YouTuberに間違われて悔しかった――黒羽麻璃央、ドラマ撮影現場で抱いた危機感と向上心
ドラマ『プリティが多すぎる』(日本テレビ系)で演じるポップなキャラクターで注目を集める黒羽麻璃央。「かわいい」を追求する、これまでにない役柄を演じて多くの気づきがあったようだ。その裏側には、「俳優として生き残っていきたい」という強い危機感があるのだとか。地元にいる友だちや身内にも自分の活躍を見てもらえるテレビの力を借りて、活躍の場を広げていく。「25歳、まだ間に合う」とどん欲に語る黒羽麻璃央だからこそ、次にどんな表情を見せてくれるのか楽しみになる。
撮影/熊谷仁男 取材・文/金井まゆみ 制作/アンファンスタイリング/石井真奈美 ヘアメイク/泉脇 崇
衣装協力/パーカー¥4,599、キャスケット¥1,988(ともにスピンズ)、ラインパンツ¥7,800(galaxxxy)、スニーカー¥7,500(VANS/VANS JAPAN)※価格はすべて税抜
地元の友だちに、自分の活躍を見てもらいたい
- きょうは取材で朝から忙しかったと思いますけど、朝ご飯は食べられました?
- 朝ご飯は食べられなかったけど、テレビ局でお昼のお弁当はいただきました。おかげで、ばっちり元気です!
- Instagramでも、ときどきご飯の写真をアップしてますよね。
- はい、料理男子アピールを(笑)。スーパーに行って、栄養価は一切気にせず、ご飯がすすむ系しか買わないっていう“わがままメシ”を不定期開催しているんです。
- 体調を整えるために食事以外で気をつけていることや、リフレッシュ方法は?
- 日常的なリフレッシュ方法ではないんですけど、少し前に、まとまった休みをいただいて地元に帰ったんです。
思えば、中学校の友だちとはお互い東京に来ていたり実家が近かったりとけっこう会う機会も多いけど、高校の友だちにはほとんど会っていなくて。これはヘタしたらずっと会わないな、それはよくない、と思って自分からアクションを起こしたんですよ。「○日から△日までいるから、飲みに行こうよ」って声をかけたら、けっこうな人数が集まってくれました。すごくうれしかったし、リフレッシュもできました。
- 中学校の友だちって小学校やその前から一緒で幼なじみみたいな感覚があるけど、高校の友だちってまた違った存在ですしね。
- そうなんです、これまでは中学の友だちと遊ぶことが多くて。今も、僕が「親友」と呼んでいるやつがひとり東京にいて、暇さえあればずっと一緒にいるんですよ。彼はカメラマンをやっていて「一緒に仕事したいね」って話し合っているので、機会があったらぜひお願いします!(笑)
僕の地元の友だちって、そういうちょっと変わったやつが多くて。たとえば、高校卒業と同時に「歌手になる」って言って、リュックサックひとつと現金3万円だけを持って、沖縄に修行しに行ったやつもいるんですよ。そいつはこの前、日本武道館のステージに立ったんです。彼のソロライブではなく、フィーチャリングというポジションでしたけど。 - それはスゴい! どなたなんですか?
- それはまだ内緒にしておきます(笑)。お互いビッグになったときにお話しますね。そうやって、中学、高校と一緒に遊んでいた仲間が大人になって、「あいつ今、何してる?」とか仕事の情報を聞けることもうれしいですね。美容師で「来年から東京行くわ」と言っているやつもいて、みんな夢をもっている。一生懸命やっている話を聞くと、「負けてられないな」って思いますね。
- お友だちにとっては逆に、黒羽さんの活躍がいい刺激になっているでしょうね。
- そうだといいなと思います。そのためにも、俳優として活動している姿を見てもらいやすいのは、やっぱりテレビ。とくに、ドラマが役者としての僕の活動を一番伝えられるので、これからも出演できたらうれしいです。
同い年の「黄金世代」のなかでも、阪本奨悟には「負けたくない」
- 昨年『男水!』(日本テレビ系)に出演されたときのインタビューでも、「映像をやりたかった」という話をされてましたね。
- テレビ、めっちゃ好きなんですよ!
- ちなみに、最近一番はまった映像作品は?
- 映画『万引き家族』です。すごく感情移入するわけでもなく、ずっと“無”で、家族の物語を観ていられたことがスゴいと思いました。それだけナチュラルな空間だったし、出演していた方たちも本当にお芝居が上手で、子役の演技もすばらしくて、「自分もがんばらないとな」って思いました。
- 映画はひとりで観に行くのと友だちと一緒に行くのと、どちらが好きですか?
