まあ、コバの壮大の振りやったと思うんですけど。
(笑)。でも、それで元気が出たと。
いやいや! そんなの笑えないですよ(笑)。「書かれとるやないか、“おもんない”って!」と、それで解散しましたね。
その後、ピン芸人になった経緯は?
それは本当に意外というか。解散して1年くらいは何も仕事していなくて、つまり芸人を辞めた状態でした。

でも、芸人仲間がテレビで僕のことを話題にしてくれるんですよね。コバや(千原)ジュニアさん、メッセンジャーの黒田(有)さん、ジャリズムさんとか、2丁目劇場を支えた主力メンバーが『すんげー!Best10』(1995〜1997年に朝日放送系で放送された番組)とかで「陣内がこのあいだ……」って。

そのたびに、僕の顔写真がワイプで出るんです。僕は何もしてないのに「こいつは天然でおもろい人や」というイメージが広がって。
おお。
そのうち「陣内っていう天然なヤツがおる」という話が独り歩きして、テレビに出てない僕宛てにファンレターが届くようになりました。それでたまに番組に呼ばれ、出たらイジられて、お客さんも笑ってくれるようになって。

そんな状況のときに、2丁目劇場の新しい支配人から「辞めるか、ピンでやるか、どっちかにせえ。何をやってるかわからんヤツは、劇場に出さへん」と決断を迫られたんです。一旦は「辞めます」と答えて家に帰ったんですけど、これで辞めるのもなと考え直して、「やっぱり、もう1回やってみます」と戻ったのがきっかけですね。
お話を聞いていると、芸人さん同士の強い絆を感じます。だからこそ、ひな壇でもチームワークがいいのでしょうね。
ひとつの目標に向かうことは大事やと思います。会社も芸人も、やっぱりチームで動くもんだと思うので。みんなで同じ方向を向いて、誰かができないところは助け合って、自分のできないところはさらけ出して、やっていくべきじゃないかな。

目指しているのは、次の人につなぐ最強の2番バッター

陣内さんが若手の頃って、トガってる芸人さんが多かったですよね。それこそ、失敗や隙を人には見せないような。
たしかにそうでした。僕もコンビの頃はツッコミやったから、ダウンタウンの浜田(雅功)さんに憧れてきついツッコミをやってましたし。「俺がいちばんおもろいんや」って、誰もが思ってる時代ですよね。

でもだんだん、自分の才能がわかってくるじゃないですか。東京に来たら来たで、もっとおもろいヤツがうじゃうじゃいるし。おぎやはぎさんの脱力的な感じとか、ザキヤマ(山崎弘也)さんのなんでもいく感じとか、有吉(弘行)の毒や誰に対しても変わらないスタンスのスゴさとか。

そういう人たちをいっぱい見てるから、「こんなんじゃアカン」とモデルチェンジをして、今があるんですよね。
「俺がいちばん面白い」と思うからこそ芸人になったわけで、そこからのモデルチェンジはプライドが傷つきませんでしたか?
でもやっぱり、さんまさんやダウンタウンさんみたいな絶対的王者を目の前にしたらね。

中学の頃にツレから「お前やったら、さんまみたいになれるんちゃう?」と言われ調子に乗って、野球でいえば4番でホームランを打ちたい、エースになりたいと思ってこの世界に入りましたけど、いざ実際に会ったら「こんなん無理や」って思いますから。

そうなると自ずと「あの人たちができない何かを見つけなくては」って考えるんですよ。僕だったらイジられながらツッコんでいくスタイルとか。だから今目指しているのは、最強の2番バッターです。次のバッターにつなぐ役ができる人はスゴいと思うので。

そこにやりがいを感じているからこそ、先輩に対しても後輩に対しても、僕がつなぎ役になれたらいいなと考えています。
では今のポジションは、理想的であると?
いやー、理想とは思っていないですよ。「ここでええわ」と思った時点で、落ちてしまう気がします。

4番を目指して入ったわけですから、2番で満足したらアカンと思いますね。それで満足してしまったら、2番も打てなくなると思うんです。
上を目指しながらも、今できることを全力でやるわけですね。
そうです。まだどっかで「クリーンナップを打ちたい」「諦めたらアカン」と思ってます。
陣内智則(じんない・とものり)
1974年2月22日、兵庫県生まれ。O型。大阪NSC11期生。『エンタの神様』(日本テレビ系)をきっかけに、全国区でブレイク。1人コントに定評があり、MCとしても活躍している。現在のレギュラー番組は『ノンストップ!』『ネタパレ』『痛快TV スカッとジャパン』(すべてフジテレビ系)、『ヒルナンデス!』(日本テレビ系)など。
ライブドアニュースのインタビュー特集では、役者・アーティスト・声優・YouTuberなど、さまざまなジャンルで活躍されている方々を取り上げています。
記事への感想・ご意見、お問い合わせなどは こちら までご連絡ください。