黒歴史なんて、ない。石飛恵里花が私たちに勇気を与えてくれる理由

元『Popteen』モデルという経歴を持ち、現在はアイドルユニット・ピュアリーモンスターのメンバーとしても活動している、声優の石飛恵里花。

清楚で可愛らしい見た目の彼女は、じつは生粋のオタク。

「漫画・アニメ・ゲームが大好き。週5でアニメイトに通っていた」
「中学生のときに不登校になり、ひきこもり生活を送っていた」
「夢小説サイトを運営し、自らも夢小説を執筆していた」

など、知られざる過去が明かされるたび、大きな話題を呼んだ。

闇の部分をさらけ出すことで、ファンの方が引いてしまうかもしれない……そんな不安もあったという。ところが予想外なことに、たくさんの人が受け入れてくれた。

「『勇気が出ました』と言ってもらえて、とってもうれしかった。今はこんなふうに明るく話せるけど、学校に行けなかったことについて当時は引け目を感じていたんです。でも今の私にはプラスになっている。大丈夫だよって、あの頃の私に言ってあげたい」

弱みは強みに。黒歴史なんて、ない。

撮影/アライテツヤ 取材・文/野口理香子

ひきこもりだった少女が、『Popteen』の読者モデルに

石飛さんのラジオを聴いてきました。トークが面白いのできょうは期待しています!(笑)
ありがとうございます! ラジオ、聴いてくださったんですね。……じゃあ、猫をかぶる必要はありませんね(笑)。よろしくお願いいたします。
芸能界入りのキッカケは『Popteen』のオーディションだったそうで。どういう経緯で受けたんですか?
私、中学生のときに学校に行けていなくて、ひきこもりだったんですよ。高校受験のタイミングで、「学校に通うことが私には向いてない」と思って、通信の高校に行きたくて。でも学校の先生や親には反対されていたんです。

どうしたら通信の学校に行けるかな? と考えたときに「何か仕事をしていたらいいんじゃないか?」と思い、当時、ファッションやメイクが大好きだったので、『Popteen』に応募しました。
そのような理由だったんですか!
はい。そしたら、あれよあれよという間に賞をいただきまして、無事に通信の高校に通うことになりました!(笑)
(笑)。ひきこもりの時期があったとのことですが、人前に出るのは大丈夫でした?
ひきこもりだと、そう思われがちじゃないですか? それが私は、見てもらいたい願望があって、自己顕示欲が強めなんです。不登校のときも、ファッションやメイクを研究しながら、家でひとり自撮りしてたんですよ。学校に行ってないのに「クラスで自分がいちばん可愛い!」と思っている“勘違い系女子”だったので(笑)。

痛かったなぁ私……。でもあのとき謎の自信があったから、『Popteen』に応募しようと思ったんでしょうし、一概に否定もできませんね(笑)。
読者モデルのお仕事をはじめてみて、いかがでしたか?
モデルの子たちって、達観してる子が多かったんですよね。中高生の頃ってちょっとこう、女の子特有の……あるじゃないですか? ああいう雰囲気とかまったくなく、サバサバした子が多かったので、一緒にいてラクでした。

いろんなお洋服を着たり、メイクしてもらったり。楽しかった思い出しかないです。今まで送れなかった青春を『Popteen』で送ることができたなって思います。
当時のギャルメイクの石飛さん、今とのギャップに驚きました(笑)。
あはは、そうですね。声優になってからの私しか知らない方は、びっくりすると思います。Twitterで「この写真、石飛さんです……よね?」ってリプライがたまに来ます(笑)。

