声優はひとりでは成り立たない仕事。水瀬いのりの原動力は「誰かのために」という思い

2010年に14歳で声優デビュー。2014年に『ご注文はうさぎですか?』のチノ役で一躍注目を集めてから、数々の話題作や人気作で好演し、2016年には、第10回声優アワードで主演女優賞を受賞した水瀬いのり。

その勢いはデビュー9年目を迎えても衰えることはなく、本格タクティクスRPGを原作とする、6月14日公開の『劇場版 誰ガ為のアルケミスト』では、劇場版のオリジナルキャラクターである主人公・カスミ役に抜擢された。

異世界ファンタジーの今作で、「普通の女の子らしさが魅力」というキャラクターをどのように演じたのか? 水瀬自身との共通点、経験を探りながら語ってもらった。

撮影/曽我美芽 取材・文/丸本大輔 制作/iD inc.

喜怒哀楽の感情は、常に大きく見せることを意識した

本作で、主人公のカスミを演じることになったときの心境を教えてください。
『誰ガ為のアルケミスト』については、「タガタメ」という言葉の響きが一度聞くと忘れられないなという印象を持っていました。その耳馴染みのある作品が映画化されて、しかもそのヒロイン役のお話をいただいて、個人的にもすごく楽しみでした。

作品について詳しく調べていく中で、3年以上も多くのファンに愛されているコンテンツだと改めて知り、少しプレッシャーも感じました。

初の劇場版作品ということで、「タガタメ」ファンのみなさんも、自分たちが愛を込めて一緒に冒険を続けてきたキャラクターが、大きいスクリーンの中を駆け回ることは待望だったと思います。
カスミは、原作ゲームには登場しない映画オリジナルのキャラクターですね。どんな女の子だと感じましたか?
カスミの見た目って、いい意味ですごく“普通”なんです。周りに金髪やピンクや青色の髪のキャラクターたちがいる中、黒髪の高校生という。そんな平凡で普通の女の子らしいところが一番の魅力だと思いました。
たしかにほかのキャラクターと比べると、派手さは控えめですよね。演じる際は、どのようなことを意識されましたか?
異世界の中でも、彼女がいることで現実の世界の“目線”が保てるというか……。カスミが新鮮に驚くことで、より“異世界感”が伝わるだろうと感じたので、バベル大陸で彼女が見たり触れたりしたときの喜怒哀楽の感情は、常に大きく表現することを意識しました。

子どもが大好き。幼稚園や保育園の先生に憧れた

水瀬さんとカスミのあいだで、似ているなと感じるところはありますか?
感受性が強い部分は、自分と少し似ているのかなと思います。動物や子どもが出てきたり、家族愛がテーマのドキュメンタリー番組を見ていると涙を流してしまうことが多くて。恋愛ものの漫画やドラマを見て、一緒に恥ずかしくなったりもします(笑)。
その感受性の強さがきっと声優という仕事にも生かされているのですね。幼い頃から、声優に憧れていたのですか?
はい。アニメーションが本当に大好きで、5、6歳の頃から声優を志していました。
そのほかに、憧れていたお仕事はありますか?
今のお仕事をしていなかったら、幼稚園や保育園の先生を目指していたのかなと思います。小さい頃から子どもと触れ合うのが大好きで、ひとりっ子ということもあるのですが、お姉ちゃんになることが夢でした。

幼稚園の頃は、自分よりも小さい子たちのクラスへお世話しに行ったりして、「私、今、お姉さんだ〜」という思いに浸ることもありました(笑)。
動物や家族愛の動画などは、どのようなタイミングで観るのですか?
自宅でのリラクゼーションタイムに見ています。お風呂に入りながらとか、寝る前に翌日の仕事の確認などをしたあととか。

(スマホの)データ量不足にはいつも悩まされているので、外出中に気になる動画を見つけたときは「あとで見る」フォルダに入れておいて、なるべく自宅のWi-Fiの環境で見るようにしています(笑)。

