2019年のテーマは「僕に気づきをくれた人」。歌広場淳が心を奪われたイケメン10人

2018年末に大きな話題を呼んだ、歌広場淳による「僕の心を奪った推しメン10人」。そのバラエティ豊かなラインナップと、全オタク共感必至な歌広場のトークは、多くのイケメン好きの心を奪った。

あれから1年――。2019年もふたたび、イケメン愛を語り尽くす…!

今回選ばれたイケメン10人はディープな顔ぶれ。しかし、そこには歌広場らしい信念があった。インタビューにかけた時間は2時間30分。じっくり、そして深く、独自の視点でイケメンを掘り下げていく。

何かと慌ただしい年の暮れ。一緒にこたつに入ってミカンでも食べながら、金言満載の歌広場流イケメン論を楽しんでほしい。

撮影/小嶋淑子 取材・文/横川良明
ヘアメイク/PELANGI-Kasih
本日の議事録
  1. イケメンの「愛され力」と「問いかけ力」に注目すべし!
  2. 2019年の10人は、「僕に気づきを与えてくれた人たち」
  3. 今はいつでも「好き」になる準備ができている時代

今や「イケメンが普通」の時代になってしまった

昨年に続き、今年も歌広場さんの心を奪った10人を紹介していただきます。
今回、2019年のイケメンを見るうえで重視したポイントがふたつあります。それが、「愛され力」「問いかけ力」です。
(いきなりパワーワードが来た)…「愛され力」と「問いかけ力」とは?
今年、男性アイドルについて語る機会があって。そのときに「アイドル性とは何か」を考えることが、イケメンを理解するうえで大事なパーツになるんじゃないかと思ったんですね。そして、そこで出た結論が「愛され力」でした。
その「愛され力」というのは、いわゆる「ファンサ(ファンサービス)が丁寧」とか、そういう意味ですか?
それもひとつのかたちだと思います。

たとえば、ゴールデンボンバーに『女々しくて』という曲がありますが、あの曲の魅力にひとつに「振り付けが楽しくて一緒に踊れる」ということがあるとします。でも、じゃあX JAPANさんが同じように振り付けを真似しやすい曲をつくったとしても、たぶんファンの方は一緒に踊らないと思うんです。
なるほど。
要は、人それぞれ愛されるための資質は違うということです。各々が持っている武器でどう戦うか、あるいはどうやって新しい武器を手に入れていくか。それはイケメンたちの勝負です。

その中で、彼らは「愛され力」を試され、同時に僕たちもこの人のどこが好きなのかを「問いかけ」られているわけです。
お顔はとてもキレイなのに、今ひとつ心に引っかからないイケメンもいますよね。そういう人たちは「愛され力」が弱かったから、と?
もちろん「顔がいい」だけでも愛されるんですよ。それぐらい、顔がいいことは強力なフックになる。ところが、イケメンという言葉がこれだけ普通に使われるようになった今、顔がいいことは普通になってしまった。それゆえに、世のイケメンたちは独自の個性やオリジナリティ=自分だけの愛され方を求められるようになったんです。
たしかに、イケメンも最近は何かしらのキャラづけに迫られている感はあります。
と言っても、世の中に完全なオリジナルなんてものはほとんどない。どれもすでにあるものの掛け算なんですけどね。

たとえば、ゴールデンボンバーは「ヴィジュアル系」と「エアーバンド」を掛け算することで、「今までになかったよね」と言ってもらえるポジションを築けた。こうした掛け算が、今、イケメンの魅力を紐解く方程式になっていると思います。

イケメンは常に見る人に「問いかけ」をしている

もうひとつの「問いかけ力」についても、くわしく教えていただけますか?
昨年、10人を挙げさせていただいたときに、すごく話題になった一方で、「〇〇くんが入ってない!」「この人のどこがイケメンなの?」という声が非常に多く上がりました。
それを見て、イケメンは人々に「問いかけ」をしていると改めて感じたんです。たとえば、誰かがイケメンとして紹介されたとき、その人の「どこがイケメンなのか? 顔か? それ以外か?」を瞬時に考えるじゃないですか。

そして、気づかされるんです、僕たちは何をもって人を「イケメン」と認識しているのか、と。
なるほど。
そうならないように気をつけてはいるものの、僕も含めて多くの人は「イケメンを語る」ことを通じて、「自分を語りたい」んだなと発見しました。ただ単にイケメンを見て、「可愛い」と愛でるだけなら人形と同じ。でも、当然ですがイケメンは人形じゃありません

僕にとってイケメンとは「その人を知ったことで、自分の生き方が変わるかどうか」。本当のイケメンは僕たちにたくさんの「問いかけ」を与えることで、多くの気づきをもたらし、人生の楽しみさえ変えてしまう。

つまり、今回選んだ10人は「2019年、僕に気づきを与えてくれた人」なんです!
正直、ラインナップを見たときに「ずいぶんディープだな」と思いました(笑)。
もちろんライブドアニュースさんが喜んでくれるイケメンを選ぶことはできますよ。ただ、僕自身、誰かから「宣伝してほしい」とお金をもらってイケメンを紹介しているわけではない。こうやって損得なしに、なんだったら「歌広場うぜー!」って思われてるくらいなんですけど(苦笑)、とにかく利害を気にせずイケメンを語れる状況はすごくいいな、と。

