もう一度会いたい、と思われる人になろうーー浪川大輔は“人間力”のかたまり。

浪川大輔がアニメ『Fate/Zero』でウェイバー・ベルベットを演じたのは約10年前。その後、アニメ『Fate/Apocrypha』やゲーム『Fate/Grand Order』などを経て、いよいよ彼をメインに据えたスピンアウト作品のアニメ化が実現。ロード・エルメロイの名を受け継ぎ、成長した彼を演じる心境に迫る。

インタビュー後半では、この10年で変化し続ける声優業界全体を見据えた胸の内も聞かせてくれた。芸歴30年を超えるベテランが、「一緒に作品づくりをするスタッフさんの困った顔は見たくない」、「事務所スタッフや後輩に対するケアはとくに重要」と真剣に語る言葉に、何より“人”を大事にする姿勢がうかがえる。

撮影/増田 慶 取材・文/原 常樹 制作/アンファン
スタイリング/村田友哉(SMB International.) ヘアメイク/鈴木和花(KIDMAN)

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『Fate/Zero』放送から約10年。変わらずのヒロインポジション

ゲーム『Fate/stay night』(以下『Fate』)シリーズのスピンアウト作品、『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 -魔眼蒐集列車(レール・ツェッペリン) Grace note-』がいよいよ放送スタートとなります。
昨今の『Fate』シリーズの人気はスゴいですし、僕もそこは肌で感じています。『Fate/Grand Order』がメンテナンスに入っただけでTwitterのトレンド1位になったりもしますし、ロード・エルメロイⅡ世はとくに注目度の高いキャラクターということで(笑)。
ゲームから入った方も多いかもしれません。
そうですね。ただ、この作品は『Fate』シリーズと比べるとちょっと異端の作品といいますか。聖杯をめぐるバトルロイヤルではなくて、謎解きがメインになっています。一方でTYPE-MOONさんの作品らしさみたいなものはしっかり残っていて、それはバトルシーンだったり、魔術を使う描写を見ればすぐに感じられます。

アニメ『Fate/Zero』が放送されてから10年近く経ちますが(アニメの放送は2011年〜2012年)、この作品も第四次聖杯戦争の10年後の物語ということで、昔から応援してくれている人には「おっ!?」と引っかかる部分があるんじゃないでしょうか。
背景を知っていれば、よりのめり込める?
そう思います。ただ、初めてシリーズに触れる方も大丈夫。前半にはアニメオリジナルのストーリーも盛り込まれているので、ちゃんと付いてきてもらえるはずです。魔術の説明はかなり難しいんですけど、キャラクターの魅力や人間関係だけでも楽しんでもらえるかなと。僕が言うのもおこがましいんですが、非常に「よくできている作品」だと思います。
ロード・エルメロイⅡ世は『Fate/Zero』の世界では、ライダーのマスターであるウェイバー・ベルベットとして第四次聖杯戦争に参加していました。
『Fate/Zero』では数話しか出番がありませんでしたが、『Fate/Apocrypha』や『Fate/Grand Order』にも少しずつ出番があったので、演じるのが久々という感じはしませんでした。でも、メインになるのは今回が初めて。

何年か前に「現実になるかはわからないけど、『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿』のアニメ化は動いているよ」と伺っていたんです。すごく楽しみにしていた反面、原作の三田(誠)先生には「(設定やセリフが難しいので)ご苦労様です」というお声をいただきました(笑)。あのときは「やっべぇ」と思いましたね…。

あとは『Fate/Zero』から彼はヒロインポジションと言われていたので、メインになったときにどのようになるかも疑問でした。
フタを開けてみれば、またもやヒロインポジションに(笑)。
そうなんですよ(笑)。結果的に「自分が主人公だから〜」といったことはあまり感じていません。TYPE-MOONさんの作品がさまざまな登場人物の織り成す物語で構築される作品だからこそかもしれませんが。
声のトーンもだいぶ低くなりました。
でも、19歳のウェイバーの時点で声変わりはしているはずですし、そこからさらに低くなっているわけですよね…。

まぁ、何かあったんだと思います(笑)。はたして彼に何があったのか…そこは謎を解くところではありません(笑)。
考えないようにします(笑)。
声帯の話はさておき、彼の中には“変わらない部分”と“変えていかなければならない部分”がしっかりあると思います。

モノローグでは“変わらない部分”がかなり吐露されていますし、フラット(声/松岡禎丞)に対する態度でもハッキリとわかります。そういう彼の心情は『Fate』が好きな方であれば敏感に感じられるでしょうし、初めてシリーズに触れる方もどこか引っかかるはず。

