「今は将棋を指すのが、本当に楽しい」と言えるまでの道のり。棋士・久保利明 43歳。

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スポーツ界で20代と渡り合える40代は多くない。それは頭脳スポーツと呼ばれる将棋界でも同じである。加齢による体力、瞬発力、思考力の衰えは誰にでも訪れるものだ。そんな中、将棋界には40代のタイトルホルダーが二人いる。一人は言わずとしれた歴代最強棋士と目される羽生善治。もう一人が今回の主役である久保利明だ。研究のスピードが加速している現代将棋でこの年齢で第一線を張れるのは、まさに神がかり的である。彼もまた歴史に残る棋士だと言えよう。

そんな久保の棋士人生は順風満帆だったわけではない。17歳でプロ入りし、初のタイトル挑戦から4度連続で羽生の壁に阻まれチャンスを逸している。その後、棋王・王将を得るが、2012年の3月には二冠から一気に無冠、A級からB級1組へ降級するという地獄のような一ヶ月を味わっている。

それでも久保は立ち上がる。振り飛車のトップランナーとして努力をし続ける。そこまで彼を突き動かせる原動力は何なのか。久保の言葉から読み取っていただけると幸いである。(編集部)

1975年(昭50)8月27日生まれ、兵庫県加古川市出身の43歳。淡路仁茂九段門下。93年四段に昇段し、09年の第34期棋王戦で初タイトル。翌年の第59期王将戦で当時の羽生善治王将に勝利し、自身初の2冠保持者に。タイトル獲得は王将4期、棋王3期の計7期。振り飛車の第一人者として活躍し、駒の軽い捌きを常に重視する棋風から「捌きのアーティスト」との異名も。1メートル66。血液型O。順位戦A級、竜王戦1組在籍。
―今年も王将戦挑戦者決定リーグ戦の季節がやってきましたね。久保王将も2016年まで参加されていましたが、王将リーグの印象をお聞かせいただけますか。
王将リーグというのは、「最強のリーグ」でその名にふさわしい人たちが集まるところです。自分も出場していたときは、毎回「すごく大変だな」という思いで指していました。

今はタイトルホルダーとして離れて見ていられる分、楽は楽ですけど、その最強リーグで1位になった人が挑戦してくるわけです。リーグが始まると、「自分も準備を急がないといけないな」というイメージをしますね。勢いがあるのか無いのか、この棋士は攻め寄りなのか守り寄りなのか、最近どういう将棋を指しているのかなと分析しますね。

基本的に王将リーグに出場する方たちというのは、勢いがありますが、7、8年前の豊島(将之)さんのような20代前半から中盤までの若手が出てくると、「本当に勢いを持って上がってきているな」っていう印象がありますね。

リーグが始まると対局のペースが週2ぐらいになってくるので、その過密日程をひとりだけやらずにタイトル戦に出られるというのは、すごくありがたみを感じます。
―過去の七番勝負で思い出に残っている対局はありますか。
一番思い出に残っているのは、羽生(善治)さんから初めて奪取した第59期(2009年)の対局です。最終局になった第6局がすごく激しい将棋で超急戦だったんですけど、最後は奇跡的に自分の玉が詰まなくて勝ちという、劇的な幕切れだったんで強く印象に残ってます。いつこちらが負けても不思議ではないという将棋で、斬り合って先に斬ることができました。今まで将棋を1000局以上やってますけども、一番印象に残った将棋かもしれません

その日の夜、立合人を務めた行方(尚史)さんが「お祝いだから一緒に飲もうよ」と言ってくれて、すごくうれしかったです。世代が近く、自分以外の棋士がタイトルを獲得するのは複雑な思いがあるはずなので。お互い翌朝ふらふらだったのもいい思い出ですね(笑)。
―逆に苦労したな、辛かったなという王将戦はありますか。
3期目の防衛を目指したときに、(佐藤)康光さんにいきなり3連敗して。4局目が私の地元である加古川(兵庫県)で何とかしのげたんですけど、完全に差し込まれてしまいました。