だから、みなさんがよく知るようなイケメンの紹介は、他のどなたかにお任せして(笑)。僕は自分が今いちばん語りたい人たちを挙げさせてもらいました。
10人を選ぶのは大変だったのでは?
そうですね。あまりジャンルの偏りがないようにとかも考えたんですけど、マネージャーさんからも「歌広場さんのいいところはとにかく一生懸命やることじゃないですか!」と言われたので、ここはもう一生懸命やるしかない、と。
ありがとうございます!
2019年に僕に大きな影響を与えた人をそのまんま挙げたらこういう顔ぶれになりました。「この人知らない」とか「〇〇くんを挙げてくれたらよかったのに」と思う人もいるとは思うんですけど、そこは2018年のときにやらせていただいたので、ご了承ください。

そして、人選がマニアックすぎてこの記事がバズらなかったら、ライブドアニュースさん、ごめんなさい(笑)。

吉沢亮

©ゲッティ
吉沢亮(よしざわ・りょう)
1994年2月1日生まれ。東京都出身。B型。2009年にアミューズ全国オーディション「THE PUSH!マン」で芸能界入りし、2011年に『仮面ライダーフォーゼ』(テレビ朝日系)で注目を浴びる。主な映画出演作品は、『アオハライド』、『銀魂』シリーズ、『リバーズ・エッジ』、『斉木楠雄のΨ難』、『キングダム』など。2019年はNHK連続テレビ小説『なつぞら』で演じた山田天陽も話題に。
では、まずは吉沢亮さんからお願いします!
とか言いながらもいきなり王道中の王道から始まるわけですが…!(笑) でも、ここを外すことは絶対にできません! もしもイケメン度を点数で表すテストがあるとしたら、吉沢さんは誰がどう見ても100点満点のイケメンです。100人いたら100人が吉沢さんのことをイケメンと答えるはず。異議を唱える人はまずいない。つまり、イケメンにおける「集合知」と言える存在が吉沢さんです。
イケメンの集合知…!
吉沢さんを語ることで、各々が思うイケメンの指針が明確になる。なので、吉沢さんを基準にイケメンを語るという意味でも、最初に名前を挙げさせていただきました。ものすごく高い基準ですけど(笑)。
ちなみに、歌広場さんが吉沢さんをイケメンとおっしゃるポイントは、お顔ですか?
そうです(即答)。

…ですが、そこで僕らが陥ってしまうワナがある。「顔がカッコいい」とほめると、「顔だけしか見てないの?」と思われることなんです。それは大きな間違いです(断言)。
というと?
「Aが好き」と言ったら「Bは嫌い」と勝手に思い込んじゃうのが現代人の悪い癖だと思います。僕が言いたいのは「顔が好き」=「顔に代表されるその人の中身が好き」ということなんです。

そして、顔がいい人を見ると人生イージーモードだってみんな言いますけど、イケメンというだけで幸せになった人なんかいないんですよ。みなさん、何かしらの努力をしている。

たとえば吉沢さんは、デビュー当初はこの仕事について「いつ辞めてもいい」「バイト感覚」と捉えていたそうです。でも、初主演を務めた『ぶっせん』の舞台で、客席が全然埋まっていない様子を目の当たりにして、初めて悔しいと感じた。悔しさを知ったイケメンが一層努力をする姿なんて、美しいに決まっているじゃないですか!
た、たしかに。
ベタですけど、外見は内面のいちばん外側だと最近つくづく思うんです。顔がカッコいいのは、それだけ葛藤がある生き方をしている証拠。だから、顔に惹かれるということは、生き方に惹かれているということなんです。

吉沢さんにハマってしまう人は顔が入り口だと思うんです。というか、そうじゃなきゃ嘘と言ってもいいと思います。それぐらい顔が美しい。

そして顔から入った人が、「自分は吉沢亮さんのどこが好きなんだろう?」と自問自答をする。それが楽しいし、そんな「問いかけ」をくれる吉沢さんは素晴らしい方です(と、ここまでめちゃくちゃ早口)。
まさに「問いかけ力」ですね。
吉沢さん自身は何も問いかけてはいないんですけどね。だって答えは出ているから。一周も二週も回って「顔」って。

僕たちは、答えを知ったうえで、その答えに行き着く過程をあれこれ模索したり、もうひとつ別の答えがあるんじゃないかと考えたりする。正統派でありながら、とても特殊なイケメンなんです。
まるで穴埋め式のテストではなく、記述式のテストに挑むような。
まさにそうです。吉沢さんは、論文のようなイケメンです。
論文のようなイケメン…。
あと吉沢さんのいいところは、ちゃんと自分がイケメンであることを自覚しているところですよね。今年直接お話する機会があったので、そこで「国宝級イケメンランキングというものに選ばれましたね」と言ったら、「でしょうね」と答えられたんです。
ひと昔前だったら、イケメンが自分の顔をほめられて謙遜しない人って、鼻につく風潮があったと思うんです。でも今はむしろ、そうやってイケメンであることを認めることに肯定的な気がします。これって、時代の変化でしょうか?
それはイケメンという存在が、昔は特別だったのが、今は普通になっているからだと思います。
『グラップラー刃牙』という漫画に渋川剛気というキャラクターがいるんですけど、誰もが認める合気道の達人なのに、彼が戦っている姿を誰も見たことがないんですよ。それは彼が達人ゆえに保護されているからですが、同じようにイケメンもかつては保護の対象だった。

けれど、もはやイケメンという言葉がパワーを失い、それに代わって「推し」という言葉が力を持つようになった今、イケメンは普通になった。普通のことをことさらに否定するのは嫌味じゃないですか。だから、私たちもイケメンが謙遜しないことを受け入れるようになったんじゃないかと。

ただ、そうした状況を踏まえたうえで、吉沢さんに「国宝」という冠がついたことには意味があるなと思っていて。1周回って彼はまた保護される対象になったわけです。でもそれが正しいですよね。だって、あれだけイケメンなんだから。

