僕たちはこれにハマった! カメントツら人気マンガ家が推す「まずやるべきボードゲーム」


「ボードゲームが流行ってるって、人狼とか人生ゲームみたいなやつ? 面白いの?」「種類が多過ぎて、どれから試せばいいか分からない」というボードゲーム迷子の方、安心してください。ライブドアニュース編集部があなたの代わりに、「ボードゲーム大好き!」「集まってボードゲームをする仲」という人気マンガ家さん3人にオススメのタイトルを伺ってきました。好みの異なる3人に、それぞれのお気に入りと、その理由を教えてもらったので、あなたに合うゲームがきっと見つかるはず!

▲オーガナイザー:カメントツさん
友達と盛り上がるゲームを見つけるのが得意。インディーズや新作にも興味津々。
作品→「こぐまのケーキ屋さん」など。
▲インフルエンサー:とよ田みのるさん
ボードゲームをしない人を勧誘するのが趣味。最近は4歳の娘さんともゲームを楽しんでいる。
作品→「ラブロマ」など。
▲ボードゲーム博士:中道裕大さん
ほぼ月2回ペースでゲーム会を開催し、マニアックな作品にも詳しい、ボドゲ玄人。
作品→「放課後さいころ倶楽部」(ボードゲームマンガ)など。
▲ボードゲームカフェのハンモックでくつろぐ3人。「リラックスしちゃうから、この体勢でゲームしたら負けるかも〜」(カメントツ)

ボードゲームは“感染力の強いウイルス”

まずはみなさんの、ボードゲームとの出合いや、ハマったきっかけについてお聞かせください。
nakamichi
中道 自分の場合は、はじめてボードゲームの存在を知ったのは伊集院光さんのラジオ番組だったかと。なんか楽屋で後輩の芸人さんたちと「ごきぶりポーカー」で遊んで面白かった…みたいな話をしてて。
…それがきっかけかなーと思ってたんですが、実は本当はもっとずっと前に出会っていたのが、今日ここに来て判明しました。よくよく記憶をたどると、とよ田先生のお家で遊んだときが初めてだった!


toyoda

とよ田 昔、埼玉の所沢に住んでたんですが、その頃はよく、マンガ家仲間で飲んで終電逃した人たちが家に来てたんですよね。そういうとき、朝までみんなでボードゲームしてたんです。
nakamichi

中道 「なんか不思議な遊びをしたなぁ」という記憶しかなかったんですが、今思えばあれが最初の出合いだったなと(笑)。

▲取材中に突然、ブロックスの第一印象がよみがえった中道さん
その時はどのゲームを遊んだんですか?
toyoda

とよ田 「ブロックス」と「チケット・トゥ・ライド アメリカ」ですね。
▲四隅から自分の色で陣地を広げていく「ブロックス」
nakamichi

中道 「ブロックス」は直感的にできるから簡単で面白かったなあ。「チケット・トゥ・ライド」は難しかった覚えが。今だったら、ゲームに慣れてるので理解して盛り上がれるんですけどね(笑)。


kamentotsu

カメントツ 「チケット・トゥ・ライド」ってどんなゲームですか?
toyoda

とよ田 アメリカ中に鉄道を走らせて、電車を並べて目的地を目指すゲームだね。列車を並べていくと盤面が立体的になるから、見てて楽しいんだよ。


 
 

中道さんのボードゲームのキャリアは、とよ田さんが始まりだったんですね。とよ田さんご自身はどこでボードゲームと出合ったんでしょう?
toyoda

とよ田 僕も友達の家かな。ボードゲームって、どんどん感染していくんだよ(笑)。マンガ家のナカGくん(「ナカGの推しメン最強伝説」作者)の誕生日に「ブロックス」とか「ラミィキューブ」をやったんですよ。子どもの頃にも遊んだ記憶あるけど、みんなで大人になってやっても、こんなに楽しいんだ!って感動して、帰って速攻で買ったなぁ。たぶんもう、10年以上前。

kamentotsu

カメントツ 僕も、とよ田さんに“感染”させられたひとりです。「スターウォーズ」でいうと、とよ田さんはジェダイマスターなわけですね。もともと、昔の絵本とかカセットテープとか「アナログなもの」を集めるのが好きなので、すぐハマっちゃった。それに僕は小学生の頃、「遊戯王」とか「マジック・ザ・ギャザリング」などのカードゲームが流行ってた世代なので。当時はアメリカに住んでたんですが、スーパーでカードゲームを売ってるおじさんがいたりして、身近にゲームがあったので入り込みやすかったです。
▲さらっと帰国子女エピソードを語るカメントツさん