その年は、王将だけではなく棋王も同時に失い、A級からも落ちたんで最悪の一年でした。落ち込み過ぎていたら、井上一門の旅行に声を掛けてもらって入れてもらったんですけど、泊まりで2日間も参加する元気もなくて1日遅れて合流しました。
タイトル防衛に失敗し厳しい表情で盤を見つめる久保王将。(写真提供:スポニチ)
―一般的に30代後半から40代になると、その状況から第一線まで復活できる人というのはかなり珍しいと思います。何か工夫していたり気を付けていることはありますか。
「地道を楽しもう」というのが、今の自分へのメッセージみたいなところはあります。バドミントンの桃田(賢斗)選手がインタビューで、試合出られない時期があった時、「ずっと走ってた」って言うんですよ。どれだけ走り続けても大会には出られないんだけど、「地道にコツコツ、いつか大会に出るためにやっていた」というのを聞きました。人間にとって地道にやることが一番難しいじゃないですか。でもそれをコツコツ楽しめるくらいになればいいなと思っています。コツコツ詰将棋を解くのも果たして意味があるのかと思いながらやるわけですが、本当はそういうことこそ大事なんじゃないかと。
―今回、甲冑を着ていただきましたが、将棋界は今まさに10代から40代まで群雄割拠の戦国時代です。久保王将はどう分析されていますか。
確かに全体的にレベルが上ってきていると思います。昔はすぐにタイトル戦に絡むような若手は少なかったんですけどね。特に20代の層が厚くなったというのが、間違いなく要因としてあります。僕らの世代は、羽生さん世代にすごい人達がたくさんいた影響で、なかなかタイトルを取れなかったんですよ。今の20代は、その羽生世代に対抗できる人数や層の厚さが出来てきているんだと思います。それにしてもあれだけ強い人が多い羽生さん世代はちょっと異常ですよね(笑)
―スポーツですと20代と40代が勝負したら、20代が強いことが多いですよね。将棋は40代で今なお20代と互角に戦えるのは本当にすごいことだと思います。
将棋は4歳から始めたんですけど、その時点では大人には走っても勝てないし頭脳でも勝てないし、当然全てが下なんです。でも将棋だったら対等に戦えて、しかも勝てるというのがまさに快感だったですよね。だから続けられたというのはありますね。大人に勝てるものがあるんだと。
―将棋でも4歳で大人に勝てる人はほとんどいません(笑)。それにしても久保王将、豊島棋聖、菅井王位と最近、関西勢が躍進していますね。
奨励会幹事の畠山(鎮)さんが厳しくやりだしたのが要因のひとつかもしれません。例えば、若い棋士たちが棋士室で将棋に関係ないことをしゃべってるわけですよ。すると畠山さんが「ここは将棋を指す場所だから、私語は厳禁でやってくれ」と言うわけです。もともと将棋に真面目な才能のある若い人たちが集まっているので、そうしてみんなが切磋琢磨して、その層が強くなってきたと思うんです

そうやって糸谷さん、稲葉さん、豊島さんらが上がってきましたし、その下の世代の菅井さん、斎藤さんも普通にタイトルを獲ったり、獲れるようなところまで来ています。
―久保王将といえば振り飛車の代名詞として挙げられます。改めて振り飛車に対する思いをお聞かせください。
振り飛車を指す棋士が年々少なくなってきているので、その火を消さないようにしたいなと思います。トップで頑張らないと、奨励会員も振り飛車をやろうという気にならないですし、なるべく頑張っていたいなと思います。

どうしてもトップ棋士の将棋を観る機会が多いので、居飛車が多かったら「自分も居飛車党になろうかな」と思ってしまうんですよ。自分が複数冠とったとき、少し振り飛車の火が復活して結構増えたんです。だからやっぱり上が振り飛車で活躍してないと、振り飛車をやる棋士が増えないと思うんです

