夢をワガママに追いかける時間があってもいい。EXILE TAKAHIROの人生が決まった瞬間

子どもの頃から“将来の夢”など深く考えたことはなかったという。ぼんやりと、両親と同じく美容師になるものだと思い、専門学校を卒業して、東京で美容師として働き始めた。

だが上京をきっかけに「一度きりの人生、後悔したくない」と歌手を目指すことを決意。「EXILE Vocal Battle Audition 2006 〜ASIAN DREAM〜」にて、EXILEに加入。その後のTAKAHIROの活躍は周知のとおり。いまでは俳優としても活躍し、彼の姿に多くの若者たちが夢をもらっている。

そんな彼が、満を持して挑んだ長編映画『僕に、会いたかった』での単独主演。島根県・隠岐諸島を舞台に、事故で記憶を失った男を静かに、熱く演じている。

歌手になる夢を体現した男は、記憶を失うという数奇な人生を歩む男から何を感じ、何を表現したのか?

撮影/祭貴義道 取材・文/黒豆直樹 制作/iD inc.
スタイリング/渡辺康裕(W) ヘアメイク/下川真矢

ファンにも初めて見せた“ヒゲ姿”は自らが提案

TAKAHIROさんが演じたのは、凄腕の漁師だったにも関わらず、事故で記憶を失い、海に出ることもなく母親と静かに暮らす池田 徹。普段のステージでの姿とはまったく異なる風貌に驚きました。
ビジュアルは何度も打ち合わせを重ねました。漁師の役ということで、(錦織良成)監督から、普段のイメージとは違う、いい意味で“土くさい”ワイルドな一面を見せてほしいと言われていました。そこで自分から「ヒゲを生やすのはどうですか?」と提案したんです。

いままであのような雰囲気のヒゲを生やした姿を見せたことはなかったのですが、初長編単独主演映画ということもありますし、EXILE TAKAHIROを感じさせない風貌に近づけたいなと。
そうだったんですね。
衣装合わせの段階では、ファンデーションもヒゲももっと濃くて、髪の毛も細いロットでクルクルに巻かれてパンチパーマみたいだった(笑)。ワイルドさはスゴいんですけど、インパクトが強すぎて(最後まで)もたないんじゃないか?となって。

もうちょっとナチュラルにするために、日焼けをして下地を作って、島に入ってからもできるだけ陽にあたって、髪の毛も潮焼けした感じを出すために自然なパーマを当てて、この姿に落ち着きました。正直、どうなるんだろうと思っていたので、完成して安心しました(笑)。

島に行ってから、漁師の方たちとコミュニケーションをとったり仕事を手伝わせてもらったりしたんです。さわやかな方ばかりで、最初のままの風貌だったら完全に浮いてしまうところでしたね(笑)。
エグゼクティブ・プロデューサーであるHIROさんの「漁師がいいのでは?」という言葉をきっかけに、今回の物語と役が生まれたそうですね。
もともと錦織監督の作風が好きで憧れていました。劇団EXILEの青柳(翔)が主演した『渾身 KON-SHIN』の景色の説得力、セリフが少ない中でのリアルな心情の描き方がすごく好きで、「いつかご一緒できたら」と思っていたんです。
『渾身 KON-SHIN』や『たたら侍』など、EXILE TRIBEのメンバーが出演する作品を手がけてこられた監督ですね。
長編映画の単独初主演ということで、HIROさんが「錦織監督とやるのがいいんじゃないか」とおっしゃってくださって「ぜひ!」と。錦織監督とできるなら何でもやります!という気持ちでした。
記憶を失い、歯がゆさや葛藤を抱えながらも周囲の人たちに支えられながら生きる男というのは、非常に難しい役だったと思います。
足し算ができない役だったので難しかったですね。感情や動きを追加していくよりも引き算の演技というか――経験がないぶん、つい何かをしたくなるのですが、そこをグッとこらえて、あえて何もしない……“無でいること”をテーマに、島での時間を過ごしました。

