EXILEのように、FANTASTICSを多くの人に知ってほしい。佐藤大樹、俳優業への熱き思い

舞台を原作にアニメやコミカライズを展開していく“逆2.5次元プロジェクト”として、2017年6月に上演された舞台「錆色のアーマ」。主演は、EXILEの最年少メンバーでありFANTASTICS from EXILE TRIBEのパフォーマーとしても活躍する佐藤大樹と、声優として活躍する増田俊樹。

初演終了後、佐藤はプライベートでもキャストと顔を合わせ、「またやりたい」と再演を願っていた。そんな彼にとって、6月6日から上演されている「錆色のアーマ」 -繋ぐ-は、待望の新作公演だ。

取材当日は、朝はFANTASTICSのライブのリハーサル、昼から夜にかけて本作の稽古という忙しいスケジュール。アーティスト活動も多くなるなかで、彼が俳優業に臨む理由は何なのか?

撮影/祭貴義道 取材・文/渡邉千智 制作/iD inc.

キャストが集まったら、自然と初演の感覚が戻った

“アーマ”と呼ばれる武器を操る、最強の傭兵集団・雑賀衆(さいかしゅう)と、冷静冷酷な戦のカリスマ・織田信長(演/増田俊樹)を軸に物語が紡がれる本作。佐藤が演じるのは、個性豊かな面々が揃う雑賀衆の頭領であり、鉄砲使いの名手である孫一(まごいち)だ。
初演のDVDお渡しイベント時の神里優希さん(アゲハ役)とのインタビューでは、「またやりたい」と共演者のみなさんでお話されているとおっしゃっていました。
はい。決まったときは、また孫一になれるんだ!って思いが大きかったです。みんなで「いつ公演がはじまるんだろう」と楽しみにしていたんです。

結果的に2年ほど空いてしまいましたが、そのあいだにコミカライズも進み、ある意味では漫画が“繋いで”くれた今回だと思っています。
お稽古も終盤に差しかかろうとしていますが(※取材が行われたのは5月下旬)、どんな思いで臨まれていますか?
初演のとき、ゼロを1にする作業…「自分たちが原作になる」という、これまでやってきたことがない境地に挑まなければならず、めちゃくちゃ苦労したんです。演出の元吉(庸泰)さんとも一緒に「雑賀衆って何だろう」ということから作り上げてきました。

そうやって作り上げたキャラクターらしさは、2年経った今でも覚えていて。本読みのときから「相手はこういうふうに来るだろうな」ってわかったし、元吉さんも「雑賀衆を信頼してるから任せる!」っていい意味で委ねてくれたので、すごくやりやすさを感じています。
キャストが集まったら、自然と雑賀衆の関係になれた?
はい。神里優希とは稽古場で常に一緒にいますし、(平田)裕一郎くん(黒氷役)がムードメーカーなのは前回から健在です(笑)。裕一郎くんなしでは雑賀衆は成立しないですね。今回は、みんなどこかにいい意味での余裕があって、稽古で“遊び”を入れることもあるので、すごく楽しいです。
初演は、雑賀衆にフォーカスした物語でしたし、みなさんの絆もグッと深まったのですね。
前回は雑賀衆7人でのシーンも多かったですし、それが今の自信につながっています。

今回は、初演では語られなかったそれぞれの人間ドラマが描かれていて、キャラクターの背景が丸裸になるというか。僕らでさえはじめて知った情報もあって、ひとりひとりが改めてキャラクターについて考える機会が多かったと思います。

「『アーマ』が楽しい」増田俊樹の思い入れ

W主演を務める織田信長役の増田俊樹さんの姿は、どんなふうに映っていますか?
まっすーさん(増田さん)は今回、物語のなかではすごく難しい立ち位置だろうなと思っていたのですが…稽古場では一番はしゃいでいます(笑)。初演のときは雑賀衆と対立する立場だったので、稽古場でもあまりしゃべってくれなかったんですけど…。
楽しんでいらっしゃると(笑)。
はい。ちょっかいを出してきたりひとりでボケたり(笑)。「『アーマ』がすごく楽しい」って言っていましたし、作品にすごい思い入れがあるんだろうなと感じています。
今作はアクションもさらにパワーアップされているんですよね。
(言葉に力がこもって)そうなんですよ! 前回は初演ということもあって、わかりやすくするためにミュージカル要素が強めで、曲も23曲ありました。でも今回はキャラクターの背景を理解してもらったうえで、芝居を見せたいんです。

