僕のそばにはいつも音楽があった―― 声優・梶原岳人の原点

幼少期から歌、ピアノ、ギターを習得。高校時代はバンド活動。声優・梶原岳人のそばにはいつも“音楽”があった。そして、声優として活躍する今、新たな形で“音楽”と向き合っている――。

梶原のデビューは2016年。翌年、アニメ『ブラッククローバー』の主人公・アスタ役に抜擢され、その後も『お前はまだグンマを知らない』(2018年)、『炎炎ノ消防隊』(2019年)と話題作に出演。先日発表された第14回声優アワードでは新人賞を受賞した、今注目の若手声優だ。

2020年にはHIPHOPを題材にしたメディアミックスプロジェクト『Paradox Live(パラドックスライブ)』で、劇中チームのひとつ「BAE(ベイ)」の朱雀野アレン役として、流暢なラップを披露している。ラップ初挑戦とは思えない仕上がりに驚きを隠せない。

音楽と共に歩んできた彼だからこそ成せる業(わざ)なのだろうか? この疑問を晴らすべく、梶原が歩んできた表現者としてのルーツに迫った。

撮影/アライテツヤ 取材・文/阿部裕華

歌、ピアノ、ギター…音楽に慣れ親しんだ子ども時代

梶原さんのプロフィールを拝見したら、特技に「ギター、作曲、歌」、趣味に「音楽鑑賞」と記載されていたので、かなりの音楽好きなのでは?と。音楽はいつからお好きなんですか?
小さい頃からずっと好きです! 幼少期から音楽教室に通って歌を歌ったり、ピアノを習ったりしてたんですよね。音楽に慣れ親しんできたから、自然と好きになっていた気がします。
物心ついて好きになったアーティストはいますか?
小学5年生くらいかな、ドラマの影響だったと思うんですけど、Mr.Children(以下、ミスチル)が好きになって、ライブにもよく行ってましたね。初めて買ったCDもミスチルだった気がします。
ギターを始めたのはミスチルの影響……?
ミスチルの影響は大きいですね。歌を歌うのも好きだったから、弾き語りできたらいいなと思って、中学2年生のときにアコースティックギターを買いました。
弾き語りにチャレンジするとはスゴい! 最初に弾いた楽曲もミスチルですか?
いや、それが結局難しくて弾けず……。ギターと一緒に教本を買っていたので、そこに載っているあまり難しくない曲を弾いていた気がします(笑)。

ギターを始めてからはコブクロとか、ギターの弾き語りをしてるアーティストや、ボーカルとアコギだけのアーティストの曲を聴き始めましたね。

バンド活動ではギターを担当。文化祭では弾き語りを披露

弾き語りを人に聴かせることもあったんですか?
高校生の文化祭のとき、初めて人前で歌いました。普段は軽音楽部に所属していてバンドとして活動してました。僕はギターを担当していたんですけど、ボーカルの子と文化祭は何か違うことやりたいねと話して…文化祭では、ボーカルの子にギターを弾いてもらって、僕が歌う形で弾き語りをしました。
普段のポジションを入れ替えての演奏だったんですね。評判はいかがでした?
いろんな人が褒めてくれました。学校のホールを借りて演奏したんですけど、ホールも満員で、すごく盛り上がりました。友だちやクラスメイト、母親も見に来てくれましたね。ずっと人前でやってみたかったので、「よかった」と言ってもらえて嬉しかったです。
ちなみにバンドで演奏していた楽曲はオリジナルですが? それともコピー?
基本はコピーでしたが、バンドでオリジナル曲できないかなと思って、作曲もしてました。激しめの曲は作れなかったので、しっとりしたバラード曲をいくつか作りました。
作曲ができるってスゴい。今も作曲するんですか?
最近は全然できていないですが、やりたいなと思ってます。今までギターとかバンドでできる曲しか作ってこなかったけど、今ではいろんな曲を幅広く聴くようになったこともあって、EDMみたいな曲も作ってみたいですね。

音楽に夢中になった高校時代。声優の道を志したきっかけは?