引っかかったときは、“変わらない部分”と“変えていかなければならない部分”のどちらかが出ているんだなと思ってください。

成長したとはいえエルメロイⅡ世はまだ30歳前後。未完成でいい

浪川さん自身はロード・エルメロイⅡ世のどんな部分が魅力的だと感じていらっしゃいますか? 先ほどもヒロインポジションという言葉が出ましたが…。
『Fate/Zero』のときから別に彼をかわいいと思ったことはありません! ただ、奈須きのこ先生がそう言ってしまったので、観てくださった方々も「ヒロインじゃん」と思うようになったわけです(笑)。少なくとも、僕はいかにウェイバーをカッコよく演じようかと努力していましたよ! 届かなかったかもしれませんが(笑)。
ロード・エルメロイⅡ世を名乗ってからも、カッコよさを前面に?
はい。大人として理路整然とやっているつもりです。ただ、グレイ役の上田麗奈さんの言葉をお借りするなら、「オチャメでドジっ子で部屋が汚そう。こんなに立派な感じになっているけど、内面はかわいらしいですよね」というイメージを持たれているみたいです。僕はひとつもうなずきませんでしたけど(笑)。
近づきにくい雰囲気とは裏腹に、生徒や動物に対しても愛情を持っている様子もうかがえますし、そういったところがかわいらしく見える方もいらっしゃるのでは。
そう感じてもらえるのはありがたいです! ちゃんとしなければいけない、生徒たちに教えなければいけないという気持ちが近づきにくい雰囲気につながっている一方で、人間だからこそ心もある。とくに、身の回りで起きる事件が、方程式だけでは解決できない心に関係する事件ばかりなので…。
情がにじんでしまう?
ええ。(敵に)トドメを刺すときに、自分の魔術ではどうにもならないのでグレイを頼るんですが、そのお願いの仕方にも「本当はやりたくないんだけど、やらないと解決できない」という葛藤をにじませています。監督さんからも「そこはぜひ入れてほしい」とオーダーがあり、気をつけているポイントですね。

大人になったとはいえ彼はまだ30歳前後。パーフェクトではないし、未完成でいいと思います。
エルメロイの名前にわざわざⅡ世をつけるぐらいですからね。
「ロード・エルメロイ? 重い、重い! 頼むからⅡ世をつけてくれ!」っていう感じですし。そういうところはかわいいと感じていただけるのかと。

ウェイバーがエルメロイを名乗る経緯など、過去に関しては第0話ではほんのりしか出てきませんでしたが、第1話は完全にウェイバーとしてのお話なので、物語のつながりはわかりやすいと思います。

グレイとライネスは陰と陽、甲乙つけがたいかわいらしさ

ウェイバーとしてのエピソードでいえば、『Fate/Zero』でのライダーとの関係性は彼にとっても大きかったのではないかと思います。
ウェイバーはどちらかといえば振り回される側でしたが、ライダーが最後まで自分を信頼してくれていたことに気づいた。いや、気づかされてしまったというべきか…。

『Fate/Zero』の最初と最後でも、ウェイバーの性格は大きく変わっていました。魔術師としては二流だと評価もされましたし…まぁ、あれだけメタクソにやられたら自分の非力さを認めざるを得ないんでしょうけど、それでも心折れずにここまでやってこられたことも成長の証かなと思います。

それに、二流の魔術師であっても、人に伝えることに関しては一流。野球なんかもそうですけど、一流の選手が必ずしも指導者として成功するとは限りません。別の優れた素質を活かせているのはすばらしいと思います。
10年前のウェイバーと今のエルメロイⅡ世とで、お芝居のアプローチで意識していることはありますか?
『Fate/Grand Order』なんかでもエルメロイⅡ世とウェイバーは別のキャラクターみたいな扱いになっていますが、エルメロイⅡ世はそもそもウェイバーの成長した姿。残しているというか、必ずどこかしらにウェイバーはいます。これに関してはみなさんと一緒ですよ。
具体的にはどういうことでしょうか?
家族や友人と話すときと会社で話すときでは、言葉遣いは自然と変わるものじゃないですか。それと一緒なんです。

