「泣きながらでも止まらないことが大事」活動休止期間を経た、和島あみの決意表明

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次世代アニソンシンガーのオーディションで1万人の中から選ばれ、17歳にして華々しいデビューを飾った和島あみ。しかし2017年7月、体調不良のため年内の活動休止を発表。多感な時期だけに心配の声がささやかれたが、今年5月にワンマンライブで公に姿を現し、見事に復帰を果たした。1年半ぶりとなる3rdシングルは徳永英明の大ヒット曲『壊れかけのRadio』のカバー。これまでにない切々とした表情のボーカルが胸を突くような一曲となっている。

撮影/川田洋司(mosa) 取材・文/照沼健太
スタイリング/SAHO ヘアメイク/サカノマリエ(allure)

「心配かけてごめんね」活動休止から復帰までの道のり

まずは……おかえりなさい! ライブドアニュースへのご登場は1年半ぶりですが、お元気そうな姿を見て安心しました。
ありがとうございます。
休止期間中はどういうふうに過ごしていたのでしょうか?
北海道倶知安町の実家に帰ってゆっくり休んでいました。
実家ではリフレッシュできましたか?
はい。でも、やっぱりずっといるところではないんだなと再確認しました(笑)。大切な場所だし、安心するんですけど「東京に行かないと私の好きなことができない」という気持ちもあり、何か新しい挑戦はできないか、とギターを弾き始めました。
前回のインタビュー時、「楽器に挑戦したい」と教えてくれましたが、ギターを選んだんですね。
お兄ちゃんがバンドをやっていたり、お父さんも趣味でギターを弾いていたりと、小さい頃から楽器が家にある環境だったんです。お父さんのアコースティックギターを借りて練習して、今年5月のワンマンライブで披露させていただきました。
休むだけではなく、新しいことにも挑戦できたんですね。
そういう時間にもなったので、今思えば活動休止は全部が全部悪いことではなかったかなと思っています。
復帰のタイミングはどのように決めたのでしょうか?
2017年内の活動を休止、ということだったので年内は休んで、2018年1月には東京に戻ってきていました。そこからは5月のワンマンに向けて、歌うことの感覚を取り戻す時間を過ごしていました。
ワンマンはいかがでしたか?
復帰後、初めてファンのみなさんと会うのがワンマンでした。それまではスタッフさんのツイートでライブの告知をしていて、私からの言葉は何もない状態で当日を迎えたんです。

そういう流れもあって、ライブで私が第一声として何を言うのか心配されていた方もいらっしゃったと思うのですが、文字で伝えるよりも直接みんなの顔を見て伝えたくて。そのほうが誤解なく素直に伝わるかなと思ってそうさせていただいたのですが、結果としてはやっぱりそれでよかったと思っています。「心配かけてごめんね」って、歌でも伝えられたと思います。
ファンの方から「待ってたよ」「おかえり」といった温かい言葉で迎えられたときの気持ちは?
みんなの顔を見たら、待っててくれたのがわかって「私じゃなくて、復帰した私を待っててくれたみんながスゴいんだよ」って気持ちでいっぱいになって……。みんなの顔を見て歌える機会を大事にしたいという思いが強くなりました。
活動休止前と今とで、音楽や仕事への向き合い方に変化はありましたか?
アーティストとしてというよりも、19歳の人間として学んだという感じですが、無理なときに「無理」って言うことは悪いことではないんだと思えるようになりました。困ってることや不安なことを言葉にして伝えてもいいんだなって。もっとまわりを頼ろうと思いました。

『壊れかけのRadio』の歌詞に、自分自身を重ね合わせた

待望の3rdシングルは『壊れかけのRadio』です。徳永英明さんの名曲をカバーすると聞いたときはどう思いましたか?
カバー曲でシングルを出すことにびっくりしたというよりも、単純にこの曲を歌えることがうれしかったです。思春期のモヤモヤした時期にラジオから聴こえる音楽に救われたというストーリーとか、少年から大人へ移り変わる時期の描写とか、自分自身とリンクしていて。
和島さんはラジオっ子ですし、12月の誕生日で20歳を迎えますもんね。
そうなんです。だから、この曲を私に預けてくださったことがとてもうれしかったですね。
この曲のことは知っていましたか?
もちろんです。私は中森明菜さんをきっかけに歌手になりたいと思ったこともあって、同世代の子に比べたら、お母さん世代の曲を聴いて育ってきたほうだと思います。だから『壊れかけのRadio』も知っていました。