kamentotsu

カメントツ とよ田さんの家では「バルバロッサ」やりましたよね。粘土で形を造るやつ。みんなマンガ家だから、真剣に造形しちゃうんですよね(「バルバロッサ」は、”当たらずとも遠からず”な形をつくるのを狙うゲーム)。クリエイターの業の深さみたいなのも出るゲームで面白いなって。


toyoda

とよ田 あのときカメントツくん、丸い粘土をふたつ組み合わせただけのやつで「BB8」(映画「スターウォーズ」に登場する知性を持つロボット)って言い張ってたよね。僕はジェダイマスターだから回答できたけど、普通分からないよ(笑)。
kamentotsu

カメントツ ボードゲームって面白いのが、ゲームの種類ごとに向き不向きがあるところだなって。僕、カードゲームはクラスで一番強かったんですが、ボードゲームではそう簡単にはいかないぞって。全部強くなるのは無理だから、自分は何系が得意か、どれなら勝てるか…とか考えます。

 

しっかりハマってますね(笑)。ボードゲームを遊ぶのに、お気に入りの場所などはありますか。

 

kamentotsu
カメントツ やっぱりとよ田さんの家ですよね!
nakamichi

中道 友達の家が一番(笑)
toyoda

とよ田 まあ、300個くらいはあるからね。
kamentotsu

カメントツ 300個ってカフェ並みですよね。この世で一番落ち着くボードゲームカフェですわ。


▲ボードゲームカフェのラインナップを見ながら、ゲームを選んだり、プレイしたことのあるタイトルの感想を話し合ったり。

世界大会を目指すほどハマった…3人が好きなゲーム

ここで本題! 皆さんのお気に入りのボードゲーム、ベスト3が知りたいです! マニアックなやつより、ボドゲカフェによく置いてあるものや、入手困難じゃないものだと嬉しいです(笑)。
▲ランクインした9つのゲームを発表!

ペットのうんちを押し付け合う、モンスター飼い主の集会
nakamichi

中道 では僕から。まず3位は「うんちしたのだぁれ?」ですね。最近遊んで盛り上がったんですけど、場の真ん中に置いたうんちのコマを、「自分のハムスターじゃないです」とかって言って他の人に押し付け合うんです。
▲中道さんが持っている左手前のグリーンの箱。コンパクトだが謎の存在感がある。
kamentotsu

カメントツ 小学生は腹抱えて笑いそうです。
toyoda

とよ田 これを「放課後さいころ倶楽部」の女の子たちが遊ぶ日が来るのかな(笑)。
nakamichi

中道 どうかな?(笑)。

 

 


 
モロッコ商人になって、絨毯を踏んだヤツから市場の地代を徴収していく
nakamichi

中道 2位は「マラケシュ」ですね。僕のマンガ「放課後さいころ倶楽部」で最初に登場したゲームなんで、思い入れが深くて。見た目も華やかで、キレイな布製の絨毯を並べて遊ぶんですよ。

ジグソーパズルのようなタイルをつなげて、誰よりもデカイ街や道を作る
nakamichi

中道 そして堂々の1位は…「カルカソンヌ」です! ドイツのエッセンで毎年やってる「シュピール」っていうボードゲームのお祭りがあるんですけど、その祭典中に世界大会があるんです。一時期、そこに出場するのを目標にしてプレイしていました。

▲カードを引いて街や道路を作っていく「カルカソンヌ」。
nakamichi
複数人でやっても面白いゲームなんですけど、僕は2人対戦でやるのが好きなんです。マンガの中でも2人で遊んでもらいました。一番繰り返し遊んでいるゲームだと思います。

世界大会を目指していたとは…本気でお気に入りですね。では、とよ田さんはいかがでしょう。



 

丸・四角・黒・白・高さ・穴、どの条件が揃っても負け! 激ムズのオセロ
toyoda

とよ田 僕はの3位は「クアルト」ですね。中道くんと一緒に「すごろくや」(高円寺にあるボードゲーム専門店)に遊びに行ったとき、店長さんに「ブロックスが大好きなんですけど、あれくらい簡単に始められて、奥が深いゲームないですかね」って聞いたら勧めてくれて。
▲円形の盤の中に4種の木の駒を並べていく「クアルト」
nakamichi