- 『万引き家族』を観たときに、「ひとりで映画を観に行くのもいいな」って改めて思いました。一緒に観に行った相手を気にせず、作品に集中できますから。ただ、終わった後に感想を話し合ったりできないのは、少し残念ですけど。
- 感想を語り合いたいくらい、感情を大きく揺さぶられたんですね。
- 何を観ても、そうなんですけどね。テレビの中だろうが、スクリーンの中だろうが、そこにいる人たちをすごくうらやましいと思ってしまう。とくに、同年代が出ていたりするとそういう気持ちは強いです。
- 最近とくにそう思わされた、同年代の俳優はいますか?
- 映像ではなく舞台ですけど、ミュージカル『刀剣乱舞』で一緒の阪本奨悟。同い年なんですけど、彼の曲、買いましたよ。僕がミュージカル『テニスの王子様』に出たとき、勉強用に見せていただいたDVDが奨悟くんたちの代だったんです。だから、ずっと見てきた人だったし、今こうして一緒にやっているのが不思議な感じもします。
- すてきなご縁ですね。
- 彼は彼で、たくさんの経験を積んできて、このあいだ一緒に飲んだときにそういうことも含めていろんなことを話しました。「福山雅治さんにプロデュースされてるやんけ! スゲえな!」とか(笑)。僕にとって「負けたくないな」と思わせてくれる存在なんだな、と彼の曲を聴きながら考えていました。
- 同い年の共演者って特別な存在なんだろうな、と思います。
- 僕と同い年の俳優さんは、吉沢 亮くんとか福士蒼汰くんとかスゴい人ばっかりで、「黄金世代」って言われているんです。でも、僕はまだそこで名前を挙げられるまでにはなっていない。それが悔しくて、「彼らと何が違うんだろう」って自分に足りないものを探してしまいます。事務所の大小ではなく、俳優として決定打は何なんだろう。いつも反省しながら探しているし、そういうトップを行っている人たちに早く追いつきたいし、追い越したい、という気持ちがありますね。
- そのためにも、ひとつひとつの作品を大切にしたいですね。黒羽さんの仕事に向き合ううえでのポリシーって何でしょう?
- 自己プロデュースが大切だから、いろいろと考えてはいます。「これはちょっと、やりたくない」というものがあったら、わがままだとは思いますけど、あえて言うようにして。「こういうふうにしていきたいんです」っていうビジョンをはっきり持てないと、俳優としての生き残りをかけた椅子取りゲームから脱落していくだけだと思いますし。
- 強い危機感があるんですね。
- 危機感を持ってないと残っていけないですから。必死ですよ。自分自身も共演する人間も、いくら仲がよくても、一緒に仕事するうえで「やりづらいな」って思ったら嫌ですし。
僕は、友だちをつくるために俳優をやっているわけではない。俳優として生きていくためにやっている。僕はテレビに出ているのが好きだし、自分が「好きだ」と思えることを、長く続けられたらうれしい。そのために、これからもテレビ、映画、舞台、いろいろやっていきたいと思っています。
「かわいい」と言われて、うれしいと思うようになった
- 『プリティが多すぎる』は文芸編集部のエース・新見佳孝(通称:南吉)が原宿系ファッション雑誌に異動して、畑違いの世界で奮闘する物語です。黒羽さんは、千葉雄大さん演じる主人公・南吉に何かとアドバイスをする原宿のカリスマ店員・レイを演じます。どういうことを意識して演じましたか?
- 『プリティが多すぎる』は「かわいい」がテーマになっていますし、その中で、レイは主人公の南吉くんにアドバイスする、背中を押してあげる存在です。オネエというわけではなく、男の子でも女の子でもないジェンダーレス的な要素をおしゃれとして追求していて、「かわいい」の第一人者。だから、まず僕がかわいくなければ説得力がない。
- かわいくなるためにどんなことを?
- いろいろやりました。まず、初めて爪を塗りました。髪の色も、ここまで明るくするのは初めて。高校生のときにお仕事で髪の毛を染めたことがあるんですけど、そのときよりもっと明るいです。自分なりに思い描いているレイくん像に近づけるように、3〜4回色を抜いて、納得のいく色になるまでやりました。
- そうやってできあがったレイの格好の自分を見て、どう思いました?