「遠ざかる故郷の空 帰れない人波に」という歌詞から、都会に出てきて夢を追っている主人公の情景がすごく読み取れて。私自身とも重なるんですけど、私だけじゃなくたくさんの人が自分を重ねたからこそヒットソングになったんだろうなと思いました。
今回のカバーバージョンのトラックを聴いたときは、どのように感じましたか?
私のほぼ半分くらいの曲に関わってくださっている、安心と信頼ができるebaさんに今回も編曲をお願いしていて、いつものebaさんらしいサウンドで来るのかなと思っていたんです。でも、あえて原曲を尊重したアレンジとなっていて、「私もそれがいいと思う!」って。歌詞がすっと入ってくるアレンジだと思いました。
徳永英明さんとお会いしたことは?
テレビで観る存在です(笑)。この前、『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)に出演されているのを観て、「スゴい曲をカバーさせていただけたんだな」と実感しました。
どういう心境でレコーディングに臨まれましたか?
今までの曲にはない感じのアレンジですし、しかもバラードに初挑戦ということもあって、どうやって自分なりの表現をしようか悩みました。
結果として、どのように意識して歌ったのでしょうか?
ちょっと抑えるくらいがちょうどいい気がしたんです。今までは感情優先な歌い方をしていた部分がありましたけど、今回は歌詞を伝える“語り部”的な立ち位置で。すごく歌詞に入れ込んでしまう部分もあるのですが、あえて気持ちを抑えて、歌詞をしっかり伝えるのが一番いいのではないのかと。語尾がしゃくってたりとか、私らしい部分もありますけど(笑)。
MVでは、和島さんの孤独な姿がとても印象的でした。
照明も相まって、本当に孤独な感じになってますね(笑)。
渋谷の雑踏にたたずんでいる姿もありましたが、どのように撮影されたんですか?
渋谷のスクランブル交差点で、信号が青になった瞬間にダッシュで真ん中まで走って撮るという(笑)。あとは、バスに乗って東京タワーのまわりを何周か走ってもらいました。夜景が綺麗だなぁと思いながら。
和島さんの表情から、胸が締めつけられるような気持ちになりました。
私のドキュメンタリーを撮ってくださったフカツマサカズ監督にお願いしたんですけど、デビューの頃からお世話になっているので私の人となりをわかっていて。「こっちを見ながら倶知安のこと考えて」って言われたり、私の表情の引き出し方が上手なんだと思います(笑)。
最後に降車ボタンを押したところでMVは終わりますが、あの続きは……?
見てくれた方の想像にお任せします。

距離感の近さがうれしい。不登校時代からラジオっ子に

タイトル通り、ラジオをモチーフとしている『壊れかけのRadio』ですが、和島さんも根っからのラジオっ子ですよね。
ずっとラジオを聴いていました。でも現物のラジオには触れたことがなくて、MVの撮影で初めて触ったんですよ。
というと?
中2のときにテストで頑張っていい点を取って、iPhoneを買ってもらったんですけど、アプリの「radiko」をインストールして。
初めてのラジオはradikoだったんですか!
そうなんですよ。だからラジオが壊れかけたこともなくて。radikoがバッファしてるときに聴こえないっていうのは経験してますけど(笑)。
そうか、そういう時代ですよね……(笑)。当時はどんな番組を聴いていましたか?
不登校になっていた中2くらいの頃から、ずっと深夜のラジオを聴いていました。『オールナイトニッポン』とか、札幌のSTVさんの『藤井孝太郎のログイン!よる☆PA』とか、それはもうお世話になってましたし、今も聴いています。

