松岡茉優の胸の内。「演じるのが楽しいと思ったことはない」という言葉の裏にあるもの

8歳から仕事を始め、13歳で朝のバラエティ番組『おはスタ』の“おはガール”に抜擢。その後、18歳でNHK連続テレビ小説『あまちゃん』に出演し、松岡茉優は注目を浴びた。

2017年には初主演映画『勝手にふるえてろ』が公開され、第42回日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞。カンヌ国際映画祭で日本映画としては21年ぶりにパルムドールを受賞した、『万引き家族』にも出演した実力派女優だ。

4月26日公開の映画『バースデー・ワンダーランド』では、声の出演で初主演を務めている。

華々しい女優道を歩んでいるように見えるが、彼女からは「演じることが楽しいと思ったことは一度もない」という驚きの発言が飛び出した。

インタビューを通して、仕事に対する真摯な姿こそが松岡の本質であること、それが彼女のこれまでの功績を築いたのだと改めて気付かされた。

撮影/ヨシダヤスシ 取材・文/馬場英美 制作/iD inc.

声優と俳優。お互いに手を出すべきではないと考えている

松岡さんが声優初主演を務められた映画『バースデー・ワンダーランド』は、『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』などで高い評価を集める原 恵一監督の最新作です。
原監督とは私が高校生のときに、『はじまりのみち』という実写映画で一度ご一緒させていただきました。

当時、「こうしたい、ああしたい」という思いから監督にご迷惑をかけてしまったので、今回は少し大人になった姿をお見せしたかったので、またご一緒させていただくことができてうれしかったです。
松岡さんが声を務める、内気で消極的なアカネがひょんなことから別世界に迷い込み、そこでの経験を経て成長していく物語です。台本を読まれたときの感想を教えてください。
台本をめくりながら、次はどこの世界に行けるのだろうと思ってワクワクしました。アカネが出会う世界は、暖かい地域もあれば、とても寒いところもあります。

劇中で登場する世界にはひとつとして同じものはなく、描かれる色彩も、そこで暮らす人々の生活も違います。だからこそ、この映画を見てくださる方々には、自分にとっての幸せとは何かを思いながら、自由な世界に飛び込む楽しさを感じてもらえるとうれしいです。
アニメ作品の声優は、普段されているお芝居とは演じる感覚は違うものですか?
声のお仕事をさせていただくときは、どうしても力んでしまうし、とても心配だし…「お邪魔します」という気持ちが強いです。ただ今回に関しては、一度ご一緒させていただいていたので、いつもよりリラックスしてできた気がします。
監督から何かアドバイスはありましたか?
テクニックの細かい指示というよりも、「アカネはこう思うんじゃないか」とか「アカネはこういう子だからこうしてほしい」といった、アカネに寄り添った指導をしていただきました。
アドバイスを受け取って、それを表現することはできましたか?
そうですね。普段の仕事にも通じるものだと思うので、すんなり役に入ることができました。

それに、ボイステストからずっと、監督のアカネへの愛情をビシビシと感じていたので、それに応えたいと思いましたし、監督の思っている世界に少しでも近づきたいという気持ちでした。
先ほど声のお仕事をするときは、「お邪魔します」という気持ちが強いとお話していましたが…。
餅は餅屋というか、私は、声優と俳優はまったく別のお仕事だと思っています。

声優さんに声のお仕事で勝ることはほぼないに等しいと思っていますし、基本的にはお互いに手を出さないほうがいいと考えているんです。

でも、だからこそ俳優である私にオファーが来た意味や、私だからできることを考えて行動するようにしました。その役がかわいそうな思いをしないように務めあげたいなと。
声のお仕事をするとき、誰かにアドバイスをもらうことはありますか?
声優の山寺宏一さんとずっと仲良くさせていただいていて、声のお仕事のときは必ず山寺さんに相談しています。
松岡さんが“おはガール”を務められていた『おはスタ』からのご縁ですね。
はい。13歳のときから山寺さんにはお世話になっています。
山寺さんとは今回の作品について、どんなお話をされたんですか?
「原監督と一緒に仕事ができて、いいなぁ」とおっしゃっていて。声優界の王様みたいな山寺さんが「一緒に仕事をしたい」と思う方とお仕事をさせていただくことに、改めて感慨深くなりました。

『あまちゃん』があったからこそ、今の自分がある

アカネは自分に自信がなく、思ったことを言えない内気な女の子ですが、彼女に共感するところはありましたか?
あります。私も新しいお仕事をいただくたびに必ず壁にぶつかりますし、乗り越えないといけないことばかりで…。仕事が順調でも、プライベートで壁にぶつかったりしますし、とにかく悩みはつきなくて、忙しいですね(笑)。
松岡さんはどうやってその悩みを解消しているのですか?
抜け出すきっかけは毎回違います。人であったり、ものであったり、これまでの経験であったり。私の場合は、自分が出演した作品に救われることが多いです。