高校ではバンド活動を行う中で、どのように声優の道を志したのでしょうか?
小さい頃から漫画もアニメも好きで、少年漫画系のアニメはずっと見ていました。声を出すのも目立つのも好きで、よく先生のモノマネとかしてたし、声優になりたいなと自然に考えるようになったんですよね。単純にアニメの中に入ってみたい、自分もキャラクターを演じてみたいという気持ちが強かったんです。高校卒業後は芸術系の大学に通っていて映画制作を専攻していたのですが、大学2年生の終わり頃から養成所に通い始めました。

楽しむことを忘れずに、芝居と向き合い続けたい

養成所に入るのは大変じゃなかったですか?
どこの養成所を選べばいいのか全然わからず、学費が高くないところにしようと思って選んだのが俳協ボイスアクターズスタジオでした。間口が広いので、入れたんだと思います(笑)。ただ、入ってからが大変でしたね。

何がよくて何が悪いのかわからないので、芝居経験のある人に「こういう感じですか?」と聞いて、ひたすら教えてもらう毎日でした。途中で挫けそうになったこともありましたけど、いつか絶対デビューして、役を演じたいと思っていたので、頑張れました。
2017年に声優デビューしてすぐ、アニメ『ブラッククローバー』の主人公・アスタ役に抜擢されています。
アフレコがはじまる前は緊張も不安もありましたけど、自分がやりたいと思っていたことが叶ったので、楽しみでワクワクしました。実際、すごく楽しかったです。

僕、アフレコがめちゃめちゃ好きなんですよ。自分の演技に対して、予想していない反応が返ってくるのが面白くて。その場でみんなで作っているというライブ感があるんですよね。自分の出したかった感情が表現できたときも、すごく楽しいなって思います。

コンマ何秒の差でカッコよさが変わる、ラップの難しさ

2019年に発表されたHIPHOPメディアミックスプロジェクト『Paradox Live(以下、パラライ)』に、梶原さんはBAEのメンバー・朱雀野アレン役として参加されています。パラライへの参加が決まったとき、率直にどう思いましたか?
HIPHOPは僕があまり触れてこなかったジャンルの音楽だったので、「新しいことが学べる!」と、とても新鮮な気持ちになりました。
パラライの参加はオーディションですか?
そうです。なので、課題曲はかなり練習しました。HIPHOPを聴いたことはあっても、人に聴かせるために歌うことは今までなくて。課題曲は昔から知っている曲だったから、曲のイメージを大切にして歌いました。
『BaNG!!!』の仮歌を最初に聴いたとき、どう感じましたか?
素直にカッコいい!と思いました。同時に、自分がこんなにカッコよく歌えるのかなって、すごく不安でした。

仮歌には作詞を務めてくださったラッパーのMICROさんの声が入っていたので、仮歌をしっかり聴いてイメージを膨らませようと、ひたすら聴き込みました。そしてレコーディングでは、とにかくできる限りの力を出して歌おう、と。
レコーディング、いかがでしたか?
楽しかったけど、難しかったですね。ラップは、よりリズムが大切なジャンルだと思い知りました。少しテンポがズレるだけで、途端にカッコ悪く聴こえてしまうんです。MICROさんの仮歌が本当にカッコよかったのに、自分が歌ってみると「ん……?」って。本当に微妙な、コンマ何秒の差でカッコよさが変わってきてしまう。

これは、感覚なのか経験なのか……とかいろいろ考えながら、自分はどう表現できるんだろうと模索したレコーディングでした。
「朱雀野アレン」として歌う点で気を付けたところはありますか?
僕が演じるアレンは、人一倍HIPHOPに対して熱い気持ちを持っている子なので、彼の持つ内面をできる限り理解するというか、自分の中に落とし込んで歌えるようにしなきゃと思いました。