加えて、雑賀衆は鉄砲使い、一方で敵の陰陽師は目に見えないパワーを使う。そのなかで繰り広げられる拳と拳のぶつかり合いでしか生まれない会話を見せるため、前回の比にならないくらいアクションは多く組み込まれています。
孫一はすばしっこさが強みのひとつで、前作でも動きっぱなしでしたが…。
体力的には前回の3倍くらいキツくて、僕は本当に殺陣も苦手だし、ものすごく苦戦してます。改めてすごくエネルギーが必要な作品だなと思いました。

アクションがあって、歌とダンスがあって、お芝居もあって、今回はとくに情報量がものすごく多いんです。見てくださる方にいろんな解釈をしてもらえると思うし、それこそが演劇の魅力のひとつだなと感じるので、本当に役者冥利に尽きます。

新キャスト・玉城裕規とは“お酒好き”で意気投合

今作では新キャラクターも登場しますね。
どのキャラクターもすごく個性的に仕上がっていて、さすが2.5次元で活躍されている一流の俳優さんたちだなと感じました。

僕ら(孫一たち)は人間ですが、新キャラクターは陰陽師や妖怪といったセリフやアクションに制限のないキャラクターということもあって、すごく魅力的に演じられていて。ちょっとうらやましいなって思うくらい。個人的に好きなキャラクターも多いです。
佐藤さん視点での、注目の新キャラクターは?
茨木童子(演/佐藤永典)! キャラクターもだけど、佐藤永典さんっていう俳優さんが魅力的なのかな。本人にも言っているのですが、とても素敵なお芝居をされているので、本当に面白いです。

賀茂在昌(演/丘山晴己)も、前作の顕如(演/輝馬)を超えてくる気持ち悪さで(笑)。セリフのひとつひとつがうさんくさくて、その表現力は本当にスゴいなと思っています。(丘山さんは)もともと海外でダンサーとして活躍されていた方なので、立ち姿がキレイだし、ちょっとしたしぐさも様になっていて、見ていて勉強になります。
新キャストのみなさんとは、どうコミュニケーションを取っていますか?
早い段階から距離を縮めたいなと思っていて、稽古3日目くらいからご飯や飲みに誘っていました。
それは、座組を引っ張る立場としての思いもあって?
きっとどこかにはあると思うんですけど、その人に興味があって、その人が好きって気持ちから自然と行動に起こしているんだろうと思います。

とくに物語のキモになる羽柴秀勝役の玉城裕規さんとは、きのうもおとといも一緒にご飯に行きました。お店を5件ハシゴしたこともあります(笑)。

孫一はとくに秀勝とのシーンが多いのですが、(玉城さんとお芝居をしていて)すごくやりやすいんです。玉城さんは相当な苦労をされながら役者人生を歩んできた方。人の芝居を大切にしてくれる役者さんで、僕がどんな球を投げても、必ずキャッチしてくれるんです。
自分の芝居を相手に素直に受けとめてもらえるのは、きっと気持ちいいですよね。
元吉さんも「芝居の相性がいい」って言ってくださって、「一度ダメ出しをすると次に120点のものを出してくるから、もうダメ出しのしようがない」ともおっしゃってくださいました。すごくうれしかったです。

終盤の秀勝のシーンは、すごく胸が痛くなるのですが、そこは序盤での孫一と秀勝のシーンがよければよいほど活きてくる場面で。ふたりで飲んでいるときに「こうだよね」ってアツく話したこともあります。
稽古場以外でのコミュニケーションも大事なんですね。
めちゃくちゃ大事ですね。稽古場では照れたり自分のことで精一杯でうまく話せなかったりしても、お酒の場で言ったことが、意外と相手の心を動かすこともありますから。

それに、タマちゃん(玉城さん)は沖縄出身ということもあるのか、めちゃくちゃ酒が強い(笑)。一回の注文で3杯くらいお酒を頼むんですよ。こういう飲み方をする人を見たことがなかったので、意気投合しちゃいました(笑)。
玉城さんもスゴいですが、大樹さんは一回のオーダーでお酒を3杯頼むのが普通なんですか…?(笑)
はい、いつなくなってもいいようにストックしておくんです(笑)。タマちゃんは何も言わずとも僕のお酒も頼んでくれるので、僕もすごく楽しくなっちゃって。

