真っ白で努力家なだけじゃない。乃木坂46を背負う生田絵梨花の、女優としての新たな顔
「小学生の頃からずっとミュージカルが好きで、大変という意識はまったくなくて。大好きなことをやらせてもらっていて、乃木坂メンバーもスタッフさんもファンの方々も応援してくださるから、忙しさを理由にしたくなくて」
「末永く舞台に立ち続けられる人になりたいと思っているので、己と戦いながら、地に足をつけて挑んでいきたい」
グループでの活動に留まらず、『レ・ミゼラブル』をはじめミュージカル女優としても活躍する、乃木坂46の生田絵梨花。この冬、新たな環境に飛び込む。12月に出演する、松尾スズキによるオリジナルミュージカル『キレイ-神様と待ち合わせした女-』は、阿部サダヲや宮藤官九郎らのホームとして知られる「大人計画」の代表作のひとつだ。
生田は、初演で奥菜 恵、再演で鈴木蘭々、再々演で多部未華子が演じた少女・ケガレ役に抜擢された。本作を皮切りにBunkamuraシアターコクーンの芸術監督に就任する松尾は、就任会見時に「いい意味で不真面目で、色気のある劇場にしていきたい。世の中が窮屈になっている時代に、劇場の中くらいは倫理や道徳から解放されてもいいんじゃないかと思う」と語った。
まさに、真っ白で汚れなき生田のイメージとは真逆の世界観。彼女の新たな挑戦を見逃す手はない。
ヘアメイク/PON スタイリング/鬼束香奈子
衣装協力/ワンピース¥29,000(JILLSTUART/JILLSTUART 青山店)
「私でいいんですか?」みたいな「え?」を6回言いました!
- 生田さんはもともと『キレイ』の再々演をご覧になっていたそうですが、オファーを受けてどんな心境でしたか?
- 「え?」って10回言いました!(笑)
- (笑)。それはどのような気持ちの?
- まず、「私でいいんですか?」みたいな「え?」を6回言いました。
- あと4回は?
- だんだん、うれしさがこみ上げてきて。
今回、松尾さんが、音楽面でさらに厚みを出したいとおっしゃっていて。今までミュージカルに何作か出演させていただいたのですが、その経験がなかったらこの作品にはめぐり合えていないと思うので、ご縁のつながりをすごく感じました。 - これまで出演された海外ミュージカルとは毛色が違いますが、ほかに松尾さんのお芝居をご覧になったことは?
- 最初に観たのは『ラストフラワーズ』(2014年。大人計画と劇団☆新感線のコラボ企画)です。ほかにも大人計画さんの作品はちょこちょこ拝見していて、『キレイ』の初演と再演もDVDで観ています。
10代のころから観ていたので、最初は、(指の隙間からこっそり見るしぐさをしながら)「あっ!」ってドキドキしちゃうようなシーンもありましたけど(笑)。 - 最初はちょっとびっくりしますよね(笑)。
- はい、「こういう演劇もあるんだ!」って。
- “松尾ワールド”の印象は?
- 人間の弱さや愚かさを描いていても、その人物がすごく生き生きして見えるというか……。誰でも多かれ少なかれ持っている、自覚していなくても潜んでいる側面が見えてきて、自分の視野も広がるというか、考え方も変えてもらえるような作品が多いんじゃないかと、勝手ながら思っています。
- 松尾さんとはお会いになりましたか?
- 『キレイ』の出演が決まってから、『ニンゲン御破算』を観に行ったときに、ちょこっとご挨拶させていただきました。『キレイ』の宣伝ビジュアル撮影のときにも、少しだけお話して。
「破天荒な方なのかな?」というイメージを持っていたのですが、実際にお会いしたらすごく穏やかで、どちらかと言うと、“前へ前へ”というよりは控えめな方なのかなと感じました。
イメージとは違う役。どんな新しい扉を開けられるだろう?
- 『キレイ』をご覧になったときの感想はいかがでしたか?