いちばん恐ろしいのは「吉沢亮はイケメンだから当たり前だよね」と、イケメンであることがマイナスの方向に働いてしまうこと。デビュー10周年の今、きっと吉沢さんはそうならないと信じていますが、改めて彼がどれだけスゴいのかをしっかり評価し、語り広める必要があると思っています。

向井康二(Snow Man)

向井康二(むかい・こうじ)
1994年6月21日生まれ。大阪府出身。A型。2006年10月8日、ジャニーズ事務所に入所。関西ジャニーズJr.内ユニット、Shadow WEST、Kin Kanのメンバーとしても活動する。2019年1月4日に関西ジャニーズJr.としての活動を終了。同年1月17日、ジャニーズJr.内ユニットSnow Manに加入。2020年1月22日、デビューシングル『D.D.』をリリースする。
次は、今年、CDデビューが決まったSnow Manの向井康二さんです。
僕は関西ジャニーズJr.(以下、関ジュ)が好きで、よくコンサートにも行くんですけど、向井さんといえば、関ジュの要。柱となってみんなを支え、屋根となって雨風からみんなを守る存在です。

そんな彼になぜ今年心を奪われたのかといえば、彼のストーリーを応援したいと思ったから。

ジャニーズJr.は関東と関西に分かれていますが、関西は関東に比べて圧倒的にチャンスが少ない。関東組は『ミュージックステーション』などの人気番組で有名グループのバックを務めるチャンスにあふれている中、関ジュは大阪松竹座を拠点に「関東に負けないぞ」「俺らは俺らのやり方でいくんだ」と頑張っている。

ところが、さあ盛り上がってきたぞというところで、関東に引き抜かれるのが、関ジュの宿命なんです。
ツラい…。
向井くんもそのひとりです。彼は今年1月、Snow Manへの加入が発表されました。すでに歴史も結束もあるグループに、関西からたったひとり合流する。メンバーやファンの方に認めてもらうために、彼は何をすべきか必死に考えたと思うんですね。

僕は、その姿を見て思ったんです。彼はもしかしたら誰かのために頑張っているんじゃないか、と。
誰かのために?
それを確信したのが、Snow Manのコンサートに行ったときです。僕、向井くんから「関西を頼みましたよ」と声をかけられたんですよ。
えー!
自分はもうSnow Manの一員なのに、それでも彼は「関西を頼みましたよ」と言った。彼は、残った関ジュのみんなのために自分の体を燃やしているんです。関ジュにはそんな男たちがたくさんいる。

「置かれた場所で咲きなさい」という言葉がありますけど、向井くんには「種が落ちた場所で咲いてみせるし、何かあったら自分の体を燃やして灰にして、それを撒いてまた新しい花を咲かせてみせる」という熱い心を感じるんです。花になりたくてアイドルの道を志した少年が、土にまみれながら、自分じゃない誰かのために畑を耕す肥料となる…。こんなストーリー、心を奪われないはずないでしょ!?

だから僕は向井くんを推します。彼がSnow Manに入ったことに対して賛否の声があったかもしれません。けど、はっきりここで言いたい。もし向井くんに否があったとしても、僕はその3倍賛を送りますと!(大声)

紅ゆずる

紅ゆずる(くれない・ゆずる)
8月17日生まれ、大阪府出身。A型。2002年、宝塚歌劇団に第88期生として入団。同年に『プラハの春』で初舞台に立つ。2016年に星組トップスターに就任。2019年10月、『GOD OF STARS -食聖-/Éclair Brillant(エクレールブリアン)』東京公演千秋楽をもって退団する。11月1日付で松竹エンタテインメント所属となり、女優として芸能活動をスタート。2020年2月には紅ゆずる 1st CONCERT『紅-ing!!』を開催予定。ゲストには歌広場淳も参戦する。
次は、10月に惜しまれながら退団した元宝塚歌劇団星組トップスター、紅ゆずるさんです。
紅さんはトップになる前から「大劇場5作品で卒業する」と決めていたそうです。そして、その通り5作品で退団をされました。これって簡単なことではないんです。やっぱりトップに立ったら、もっと続けていたくなるじゃないですか!?

特定の誰かを否定しているということではまったくないのですが、どこかのトップが長いと、どこかのトップが短くなる。組織の新陳代謝を考えると、バランスが悪い面もあるわけです。紅さんが潔く身を引いたのは、そんなふうに宝塚全体のことを本気で考えていたから。そのことが随所に感じられる去り際でした。
と言うと?
紅さんの最後の作品は『GOD OF STARS -食聖-』というコメディでした。まずコメディを選んだところが紅さんらしいなと思います。たとえば主人公が最後に死んでしまう作品だったら、もっとエモーショナルで感動的な卒業になったと思うんです。

けれど、そんな悲しくてシリアスなラストで1幕のお芝居を終えたら、そのあとから始まる2幕のショーでいきなり華やかな歌を歌われても、どんな気持ちで聴いたらいいか困ってしまう。最後の作品だからこそ、紅さんはファンが笑顔になれる作品を選びたかったんじゃないかと思うんです。
ファンのことを第一に考えているんですね。
もうひとつ理由があります。宝塚のカッコいい見せ場と言えば、男役の背中。真っ暗な舞台で、ひとりスポットライトを浴びる姿はまさに退団への花道です。

けれど、『GOD OF STARS -食聖-』のラストは、星組の組子全員がステージ上にいるんです。自分の花道を捨ててまで、名前も知られていない端役の子も含めて全員ステージに上げるなんて、組のことを考えていないとできない。そして、そのラストを観たときに、僕は圧倒的に肯定された気持ちになったんです、「紅さんのことを好きになったのは間違いじゃなかった!」と。

「紅ゆずるのどこが好きなの?」という「問いかけ」に対し、「これを観て好きじゃないんだったらおかしいよね」と心の底から思えたんですよ。だって、自分以外のためにここまでしてくれる人なんですから!!