エルメロイという名前を任されて生徒に教えているときや、解決すべき謎があるときはそれにふさわしい話し方をしているだけで、グレイたちと話しているときにふと素のウェイバーの部分が出てくる。違う役を演じているという気持ちはありません。
ライネス(声/水瀬いのり)やグレイの印象はいかがですか?
ライネスは、エルメロイの立場だったら小憎たらしいんですけど、視聴者というか俯瞰の立場で見たら本当にかわいらしい! 小悪魔的なかわいさですね。見た目が愛らしいのはもちろん、最後の最後に相手に意地悪をする言い方も含めて、転がされてしまう感じがあります。そして、グレイは理想のタイプです(笑)。
かなりお気に入りのキャラクター?
「師匠、師匠」って慕ってくれて、しかもずっと「はい」と肯定してくれて、ノーとは言わない。こんなかわいい子、いますか!? …こんなことを言うとアホなおっさんだと思われそうですが(笑)、アニメを観ていただければ僕の気持ちを理解していただけると思います。

あと、戦闘シーンでガラリと変わって前に進む力強さを感じられるのも、アニメならではの魅力だと思います。一緒にしたら怒られるかもしれませんが、みんなが好きなあのキャラクターの姿も垣間見ることができる気がします。

タイプこそ違いますが、グレイとライネスは陰と陽、どちらも甲乙つけがたいかわいらしさですよ。

「降霊科(こうれいか)」を「こうれいりょう」と読んでいた

アフレコ現場の様子はいかがですか?
とにかく専門用語が大変で…。みなさんにも台本を読んでいただきたい! しかも、用語自体が難解なのにエルメロイはすべてを把握しているので、僕もわかった空気で演じなければいけません。「なるほど、こういうことか」というセリフが本当はどういうことなのか、理解するのが難しいんです。
ひとつひとつ単語をかみ砕いても難しいイメージはあります。
視聴者のみなさんは魔術にくわしくないでしょうし、そういう人でもわかるようにスタッフもがんばってくださっているとは思いますが、演じる側は大変! 台本を読み込む時間も長くなります。言葉遣いも堅いし、あと名前が難しい! そもそも「ロード・エルメロイ」自体が言いづらいしね(笑)。
どうしてもわからない設定が出てきた場合は?
僕も含めて、現場にいるみんなが原作の三田先生に確認するようにしています。1回ですべてを理解しようとするのは無理ですし、漢字の読み方やイントネーションもバンバン間違えるので。

僕もかなり間違えますし、その結果、上田麗奈さんには「この作品はロード・エルメロイⅡ世が事件を解決していく物語です。現場では浪川さんが事件をまき散らしていきます」と言われてしまいました(笑)。
事件ですか!? 言い間違えとか?
台本にルビが振られていないというのもありますが、自分でも驚くぐらい言い間違えますからね…。時計塔には12の学部があるのですが、台本に「降霊科(こうれいか)」が登場したときに「降霊料(こうれいりょう)」って読んでいたんです(笑)。
学部のことではなく価格だと勘違いした!?
ブースの向こう側でみんなクスクス笑っているのはなんだろうと思いながらも、自分は正しいと信じてドヤ顔で台本を読み続けていて…。

でも、テストが終わったあとにゲストの役者さんが、台本の「法政科(ほうせいか)」を指差して「これって“ほうせいりょう”って読むんですか?」って聞いてきたんです。もちろん僕は「うん、大丈夫。“ほうせいりょう”で合ってる」って答えました。
ウソを教えてしまったわけですね(笑)。
それを信じて彼は「法政料の〜」とお芝居をしていましたが、そのあとにエルメロイが驚くシーンがあって、そこには「法政科(ほうせいか)だと!?」と自分でルビを振ってあったんです。

なので読み方を切り替えたら、さっきのゲストさんから「ちょっと待ってくださいよ! 急な裏切りはやめてくださいよ!」って詰め寄られて、スタジオ内は大爆笑。収録も止まって、みんなから「浪川さん、そりゃダメだよ!」って(笑)。
大事件ですね(笑)。
当然、「これまで意味わからずにしゃべってたでしょ?」と言われましたし、僕がゲストさんを「ドンマイ!」ってなぐさめたら、「ドンマイじゃないですよ!」って怒られました(笑)。難しい世界観ゆえに、そういう事件がたびたび起こります。
ちなみに、浪川さんの次に事件を起こすキャストはどなたですか?
僕が一番みたいな言い方をするのはどういうことだ!(笑)

うーん、みんな、かなり事件を起こしているのですが、事件を起こすというよりも、「事件が起きないか」と企みながらワクワクしているのはひとりいます。アッド役の小野大輔くんなんですけど(笑)。アッドというキャラクターともリンクして「イヒヒヒ」と笑っているイメージがあります。