「そんなに声優さんが好きなら、挑戦してみたら?」

モデルの仕事は楽しかったという石飛さんですが、高校卒業時に『Popteen』も卒業。モデルの仕事にもっと挑戦したい、とは考えなかった?
そうですね。私は身長も低いし、スタイルが特別いいわけでも、顔が特別可愛いわけでもないので、このさきもモデルとしてやっていくのは現実的じゃないのかなって。「高校卒業のタイミングで雑誌も卒業しよう」と、なんとなく自分の中で決めていたんです。
卒業後の進路について、当時はどう考えていたんですか?
大学に進学するか、就職するか悩んでいました。そしたら母が「せっかくこの業界に入ったんだし、そんなに声優さんが好きなら、挑戦してみたら?」って背中を押してくれたんです。
石飛さんは昔から、漫画やアニメやゲームが好きで、声優にもくわしかったんですね。
はい、ずっとオタクです。『Popteen』時代もアニメイトに通っていました(笑)。母にも自分の好きなアニメや声優さんの話をよくしていたので、声優の仕事を勧めてくれたんだと思います。
いつ頃からアニメが好きだったんですか?
母もアニメや漫画を好きな人だったので、小さい頃から身近にあったんですよね。リアルタイムの世代ではないけれど、『美少女戦士セーラームーン』とか『フルーツバスケット』とか観ていました。

深夜アニメを観るようになったのは、中学生のとき。家にいる時間が長かったので、どんどんのめり込んで行きました。
アニメも声優も好きで興味はあったけど、自分がその業界に入るとは考えなかった?
自分がやるなんて想像したことはなかったです。好きだからこそ、ミーハーな気持ちでできないし、簡単にできるものじゃないというか……。でも母の言葉がキッカケで、声優の仕事に挑戦してみようかな、と考えるようになりました。

中学で不登校に。漫画、アニメ、ゲームが生きる糧だった

ちょっとさかのぼりますが、ひきこもりになる以前、小学校の頃はどんなタイプの女の子だったんですか?
常にクラスの中心にいました。休み時間になったら、私の席の周りにみんなが集まってくるような。それが何か……いろいろあったんですよ(笑)。
中学生になってから、徐々に周りに馴染めなくなった?
小学校から中学校に上がるタイミングって、これって女子にしかわからないと思うんですけど、けっこう変わるじゃないですか。女子特有のイザコザも生まれはじめて。それで学校に行けなくなっちゃったんですよね。

1年生のときは、ちょくちょく行ってたんですけど、2〜3年生のときは相談室に顔を出しつつ、基本的にはお家にいましたね。
お母さんに相談しましたか?
いえ。私も恥ずかしくて、学校に行きたくない理由を母には正直に言えなかったんです。理由がわからないから母も「学校に行きなさい!」って怒る。今となれば母の気持ちもわかるんですけど、当時は「何でわかってくれないの!?」って、ぶつかっていましたね。
その不登校の時期の石飛さんを、アニメや漫画、ゲームが支えてくれた?
いやーホントに。「この漫画の次の巻の発売日まで生きよう」なんて思っていました。
とくに夢中になっていた作品は何ですか?
『薄桜鬼』とか『AMNESIA(アムネシア)』とか、乙女ゲームをよくやっていました。漫画は幅広いジャンルを読むんですが、何度も読み返していたのは『ヴァンパイア騎士』という少女漫画。綺麗な絵柄と、ちょっと非現実的なストーリーが大好きでした。
声優になってから、小中学校の頃の友達に会ったりしました?
じつは同窓会があって……。
行ったんですか!?
いや、呼ばれなかったんですよ。あははは(泣)。

当時のクラスメイトのTwitterをこっそりチェックしているんですね。今何しているんだろう? 幸せに暮らしているのかな?って気になるじゃないですか(笑)。

そしたら「中学校の同窓会がありました」みたいなツイートがあって、そこで知りました。
ああ……。
あ、でも2年前に成人式で会いましたね。
芸能界でキラキラしている姿を見せられたのでは!? みんなびっくりしていたんじゃないですか?
それがあんまり話し掛けられなくて……あははははは(泣)。
すみません……。
逆にすみません……。
そんな過去がある石飛さんが今、声優として活躍されていることは本当にスゴいと思います。
ありがとうございます。今、めちゃめちゃ楽しいですね。天職だなと思います。これ以外のお仕事はできないなって思いますもん。
さきほど、就職を考えていたこともあるとおっしゃいましたけど、表に出ていなかったらどういう仕事に就いていたんでしょうね。
あ、さっき「就職も考えてて……」ってカッコよく言いましたが、何をやりたいか具体的には考えてなくて。あのままだとニートでした。本当にすみません……。
(笑)。お母さんが声優の道を勧めてくれて、よかったですよね。
母には本当に感謝です。そして今、もし昔の私と同じように学校に行けていない子がいるとしたら、作品を通じてその子を支えてあげられたらうれしいなって思います。