これは向井くんにも通じるところですが、やはり自分以外の誰かのために身を捧げられる人は、正真正銘のイケメンなんです!!!(熱弁)

伝説のオタク

伝説のオタク(でんせつのおたく)
1982年3月1日生まれ、千葉県出身。A型。プロゲーマー。古くは『CAPCOM vs SNK2』の強豪プレイヤーとして知られ、日本最大級の格闘ゲーム大会「闘劇」では、複数のタイトルで本戦に出場するほど幅広い知識とテクニックを持つ。格闘ゲームのキャラクター選択はトリッキーな性能のキャラを好む傾向があり、テクニカルなプレイングを特徴としている。2019年11月、『太秦上洛まつり 侍(SAMURAI)』で行われた『SWC JAPAN TOUR「SAMURAI SPIRITS」大会』で優勝。ゲームにおける歌広場淳の師匠でもある。
次は、プロゲーマーの伝説のオタクさんです。
伝説のオタクさんは昔から格ゲー界隈ではすごく有名なプレーヤーなんですけど、僕が彼を推すのには、ふたつの理由があるんです。

ひとつは、ゲームがめちゃくちゃうまい。そしてもうひとつは、圧倒的に社会性がない(笑)。僕が今まで出会ってきた中でもトップクラスにダメな人。このあいだ、知っている服のブランドの話になったんですけど、彼は真顔で「ロレックス、アシックス、シダックス」と答えていました。
…えっ、ボケたんじゃないんですか?
そう、ネタっぽく聞こえますけど(笑)、彼は大真面目なんです。彼は、完全に社会の規範から外れている。でも、ゲームをやらせると天才的なプレーで人々を魅了してくれる。そんな彼を見ていたら、僕はあることに気づきました。
どういうことですか?
彼はゲーム以外、生きる術を知らない。とはいえ、なんとか生活はしなくちゃいけないから、ゲーム誌のライターだったりゲームセンターの店員だったり、いろいろトライしてみたんです。ところが、雑誌が休刊になったり、お店が閉店になったり、ゲームをする以外のことだけで生きていくことができなくなった。

そんな中、彼が初めて自ら動いて選んだのが、会社と契約してプロゲーマーになるという道でした。
好きなことを仕事にしたわけですね。
とは言っても、あれだけ社会性のない人ですから、会社の中でうまくやっていけるか最初は心配でした。でも、彼はプロゲーマーとして生きていくために、雑務とか今まで好きじゃなかったゲームとは無関係なことにも取り組むようになって、周りの人のことも受け入れられるようになった。

そしたら、先日、ある大会で優勝したんです!
おおっ!
伝説のオタクさんは、僕に令和時代の好きなものへの接し方を見せてくれた人なんです。

僕は小さな頃からずっと「ゲームなんかして何かいいことがあるの?」と言われてきたんです。その問いに「いいことがあるからやっているんじゃない。好きだからやっているんだ」と答えるのが最強だと思っていたんですけど、世の中には「それだけじゃダメだよ」という声もある。

そんな答えの出ないモヤモヤに、伝説のオタクさんは「好きなことをやりながら、好きじゃないことも自ら進んでやった人間が最強なんだ」という解を示すことで、終止符を打ってくれた。その不器用だけど清々しい生き樣が、僕にとってイケメンなんです。

すずきてっぺい

すずきてっぺい
1989年4月27日生まれ、埼玉県出身。A型。8人組メンズアイドルグループ・マッシュアップの青担当。マッシュアップは2016年11月に結成し、ボーカル2人+メインダンサー6人という珍しいスタイルで活動中。2018年4月には1stアルバム『mush uuuuuuup!!!』をリリース。2020年3月26日には東京・お台場のZeppDiverCity(Tokyo)でワンマンライブも開催決定。
次は、メンズアイドルグループ・マッシュアップのすずきてっぺいさんです。
出会いはけっこう古いんです。2011年か2012年ぐらいだったと思うんですけど、彼が働いているお店が秋葉原にあって、「めっちゃカッコいい」と思って何回か通っていて。

その後、2013年に僕が秋葉原に『オータムリーフ』というお店を出すことになって、イケメンの店員を募集したら最初に応募してきてくれたのが“てぺにゃん”でした。てぺにゃんというのは彼の当時の愛称です。今は違う呼び方かもしれないけど、僕にとって彼はてぺにゃんだからそう呼ばせてください。

話を戻すと、つまり一時期的に僕は、彼の雇用主だったんです(笑)。お店は2015年にクローズしてしまい、その後、彼が何をしているのかわからなくなったのですが…。
それで?
じつは今回、10人イケメンを選ぶにあたって、周りの人にも相談したんですよ。そしたら「すっげえいいイケメンがいるよ! すずきてっぺいくんっていう…」。そう、あのてぺにゃんだったんです!