まぁ、事件が起こる現場ではありますが、すごく和やかでいい雰囲気ですし、作品にもそんな現場のおもしろさが乗ればいいなとは思っています。

めちゃくちゃ負けず嫌いで、失敗や挫折が転機になった

浪川さんご自身の役者としての在り方についても伺えればと思います。改めて、浪川さんにとって声優というお仕事の魅力とは?
改めて考えるとどうなんでしょう…? 声優という職業をどう定義するかにもよるので難しいですが、僕はキャラクターありき、世界観ありきの職業だと思っているので、作品を楽しんでもらえるのが、やはりうれしく思います。そうおっしゃる役者さんは多いと思いますが。
近年はマイク前のお芝居だけでなく、声優が歌やダンスをすることも当たり前になりつつあります。
時代の流れとしては受け入れますし、歌って踊れるに越したことはありません。とはいえ、それをこの職業に対するとっかかりとすることは受け入れたくありません。

たとえば「歌って踊れる声優になりたいです」という若い子がいたとして、それはちょっと順番が違うんじゃないかなと…。

今はアイドルや2.5次元舞台で活躍する俳優さんが声優の世界にくるケースもありますが、最終的に声優を目指すのであれば、やはりお芝居が何よりも大切だと思っています。こんなにバラエティ番組に出ている僕が言うのもなんですが。
バラエティ番組“でも”活躍できることが大切なんですね。しゃべれることも役の採用基準のひとつになったり?
お芝居だけで食べている人もいるので、線引きはできないでしょう。とはいえ、メディアミックスが前提になることも多いので、役に決まった声優が「イベントには出られません」と言い出したらきっとスタッフのみなさんも困ってしまうはず…。

僕はスタッフさんのそういう顔は見たくないので、物理的に難しいことでなければ積極的にやっていきたいと思っています。
浪川さんは子役の頃から声優のお仕事をされていました。これまでの中で転機になったお仕事を挙げるとしたら?
「僕の全盛期は12歳」なんて、半分ネタ、半分本気で言わせてもらっていますが、そこから現在に至るまでにはさまざまな転機がありました。若い頃はわかりやすいタイトルを挙げることもありましたが、改めて振り返ってみると、いいことも悪いことも、すべてひっくるめての結果なので、特定の作品をリストアップするのは難しい…。

どちらかといえば、失敗や挫折のほうが転機になった気がします。
失敗が転機になったのは、浪川さんの性格による部分もあるんでしょうか。
そう。昔から、めちゃくちゃ負けず嫌いなんで! サラリーマンをやっているときもお金がなくて、武器らしい武器が反骨心しかなかったんです。人間は負の感情からも強くなりますし、たとえば「これがイヤだから〜」という理由で成長できたりもするんですよ。
いいことも悪いことも積み重ねた結果が、役者としての力に?
そうですね。だから転機になる要素を挙げるならば“人”ですね。人との出会いが先々につながりますし、その上で長年役者を続けていなければ見えない景色は絶対にあります。

長年続ける秘訣と言っていいのかはわかりませんが、僕が実践していたのは「勝つまでやる」。『SLAM DUNK』の安西先生も言っていましたが、諦めたらもうその時点で終わりなんです。聞きかじっただけで「やっぱりいいや」とか「できないんじゃないか」と離れるのは諦めの姿勢であって、「ちゃんと試したかどうか」が大切だとずっと考えてきました。

スタッフに「個性だけはつぶさないで」と伝えている

2014年に、ステイラックという事務所を立ち上げています。こちらも長年続けてきた経験があってたどり着いた決断ということでしょうか?
負けず嫌いな一方で、僕は性格的には憶病でハッタリをきかせたい部分もあるんです。僕のイメージでは事務所を立ち上げることはむしろ守りの姿勢のひとつで、自分の身を守るための手段だと、2014年までは思っていました。

とはいえ、やってみないとわからない。サラリーマン経験もあるのである程度はわかっていたつもりで…でも、実際にやってみたら、やっぱり「つもり」でしかなかった。

もし事務所の社長になりたいという方がいたら、僕からは「絶対にやめておいたほうがいい」と忠告したいです。
それだけ社長業は大変なんでしょうか?
お金のことも、スタッフのことも、後輩の面倒を見ることも、ありとあらゆるすべてが大変ですよ…。別の業種で働いているみなさんも、きっと愚痴りながらひとつずつトラブルを解決していると思いますが、それはこちらも一緒。