中道 変則的な「四目並べ」ですよね。勝利条件がいくつかあって、しかも相手が置くコマを自分が選ぶっていう。負けるときは絶対に自分のミスなんですよね。

kamentotsu

カメントツ これ、友達が娘さんとやってボコボコにしちゃったもんだから、「もうパパとゲームやらない!」って言われちゃったそうです(笑)。
toyoda

とよ田 そういう危険性があるゲームだよね(笑)。

 

 

ブロックで陣取り合戦! 自分の色を相手陣営にニュルッと食い込ませるのが快感
toyoda

とよ田 2位はなんと言っても「ブロックス」。自分の色のピースを置くゲームで、直感的に入りやすいんだけど、考え出すといくらでも考えられるんです。僕もこれがきっかけでボードゲームにハマったといっても過言ではないゲーム。だからウチに遊びに来た人には、まずこれをやってもらいます。

その手でボードゲーム沼に勧誘するってことですね(笑)。中道さんは実際、ブロックスが入り口でボードゲームがテーマのマンガを描いちゃってるので、すごい引力のあるゲームなのは間違いない。
nakamichi

中道 (笑)。
toyoda

とよ田 それくらい好きだから、本当は「ブロックス」がベスト1なんです。

 
 

 


 
イラスト×ネーミングの神経衰弱! 白熱してくると呪文合戦になる
toyoda

とよ田 でも、今の1位は「ナンジャモンジャ」です。最近娘が4歳になってゲームができるようになって。彼女がこれをめちゃめちゃ好きなんですよね。


▲絵本のようなイラストが書かれた「ナンジャモンジャ」。
toyoda

とよ田 めくったカードに描かれているキャラクターに名前つけて、次に同じキャラが出てきたとき、その名前を呼ぶっていうだけのゲームなんですけど。娘のつける名前がかわいくてもう…。それにね、子どもの方が記憶力がいいから強いんですよ(笑)。
kamentotsu

カメントツ 大人だけで「ナンジャモンジャ」をやると、複雑な名付けをしすぎて誰も名前を覚えてないっていう事態が発生しますよね。2周目以降は地獄になる…。
nakamichi

中道 名付け親ですら忘れることありますね〜。 
全部お子さんと一緒にも遊びやすいゲームで、とよ田さんの優しさが出ているチョイスですね。では、カメントツさんはいかがでしょう。

 

 
 


 
 
テーブルの上のビーチフラッグス! 絵の早押し大会
kamentotsu

カメントツ 3位!「ジャングルスピード」です。プレイヤーが自分のカードをめくっていって、他の人と模様がかぶったら真ん中に置いたポールを取る。
nakamichi

中道 いわゆる早押しっていうか、ルールはシンプルだよね。


▲瞬発力が問われる「ジャングルスピード」。これは「通常モード」。
kamentotsu

カメントツ 僕は友達と集まって、これを「ハードモード」でやります。マンション上階の部屋でカードをめくって、ポールは1階のエントランスに置くんです。で、絵柄が揃った瞬間にバーッとダッシュして取りに行く。階段の上り下りを取り入れるから、「ハードモード」という。
toyoda

とよ田 むちゃくちゃ疲れるじゃんそれ。
kamentotsu

カメントツ 隣の部屋とかでも面白いですよ。スライディングしてビーチフラッグスっぽくしたり。

 

 


 
気分はスーパーヒーロー! 世界を股にかけ、盤上の駆除活動を繰り広げる
kamentotsu

カメントツ 2位は「パンデミック」です。病原菌から世界を救うゲームです。プレイヤーそれぞれに役割があって、それに沿った動きをするのが好きで。「作戦エキスパート」って役ならそれらしく振る舞う、みたいな。その流れを眺めてると、ハリウッド映画を観てるみたいで楽しくて。
nakamichi

中道 「だいぶ犠牲は出たけど、ギリギリで世界を救えた…」みたいな展開になると超気持ちいいよね。
kamentotsu

カメントツ そうなんですよ! ドラマが生まれる。「全員勝ち」か「全員負け」で一人勝ちがないのも面白い。


▲「パンデミック」。世界地図を睨みながら作戦を立てる。
誰が犯人!? 運と推理とポーカーフェイスの「ニュータイプばば抜き」
kamentotsu

カメントツ そして1位は「犯人は踊る」。このゲームの製作者、鍋野さんが僕のマンガ「こぐまのケーキ屋さん」がお好きだそうで。お手紙と一緒に送ってきてくれたのが出合いです。