そこで僕は、彼がまだアイドルとして活動していて、今はマッシュアップというグループにいることを知りました。
運命的…!
正直、僕はマッシュアップのステージを生で観たことはありません。でも、彼がまだ表舞台に立ち続けているという事実だけで、十分推す理由になった。これはとても大事なことなんですよ。表舞台に立っていないと推すことはできないんです!
たしかに。
彼は身長が180cmくらいあるんですけど、イメージ的にそんな高身長には見えなくて、彼も自分のキャラクターをわかっているのか、背が高いのがわからないように、いつもちょっと腰を曲げているんです(笑)。そういうところがすごく可愛い(うっとり)。

今、リアルタイムでは触れ合っていないけど、彼がカッコよくて、可愛くて、優しい人だということは僕が保証します。かつて彼の働いている店にわざわざ通っていた僕が言うんだから間違いないです!
愛を感じます。
てぺにゃんやファンの子たちからしたら、「いきなり歌広場っていう変なヤツが湧いてきた」と思うかもしれないけど、「お願いだから推させてくれない?」って頭を下げさせてください。てぺにゃんが今も表舞台に立っている事実が僕にとってはうれしいんです。

来年3月にZeppDiverCityでワンマンがあるそうです。てぺにゃんには、「不安もあるだろうけど頑張れよ!!」と伝えたい。

そして、この記事を読んだ人には、ちょっとでも興味が湧いたらとかじゃなく、「僕がこんなにベタ褒めしてるんだから、今すぐ“すずきてっぺい”を検索してTwitterをフォローして!」って書いておいてください!(真顔)

中川大志

中川大志(なかがわ・たいし)
1998年6月14日生まれ。東京都出身。B型。2009年に俳優デビュー。NHK連続テレビ小説『おひさま』、NHK大河ドラマ『江〜姫たちの戦国〜』、『平清盛』、『真田丸』、ドラマ『家政婦のミタ』、『水球ヤンキース』、『花のち晴れ〜花男 Next Season〜』など多数の作品に出演。映画『きょうのキラ君』、『ReLIFE リライフ』、『虹色デイズ』、『覚悟はいいかそこの女子。』では主演を務める。2019年3月に第42回日本アカデミー賞で新人俳優賞を受賞。
次は、俳優の中川大志さんです。
これまで散々いろんなところでイケメンを挙げてきたこともあって、自分で選ばなきゃいけないんですけど、何か誰をどのように語ればいいのか考えすぎて…何というか、神の領域に助けを借りたいような気持ちになったことがあったんですね。

そんなある日、友だちとご飯を食べていたら、突然見知らぬ女性に「いつもお世話になっております」って声をかけられたんですよ。あれ?と思って「すいません、お会いしたことありましたっけ?」って聞いたら、「いえ、初めてです」って。
ちょっと怖いですね…。
そしたら、その女性が「中川大志の姉です」とおっしゃったんです。
え…!! (驚愕)
じつは僕、雑誌の企画で中川くんが14歳の頃に会っていて。以来、ずっと彼のことを応援していたんです。そうやって僕がワーワー言っているのをお姉さんも知っていたらしくて、「いつもありがとうございます。本人も喜んでいます」と。
スゴい話があるものですね…。
そのとき、僕が思い出したのは、中国にある円楼(えんろう)という建物にまつわるお話でした。

円楼は名前の通り円形の集合住宅ですが、そこの住人にはいくつかのルールが課せられるんです。そのひとつが、「隣人にいいことをせよ」というもの。誰かにいいことをしてもらったら、その相手ではなく、自分の隣人にお返ししましょう、と。

つまり、円形だから回り回って自分にいいことが巡ってくるという仕組みです。
情けは人のためならず、という格言にも通じますね。
僕は、別に中川くんに何かしてほしくて応援していたわけじゃない。ただ、自分がいいと思うものを素直に発信していただけ。

でもその結果、ご本人のお姉さんから感謝の気持ちを伝えていただくことができた。自分がやったことが誰かのためになって、結果的に自分にも戻ってくる。改めて「推す」とはこういうことなんじゃないかと再確認しました。

しかも今、中川くんが出演しているドラマ『G線上のあなたと私』には、うちの喜矢武豊が出てるっていう(笑)。今度は僕を飛び越えて、喜矢武豊のところにつながったみたいです。
イケメンのご縁の力、スゴい。
中川くんがカッコよくて俳優として実力があることは僕が言うまでもありません。ただ、今回こうして選んだのは、そんな神の意志に近い運命を感じたから。

イケメンとは、イケメンと自分とのあいだに奇跡を超えた何かを起こしてくれる存在なんだということを、僕は中川くんを通じて発見しました。

中川晃教

中川晃教(なかがわ・あきのり)
1982年11月5日生まれ、宮城県出身。B型。2001年、自身が作詞作曲を務めたシングル『I Will Get Your Kiss』でデビュー。同曲は第34回日本有線大賞新人賞を受賞。2002年にミュージカル『モーツァルト!』でタイトルロールを演じ、第57回文化庁芸術祭賞演劇部門新人賞などを受賞。以降、音楽活動と並行して数々のミュージカルに出演する。主な出演作に『TOMMY』『エレンディラ』『地球ゴージャスVol.11』『銀河英雄伝説』など。2020年は1月にミュージカル『フランケンシュタイン』、4月にミュージカル『チェーザレ 〜破壊の創造者〜』などに出演。
次は、ミュージカル俳優の中川晃教さんです。
中川さんは、誰もが認めるミュージカル界のプリンス。「神の声」と形容されるほど歌がうまくて演技も素晴らしいのですが、それはもう当たり前のことです。僕が中川さんを好きなのは、中川さんの歌声を聴いていると「怖くなる」瞬間があるからなんです。
怖くなる?
それはうますぎて怖いということではなくて。要は、感情移入をするんです。しかも、死の恐怖を感じるほどに。