クランクインしたばかりの頃は、正直手応えがなくて。セリフも少なく、動きも多くつけられないので「これで成立するのかな?」と不安だったんです。ですが監督から「周りがいろんな感情を持って動く中で、(徹は)ただ佇む、一線をどこかに引いておく。その“もの悲しさ”がこの作品の醍醐味だから」と言っていただいて。

そのためには、自分がゼロであることが大事だと思いました。
ゼロの状態を表現するために、どんなことを意識していましたか?
記憶喪失ではあるものの、決して悲しい毎日ではないのかなと。くすぶっていたり、モヤモヤしている部分はあると思いますが、思い出せないからこそあからさまな悲しみはなくて。

過去に向き合うより、自分を支えてくれる人たちに少しずつ恩返ししながら現実を生きている役だったので、過去や背景はあまり深く考えずに臨みました。

空き時間は、島の人たちとも一緒に釣りを楽しんだ

釣りをするシーンも出てきますが、プライベートでも趣味とうかがいました。島でも釣りを?
防波堤のようなところで、知らないおじさんと2時間近く釣りをしました(笑)。空き時間はいつも役の格好のまま島を歩き回っていたので(TAKAHIROさんだと)気づかれず、島の人たちからは「あれ? こんな兄ちゃんいたっけ?」って(笑)。

徹は漁師だけど船には乗らず、いつも防波堤で釣りをしている役だったので、役作りの体(てい)で釣りを楽しんでました。
劇団EXILEの秋山真太郎さんとも共演されていますが、一緒に釣りを?
秋山とは映画の中でも並んで釣りをするシーンがあったので、その前後の時間も含めて一緒に楽しみました。
普段、EXILE TRIBEのメンバーを誘って釣りに行くことはないんですか?
メンバーの中では山下健二郎(三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE)が釣り好きなんですけど…。
3月下旬に放送された『アメトーーク!』の“釣り大好き芸人”に出演して、熱く語っていましたね。
「釣りに行こう! 行こう!」と言いつつ、なかなか行けなくて…。

でも行くと、どっちがうまいかが明らかになってしまうじゃないですか。彼は、プロを目指していたくらいなので絶対にうまいですし、悔しい思いはしたくないんです(笑)。

「一度きりの人生、後悔はしたくない」と歌手の道へ

劇中では、都会から島留学にやってきた高校生たちが、「自分は何がしたいのか?」と将来に悩む姿も描かれています。TAKAHIROさんは自分の将来についてどんなことを考えていましたか?
僕は両親が美容師で、幼少期からお店を手伝うのが当たり前。とくに「○○になりたい!」と明確な夢を抱くこともなく、自然と自分も美容師になるものだと思っていました。専門学校に行くのも当たり前で、将来何がしたいのかを考えたり、虚無感に襲われたりというのはなかったです。

ただ、(美容院への就職で)東京に出てきて、人生について考えたときに「一度きりの人生、後悔はしたくない」と思って、以前から興味があった歌手を目指すことにしたんです。それは雲をつかむような難しさというか…。

オーディションを受けつつ、美容師を辞めて、力仕事をしながら食いつないでました。あの頃の不安な気持ちと、(映画の中の若者たちの心情は)どこか似てるのかなと思いますね。
仕事を辞めてまで夢を追うのはなかなかできることではないと思いますが、どうしてそんな決断ができたんでしょうか?
“若気の至り”なのかもしれないですね。僕の中では「2年間」という区切りはしっかりと決めていて。もしその期間に何もきっかけをつかめなければ、また美容師に戻ろうと。もちろん、美容師も甘い世界ではないので、戻れなかったらまた考えなくてはと思っていました。

人生で一度くらい、自分の夢をワガママに追いかける時間があってもいいのかな?と母に相談したら、背中を押してくれたんです。父には言わなかったみたいなんですけど(笑)。