『BaNG!!!』の歌詞を見ると、彼は自分の気持ちをリリックに乗せているんですよ。だから、そこをしっかり汲み取って表現してあげないと!って。

ギャップ萌えがたまらない! 朱雀野アレンの魅力

ボイスドラマパートでは、アレンは一見ぶっきらぼうなのに、オタクな面があったり、BAEのメンバーの言葉を素直に受け取ったり、すごくかわいいキャラクターですよね。
▲「BAE」のメンバー・朱雀野アレン(すがさの・あれん)【声/梶原岳人】 ©Paradox Live2020
いやぁ、わかります! めっちゃかわいいですよね。ギャップ萌えですよ。僕も「これ、女の子たまんないだろうな…」って思いました(笑)。
梶原さんから見ても、アレンはかわいいキャラクターなんですね(笑)。
ボイスドラマで、徹夜して曲を作っていたアレンの眠たそうなシーンがあるんですけど、そこがすごくかわいい(笑)。普段は気を張っているのに、ちょっと隙を見せるところとか、抜けているところがかわいい。参考になります(笑)。
自分との共通点はありますか?
僕は逆に隙だらけなんですよね。全然しっかりしていないので、彼の隙や抜けている部分を100倍くらいにしたのが僕だなって思います。そういうところが似てるっていうのもおかしいかもしれないけど(笑)。
演じるうえで「ここを意識した!」というポイントがあれば教えてください。
素直に感情を出すことを意識しましたね。変に考えすぎず、まっすぐ気持ちを伝えるところと、捻くれたところと。その場でアレンが出している感情を間違えないように。

カッコよさのあまり鳥肌が立った『BaNG!!!』

燕 夏準役の村瀬歩さん、アン・フォークナー役の96猫さんの印象はいかがでしょうか?
▲燕 夏準(よん・はじゅん)【声/村瀬歩】 ©Paradox Live2020
▲アン・フォークナー(あん・ふぉーくなー)【声/96猫】 ©Paradox Live2020
村瀬さんとは、週4日で現場が一緒になるときもあって普段からお話している中で、パラライの話もよくしていて、話を聞くたびに改めて、すごく作品を大事にされている方なんだと思います。
96猫さんは初めましてですよね。
パラライのラジオの現場で初めてお会いしました。僕の中で96猫さんってネットの世界の方というか……実際にお会いできる方だと思ってなかったので(笑)、お会いする前は緊張しましたけど、とっても素敵な方でした。
それぞれまったく異なる個性的な声色もBAEの魅力のひとつだと感じています。初めて3人の歌声が入った『BaNG!!!』を聴いたとき、どう思われましたか?
お世辞抜きで、本当にカッコいいなって思いました。3人の声が入ったことによって、ここまで曲のよさが際立つのかと感動しました。
本当にカッコいい楽曲ですよね。
キャッチーなイントロから始まって、そこから最初のサビパートに入る瞬間、ドカンとわかりやすくインパクトがあります。聴いた瞬間に「ああ、いい! カッコいい!」と素直に感想がこぼれ出る勢い。完成形を聴いたときはカッコよさのあまり鳥肌が止まらなかったです。

何度も歌って熱量を込めた新曲『AmBitious!!!』

そして3月31日に発売される『Paradox Live Stage Battle “DESIRE”』。このCDを皮切りに本作のステージバトルが幕を開けます。BAEの『AmBitious!!!』は、1戦目に相応しい、力強さを感じる楽曲です。
『BaNG!!!』以上に熱い曲になっています。アレンはもちろん、夏準もアンも「めちゃめちゃ熱くなってる!」って思いました(笑)。

夏準は“微笑みの貴公子”と呼ばれているだけあって、クールであまり熱を見せないイメージでしたが、『AmBitious!!!』ではわかりやすいくらいカッコよくノッて感情を見せています。アンはアンでとにかくよくて。この2曲目でBAEは、より進化したんじゃないかな……2曲目にして進化っていうのもおかしいですけど(笑)。
でもわかります。熱量がかなり伝わってきました。
「ステージバトルでNo.1を獲ってやろう!」という気合いが感じられました。歌詞には英語が多くなっていて、よりBAEのよさが際立った曲になっていると思います。
梶原さんが『AmBitious!!!』を歌うときも、熱量を意識していましたか?
スタッフさん含めてすごくこだわってレコーディングしました。ディレクションしてくださるスタッフのみなさんがこうしてほしいと思うことと、僕がこうしたいと思うことの意見を出し合いながら。

言葉にするのが難しかったので、自分の感情がいちばん溢れているものを使ってほしいと思って、「もう一度歌わせてください」と、何回か挑戦させてもらいました。より熱量が高いと感じるものを選んで使ってほしくて。みんなで「いいものを作っていくぞ!」という気持ちでした。