- かわいいですよね。自分で言うのもあれですけど(笑)。自分にそういう格好が似合うのか少し心配していたんですけど、「案外いけるんだな」と思いました。
- ぱっと見て、「かわいい」と思いましたよ。
- 本当ですか、うれしいです! 正直言うと、25年間生きてきて、あまり「かわいい」っていう感情は持ったことはなかったんです。でも『プリティが多すぎる』の撮影を通して、そこがすごく豊かになったと思いました。原宿で個性的な格好の男の子を見て「かわいいな」って思うようになったし、かわいいファッションを反射的に察知する能力が高まったんじゃないかと思います。
- では、自分がこうして「かわいい」って言われることも、いい刺激ですね。
- そうなんですよ。10代とか20代前半の頃に「かわいい」って言われたときより、今言われたほうがうれしくて。男ですし、やっぱり「カッコいい」とか「渋いね」「深みがあるね」と言われることに憧れます。でも、こうやって役によってかわいい面も見せられたらうれしい、と思うようになりました。同じ宮城県出身の先輩である千葉くんの次を狙って、「かわいい男子」の位置を目指そうかな。これは、千葉くん本人には言いませんけど(笑)。
- レイのファッションで、自分も取り入れてみようかなと思うものはありましたか?
- レイ役に決まって衣裳合わせをした後に、役づくりをしたいと思ってデニムを買ったんです。今までデニムって穿いたことがなくて、黒いズボンとかが多かったので。でも「けっこうこういうのも似合うかもしれないな」と新しい発見があったこともあって、原宿系といいますか、ちょっとダボッとした淡い色のデニムとか、シルエット的に丸みのあるオーバーサイズドパンツも買いました。レイくんのおかげで「これもかわいい」って、淡色のデニムがめちゃめちゃ増えましたね。
- かわいい男性として、参考にした人物はいるんでしょうか。
- 僕の友だちに、とまんっていうジェンダーレスの代表みたいな男の子がいるんです。仙台で同じ高校に行っていた「いつメン」って言うんですかね、放課後いつも一緒に遊んでいたメンバーのひとりで。彼は仙台でショップの店員をしたり、モデル活動も少ししていて、今は原宿でカリスマ的な存在になっています。なので、彼のSNSも見ているし、参考にさせてもらいました。
- 実際にお会いして話を聞いたりは?
- たまたま別の友人から「今、何してるの?」と電話が来たときに「原宿で撮影してる」と答えたら、「俺も、とまんと原宿にいるよ」「えっ、マジ!? 替わって」と話したことがありました。「今撮ってるドラマ、お前をモデルにしてるよ」って話したので、彼もすごくドラマを楽しみにしてくれているんです。まさか、同級生をモデルにする日が来るとは思いませんでしたね(笑)。
「黒羽麻璃央だ」と気づいてもらえるよう、がんばりたい
- 黒羽さんはこれまでいろいろな舞台に出演してきましたが、そこではどんなことを学んできましたか?
- 舞台は、多くの人に生で見られる仕事なんですよね。もちろん台本に書かれていることをやっているわけですけど、その場その場のリアクションが重要です。チケット代というお金をいただいてやっている以上、一切手は抜けないですし、ある意味、人間としての度胸や心の強さが培われたのかなと思います。
- では、今回、映像の現場で技術的にハードルが高かった部分を挙げるなら?
- レイは何をしていても、仕草ひとつにしても、“ラブリー”のオーラをまとわなくてはいけない。そうやって「かわいい」を表現するのが、けっこう難しかったですね。それは、今までの自分にはなかった要素だと思うので。
- かわいいルックスに助けられる面は大きそうですね。
- それはありますね。撮影はもう全部終わっているんですが、原宿で撮影していると、よくりゅうちぇるさんに間違われました(笑)。
- レイの衣裳の黒羽さんと千葉さんが一緒にいたら、すごく目立ちますもんね。
- 千葉くんは気づかれると「千葉雄大だ!」って声が上がるんですけど、僕は一緒にいても「隣にいるの、りゅうちぇるじゃね?」って言われるんですよ(笑)。「YouTuberかな」とも言われたんですけど、僕はYouTuberでもなければりゅうちぇるさんでもないので……「俺も役者やってるよ!」って感じで、ちょっと悲しかったかな(苦笑)。「黒羽麻璃央だ」って気づいてもらえるようになるために、がんばろうって思いました。
- ドラマではレイくんが語尾に「ンゴ」という言葉を使っていて、黒羽さんもTwitterで「楽しみンゴ」を使ったりしています。台本を見て、びっくりした言葉はありましたか?