- 時間軸が交錯するので、話の流れや状況を把握するのが難しかったですけど、やっぱり、冒頭と最後に歌う『ケガレのテーマ』という曲に集約されているのかなと思いました。オープニングではこの曲で一気に物語が立ち上がってきて、ラストでは、同じ曲で歌詞を変えて歌うんです。
そこに、「ケガレて、ケガレて、アタシはキレイ」というフレーズがあって。
なんて言うんだろう……ただ純白っていうんじゃなく、ホントにいろんなものと向き合いながら、受け入れながら、それを全部含めて、美しいものになっていく。そういう人間像というか、人生観がグッときましたね。 - 『ケガレのテーマ』はすごく耳に残る曲ですよね。
- 自分が出演するとは思ってもみなかったときに、劇場を出たあと自然と歌いたくなって、パンフレットに載っている楽譜を見たり、耳コピしてなんとなく歌ったりしていました。ホントにいいメロディがたくさんある作品ですよね。
- お稽古はこれからですが、ケガレをどんな少女だと感じていますか?
- 記憶をなくしていることもあって、すべてのことに素直に反応するし、正直に口に出ちゃうし行動するし。そこが純粋にも見えたり、でもちょっと汚く見えたりもする。いろんな面があるので、今はまだ「これ」と決めつけずに、自然体でお稽古に入って、演出を受けて、謎に包まれているケガレという少女を模索したいなと思っています。
- これまで生田さんが演じてきた役とは、真逆に近いような。
- ぜんぜん違いますよね。
- ご自身のパブリックイメージとは違う役を演じるおもしろさは感じていますか?
- すごく楽しみです。けっこう真っ白なイメージの役が多かったんですが、ケガレはいろんな色が混じり合っていて、自分でもどんな新しい扉が開けられるかワクワクしています。
松尾さんも、いかにも「演じてます!」みたいなお芝居がお好きなタイプじゃないと……何かのインタビューで読んだので(笑)、「私はこうです!」みたいな提示をせずに、「(まっさらなままで)お願いします!」って臨んだほうがいいのかなと思っています。
ミュージカルの現場では、やはり、どう歌に乗せるかが重要で、今回のように完全にお芝居がベースになっている作品は初めてです。お芝居について、ホントに頑張らなきゃいけないし、一から勉強したいです。
大先輩の神木隆之介との初対面は、お互いに謙遜し合い
- 宣伝ビジュアルの撮影はいかがでしたか?
- 本番の舞台とは関係なく、“先住民のようなイメージで”と言われて撮影しました。普通なら、「もうちょっと強い表情で」とか「悲しそうに」とか指示があるんですけど、今回はカメラマンさんが「あなたは先住民で、話ができません。カメラマンが何を言っているかわからないし、カメラだっていうこともわからない。ただ、そこにいてください」って。
だからもう、先住民になりきって(笑)。ちょっとでも「こういう表情を作ろう」とかって考えると、「無心になってください」と言われて。ひたすら、「この人は誰だろう、これはなんだろう」と思いながら撮ってました。
そう思ってチラシを見ると、みなさんの表情がおもしろいですよね? (橋本)じゅんさんは、「なに勝手に撮ってんだよ?」みたいに機嫌悪くなってますし(笑)、岩井(秀人)さんとか、もうホントに「カメラを初めて見た人」みたいな怪訝な表情ですし。
下段左から、皆川猿時、小池徹平、鈴木 杏、橋本じゅん。
- 共演者の話が出ましたが、少年ハリコナ役の神木隆之介さんとは、会ってお話されましたか?
- (2019年1月に出演したミュージカル)『ナターシャ・ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812』を観に来てくださって、楽屋でご挨拶しました。
神木さんは、私からするともうホントに大先輩なんですけど、「僕、舞台初めてで、いろいろ教えてください」とおっしゃって。「いやいやいやいや! 先輩、やめてください」って、ずっと謙遜し合いでした(笑)。「いやいや、生田さん、ミュージカルとかいろいろやってるじゃないですか」「いやいや、(神木さんこそ、)芸歴長いじゃないですか」って。 - これまでに神木さんの出演作をご覧になって、どんな印象をお持ちですか?