アイドルさんとかが数人でわーってしゃべっているのを聴くのも好きなんですけど、基本的にはパーソナリティーのひとりしゃべりが好きですね。ものすごい数の人が聴いているはずなんですけど、私にだけしゃべってくれてる感じがするところとか。
それがラジオのいいところですよね。テレビ番組よりも距離が近い感じ。
悪い言い方をすると内輪ノリでもあるかもしれないんですが、その内輪ノリをリアル世界ではできないのでラジオを聴いている、みたいな部分はありますね。学校では話の中に入れないけど、ラジオの前ではできるという。
ラジオを聴いている子ってあんまりいなくて、当時の私はそれなりに中二病だったので「みんなラジオを知らないんだろうな」って優越感にひたっていました(笑)。
和島さん自身も2016年と2017年にAIR-G' FM北海道『和島あみのEZO DRIVE』でパーソナリティーを務めていましたよね。
はい。リスナーとの距離の近さを大事にしたいとディレクターさんとも話していて、つながりをより強く感じられるように意識していました。投稿していただいたメールをひとつでも多く読むとか。
当時の和島さんみたいな境遇の方が聴いて、救われた気持ちになっていたかもしれませんね。
そうだとうれしいですね。実際、番組にも「今学校に行けてなくて」っていう相談のメールをくれた方もいて。私が何かを与える側になることができていればいいなと思いました。でも、実際に話す側にまわると難しいなとも思いました。思うようになかなかできなくて、「聞くのとやるのは全然違うなぁ」って(笑)。

イメージカラーのオレンジに、デビュー当初は違和感があった

カップリング曲『オレンジと逆光』は、切なくも力強いエモーショナルな楽曲です。
今までもロックな曲はありましたが、それとも違う、ひとつ突き抜けた楽曲になりました。
和島さん自身が作詞されていることも含め、活動休止から復帰した心情なのかと思いながら聴いてしまいましたが。
そうですね。やはり歌詞を書くにあたって、復帰してからの音楽への向き合い方やファンへの気持ちというテーマがありました。そしてこの曲の歌詞を書くのが決まる前から、次に作詞する機会があったらオレンジ色の曲を書きたいとずっと思っていたので、やっと実現したという感じです。
オレンジ色の曲?
和島あみのイメージカラーがオレンジなんですけど、デビュー当初は「こんな私がなぜ明るい色?」と疑問に思っていたんです。でもそれがだんだん自分のものと感じられるようになってきて……。それはファンやスタッフさんのおかげだと思うので、「みんなのおかげだよ」ということを歌詞で伝えたかったんです。
なるほど。ボーカルもとても素敵です。
今までだったら絶対に“Hey!”とかはなかったんですけど、今回はライブでお客さんがコールしやすいように、覚えやすくて繰り返しやすいように工夫しました。
パーソナルな曲でありながら、リスナーとコミュニケーションする姿勢から、和島さんの強い意志が伝わってきました。
ありがとうございます。一回休んでしまって、みんなにすごく心配をかけちゃった部分があったので……。まだモヤモヤした気持ちもあるけれど、それでも「泣きながらでも止まらないことが大事なんだな」という決意表明をちゃんと伝えたいなと思って書きました。
あらためて『壊れかけのRadio』と『オレンジと逆光』は、まさに今の和島さんの気持ちを表現したような、この瞬間だからこそさらに輝く2曲ですね。
はい。自分が思っていたことをすごくいいタイミングで書かせてもらったし歌わせてもらいました。運命的なものを感じています。