とくにスタッフや後輩に対するケアは大事で、何かトラブルがあったときに「ガマンして」のひと言で縛れない時代ですから…。だから別の解決策を考えようとすると、今度は違うところでトラブルが起きるもの。組織をまとめるのは難しいです。
声優業界全体のことも視野に入れていますか?
偉そうかもしれませんが、めちゃくちゃ考えています。先ほども言いましたが、諦めずに試してみることが大切なので、ほかの事務所の同年代の社長さんはもちろん、大先輩の方々ともよく話します。こういうときに30年以上この世界でやってきた芸歴は生きますし、あらゆる事務所の社長さんと話すチャンスをいただけるのは大きいです。
人との出会いが転機だというお話ともつながりますね。
そうなんですよ。ただ、どの業種もそうだと思いますが、現実の問題点が何よりも先に提起されるので、“理想の声優業界”につながるまでは厳しい道のりです。

もちろん、目の前の現実には真摯に対応しつつ、理想を持ち続けている方ともっと話をしたいとは思っています。ものすごく長期的なビジョンではありますが、自分の会社でできることはやっていきたいです。
2016年からは後進の育成のために、ステイラック付属養成所Follow-Upも立ち上げられました。声優として活躍するのに必要なのはどんな要素だと考えていますか?
まずはお芝居。そのうえで、スタッフには「個性だけはつぶさないでくれ」と伝えています。

別の業界でも、面接で「あなたの個性はなんですか?」とか「うちの会社に来たら何ができますか?」と聞かれて入社したのに、いざ現場に入ったら「お前の個性はいらない」と言われるケースがあると聞きますが、それっておかしいと思うんですよ。

役者は個性でしか生き残れないので、そこを否定してしまっては元も子もありません。むしろ、スタッフがどうやって個性をコントロールするかが大切だと思います。
役者にとって個性は武器になっていくと。
若本(規夫)さん、子安(武人)さん、三木(眞一郎)さん、みんなとんでもないでしょう?(笑)もう少し若いところでも、芝居が上手いのは大前提として、杉田(智和)くんなんかも個性のかたまり(笑)。

あと事務所全体で掲げているのは、「『また会ってみたい』と思ってもらえる人になるように研究すること」。自分自身ももう一度会ってみたいと思う人がいれば、そこからヒントをもらえるわけですし、結果的には“人間力”を高めることに行きつければいいのかなと。
浪川さん自身がもう一度会いたいと思うのはどんな人ですか?
キャパシティを自由に調整できる人ですかね…。たとえばキツい言葉をかけられたときに、普通ならパッと言い返したくなるものですが、それを調整して飲み込むことができる。

世の中では、正論で相手をぐうの音も出ないぐらいねじ伏せる人を“切れ者”という傾向にありますが、本当の“切れ者”は、相手にイヤな感情を持たせずに思いどおりにする人なんじゃないかと、僕は思います。
そのうえでお芝居も上手い後輩がいたら、お仕事のパイプもつなげることができる?
できると思いますよ。僕も俳協にいた頃は山寺宏一さんに引っ張ってもらったんですが、山寺さんはテレビでもドラマでも映画でもナレーションでも活躍されていて、そのパイプは必ず事務所にあるものなんです。ただ、あるからといって誰にでも使えるわけではありません。
たしかにそうですね。
たとえばlivedoorニュースさんの取材を受けたいという後輩がいたら、今、こうやって僕が取材を受けていますから交渉はできるでしょう(笑)。それが今後どんな未来につながるのかはわかりませんが、諦めずにがんばれば、何かにつながる可能性はゼロではない。目の前にある仕事、それこそ『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿』にも全力で取り組んでいきたいと思います。
浪川大輔(なみかわ・だいすけ)
4月2日生まれ。東京都出身。B型。子役として活動を始め、『白バイ野郎パンチ&ボビー』の吹き替えで声優デビュー。主な出演作に『ルパン三世』(石川五ェ門)、『君に届け』(風早翔太)、『ハイキュー!!』(及川 徹)、『K』(伊佐那 社)、『ペルソナ4』(鳴上 悠)など。ステイラック代表取締役。

「2019夏のアニメ」特集一覧

出演作品

TVアニメ『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 -魔眼蒐集列車 Grace note-』
7月6日(土)よりTOKYO MXほかにて、毎週土曜深夜に放送
https://anime.elmelloi.com/
©三田誠・TYPE-MOON/LEMPC

サイン入りポラプレゼント

今回インタビューをさせていただいた、浪川大輔さんのサイン入りポラを抽選で3名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

応募方法
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受付期間
2019年7月1日(月)12:00〜7月7日(日)12:00
当選者確定フロー
  • 当選者発表日/7月8日(月)
  • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから7月8日(月)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき7月11日(木)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
キャンペーン規約
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