乙一さんが書いた『The Book 〜jojo's bizarre adventure 4th another day〜』という小説の中に「小説家は感情移入で人を殺す」という一文があります。まさにその通りで、僕は中川さんの歌声を聴いていると、自分が感情移入していることに気づかないぐらい完全に感情移入してしまって、知らずに涙が出てくる。

そして気づくんです、「この人はその気になったら人を殺せる」んだって。もちろんご本人にそんな意図はないんですけど(笑)。
実際に死を感じるようなことが?
ありました。それが、大ヒットとなった『モーツァルト!』です。中川さんが演じたのは、偉大な音楽家であるヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト。モーツァルトの人生は映画を観ているからよく知っているし、彼が最後に死を迎えることも頭ではわかっているんです。

だけど、僕は知っているからこそ、結末が近づくにつれて彼の死が怖くなった。あのとき僕は劇場でただひとり、「この舞台が終わったら僕も死ぬかもしれない。だから終わらないでほしい」と本気で願いを捧げていました。
もはや命乞いのレベル…!
そんなこと普通ないですよね。僕はミュージカルが大好きで、これまでたくさんの作品を拝見してきましたが、「もしかして死ぬかも」という切迫感を持って観た作品は他にありません。

先日、中川さんは偶然お会いしたんですけど、当然本人には言えないですよ、「あなたは僕を殺す気ですか!?」なんて。だからここで告発したいと思います(笑)。
告白じゃなくて、告発なんですね。
中川さんが単純なイケメンというくくりに入るかはわかりません。たとえるなら解いても解いても、解き明かせない難しい数学の問題のような人。

彼の才能が音楽に向かって本当によかったと思います。もしまかり間違って悪の方向に向かっていたら、エラいことになるんじゃないかと。こういう才能を持った人は、悪のカリスマとなって暴動をアジテートしている可能性大ですから(笑)。

ビバラッシュ

ビバラッシュ
2016年6月、関西を代表するヴィジュアル系イベント制作会社、KERBEROS ENTERTAINMENTの2周年記念イベントで始動が発表されたV系アーティスト。るいまる(vo)、ベル(gt)、幸村(gt)、冬也(ba)、パーミー(dm)の5人組。『自由』をコンセプトに、ビバ(バンザイ!)がスプラッシュする(弾け、勢いよく飛び込む)ように、音楽の楽しさをオーディエンスに伝える。2018年6月に1st フルアルバム『ビバ・オブ・ザ・イヤー』を発売。2020年2月4日には7thシングル『ウチらは明日から本気出す』をリリース。
次は、“アゲみ集団”エンターテインメントグループのビバラッシュです。
どんな職業に就いていようが、世間話としてよく「最近うちの業界、元気ないよね」って話題になるじゃないですか。僕らヴィジュアル系バンドも同じ。だから「若手でいい人いない?」と聞かれるんですけど、うまく答えられなくて。それじゃダメだと悔しくなって、あるとき、いろんなバンドを片っ端から聴いてみたんです。

その中で出会ったのが、ビバラッシュの『踊らされた人生』という曲でした。
素敵な楽曲だったんですね。
それが逆で。ファーストインプレッションは「おはまる」とか「高まる」とか流行りの言葉を上から順に並べただけの、こだわりを感じない曲。むしろ嫌だなと思ったんです。マイノリティの誇りこそがヴィジュアル系じゃないのか、って。
なるほど…。
それで気になって、他はどんな曲をやっているんだろうと調べてみたら、それ以前の曲はどれも王道なヴィジュアル系だったんです。聴きやすいし、なんだったらいい曲だなと思うぐらいで。

そのとき、僕は彼らから「問いかけ」をもらったんですね。
「問いかけ」?
この『踊らされた人生』の前後で彼らに何があったんだろう? と。俄然、彼らに興味が湧きました。そうなるとライブを観たくなるのがゴールデンボンバーの歌広場淳です。試しにライブに行ってみたら、またすごくいいんですよ! とくに印象的だったのが、8月に行われた「バグサミ」というフェスです。

ビバラッシュの持ち時間は25分。でも、別のフェスで持ち時間をオーバーして怒られたそうで、その反省からMCで「きょうは5分前には終わるつもりなんで、4曲しかやりません!」って宣言したんです。ところが4曲目を終えたところで、「やっぱり時間が余りました! あと1曲やっていいですか!?」って。そんなのうれしいに決まってるじゃないですか。

しかも「今ここでMCを挟んだせいで時間足りないから、これからやる曲は途中で終わります」と(笑)。
面白い(笑)。
でしょう? 本当に2番のいいところで終わっちゃったんです(笑)。それで強制的に幕が閉まる中、最後にボーカルのるいまるくんがお客さんに叫んだんですよ。「みんなごめんね! でも俺たち1秒も無駄にしなかった!!」って。

僕、自分が推しているバンドのライブで「1秒も無駄にしなかった!」なんて、初めて言われましたよ。それと同時に、今まで彼らのことを知りもしないで、「どこかにいいバンドいないかな〜?」なんて言ってた自分を恥ずかしく思いました。

だからこれからは「この業界ヤバいんじゃないの?」って言われたら、「わかんない。でもすごくいいバンドがいるんだよ。ビバラッシュっていうんだけど」って言いたいと思います!
いい話…!
これは完全に僕の勝手な想像なので、違っていたらビバラッシュのみなさんごめんなさいって話なんですけど、きっと彼らは最初に自分たちが考えていたアクションでなかなか反響を得られなかったんじゃないかな、と。そこで『踊らされた人生』を機に、まったく違う方向へ舵を切った。