▲アクションが書かれたカードを場に出していく
kamentotsu

カメントツ 最初に何か事件が起きるんですけど、どんな事件が起こったかは「第一発見者」役になった人が自由に決めていいっていうのが面白い。「とよ田先生の原稿にインクこぼしたのは誰だー!」みたいな。勝ち負けもあるけど、オリジナルなストーリーを考えて、みんなでワイワイ楽しめるのがいいですよね。


ファンの方から教えてもらえる、というケースもあるんですね。ちなみに惜しくもランキング外で、気になっているゲームや、万人向けではないけど僕は好きだ! というゲームはありますか?



 

 

剣と魔法でモンスターを倒し、経験値を上げていくファンタジーRPG
nakamichi

中道 「アンドールの伝説」もオススメです。勇者になって、みんなで協力して最終的にドラゴンを倒すのを目指すゲーム。「パンデミック」と似てるね。


▲「アンドール」のパッケージの中には、たくさんのパーツが。

kamentotsu

カメントツ これ、パッケージがめっちゃデカいですね。僕「Fallout」(アメリカのRPGゲーム)のボードゲーム持ってるんですが、こういうゲームが下敷きにあるのかも?
▲「アンドール」の役割カードを読むカメントツさん
nakamichi

中道 そんなのあるんだ。アンドールの作者はヨーロッパの人で、緻密に計算されたゲームなので、かなり頑張らなきゃクリアできないです。


 

 


全員、酔っ払いみたいになる脱力系ナンセンスゲーム
kamentotsu

カメントツ 僕はこれ。「テストプレイなんてしてないよ」ですね。いわゆる、“おバカゲー”ですね。本来カードの世界観を表すためのテキストを記載する部分がそのままルールになっていたりして、通常のボードゲームのセオリーを無視したつくりのゲームです。
▲「テストプレイなんてしてないよ」はジャケットも素っ気なくてユルい。
kamentotsu

カメントツ “自分の前にこのカードを置く。以降いずれかのプレイヤーが手番前に「ああ!ゾンビだ!」と言わなかった場合、そのプレイヤーはゾンビに脳を食われて敗北する。ただし、バナナを持っていた場合は助かる”みたいな。こういうカードを出し合って、勝利を目指す。
toyoda

とよ田 バナナって(笑)。バランスとか無視したゲームって昔のゲームにもあるよね。前に友達と一緒にやった「お化け屋敷ゲーム」がそんな感じだった気がする。なんかクリア寸前に、スタート地点まで戻されるみたいな…。でもみんなゲラゲラ笑いながら遊ぶんだよね。


 

 
 

 

仲が良いと負ける!? 相手が組み立てた単語を当てる「コトバモドス」のデザイン秘話

とよ田さんはボードゲームを多数プレイされているだけでなく、ボードゲームのパッケージデザインのご経験もありますよね。
toyoda

とよ田 はい。「大怪獣コトバモドス」っていうワードパズルゲームで、デザイナーさんが僕のマンガの読者さんだったんです。もともと、ご自分でデザインされてたゲームをリメイクしたいってときにお声かけいただいて。
▲編集部員が以前「大怪獣コトバモドス」をプレイした時の様子。ついたてのイラストが可愛い。
toyoda

とよ田 最初は、ココとココ…っていうくらいのちょっとした作業だったはずなんですが、気付いたらルールブックから何から全部やることになってて…(笑)。書き文字までやってます。アプリにもなってるんですが、そっちでも同じものが使われてます。


▲「大怪獣コトバモドス」のアプリ。このフォントも、とよ田さんが作成。
toyoda

とよ田 ゲームのなかの怪獣のデザインも含めると、何か月も作業した気がする(笑)。


作者の方も、ついついこだわりたくなっちゃったんでしょうね…。
nakamichi

中道 僕もパッケージデザインのお話をいただくこともあるんですが、個人的には、いわゆる“萌え系”のパッケージより、オッサンの顔の描いてあるゲームの方が好みで(笑)。もともとヨーロッパ発祥の娯楽だから、濃いものが良いと思っちゃうんですよね。僕の絵だと、かわいい感じになっちゃって、なんか違うんじゃないかなって思うので…今のところ、お引き受けしてないです。カメントツくんならいけるんじゃない?