- 高校時代、一時期「がんばりンゴ」って流行ってたんですよ。だから台本を読んで、懐かしいと思いました。これって、流行りが一周したんですかね。「もしかして俺、先駆け?」なんて(笑)。
- 実際に撮影現場でやりとりすると、また感覚が違いそうですね。
- 撮影のとき、出演者にリアル女子高生がいたので、少しでも参考にしようと思って「最近は『卍』とかが流行ってるんでしょ?」って聞いたんです。そうしたら、「先輩、古いっすよ」って言われちゃって。「うそっ!?」って思いました(笑)。もう使わないんですね。「勉強になります!」って思ったけど、そのときにちょっと自分も年をとったと感じましたね(苦笑)。
- ちなみに、黒羽さんのお気に入りのセリフは?
- 「迷いンゴ」! ンゴ系、いいですね。後は「かわいい」について、「心が動く瞬間が来るの」って言っているところ。すてきなセリフだと思います。
テレビという空間が好きだから、活躍の幅を広げたい
- 昨年の『男水!』に続いての連続ドラマ出演ですが、映像は観てくれる人も増えるし、劇場に来られない方にも観てもらえますね。
- 僕自身、そもそもテレビの仕事がすごく好きで。もちろん舞台も好きですが、舞台はどうしても、公演を観に来てくれないと会えないし、僕が存在している証明もできませんよね。でもこうやってテレビの力を借りて「ちゃんと仕事してるよ。東京でひとり暮らしして生活してるよ」って、世の中にメッセージを伝えられることがうれしくて。
この前地元でイベントをやったんですが、そのときに高校の先生や同級生がみんな、僕の出た番組を「観たよ」と言ってくれたんです。「テレビの力って偉大だな」と、改めて思いました。
- そういう反応の大きさは、テレビならではですね。
- 今もこうしてテレビ局にいますけど、この空間にいるのがすごく好きなんです。なのでもっともっと活躍の幅を広げられたらと思いますし、ありがたいことに、そういうお声がけもいただいています。だから、期待に応えられるようにがんばっていきたいですね。
- 「テレビが好き」という黒羽さんが、今こうして出演している。夢が叶いましたね。
- “夢”や“やりたいこと”は、次々出てきますからね。その日によって違ったりもする(笑)。でも言えるのは、「僕の名前がもっと広まっていったらうれしいな」ということ。それに、「いい仕事するよね」と言われたいです。
- 舞台と映像、両方で活躍できたらすてきですよね。
- 舞台出身の人がいろいろなところにいたら、後輩たちにも道をつくってあげられることになるでしょうし。そういう意味でもがんばりたいです。僕はもう25歳なので危機感もありますけど、その危機感も大事にしながら「大丈夫! まだまだ間に合う!」という気持ちでやっていきたいと思います。
- 黒羽麻璃央(くろば・まりお)
- 1993年7月6日生まれ。宮城県出身。AB型。第23回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストで準グランプリおよびAGF賞を受賞し、芸能界入り。2012年、ミュージカル『テニスの王子様』2ndシーズン(菊丸英二役)で初舞台を踏む。以降、ミュージカル『刀剣乱舞』シリーズ(三日月宗近役)、舞台『黒子のバスケ』シリーズ(黄瀬涼太役)など2.5次元舞台の人気作に出演。2017年には、ドラマ&舞台『男水!』(日本テレビ系)、ドラマ『監獄のお姫さま』(TBS系)や劇場公開映画『アヤメくんののんびり肉食日誌』に出演するなど、映像の仕事にも活躍の場を広げている。2019年2月から4月に、ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』(マーキューシオ役)に出演する。
出演作品
- 『プリティが多すぎる』
- 毎週木曜24時59分〜放送(日本テレビ系)
- https://www.ntv.co.jp/pretty/
サイン入りポラプレゼント
今回インタビューをさせていただいた、黒羽麻璃央さんのサイン入りポラを抽選で3名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。
- 応募方法
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— ライブドアニュース (@livedoornews) 2018年11月24日
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・応募〆切は11/30(金)12:00
インタビューはこちら▼https://t.co/RXV6w8yRZu pic.twitter.com/HqQ8bwgxg0- 受付期間
- 2018年11月24日(土)12:00〜11月30日(金)12:00
- 当選者確定フロー
- 当選者発表日/12月3日(月)
- 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
- 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから12月3日(月)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき12月6日(木)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
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