あの頃、これまで感じたことのない不安を感じましたが、いまとなればいい経験だったと思いますね。
そこで見事にチャンスをつかんだわけですが、EXILE TRIBEのメンバーに話をうかがうと、TAKAHIROさんに憧れてこの世界を目指したと話す方が多いです。
加入した当時は自分が一番若かったので、完全に末っ子気質だったんですけど、気づけば後輩も増えましたね。自分としては「先輩として伝えるべきことは伝えないと!」という使命感や責任感よりも、逆に刺激をもらうことが多いです。

若いメンバーひとりひとりが伸びて、活躍することで、逆に僕らが自由にいろんなことをできる部分もある。そういう意味で彼らの活躍にすごく助けられていますし、頼もしいです。

先輩という立場になったからこそ、新しい道を切り拓いて、後輩の道しるべになれたらいいなと思っています。あんまり後輩に先輩風を吹かすことはしたくはないですが…。
とはいえ、後輩からアドバイスを求められることも多いのでは?
あります。後輩が行き詰まっているのがわかったときは、自分が助けられた言葉や思い出を話したり。結局は自分の経験を話すしかないのですが、自分もそうやって若いときに助けてもらいました。

ただ、あまり硬い話は好きじゃないので(笑)、飲みに行って話を聞いたりしながら、少しでも癒やしになればと思ってます。

俳優業は片手間ではなく“本業”として取り組みたい

いま、俳優という仕事にどんな魅力、楽しさを感じていますか?
本当にありがたいことにさまざまな機会をいただいていますが、俳優としての活動が、表現者としての僕を作る要素のひとつになっていると思います。

細かい感情の表現を求められることで、アーティスト活動に持ち帰れる部分もあって。とにかく学ぶことがたくさんありますね。俳優業は片手間でも、二足のわらじでもなく、“本業”としてしっかりとやっていきたいです。
いままでにない役柄に挑戦して、さらにやりたいことが増えたのでは?
どんな作品もそうですが、共演者の方、一流の方々に脇を固めていただいて、作品が成り立っているんだなと感じます。自分もいつか脇をきっちり固められるような役者になれたらと思います。
今年で35歳。30代の折り返しを迎えますが、若い頃との一番の違いは?
お酒が弱くなって、サシの入った肉がそんなに食べられなくなりました(笑)。疲れが抜けにくくなるとか身体の変化は感じますが、歳を重ねるほど、努力の成果は見えやすくなっているのかなとも思います。しっかりトレーニングを続けていかないと、身体にガタが来るのも早いですし。

感覚に変化はないと思うんですけど、少しずつ、地に足をつけた活動を意識することができるようになってきたのかもしれません。
TAKAHIRO(たかひろ)
1984年12月8日生まれ。長崎県出身。EXILE、ACE OF SPADESのヴォーカル。2013年、シングル『一千一秒』でソロデビュー。2014年、ドラマ『戦力外捜査官』で俳優デビューを飾り、2015年には『ワイルド・ヒーローズ』(ともに日本テレビ系)で主演を果たす。『HiGH&LOW』シリーズでは雨宮兄弟の次男・雅貴を演じた。2017年には『MOJO』で初舞台にして初主演を務めた。2019年は『僕に、会いたかった』に加えて、9月20日には映画『3人の信長』が公開。

    映画情報

    映画『僕に、会いたかった』
    5月10日(金)ロードショー
    https://bokuai.jp/

    ©2019「僕に、会いたかった」製作委員会

    サイン入りポラプレゼント

    今回インタビューをさせていただいた、TAKAHIROさんのサイン入りポラを抽選で1名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

    応募方法
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    受付期間
    2019年5月7日(火)12:00〜5月13日(月)12:00
    当選者確定フロー
    • 当選者発表日/5月14日(火)
    • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
    • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから5月14日(火)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき5月17日(金)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
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