なので、作品の撮影中に壁にぶつかることがあっても、もしかしたらこの作品が私を助けてくれる存在になるかもしれないと思い、踏ん張るようにしています。
松岡さんをご紹介する際に、朝ドラ『あまちゃん』の名前が挙がることが多いかと思います。放送から6年ですが、今も『あまちゃん』が代表作として取り上げられることをどう思われているのでしょうか?
インタビューなどで「今でも『あまちゃん』と言われるのはイヤではないですか?」と聞かれることが多いのですが、私としては「なぜ、そう思うんだろう?」と不思議に思っていて。
というのは?
『あまちゃん』には本当に恩があるので、イヤだと思ったことは一度もありません。それこそ朝ドラに出たことで違うドラマに呼んでいただいたり、バラエティに出させてもらったりしていると感じています。本当に恩恵しかいただいていないので感謝しかないんです。

今は、私にいろんなきっかけをくれた『あまちゃん』のキャストやスタッフの方々、ひいてはNHKさんに恩返しがしたい気持ちでいっぱいです。

俳優も、世の中の社会人と同じく“仕事”をしているだけ

昨年は主演映画『勝手にふるえてろ』に加え、カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した『万引き家族』など多くの作品でご活躍されています。どういうときに演じることの楽しさを感じますか?
演じているときに楽しいと感じることはないですね。

たとえば、『勝手にふるえてろ』を撮っているとき、動物園ロケがあって動物が可愛かったとか、『万引き家族』の現場で子役たちと遊んで楽しかったという思い出はありますけど、「演じること」が楽しいと思ったことは一度もないです。
それはある意味、衝撃的な発言ですね。
「演じることが楽しい」というのは、自分としては気持ちの悪い感覚で。もちろん人によって感じ方はさまざまだと思いますが、私にとってはそれが正直な感想なんです。
「新しい作品に入るたびに、毎回壁にぶつかる」とお話されていましたが、役に向き合う姿勢が真面目すぎる…ということは?
そんなことはないです。俳優という仕事はそんなにカッコいいものではなく、本当にみなさんと変わらずお金をいただいて“仕事”をしているだけなんですよね。

今作も、同世代で素晴らしい声優さんがたくさんいらっしゃるなかで私にオファーをいただいた。必死に頑張らないといけないし、そう思うと楽しんでいる余裕なんてないんです。
それでは、松岡さんが俳優を続ける意味とは?
意味といえるほどの大義名分はないですが、やっぱりお客さんに喜んでもらうためですね。

私が一番うれしいと思う瞬間は、舞台挨拶などで作品を見てくださる方と会えるときや、私が出ている作品を見て励まされたとか、学校に行こうと思ったとか、そのような感想のお手紙をいただいたときです。
8歳のときにスカウトされてから16年。現在24歳ですが、10年後の自分はどうなっていると思いますか?
10年後だと、34歳ですよね。私は家庭を作るのが人生の目標のひとつでもあるので、家庭を持ちたいなとは思っています。そういう願望はありつつ、俳優としては、私が大好きな30代の先輩たちのように恥ずかしくない存在になっていたいです。

たくさんいるので個人名は出しませんが、カッコいい先輩たちがいてくださるからこそ、私たちが迷わずに進んでいけると感じていて。

逆に今、10代の子たちから見れば、私も年齢的には先輩にあたる世代になったので、後輩たちのためにも、先輩たちからたくさんのものを吸収していきたいと思います。
松岡茉優(まつおか・まゆ)
1995年2月16日生まれ。東京都出身。B型。2012年の映画『桐島、部活やめるってよ』、2013年のNHK連続テレビ小説『あまちゃん』への出演で注目を集める。その後、『She』(フジテレビ系)で連続ドラマ初主演を務め、『コウノドリ』シリーズ(TBS系)、NHK大河ドラマ『真田丸』などに出演。初主演映画『勝手にふるえてろ』や『万引き家族』での演技も高い評価を得た。主演映画『蜜蜂と遠雷』(10月4日公開)、白石一彌監督と初タッグを組んだ『ひとよ』(秋公開)の公開が控える。

映画情報

映画『バースデー・ワンダーランド』
4月26日(金)ロードショー
http://wwws.warnerbros.co.jp/birthdaywonderland/

サイン入りポラプレゼント

今回インタビューをさせていただいた、松岡茉優さんのサイン入りポラを抽選で1名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

応募方法
ライブドアニュースのTwitterアカウント(@livedoornews)をフォロー&以下のツイートをRT
受付期間
2019年4月26日(金)16:00〜5月2日(木)16:00
当選者確定フロー
  • 当選者発表日/5月3日(金・祝)
  • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから5月3日(金・祝)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき5月6日(月)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
キャンペーン規約
  • 複数回応募されても当選確率は上がりません。
  • 賞品発送先は日本国内のみです。
  • 応募にかかる通信料・通話料などはお客様のご負担となります。
  • 応募内容、方法に虚偽の記載がある場合や、当方が不正と判断した場合、応募資格を取り消します。
  • 当選結果に関してのお問い合わせにはお答えすることができません。
  • 賞品の指定はできません。
  • 賞品の不具合・破損に関する責任は一切負いかねます。
  • 本キャンペーン当選賞品を、インターネットオークションなどで第三者に転売・譲渡することは禁止しております。
  • 個人情報の利用に関しましてはこちらをご覧ください。
ライブドアニュースのインタビュー特集では、役者・アーティスト・声優・YouTuberなど、さまざまなジャンルで活躍されている方々を取り上げています。
記事への感想・ご意見、お問い合わせなどは こちら までご連絡ください。