もちろん、今回の公演についてワーッて語るときもあれば、2.5次元舞台のことを話してくれたり、僕のアーティスト活動の話を聞いてくれたり。普段聞けないことを聞けてめちゃくちゃ楽しいです。あとはみんなでカラオケにもよく行きますね。
本当に仲のいいカンパニーなのですね。
新キャストのみなさんが本当にいい人たちばかりなんです。共演経験がある人も多かったみたいで、全員の距離が縮まるのも早くて。それに僕も置いていかれたくなくて、自分から誘っていたのもあるかもしれません(笑)。

父と母のよう。FANTASTICSリーダー・世界との関係

2016年に結成したFANTASTICS from EXILE TRIBEは、昨年12月に満を持してメジャーデビュー。4月にはセカンドシングルを発売し、7月にはGENERATIONS、THE RAMPAGE、BALLISTIK BOYZとともにライブ「BATTLE OF TOKYO 〜ENTER THE Jr.EXILE〜」への出演を控えるなど、目覚ましい活躍を見せている新星だ。佐藤は最年長の世界とともに、グループのリーダーを務めている。
FANTASTICSの活動もお忙しいなかで、俳優業にも積極的に取り組まれているのは、どんな思いからなのでしょうか?
EXILEが“誰もが知っている国民的グループ”だとしたら、FANTASTICSはデビューして半年くらいの駆け出しで、知名度もまだまだ。まずは、いろんな人に名前を覚えてもらうことが最優先だと思うんです。

僕が出演した映画のエンドロールに、僕の名前と「FANTASTICS from EXILE TRIBE」という言葉が出ることで「このグループ、何だろう」と興味を持ってもらえたり、主題歌をFANTASTICSが担当して(八木)勇征と(中島)颯太の歌声を聴いた人が「他の曲も聴いてみたい」と思ってくれたら、僕は一番うれしいです。
今作の主題歌(『Tie and Tie』)をFANTASTICSが担当されることになった際も、Twitterでその思いを投稿されていましたね。
勇征と颯太は『アーマ』を見て、僕にいろいろと作品のことを聞いてくれたうえでレコーディングに臨んでくれて。本当に時間のないなかで頑張ってくれたし、ふたりの思いも知っているから、稽古でも『Tie and Tie』が流れたら感極まるものがありました。

元吉さんやキャストのみんなも聴いてくれています。作品のために作った曲だからものすごくハマっているし、とてもいいタイミングで流れるんですよ。『アーマ』の座組の一員としても、FANTASTICSにすごく助けられているなと感じます。
素敵ですね。
だから、一番はグループの名前や可能性を広げていければいいなという思いで俳優業をやっています。あとは単純に、ダンスと同じくらいお芝居も好きだから。逆にこのふたつ以外は何もやらなくてもいいくらい(笑)。
では、『錆色のアーマ』での経験が、FANTASTICSの活動に活きていると感じることはありますか?
作品がいい評価をされても、悪い評価をされても、責任を負わないといけないのは座長なので、そういう意味では責任感が芽生えたと思います。FANTASTICSの結成当時は、自分がリーダーっていう意識はそこまでなかったんです。
そうだったのですか。
でも『アーマ』の物語の中でみんなが孫一のために何でもしてくれるところを見て、「人の上に立つってどういうことなんだろう」と考えるようになりました。元吉さんやみんなに相談するなかで、リーダーとしての立ち位置がわかってきた気がします。

雑賀衆のキャストが悩んでいたら、ひとりひとり自分から聞きに行ったり。「自分はこうだ」だけではなく、それぞれに合った“佐藤大樹”として接することも勉強になりました。それは、グループのなかでの世界さんとのバランスの取り方にも活かされていると思います。

あとは、FANTASTICSのライブで緊張しなくなりました。やっぱり『アーマ』のほうが緊張するので(苦笑)。
世界さんと佐藤さんのリーダーとしてのバランスは、どのように取っているのでしょう?
世界さんは振り付けを担当しながら、今のグループに合ったパフォーマンスや楽曲へアプローチするなど、クリエイティブ面を担ってくれています。僕はチームがどうあるべきか考える立場というか。「この人が悩んでいるから、この人とつなげて…」と、人間関係の部分で立ち回ったり。