誰よりもうまくなりたい。悔しさが成長のバネに

2016年より声優として活動を開始。最初の声優のお仕事を覚えていますか?
ゲームのキャラクターボイスの収録でした。めっちゃ緊張していたことを覚えています。ちょっと早めに入らせてもらって、先輩方の収録を見学させていただきました。今まで自分がゲームをやる側だったので、「こうやって録っているんだ!」って純粋に驚きましたし、先輩方のお芝居が素晴らしくて感動しました。

私は通りすがりの女の子の役で、襲われて「キャー!」と叫ぶだけ。それなのに「キャー!」すら言えなくて、棒読みになっちゃう。「モンスターに襲われてる感が全然ありません」みたいな。何度も何度も録り直すことになってしまい申し訳なかったです……。

できなかったことが本当に悔しくて、「誰よりもうまくなってやるからな!」と思いながらレッスンに通っていました。
そこから感覚を掴めるようになったのはいつ頃ですか?
うーん……。今でも全然、まだまだです。収録後は、毎回悔しさを感じます。もちろん、そのときは全力100%の気持ちでやっているんですけど、終わったあとに「もっとこうできたかもしれない」って反省しますね。
相談できる人はいますか?
マネージャーさんには「レッスンをもうちょっと受けたい」と伝えたことはあります。ピュアリーモンスターというアイドルユニットでの活動もさせていただいていますが、やっぱり私の軸は声優なので。
幅広くお仕事をされていますが、石飛さんの軸は声優業なんですね。
はい。どのお仕事もめちゃくちゃ楽しいんですけど、収録してそれができあがったときが、いちばん達成感があるから。それにフォトブックを制作していただいたり、ラジオに出演させていただけるのも、声優の仕事があるからこそですしね。

ファン目線を意識! はじめてのフォトブック制作秘話

ここからは9月18日に発売となる1stフォトブック『Cheer』についてお話をうかがっていきます。フォトブックのお話を最初に聞いたときは、どう思いましたか?
本を出すって、めちゃめちゃスゴいことですよね。私なんてそんな、本を出すことを夢見ることすらおこがましいというか。

だからマネージャーさんに開口一番言ったのは、「売れますか!?」でした。「うれしい! ありがとうございます!」ではなく、「ホントですか!? 売れますか!?」と(笑)。
(笑)。今回は写真集ではなくフォトブックなんですね。
私が抱いていたフォトブックのイメージって、モデルさんのファッションやヘアメイクの紹介だったんですけど、自分を客観的に見たときに、その需要はないだろうなって。写真多めなものがいいかなと思って、そう伝えました。

フォトブックを見て、私を応援したいと思ってもらえて、なおかつ、みなさんに元気をお届けできたらいいな、応援しあえる関係が理想だなと思いました。それで『Cheer』というタイトルをつけました。
撮影はいかがでしたか? ゆるめのニットや白ワンピースの衣装など、普段のイメージとちょっと違いますよね。
普段は黒系の服が多いので、あえて挑戦してみました!

アイドルの方の写真集やフォトブックをいろいろ見て、私なりに研究したんです。ゆるいニットやパジャマみたいなお部屋スタイルは、普段見れないぶん貴重じゃないですか。そこは私もやりたいです、と伝えました。
ファン目線を大切にされたんですね。どの写真からも“素”の感じが出ていて素敵です。
カメラマンさんと楽しくおしゃべりしながら撮影してもらっていたので、ホントに“素”な状態です(笑)。

もともとモデルのお仕事をしていたからかもしれないですけど、カメラを向けられるとキメの表情を作ってしまうことが多くて、自然な表情が苦手だったんです。だけど今回、これまで見たことのないような自然な表情の私がいっぱいいて、「わあ! はじめて見る顔です!」と言った記憶があります。
ファンの方に早く見てもらいたいですね。
はい! ドキドキとワクワクの気持ちです……!