もうすぐ20歳。でも、“大人”になる必要はないのかも

『壊れかけのradio』はTVアニメ『あかねさす少女』のED曲ですね。ご自身のブログに、「アニメのストーリーやテーマを読んでいくと、私自身の現状と、どうしても重ねてしまう部分もある」と書いていましたよね。
いくつもの世界を旅しながら、ひとつだけじゃない自分の可能性を探っていくというテーマを伺って、それって誰しもが共感できることだと思ったんです。“自分じゃない何かになりたい”って、誰でも思うことだろうし。高校生の女の子たちが主人公ですけど、今の自分や現状に納得してない人には刺さる作品なんじゃないかと思います。
和島さん自身も「もうすぐ大人になるのにまったく思春期が終わらない」とおっしゃっていますが……。10代も残すところ数ヶ月、今の気持ちは?
成人するからといって何かが変わるとはあんまり思ってないし、成人したからといって思春期マインドを捨てないといけないとも思っていないです。むしろ「変わるつもりはないぞ」みたいな気持ちも若干あって(笑)。だから今、残り数ヶ月となって思うことは、「別にたいして変わらないんじゃないかな」ってことです。
気負いはない、と。
でも高校生くらいの頃は「絶対大人になりたくない」って思ってました(笑)。おそらく甘えてたんでしょうね。あと、大人はすごく嫌なものだと思っていたのもあるのかも……。でも、この業界に入っていろんな人たちと接する中で、私が思うより大人は大人じゃないんだろうなって。
そうかもしれません(笑)。
そう考えるようになってから、あんまり悪くないかなと思えるようになりました。別に“大人”になる必要ないって。でも、お酒が飲めるようになるとか、法律的なものはいろいろ変わるので、そこはそこで楽しもうと思います。うん、お酒は飲んでみたいですね(笑)。
どういうお酒を飲みたいですか?
何が飲めるかわからないので、まずはいったん自分の限界を知りたいです。
マネージャーさんが隣で心配そうな顔をしていますが(笑)。
自分の限界を知ったうえで、様子を見ながら飲んでいきたいです(笑)。……でも、長いなー20代。今から10年ですよ。結婚を焦ったりするようになるんですかね?
急に結婚の話題ですか(笑)。でも、一般的には地方のほうが結婚が早いと言いますし、和島さんの地元の同級生は早めにそうなるかもしれないですね。
恐ろしいなぁ……。
(笑)。
今でもちょっと思うんですよ。地元の子はみんな大学や専門学校に通っていて、最近まで夏休みで。「普通の19歳なら、そうなのかー」って。
一方で、こうしてメジャーの舞台で歌手活動をしている和島さんをうらやましく思っている同級生も多いと思いますよ。
私から見た同い年に対しては、まだ劣等感のほうが勝ちますね。いくらファンの方がついていてくれても、ステージ上で光を当ててもらっても、「私の幸せは、世間一般的な幸せではないのかな」って思ってしまう部分は正直あって。そういう気持ちをカップリング曲では“逆光”って言葉で表現しているんですけど。

でも、私が劣等感を覚えているその“一般的な幸せ”の輪の中にもし入れたとしても、うまく立ち回れる気がしないのも事実で……だから自己肯定を覚えました(笑)。「私はこれでよかったんだ」って思うようになりつつあります。
和島あみ(わじま・あみ)
1998年12月29日生まれ。北海道倶出身。B型。ホリプロインターナショナル所属。2016年開催の「ホリプロ×ポニーキャニオン 次世代アニソンシンガーオーディション」でグランプリを獲得。TVアニメ『迷家-マヨイガ-』の主題歌『幻想ドライブ』でメジャーデビューを飾る。活動休止期間を経て、今年5月6日に行われた1st ワンマンライブ2018「I AM」にて復帰を果たす。1年半ぶりとなる3rdシングル『壊れかけのRadio』を10月24日にリリース。愛媛・松山で開催される音楽フェス「GAINA MATSUYAMA 2018」に出演予定。

CD情報

3rdシングル『壊れかけのRadio』
10月24日(水)リリース!

左から初回盤、通常盤

【初回生産限定盤】(CD+DVD)
¥1,667+tax
【通常盤】(CD only)
¥1,250+tax

サイン入りポラプレゼント

今回インタビューをさせていただいた、和島あみさんのサイン入りポラを抽選で3名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

応募方法
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受付期間
2018年10月23日(火)12:00〜10月29日(月)12:00
当選者確定フロー
  • 当選者発表日/10月30日(火)
  • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから10月30日(火)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき11月2日(金)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
キャンペーン規約
  • 複数回応募されても当選確率は上がりません。
  • 賞品発送先は日本国内のみです。
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