ピカチュウ、世話焼き弁護士…そして任侠。西島秀俊が役として見せる、さまざまな顔

人気コミックを原作とした映画『空母いぶき』、日本の人気キャラクターをハリウッドで映画化した『名探偵ピカチュウ』、そしてTwitterの世界トレンド1位を獲得するなど大反響を呼んだドラマ『きのう何食べた?』。

これらは、西島秀俊が2019年上半期に出演した作品のほんの一部。海上自衛隊員からピカチュウの日本語吹き替え、同性パートナーと暮らす弁護士までと幅広い。さらには、11月に放送される『サザエさん』の実写ドラマで、マスオ役を演じることも発表された。

そんな西島が9月27日公開の映画『任侠学園』で演じたのは、義理と人情に厚い“社会奉仕が大好きな弱小ヤクザ”。

「ハイレベルに感じる」という人情コメディへの出演や、大先輩・西田敏行との共演で西島が得たものとは――。本作でまたひとつ、俳優・西島秀俊の新たな一面が見られるはずだ。

撮影/祭貴義道 取材・文/馬場英美 制作/iD inc.

『ピカチュウ』も『きのう何食べた?』もプレッシャーだった

2019年の上半期は、ドラマ『メゾン・ド・ポリス』から映画『ダンボ』、ドラマ『きのう何食べた?』、『名探偵ピカチュウ』、『空母いぶき』と、ドラマもあり、映画の公開もあり、かなりお忙しかったのではないかと思います。
どれも印象深い作品でした。原作がスゴいものばかりだったので、プレッシャーが大きくて。正直、必死すぎて何も見えていない状態でした。「楽しい」というよりも「苦しい」のほうが大きかった気がします。
『名探偵ピカチュウ』では、西島さんの声がかわいいと話題を集めたようです。
いや、まさか(笑)。自分の声がどうこうではなく、ピカチュウは存在そのものがかわいいですからね。あのお仕事をいただけたのは本当に感謝していて、より精進していろんなことに挑戦させていただけるように頑張ろうと思いました。
『きのう何食べた?』ではたくさんの賞も受賞されましたが、反響は耳に入っていましたか?
オンエアが始まってから、みなさんが「面白い」と言ってくださっているのは知っていました。僕自身が原作の大ファンだったので、プレッシャーも大きかったですが、反響をいただけてほっとしたし、その声に勇気をいただき、支えていただきました。
以前のインタビューでも、出演作は自分で選ばないとお話されていましたが、役としても振り幅が大きかったですね。
俳優はあくまでもお話をいただく側。素晴らしいお話をいただけているということだけですね。
それが今回は『任侠学園』ということですね!
はい、その通りです!

西田敏行さんとの共演は、大きな財産になりました

本作では、倒産寸前の私立高校の立て直しを図るヤクザを演じられました。意外と言ったら失礼かもしれませんが、ヤクザ役は初めてだそうですね。
2012年の『ダブルフェイス』というドラマで、指定暴力団に潜入する捜査官の役は演じたことがあるのですが、ヤクザそのものは今回が初めてでした。
とはいえ、西島さんが演じた日村が属する“阿岐本組”は社会貢献がモットーで、普通のヤクザとはちょっと違いますね。
義理と人情に厚く、昭和の時代からタイムスリップしてきたようなヤクザで。世間のルールは必ず守るし、世のため、人のために走り回る姿は、ちょっと新鮮ですよね。でも、だからこそ僕がキャスティングされたのかなと思いました。
学園に乗り込んだ日村たちヤクザのとんちんかんな行動と、無気力・無関心な今どきの高校生たちのズレに笑いました。
そうですね。日村たちの言動は本当にとんちんかんなことばかりですが、それが転じて学校全体がよくなっていくというのは面白いですよね。

でも、脚本を読んだときは、難しいなと思いました。“任侠”と“学園”という、本来なら相容れない言葉が一緒になっていて、斜に構えている高校生たちがヤクザと心を通わせていく。これは気合いを入れてやらないと、単なる絵空事になってしまう可能性があるなと感じていました。
この作品への出演を決めたいちばんの理由を教えてください。
世の中は確実によくなっているとは思うんですけど、それでもどこかモヤモヤするところはあって。ちゃんとしないといけない人がちゃんとしていなかったり、何だか腑に落ちないことがまだまだ多い時代でもあるなと。