- 私が言うのはおこがましいんですが、トリッキーな役でも、純朴な役でも、見るたびに「どれがホントの姿なのかな?」って思うくらい幅が広いですし、どの作品を観ても、神木さんというよりはその役の人物にしか見えないですよね。(少年)ハリコナのようなぶっ飛んだ役は映画やテレビでもあまり観たことがないと思うので、今からすごく楽しみです。
神木さんだけでなく、こんなに芸達者な方々と共演できることってなかなかないですよね。すごくありがたいですし、たくさん見て、たくさん学ばせていただきたいです。
- 橋本じゅんさん以外は初共演です。生田さんは、自分から話しかけたり、コミュニケーションを取れるほうですか?
- 私、初めの一歩が行けないんですよね。でも一度話ができると、そのあとは仲良くなれることが多いです。最初のきっかけをつかむまでが、少し緊張しちゃいます。
- 人見知りではない?
- はい、ホントに最初だけです。人見知りっていうと打ち解けるまで時間がかかると思いますが、私は、一歩進めば比較的しゃべれるほうだと思います。
- これまでミュージカルの現場で、先輩方に稽古での悩みなどを自分から相談しに行ったりも?
- そうですね、現場でアドバイスをいただくことは多いです。お芝居について客観的に自分を見ることってなかなか難しくて、どういう見え方をしているのか意見を聞いたり、そもそも、その先輩はどういう考え方でお芝居をされているのかをうかがったり。
(9月まで出演していた)『レ・ミゼラブル』のコゼットに関しても、今だからこそ気づけることが多いです。2017年に初めて出演したときは、ホントに何も知らないという、そのときの自分の境遇とコゼットが重なるところがあって、演出家の方にも「そのままでいいよ」と言われたりして、深く考えすぎないようにしていたんです。
でもあれから2年たって、前回やっていたことが、今回は「どうしたらいいんだろう?」と思ったり、「2度目だから成長していなくちゃいけない」と気負って悩んだり。
そういうときに、違う方向から見ることを教えていただいたり、「どう歌うか」にとらわれるんじゃなくて、その瞬間に「どう感じるか」に意識を向けたりと、周りの方にもヒントをいただきながらお稽古していました。
どんなに忙しくても、歌のレッスンは毎日続けている
- 共演しているミュージカル女優さん同士で、遊びに行ったり、悩みを共有したり、交流もありますか?
- すごくありますね。志が一緒なので、とても刺激を受ける存在です。ミュージカルってホントに生半可な気持ちじゃできなくて……同世代のみんなと話していると、夢とか目標とかが会話のなかでも自然と出てきて、「それを叶えるためにがんばろう」って、またエナジーが湧いてきます。
- 本格的にミュージカルに出演されるようになってから、たとえばボイストレーニングですとか、歌は日頃どのように練習しているのですか?
- 『ロミオ&ジュリエット』(2017年)で初めてミュージカル歌唱を習うようになってから、相当なことがない限りは、毎日声を出して歌うようにしています。
- 毎日?
- はい。それと最近は、声のレパートリーを増やしたくて、いいなぁと思う方の歌声を聞きながら一緒に歌ってみたり、「どうしたらこういう声が出るんだろう」「どうしたら自分がイメージする表現ができるんだろう」って、自分なりにですけど研究しています。そうすると、普段のしゃべり声も自然と変わってきて。
歌に感情を乗せることはもちろん大切なのですが、どれだけがんばって感情を込めても、声が同じだったらずっと同じに聞こえますし、いかにいろんな声を出せるかが重要だと思っていて、声の開拓を続けています。たぶんこれは、ずっとずーっと終わらないと思います。 - 作品や役をきっかけに、声質の幅が広がったこともありましたか?
- 『モーツァルト!』のコンスタンツェは、たくさん悩んだんですけど、あの作品をきっかけに、実生活でも「大人っぽくなったね」と言われることが増えましたね。歌声も変わったとか普段しゃべる声も低くなったと言われたりして、すごく影響を受けました。
- 食べることがお好きだそうですが、公演の前の勝負メシは?
- 白ご飯と、お肉と、生野菜。とくに朝はちゃんと食べるようにしています。
- お肉はどうやって食べるのが好きですか?