世の中にはイケメンであるがゆえに無自覚にキャーキャー言われている人もいる。でも、彼らはきっとその方向転換からすべてを意識してやるようになった。そのうえで、キャーキャー言われているんです。そんな彼らの姿から、同じヴィジュアル系バンドとして大事なことを教えてもらった気がします。

来夢(キズ)

来夢(らいむ)
11月19日生まれ。B型。4人組ヴィジュアル系バンド「キズ」のボーカル担当。2017年2月にreiki(gt)、ユエ(ba)、きょうのすけ(dr)と共に「キズ」を結成後、5月に1stシングル『おしまい』をリリース。2019年は『平成』『ヒューマンエラー』『黒い雨』と3枚のシングルを発表。2020年は1月にワンマンツアー『切望』、2月11日にはワンマンツアー『消滅』FINALを実施。
次は、こちらも同じくヴィジュアル系バンド・キズの来夢さんです。
来夢さんはキズのボーカルであり、首謀者。なぜ首謀者という言葉を使ったかと言うと、僕が彼の企みに非常に感銘を受けたからなんです。

キズのデビューは2017年。最初に発表されたのはバンド名だけで、誰がメンバーなのかは明かされていませんでした。代わりに世に広まったのが、「アナタノ傷キカセテクダサイ」というメッセージと携帯番号が記された謎のフライヤー。その番号に電話をかけると、メンバーが直接話を聞いてくれて、集まったいろんな人の「傷」をこれからの創作活動に反映していくという仕掛けでした。
面白い企みですね。
でもこれで終わりじゃないんです。そのフライヤーは各CDショップにも配布されたんですけど、後日、ショップの担当者に「シールになっているんで剥がしてみてください」と連絡が来て。言われた通りに剥がしてみると、メンバーのアーティスト写真が出てきたんです。
うまい!
こうした企みを考えているのが来夢さんで、僕は純粋に感動したんですよ。彼はもともとLEZARDというバンドにいて、その当時から人気がありました。とはいえ、新しいバンドを立ち上げて、まだまだ駆け出しの状態。プロモーションにお金をかけられるはずもない。

お金が使えない代わりに、彼は何を使ったのか? 頭を使ったんです! 当たり前ですよね。でも、その当たり前のことに気づいたとき、僕は思い知らされました、人間はお金があると頭を使わなくなるんだなって。
業の深い話です。
そして実際に曲を聴いてみたら、また衝撃を受けて。非常に怒っているんですよ。彼は、音楽を通じて怒りを表現している。そんな彼の音楽から、僕はまたひとつ大事なことを教えてもらいました。
どういうことですか?
俗にいう会社員、サラリーマンといった人の普段の生活は僕には想像するしかないのですが、たとえば僕と同世代の方だったら朝から晩までずっと仕事。もう毎日が忙しすぎて、とても怒っている時間なんてないと思うんです。
言われてみればそうですね。
じゃあ代わりに誰がその怒りを表現するのか。それは芸術家であり作家であり、アーティストですよね。とくに普段みんなが目をそらしているネガティブな感情に目を向けるのが僕たちヴィジュアル系バンドマンの存在意義。そのことに気づかせてくれたからこそ、僕は来夢さんを今年の10人のひとりに選びたいと思いました。

あと、単純にお顔がカッコいい(真顔)。
大事です(笑)。
ぜひ聴いてみてください。これはハマると思いますよ。

佐野恭平(MTRL)

佐野恭平(さの・きょうへい)
1986年8月22日生まれ。静岡県出身。A型。株式会社MTRL代表取締役、メンズファッションwebマガジン『MTRL(マテリアル)』編集長。原宿系、渋谷系などのファッション誌でモデルとして活動後、2015年5月「学園カースト上位層向け」という切り口で『MTRL』をリリース。『MTRL』は、イケメンモデルを起用しながら、リア充層と呼ばれる男子中高大学生へファッション・ヘア・ハウツーなどのモテにまつわる情報を発信。現在、月間300万PVのメディアに成長する。
最後は、メンズファッションwebマガジン『MTRL(マテリアル)』の編集長・佐野恭平さんです。
佐野さんは今でこそ編集長ですが、もともとはモデルなんです。ただ、モデルをやっていた頃から芸能界に入るつもりはなかったらしくて。なぜかと言うと、「イケメンは潰しが効かない」からだそうです。
至言ですね。
たしかにイケメンは固定のスキルではないので、イケメンであることが必須ではない職業には就けません。じゃあ、イケメンであることが必要な職業は? と言ったら、芸能界のような狭き門ばかりです。イケメンは生まれ持ったことで生きやすくはなるけど、それだけでは生きてはいけない。ご自身が華々しい職業としてのモデルとしてしっかりとチヤホヤされながら、そのことに気づいていたことがまず面白いですよね。

佐野さんがMTRLを立ち上げたのは28歳のとき。そのときに彼が言っていた言葉がすごく印象的でした。
なんて言ってたんですか?
「モデルの出口をつくりたい」と。僕も何かのコンテストのようなモデルの入り口は世の中にたくさんあるけど、出口という言葉は聞いたことがない。でもよく考えれば、とても大切なことなんですよね。

僕はイケメン好きを公言していますけど、イケメンと呼ばれなくなった人がその後どうなっているかを知らないんです。なぜなら、僕はイケメンというものが好きだから。そして、それでいいと思っていた。

そんな僕に、佐野さんは「イケメンも人間であり、人生がある」と気づかせてくれた。そうならないように気をつけているつもりなんですけど、自分はイケメンをオモチャのように消費しているのではないか? と気づかされちゃったわけです。
その指摘は、私たちも身につまされます。
それを言っているのが大学教授や専門家、もの知り顔のブロガーだったらまったく心に響かなかったと思います。そうではなく、イケメンの第一線を走り、栄枯盛衰を見てきた佐野さんの発言だからこそ、異常なほど説得力があった。