僕がお母さんだとしたら、世界さんは一家の大黒柱のお父さん。わかりやすく言うとそういう感じかなと。
メンバーのみなさんから相談されることも多いですか?
そうですね。メンバーそれぞれとふたりでいる時間もたぶん僕が一番多いですし、悩みを相談されることもよくあります。
佐藤さんの俳優活動について、メンバーのみなさんからはどんな反応がありますか?
映画に出ると、必ずみんなで試写会に来てくれます。ただ、キラキラとしたラブコメだと、世界さんは「自分の弟が出ているみたいで恥ずかしい」と照れて来なかったりするんですけど(笑)。

お芝居に興味のあるメンバーも多いので、『アーマ』も「楽しみにしてます」って言ってくれてうれしいです!

GENERATIONSメンバーに抱く「負けたくない」という思い

パフォーマーと俳優の両立の難しさについて、LDHの方とお話されることもありますか?
あります。とくにAKIRAさんはドラマ『GTO』のとき、撮影が終わってそのままライブに出演されたりしていて。去年、僕もEXILEのツアーと映画の撮影が重なったことがあったのですが、そういうときの過ごし方や心がけを聞いたりしました。
以前もAKIRAさんの名前を挙げていましたし、とても尊敬されているのですね。同世代の方も、俳優業に力を入れていると思います。みなさんの活動をどう見ていますか?
とくに同世代のGENERATIONSに関しては、うらやましいなって思いもあるんですけど、どこかに悔しさもあって。デビュー前から知っているメンバーなので、もちろん尊敬はしているし大好きですけど、やっぱり負けたくないですね。
出演作もご覧になりますか?
映画が公開されたり、舞台をやっていたりすると絶対に観に行きます。「悔しいから見たくない」という思いはなくて、逆に全部観ます。
観て、吸収してやろうと?
先輩が出ているドラマも、先にDVDをもらってオンエアを待たずに一気見するタイプなんです。それで、よかったなと思うところは吸収したり、「自分はこうするな」と考えたり。見た感想も本人に伝えます。

みんなの活躍を見るのは勉強になりますね。普段のその人も知っているから、「こういうクセがあるんだ」と発見することもあって面白いです。
とくに勉強になったと感じたことはありますか?
ドラマ『ワイルド・ヒーローズ』をやっていたときのTAKAHIROさんの立ち居振る舞いがとても勉強になりました。これがトップを張る人の居方なんだろうなって。TAKAHIROさんとはいつかまた共演したいです。

『アーマ』でいえば、22歳のときに、初演で座長をやらせてもらったのは本当にありがたいこと。今回も僕が最年少ですが、僕なりに座長とは何かを探りつつ、楽しんでやっていきたいと思います。
佐藤大樹(さとう・たいき)
1995年1月25日生まれ。埼玉県出身。A型。2014年、「EXILE PERFORMER BATTLE AUDITION」に合格し、EXILEにパフォーマーとして加入。2016年にはFANTASTICS from EXILE TRIBEを結成し、2018年12月に『OVER DRIVE』でメジャーデビュー。俳優業では、ドラマ&映画『HiGH&LOW』シリーズや、映画『ママレード・ボーイ』、『センセイ君主』などに出演。『4月の君、スピカ。』では映画初主演を務めた。

舞台情報

「錆色のアーマ」 -繋ぐ-
【東京】(公演終了)
【愛知】2019年6月22日(土)〜6月23日(日)@岡崎市民会館 あおいホール
【大阪】2019年6月27日(木)〜6月30日(日)@梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
原案 「錆色のアーマ」プロジェクト
脚本  高殿 円
演出・上演台本 元吉庸泰
音楽  田口囁一
振付  當間里美
出演
佐藤大樹(EXILE / FANTASTICS from EXILE TRIBE) 増田俊樹
荒木健太朗 永田崇人 平田裕一郎 章平 神里優希
佐藤永典 石渡真修 田中しげ美/丘山晴己/玉城裕規 ほか

サイン入りポラプレゼント

今回インタビューをさせていただいた、佐藤大樹さんのサイン入りポラを抽選で3名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

応募方法
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受付期間
2019年6月21日(金)18:00〜6月27日(木)18:00
当選者確定フロー
  • 当選者発表日/6月28日(金)
  • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから6月28日(金)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき7月1日(月)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
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