- 普通に焼いて、塩とコショウで……。ぜんぜんひねらないんですよ、私。料理がぜんぜんできないので(笑)。
忙しさを理由にせず、乃木坂でも舞台でも役割を果たしたい
- 生田さんがお仕事をするうえで大事にしていることを教えてください。
- そうですね……舞台上で演じるといっても、(演じている役者の)素の部分が透けて見えると思うんです。
普段から、キャッチボールじゃないですか? ちゃんと人と向き合って、丁寧にコミュニケーションを取ることって、お芝居と向き合っているのと同じなんじゃないかなって。もちろん普段から演じているわけではないんですけど。
そういう日頃の積み重ねが、舞台で演じるときにも生きるんじゃないかと思って、実生活から大事にしています。折に触れて役の感情を思い出してみたり、ちゃんとアンテナを立てていられるように。 - そう意識するようになったのはいつ頃から?
- 二十歳を超えてからですかね? それまでは学校も通っていたので忙しくて、自分で考えるゆとりがなく、与えられたことをこなしていたんですけど、卒業して少し心の余裕ができたときに、より感情が動くようになったのかもしれません。
- 乃木坂46との両立も大変だと思うのですが、夏に公開された『いつのまにか、ここにいる Documentary of 乃木坂46』では、舞台と乃木坂の現場を行き来しながら、新幹線での移動中にライブでの動きを確認する姿などもフォーカスされていました。生田さんは並々ならぬプロ根性をお持ちなのではないかと……。
- いえいえ、とんでもないです! 私には、「できることをやる!」っていうことしかできないので。あのときはたまたま時間がなかったので、隙間、隙間でやっていました。
- 本作への出演が決まって、乃木坂メンバーからの反応やメッセージはありましたか?
- もう、みんなそろって「観に行きたい!」って言ってくれました。メンバーもそうですし、家族とか親戚とか友達とか、みんなからの連絡が今まででいちばん多くて、すごくうれしかったです。
- 忙しくて大変なこともあると思いますが、生田さんが舞台に取り組み続ける原動力は何でしょうか?
- 小学生の頃からずーっとミュージカルが好きなので、大変という意識はまったくなくて、大好きなことをやらせてもらっているという感覚なんです。乃木坂メンバーもスタッフさんもファンの方々も応援してくださるから、忙しさを理由にしたくなくて。
末永く舞台に立ち続けられる人になりたいと思っているので、そこは己と戦いながら地に足をつけて挑んでいきたいと思っています。でもちゃんと(乃木坂を)背負っているという意識はあるように、心がけてやっています。
乃木坂でも舞台でも自分の役割をしっかりと果たしたいですし、乃木坂に帰ってきたときは、ちゃんとみんなと交流して、少しでも力になれればといつも思っています。
- 生田絵梨花(いくた・えりか)
- 1997年1月22日生まれ。ドイツ生まれ、東京都出身。A型。2011年に乃木坂46の1期生オーディションに合格。以降、乃木坂46を代表するメンバーとして活躍中。ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』ジュリエット役や『レ・ミゼラブル』コゼット役など、女優としてソロ活動にも意欲的に取り組む。
舞台情報
- Bunkamura30周年記念 シアターコクーン・オンレパートリー2019+大人計画
『キレイ-神様と待ち合わせした女-』 - 12月4日(水)〜29日(日)Bunkamuraシアターコクーン
作・演出:松尾スズキ 音楽:伊藤ヨタロウ
出演:生田絵梨花、神木隆之介、小池徹平、鈴木 杏、皆川猿時、村杉蝉之介、荒川良々、伊勢志摩、猫背 椿、宮崎吐夢、近藤公園、乾 直樹、香月彩里、伊藤ヨタロウ、片岡正二郎、家納ジュンコ、岩井秀人、橋本じゅん、阿部サダヲ、麻生久美子 ほか - https://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/19_kirei/
サイン入りポラプレゼント
今回インタビューをさせていただいた、生田絵梨花さんのサイン入りポラを抽選で3名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。
- 応募方法
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— ライブドアニュース (@livedoornews) September 28, 2019
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