kamentotsu

カメントツ 僕はやってみたいですね〜“こぐまカードゲーム”。誰か作ってくれないかなぁ。カナイセイジさん(「Love Letter」等のボードゲームデザイナー、「カナイ製作所」代表。)とか。この記事を読んでくれてるゲーム制作者の方、お願いします!(笑)。


 
 

 


ボードゲームの「よく分からないけど、面白そうな感じ」を、マンガなら表現できる

マンガで描かれるゲームについても伺いたいと思います。中道さんは「放課後さいころ倶楽部」の中で、特に思い入れの深いボードゲームはありますか?
nakamichi

中道 「ごいた」ですね。「ごいた」は石川県発祥のゲームで、取材の中で知ったんですけど、日本の伝統的な娯楽の中に、こんな面白いゲームがあったんだ…って。ショッキングでした。

kamentotsu

カメントツ この前、ラジオで「能登ごいた保存会」の人が「実は!ごいたがマンガになったことだあるんです!」って喋ってて、てっきり「ごいたのヨシフ」(「ごいた」をテーマにした中瀬麻衣さんのマンガ。)のことかと思ったら、「放課後さいころ倶楽部」の話でしたよ〜。

▲「ごいた」と相思相愛
nakamichi

中道 えっ、本当? それはうれしいなあ。「ごいた」って、2対2のペアでやるゲームなんですけど、やってる間は何も喋っちゃいけないんですよ。自分が打つコマだけで、仲間にメッセージを伝える。無言のなか、打ち手で「分かるよな」って念じるんです。リアルでヘタな手を打ったら、たぶんバチバチに怒られます(笑)。


怖い。ヒヤヒヤしながら次の手を考えるわけですね(笑)。
nakamichi

中道 マンガの金沢編で「ごいた」を取り上げた時は、気持ちの通じ合った瞬間を描きたかったから、形にできてよかったです。
▲「ごいた」は将棋に似たコマを場に出し合い、減らしていくゲーム。「放課後さいころ倶楽部」3巻より。

ボードゲームを描くに当たって、意識していることはありますか?
nakamichi

中道 ルールの部分を飛ばして読んでも面白いマンガにしようって思ってます。そもそも1話の中でゲームの全てを説明し切るのは難しいし、説明を入れすぎちゃうとストーリーにも支障をきたすので。キャラクターの表情や動きで、そのゲームの「盛り上がりポイント」や勝ち負けが見えるように工夫してます。

kamentotsu

カメントツ お料理マンガの場合は、再現できるようにレシピがきっちり描かれてることも多いですけど、ボードゲームはそうはいかないですよね。
toyoda

とよ田 でも「ヒカルの碁」(ほったゆみ・小畑健/集英社)とか「アイシールド21」(稲垣理一郎・村田雄介/集英社)とか、実際にその競技をできる人が多くはないテーマのマンガが流行ったこともあるし、「ルールは理解できないけど面白いマンガ」を作ることはできるんですよね。
nakamichi

中道 確かに「ヒカルの碁」は最後の23巻まで全部読んでも、囲碁が打てるようにはならなかった(笑)。目指してるのはそういうところですね。

 

 


そうしたことって、連載を始められる前から意識されてたんですか?
nakamichi

中道 テーマを決めたきっかけは、ボードゲームを遊ぶ層とマンガを読む層は似てるんじゃないかなっていう、直観だったんです。でも、当時編集部では誰もボードゲームを知ってる人がいなかったんで苦労しました…。

kamentotsu

カメントツ 中道さん自身も、とよ田さんの家で最初に出会ったときの感想は「なんかわからないけど面白いものだった」っておっしゃってましたしね(笑)。


 

 

大人だって心置きなく「娯楽」を楽しんでいい。勇気をもらえるマンガ

とよ田さんは「FLIP-FLAP」というピンボールをテーマにしたマンガを描かれていますよね。あの作品にも、ボードゲームを楽しむ人の気持ちに近いものが描かれていたと思います。
▲「FLIP-FLAP」より。
toyoda