宣戦布告! 「ステージバトルはBAEが1位を獲ります」

ステージバトル1戦目の相手は、矢戸乃上珂波汰(声/小林裕介)と矢戸乃上那由汰(声/豊永利行)率いる双子ユニット「cozmez(コズメズ)」。BAEの『AmBitious!!!』もすごくいいのですが、cozmezの『Get it』も素敵ですね。
そうなんですよ……! BAEとは毛色がまったく違いますが、なんかすごく惹かれるというか。言葉じゃ上手く伝えられないんですけど、いい。
中毒性があります。
ですよね! 曲が頭から離れない。小林さんに「cozmezの楽曲、いいですね」と話したら、「BAE、めっちゃよかったよ」と言われて。褒め合いみたいになりました(笑)。
とはいえ、ステージバトルには勝ちたい……?
そりゃあもう、絶対勝ちたいです!!(笑)
では最後に、ステージバトルへの意気込みと、BAEの魅力をぶちかましてください!
どのユニットの曲もめちゃめちゃいいのですが、気持ちだけは負けません! BAEが1位を獲るつもりで、メンバーもスタッフのみなさんも一生懸命、曲と向き合ってきました。超絶高い熱量を持って作っています。『AmBitious!!!』を聴いた瞬間、熱が伝わるはずです。

たぶん言葉で伝えるよりも聴いてくだされば、僕らの熱い想いが届くと信じています。ぜひ聴いてください!

宣戦布告みたいになっちゃいましたけど、全部のユニットを大好きでいてほしいとも思っています。パラライをよろしくお願いします。ぜひ、箱推しで!(笑)
梶原岳人(かじわら・がくと)
11月28日生まれ。大阪府出身。B型。2017年に声優デビュー。主な出演作にアニメ『ブラッククローバー』(アスタ役)、アニメ『お前はまだグンマを知らない』(神月紀役)、アニメ『炎炎ノ消防隊』(森羅日下部役)、『ACTORS -Songs Connection-』(音之宮朔役)、ゲーム『あんさんぶるスターズ!!』(天城一彩役)、ゲーム『アルゴナビス from BanG Dream! AAside』(二条遥役)など。

CD情報

『Paradox Live Stage Battle "DESIRE“ BAE×cozmez』
3月31日リリース!


¥2,200(税込)

【収録曲】
 01.AmBitious!!!/BAE
  作詞:MICRO 作曲:藤本和則 編曲:Kazunori Fujimoto
 02.Get it/cozmez
  作詞:GASHIMA from WHITE JAM
  作曲・編曲:SHIGE & SHIMI from BUZZER BEATS
 03.Voice drama

封入特典:投票ポイント券

©Paradox Live2020

サイン入りポラプレゼント

今回インタビューをさせていただいた、梶原岳人さんのサイン入りポラを抽選で3名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

応募方法
ライブドアニュースのTwitterアカウント(@livedoornews)をフォロー&以下のツイートをRT
受付期間
2020年3月31日(火)12:00〜4月6日(月)12:00
当選者確定フロー
  • 当選者発表日/4月7日(火)
  • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから4月7日(火)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき4月10日(金)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
キャンペーン規約
  • 複数回応募されても当選確率は上がりません。
  • 賞品発送先は日本国内のみです。
  • 応募にかかる通信料・通話料などはお客様のご負担となります。
  • 応募内容、方法に虚偽の記載がある場合や、当方が不正と判断した場合、応募資格を取り消します。
  • 当選結果に関してのお問い合わせにはお答えすることができません。
  • 賞品の指定はできません。
  • 賞品の不具合・破損に関する責任は一切負いかねます。
  • 本キャンペーン当選賞品を、インターネットオークションなどで第三者に転売・譲渡することは禁止しております。
  • 個人情報の利用に関しましてはこちらをご覧ください。
ライブドアニュースのインタビュー特集では、役者・アーティスト・声優・YouTuberなど、さまざまなジャンルで活躍されている方々を取り上げています。
記事への感想・ご意見、お問い合わせなどは こちら までご連絡ください。