喜んでくれる人がいることが活動の軸になっている

カスミは自分に自信が持てない高校生ですが、水瀬さんは自信のないことに挑戦するとき、どのようにモチベーションを上げていますか?
もともと自信のないものにはあまり手を伸ばさないタイプなので(笑)、なかなか冒険はできないんですけれど…。このお仕事をやっていてすごく思うのは、何事も思い切りやってみるのが大事だということ。

すごくスベったり、傷を作ったりすることもあるかもしれませんが、後悔はなくなるというか。あと「ああしてたらよかったのかな……」とウジウジ考えるくらいだったら、(成功する)望みは低くても、とりあえず全力を出してみよう、という気持ちで取り組んでいます。
とてもポジティブな考え方ですね。
後悔があると笑い話にもできなかったりしますよね。思い切りやれば、たとえそのときはダメージを受けても、いつか「あのときは恥ずかしかったけれど、今は笑えるな」くらいの気持ちになると思うので。まあ人生は長いですしね(笑)。そういうモットーで生きています。
本作のティザービジュアルには、「わたし、いつも誰かの為に生きていた──」というキャッチコピーが書かれていました。カスミの思いを記した言葉だと思いますが、この言葉にも共感するところはありますか?
声優を目指しはじめた頃は「自分のために」という感覚でしたが、今は、自分が何かを表現することで喜んでくれる人がいることが活動の軸になっています。
「誰かのために」と思って行動したほうが、より大きな力を出せるものなのでしょうか?
自分のためと思っていると、視野も広がらないと思うんです。たとえば、オーディションに受かるたびに、両親や事務所の方が一緒に喜んでくれますし、仕事のサポートもしてくれる。いろんなスタッフさん含め、チームで作ったものを、受け取ってくれる視聴者の方もいる。

声優というお仕事は、ひとりでは成り立たない仕事なので「誰かのために」という気持ちはすごく大切にしています。
来年で声優としての活動をはじめて10周年を迎えますが、とくに大きな成長につながった作品がありましたら教えてください。
ターニングポイントはたくさんあります。やっぱり、デビュー作(『世紀末オカルト学院』)の思い出は今でもすごく濃いですし、そのときのアフレコの風景は、何年経っても頭の中に焼き付いていますね。

それを乗り越えて、20歳のときに劇場版のヒロインをやらせていただいた『ここさけ』(『心が叫びたがってるんだ。』)も、すごく心に残っています。

今回、ヒロインをやらせていただけているのも、『心が叫びたがってるんだ。』で劇場版へのハードルやプレッシャーなどを経験したり、乗り越えたりできたからなのかなと思っています。

それに私、(成瀬)順(※水瀬さんが演じた、『心が叫びたがっているんだ。』の主人公)のような“抱え込み系女子”の役を演じる機会がけっこう多くて(笑)。カスミも、元気で明るい子ではありますが、どこか胸の中で秘めた思いを持っているんですよね。順をはじめ、過去に演じてきたキャラクターたちの引き出しがあったからこそ、演じられた役なのかなと思っています。
水瀬いのり(みなせ・いのり)
12月2日生まれ。東京都出身。B型。2010年、ソニー・ミュージックアーティスツ主催のオーディションでグランプリを受賞し、『世紀末オカルト学園』の岡本あかり役で声優デビュー。その後、『ご注文はうさぎですか?』のチノ、『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』のヘスティア、『Re:ゼロから始める異世界生活』のレムなど、数多くの人気ヒロインを演じてきた。2015年からは、ソロアーティストとしても活動している。

映画情報

映画『劇場版 誰ガ為のアルケミスト』
6月14日(金)ロードショー
https://tagatame-movie.jp/
©2019 FgG・gumi / Shoji Kawamori, Satelight

サイン入りポラプレゼント

今回インタビューをさせていただいた、水瀬いのりさんのサイン入りポラを抽選で3名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

応募方法
ライブドアニュースのTwitterアカウント(@livedoornews)をフォロー&以下のツイートをRT
受付期間
2019年6月12日(水)12:00〜6月18日(火)12:00
当選者確定フロー
  • 当選者発表日/6月19日(水)
  • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから6月19日(水)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき6月22日(土)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
キャンペーン規約
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