彼がやっていることは、イケメンを育てることなんです。今や多くの若い男の子が日々MTRLを読んで、MTRL的なものをライフスタイルに取り入れている。間違いなく今後のイケメン文化にものすごく影響を与えています。

だから、佐野さんには今後ももっとじゃんじゃん遊んでほしい。そして、そんな佐野さんがつくるものを見てイケメンに憧れる少年たちと、キャーキャー騒いでいる女の子たちをスマートなかたちに育ててください、と伝えたいです。

頑張っている人が注目される時代になった

以上が2019年、歌広場さんの心を奪った10人でした。長時間にわたってお話くださりありがとうございます。最後にこの1年を振り返って、歌広場さんの心に残ったイケメンに関するトピックがあれば聞かせてください。
頑張っている人が注目される時代だなと思いました。この夏、ジャニーズから新たにSixTONESとSnow Manという2グループのデビューが決まったんですけど、その発表のライブ会場に僕もいて。周りには他グループを推す子たちもいたんですが、みんな納得といった様子だったんです。

なぜなら、その2グループがこれまで着々と実力と実績をつけて、満を持してのデビューだったから。もちろんそれは本当にスゴいことです。でもその一方で、今は突然世に現れたシンデレラがいない時代なのかなとも思ったんです。
よく昔のアイドルにあった「彗星のごとく現れた」みたいなキャッチコピーですね。
そうです。彗星のごとく現れない時代になってきた。
たしかにジャニーズのアイドルグループに限らず、今年大ブレイクした吉沢亮さんや横浜流星さんも、じつはけっこうキャリアがあります。
まさしく努力をしてきた人が認められる時代になっているんですよね。僕は「男性アイドルの未来は女性アイドルの過去から学べ」という持論があるんですけど、このイケメンに関する現象も過去の女性アイドルの流れを見ると理解できるようにはなりました。
たとえばAKB48で、たとえ運営に推されていなくても、握手会や劇場公演で地道に頑張っている女の子がファンからの人気を集めたように、イケメンもいくらかの潜伏期間を経たほうが共感しやすかったり応援しやすかったりするということでしょうか。
そういう時代なんでしょうね。僕はこれにはSNSの円熟も関係していると思っています。各々がアカウントを持つことで、誰もが主人公になれる時代になった。主人公になるということは、すなわち「自分で選ぶ」ことができるということです。

自分が誰を推すかを選ぶにあたって重要なのは、何度も繰り返しますが、自分はその人のどこが好きなのか「問いかけ」がちゃんとできているかどうか。その答えのひとつに、潜伏期間の長さというのがあるんじゃないかと。
わかります…。
そこで言うと、受け手側にも大きな傾向が見られた1年だったと思います。
傾向とは?
今や誰もが「好きになる」準備をしている時代だなと。突然恋が始まったという人が少なくて。むしろTwitterを見ていても、みんな常に準備万端。「いつでも好きになる準備はできてるから、誰か私の前を通って!」という子が多い気がします。
みんなが沼に入りたがっている?
そうですね。「沼」や「推し」という言葉が広まったおかげで「私も沼にハマりたい!」「私も推したい!」という欲求が爆発しているのかもしれない。
それがひとつの幸せのかたちになっている気がします。
そういう意味では、イケメンにとってはチョロい時代になったのかもしれませんね(笑)。これが2020年はどう変化していくのか、じっくり見守っていきたいと思います。
歌広場淳(うたひろば・じゅん)
1985年8月30日生まれ。千葉県出身。O型。2007年、ゴールデンボンバーに加入。ゴールデンボンバーとしてリリースしたシングル『女々しくて』が大ヒット。2012年より4年連続で『NHK紅白歌合戦』に出場を果たす。2013年、第55回日本レコード大賞にて特別賞を受賞。4月1日に発表された新元号に合わせて制作した『令和』を発売。さらに12月28日には4thアルバム『もう紅白に出してくれない』をリリース。ソロでも『月刊TVnavi』で「イケメンがなきゃ生きていけない!」を連載するなど精力的に活動中。

サイン入りポラプレゼント

今回インタビューをさせていただいた、歌広場淳さんのサイン入りポラを抽選で3名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

応募方法
ライブドアニュースのTwitterアカウント(@livedoornews)をフォロー&以下のツイートをRT
受付期間
2019年12月27日(金)18:00〜2020年1月2日(木)18:00
当選者確定フロー
  • 当選者発表日/1月6日(月)
  • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから1月6日(月)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき1月9日(木)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
キャンペーン規約
  • 複数回応募されても当選確率は上がりません。
  • 賞品発送先は日本国内のみです。
  • 応募にかかる通信料・通話料などはお客様のご負担となります。
  • 応募内容、方法に虚偽の記載がある場合や、当方が不正と判断した場合、応募資格を取り消します。
  • 当選結果に関してのお問い合わせにはお答えすることができません。
  • 賞品の指定はできません。
  • 賞品の不具合・破損に関する責任は一切負いかねます。
  • 本キャンペーン当選賞品を、インターネットオークションなどで第三者に転売・譲渡することは禁止しております。
  • 個人情報の利用に関しましてはこちらをご覧ください。
ライブドアニュースのインタビュー特集では、役者・アーティスト・声優・YouTuberなど、さまざまなジャンルで活躍されている方々を取り上げています。
記事への感想・ご意見、お問い合わせなどは こちら までご連絡ください。