黒歴史もすべてさらけ出せる“強み”が武器になった

芸能界に入る前の、家にひきこもっていた当時の石飛さんが今の姿を見たらびっくりするでしょうね。
いやー、絶対信じないと思いますよ。
当時の自分に声を掛けるとしたら?
学校に行けてなかったことや、周りに馴染めなかった過去について、今はこんなふうに明るく話せるんですけど、当時はやっぱり引け目を感じていたし、人には絶対言いたくないことだったんです。でも今の私にはプラスになっている。気にすることないよ、大丈夫だよって言ってあげたいです。
ちなみに、トークがお上手なのは昔からですか?
いや全然そんなことないです。すごく早口なんですよ。自分のラジオを聞き返しながら、「もうちょっとうまく言えたでしょー」って反省してます。ほかの声優さんのラジオをけっこう聴くんですけど、「みなさん上手でスゴいなー」と思いますし。

ひきこもりもしていたし、人と話す機会が特別多かったほうではないと思うんですが、振り返ってみると昔からひとりごとが多い子だったかも(笑)。

すぐに口に出しちゃうんですよね。「今からゲームやりまーす!」とか、ゲームやりながら「出た出た! その展開ね!?」とか。ぶつぶつしゃべりながらゲームしてるから、お母さんに「誰か部屋にいるの?」って聞かれるくらい(笑)。
トーク力も石飛さんの強みだと思いますが、ほかの人に負けない自分の強みって何だと思いますか?
誰よりも過去をさらけ出せることかな(笑)。

ラジオで不登校時代の話をしたときに、……黒歴史、いや、“闇”って言うんですかね?(笑)闇の部分をさらけ出すことで、「ファンの方に引かれるかな?」っていう不安も正直ありました。そしたら「自分もそうでした」、「勇気が出ました」、「応援したくなりました」と言ってもらえることが多くて、とってもうれしかったんです。

これからもみなさんに応援していただけるように、頑張ります!!
石飛恵里花(いしとび・えりか)
5月9日、埼玉県出身。A型。2012年12月、『Popteen』(角川春樹事務所)主催のモデルオーディションにおいてファイナリストに選出され、「POPモデル賞」を受賞。同誌の読者モデルとしてデビュー。2016年6月、声優として芸能事務所・ホーリーピークに所属。2017年5月、声優アイドルユニット・ピュアリーモンスターを結成、活動を開始。初のフォトブック『Cheer』を9月18日に発売。

作品情報

石飛恵里花 PHOTO BOOK『Cheer』
9月18日発売
¥2,400(税抜)

イベント情報

発売記念イベント「Cheers!」
【1】
日程:9月28日(土)
会場:ポニーキャニオン3階イベントスペース(東京都港区六本木1-5-17)
内容:「Cheers!」2ショット写メ会
対象店舗:きゃにめ
【2】
日程:10月6日(日)
会場:アニメイト秋葉原本館(東京都千代田区外神田4-3-2)
内容:1日店長! 握手&会場限定ブロマイドお渡し会
対象店舗:アニメイト秋葉原本館、アニメイト新宿
【3】
日程:10月26日(土)
会場:AKIHABARAゲーマーズ本店(東京都千代田区外神田1-14-7)
内容:応援ありがとう! 打ち上げトーク(司会:小林ちゃんこ)&写真集サイン会
対象店舗:ゲーマーズ新宿店、AKIHABARA本店、名古屋店、なんば店

サイン入りポラプレゼント

今回インタビューをさせていただいた、石飛恵里花さんのサイン入りポラを抽選で3名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

応募方法
ライブドアニュースのTwitterアカウント(@livedoornews)をフォロー&以下のツイートをRT
受付期間
2019年9月18日(水)12:00〜9月24日(火)12:00
当選者確定フロー
  • 当選者発表日/9月25日(水)
  • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから9月25日(水)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき9月28日(土)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
キャンペーン規約
  • 複数回応募されても当選確率は上がりません。
  • 賞品発送先は日本国内のみです。
  • 応募にかかる通信料・通話料などはお客様のご負担となります。
  • 応募内容、方法に虚偽の記載がある場合や、当方が不正と判断した場合、応募資格を取り消します。
  • 当選結果に関してのお問い合わせにはお答えすることができません。
  • 賞品の指定はできません。
  • 賞品の不具合・破損に関する責任は一切負いかねます。
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