とよ田 何か自分が好きな娯楽をテーマにしたマンガを描きたくて、ゲームか、マンガか、映画かって最初は考えてたんです。でもマンガは自分に近すぎるし、映画はどう描いていいかわからなくて。
だけどゲーム、その中でも前から好きだったピンボールは、動きもある娯楽だし、いけるなって思って。それで描き始めました。
nakamichi

中道 僕は今の「放課後さいころ倶楽部」の連載を始める前に「FLIP-FLAP」を読んでたんですけど、勇気をもらえましたよ。“ピンボールでもいけるんだから、ボードゲームでもいけるだろう”って。

toyoda

とよ田 ちなみに「FLIP-FLAP」は長期連載の予定で、ピンボールを軸にして他の娯楽もやるつもりだったんだよ。それこそ、ボードゲームも。もう中道さんがいるから描かないけど(笑)。

ご自分でボードゲームを勧めた相手が先に描かれているという(笑)
toyoda

とよ田 そうですね(笑)。とにかく、娯楽を「消費して」全肯定する人を描きたかったんですよね。創る側じゃなくて。
娯楽を楽しむときって、どこか後ろめたい気持ちを持っちゃうことってあるじゃないですか。こんなことやってる場合なのか…仕事した方がいいんじゃないか…みたいな。


toyoda
とよ田 でも僕たちはそういう娯楽からポジティブなものを絶対にもらってるはずで。例えば誘拐や殺人事件が起きたとき、容疑者の家にゲームがあっただけで、「ゲームのせいで犯罪が…」とか言われて、ネガティブなものの象徴みたいになってしまうことがあるのは嫌だなと。
だからマンガで、ゲームとか娯楽で時間やお金を消費することを、全肯定したいなって思ったんです。

kamentotsu

カメントツ ボードゲームは娯楽の中でも特に「場を楽しむ」ものだから、マンガ家とかのフリーランサーや、普段デスクワークの人にも向いているかも知れないですね。相手がいないとできないし、その場をいかに盛り上げるかを考えるから、コミュニケーションが大事になる。どんなにハマっても、家でひとりのとき原稿をサボってにこっそりレベル上げ、とかはできない(笑)。

「ボードゲームやろうよ!」って友達を誘いやすいのも良いです。マンガ家同士ってお互いのスケジュールが見えづらくて遠慮しちゃうから、意外に飲みに行く機会が少ないんだけど、“ボードゲーム会”は集まる口実になりますよね。
nakamichi

中道 確かにね〜(笑)。



ボードゲームに「感染」した3人の「娯楽」への情熱は、今後もどんどん周囲に拡散されていく模様…! 次回は、ボードゲームカフェを営むゲーム制作者、リトルフューチャー・江見裕介さんのインタビューをお届けします。

<第2回は11月22日(木)公開!>


撮影/笹井タカマサ 取材・文/ミヤザキユウ イラスト/カメントツ デザイン/桜庭侑紀 
ロケーション協力/リトルケイブ新宿店(東京都新宿区新宿1丁目18−5)

「ボードゲーム沼へ、ようこそ」特集一覧

とよ田みのる(とよだ・みのる)
1971年生まれ。「ラブロマ」(全5巻)など。「ゲッサン」(小学館)誌上にて、マジメすぎる女子と「鬼」の青年の恋愛物語「金剛寺さんは面倒臭い」を連載中。


中道裕大(なかみち・ひろお)
1979生まれ。「月の蛇〜水滸伝異聞〜」(全7巻)など。「ゲッサン」(小学館)誌上にて、ボードゲームを楽しむ女子高生の日常を描く「放課後さいころ倶楽部」を連載中。近日アニメ化予定。


カメントツ(かめんとつ)
1986生まれ。Twitterにてこぐまの店長が営むケーキ屋さんの日常を描く癒し系4コマ「こぐまのケーキ屋さん」連載中。

サイン入りポラプレゼント

今回インタビューをさせていただいた、とよ田さん・中道さん・カメントツさんのサイン入りポラを抽選で3名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

応募方法
ライブドアニュースのTwitterアカウント(@livedoornews)をフォロー&以下のツイートをRT
受付期間
2018年11月21日(水)19:00〜11月28日(水)18:00
当選者確定フロー
  • 当選者発表日/11月30日(金)
  • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、発送先のご連絡 (個人情報の安全な受け渡し) のため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから11月30日(金)中に、ダイレクトメッセージでご連絡致します。12月3日(月)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
キャンペーン規約
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