僕も含めて自分の居場所を探している人たちがいて、この映画はそんな人たちを救うような痛快な作品だと思ったので、出演を決めました。あとは西田敏行さんと共演できることが大きかったです。
西田さんとは2008年の映画『丘を越えて』や、2013年のNHK大河ドラマ『八重の桜』でも共演されていますね。
はい。でも、今回は西田さんの主戦場とも言える人情コメディ。今作で共演させていただいたことは、これまで以上に大きな財産になりました。
西田さん演じる組長は、社会貢献に目がなく次から次へと厄介な案件を引き受けて、日村を振り回す役でしたね。
撮影中のアドリブも、西田さんが起点となってパスを出してくださるので、そこにみんなが返していくという感じでした。アドリブだけでなく、台本をよりよく見せるにはどうすればいいのかをつねに考えていらっしゃって、それはとても勉強になりました。
西田さんは舞台挨拶でも「私が台本です」とおっしゃっていました(笑)。
日村たちが最初に学園を訪れたときに、西田さんが「あの、何だ? 学校が終わったあとに運動している、あれ?」と言うシーンでも、すぐに「部活です」と正解を返すのではなく、どんどん転がっていくんですよね。校長役の生瀬勝久さんら芸達者な役者さんがそろっている現場だったので、言葉のかけあいも楽しかったです。
本番中につい吹き出してしまうことはなかったのでしょうか?
西田さんがふいに泣きだして、こちらが思わず笑ってしまうシーンがありました。面白いこととシリアスなことが同居していて、近くで見たら“悲劇”だけど、引いて見ると“喜劇”というか。

エンドクレジットで流れるお楽しみシーンを見ていただければわかると思います(笑)。

誰もが笑って泣ける娯楽映画は、ハイレベルなジャンル

今作の撮影に入られる前に「これは自分のキャリアにおいても大きな意味を持つ作品になる」と言われていましたが、このコメントにはどのような思いが?
作品名を出すのもおこがましいですが、この映画にはどこか『男はつらいよ』や『釣りバカ日誌』シリーズのような、笑って、最後にジーンとくる雰囲気があるなと思っていて。そういう作品は、僕の中ですごくハイレベルなジャンルです。だから、工務店の親方を演じられた佐藤蛾次郎さんが「この腹巻は、寅さんの腹巻なんだ」とおっしゃっていたのはすごく印象に残っています。
ハイレベルと感じるのは、西島さんの映画体験から生まれてきたものなんでしょうか?
きっとそうなんでしょうね。自分はインデペンデント映画(自主映画)出身の俳優だと思っているので、そこは自分のいちばん大切な場所なんだと感じています。

だからこそ、大人から子どもまでみんなが笑って感動する作品はハイレベルなものという思いがあって。そこに挑むのは僕の中ではとても大きいことでしたし、そのジャンルを切り開いてこられた西田さんとご一緒できるのは、大きな挑戦でした。
完成した作品をご覧になられて、自信のほどは?
わからないですね(笑)。ただ、この作品に関わったすべての人が作品に愛情を注ぎ、真剣に挑んでいたということは、自信を持って言うことができます。

阿岐本組のみんなとは撮影の反省会として毎日のように食事をしていましたし、生徒役の子たちや西田さんも参加してくださいました。ここまでみんなで集まって話し合った作品はないので、今は「楽しんでいただけたら嬉しい」という言葉しか思い浮かばないですね。
西島秀俊(にしじま・ひでとし)
1971年3月29日生まれ。東京都出身。A型。1994年の『居酒屋ゆうれい』で映画初出演。1999年の『ニンゲン合格』で第9回日本映画プロフェッショナル大賞・主演男優賞を受賞する。近年の主な映画出演作は『劇場版 MOZU』、『クリーピー 偽りの隣人』、『散り椿』、『人魚の眠る家』、『空母いぶき』など。ハリウッド映画『名探偵ピカチュウ』の日本語吹き替え版ではピカチュウの声を務めた。ドラマでは、『ストロベリーナイト』、『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』(ともにフジテレビ系)、『メゾン・ド・ポリス』(TBS系)など。『きのう何食べた?』(テレビ東京系)では、第16回コンフィデンスアワード・ドラマ賞の作品賞、主演男優賞に輝いた。2020年春には映画『風の電話』、2021年には映画『シン・ウルトラマン』が公開予定。

映画情報

映画『任侠学園』
9月27日(金)ロードショー
https://ninkyo-gakuen.jp/
©今野 敏 / ©2019 映画「任俠学園」製作委員会

サイン入りポラプレゼント

今回インタビューをさせていただいた、西島秀俊さんのサイン入りポラを抽選で1名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

応募方法
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受付期間
2019年9月26日(木)19:00〜10月2日(水)19:00
当選者確定フロー
  • 当選者発表日/10月3日(木)
  • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから10月3日(木)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき10月6日(日)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
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