ただ将棋は振り飛車党、居飛車党とかではなく、結局は中盤、終盤の勝負だと思っています。振り飛車党が居飛車に転向したからといって、必ずしも勝てるわけでもないですし、その逆もしかりです。結局は中終盤をいかに強化できるかどうかが鍵なんです
―アマチュア同士の対局だと飛車を動かす人が多いですよね。
アマチュアの将棋ではだいたい対抗系になって、どちらかが飛車を振るという将棋が多いので、やっぱり人気の戦法だというのは見ていると分かりますね。分かりやすいのが魅力です。逆に分かりやすいからプロは違う方に行くという。居飛車だったら矢倉やったり角換わりをやったり、横歩取りや相掛かりも、全て知っておかないといけないんですよね。アマチュアの方で3つも4つも覚えようというのは結構大変なんで、振り飛車をやる方が多いんだと思います。
―これからもっと振り飛車を上達したいと考えているアマチュアの方にアドバイスをお願いします。
振り飛車は振った飛車側が攻められるので、そのあたりをうまく指しこなさないと、飛車が突破されて成りこまれて負けるっていうのがよくあります。

振り飛車で負けるときのパターンの多くは、徐々に押さえ込まれていくんですよね。玉は遠いところにいるので、そんなに被害はないかもしれないですけど、押し込まれてこちらが押し返せないっていう。いかに途中で踏ん張れるかが大事です。

振り飛車の基本の考え方に、攻めて来られそうなところに飛車を送るというのがあります。例えば三筋から来そうだなって思ったら、そこに飛車を寄って置くとか、真ん中から来そうだなと思ったら、中飛車にしておくとか。相手の動きを待っていて、来なかったら「こちらの玉は堅いよ」というのが主張なんです。
―ちなみに前期の七番勝負で豊島棋聖が相振りで来たのは驚きましたか。
かなり意表を突かれて、自分が半年くらいかけて準備してきたものは、ほとんど出せないわけですよ(笑)

今回は豊島さんが堂々のタイトルホルダーとしてリーグに出場してますからね。やっぱりひとつ取ったのは大きいです。1を2にするのとは全然違っていて、0を1にするほうが難しいですからね。解放された部分はあるでしょうし、1年前と比べてパワーアップされてくるでしょう。
2018年3月20日 第67期王将戦第6局(写真提供:スポニチ)
―久保王将は将棋ソフトを研究で使われていますか。
自分の指した将棋をあとで並べ替えるくらいですね。どこが悪かったのかを聞けるんで、感想戦でやった局面とかを振り返っている程度で、研究では使っていません。研究会など昔ながらの感じで研究しています。不定期ですけど、菅井さんとかが大阪に来るときに「時間が空いてたらお願いできませんか」と頼まれたりします。
―将棋ソフトの影響もありこの10年で大きな変化を遂げました。今後も変化は続くのでしょうか。
変わっていくんじゃないですかね。今でも雁木(がんぎ)が出てきたり、振り飛車の中でも左美濃的な感じが出てきています。どこかで止まることはないような気がしますね。
―この1年、タイトル戦での先手の勝率が高くなっていますが、研究の影響なのでしょうか。
振り飛車では、結構ゆっくりした戦いになることもあり、先後というのはあまり意識していません。ただやっぱり技術が上がってきているので、タイトル戦でのトップレベルの戦いになってくると、持ち時間も長いですし、大きなミスが出ず、先手が勝ちやすい条件になってるんだと思います。
―そういった中で新たな手が出る可能性もありますか。
相手次第のところはあるんですけど、自分もいろいろと試したいです。どうせやるなら一番大きいところでと思って、事前に研究したものをいきなりタイトル戦とかで。ただそういう局面にならず出ないことの方が多いですね(笑)。

前期は相振り飛車へのストックがないんで試せなかったです。居飛車対向型の将棋のストックはいっぱいあるんですけど、相振り飛車というのは定跡がほとんどないですし、力戦になるんですよ。
―藤井聡太さんについて、どんな印象をお持ちでしょう。どの辺りが彼のストロングポイントだと感じていますか。
やっぱりミスがなく安定感がありますね。ミスをしたとしても逆転されるほどのミスはしない。例えば野球でいうと7対0で勝っているとき、彼はミスをしたとしても1点とか2点で我慢できるタイプで、大きなミスはほとんどしないです。将棋というのは、1回に10点とか100点とかすぐに入ってしまうものなのですが。

それにメンタルも強いタイプなんじゃないですかね。あの年齢であれだけの報道陣の中だと、普通は緊張してしまうんですが、そういう素振りもあんまり見せないですし。もう慣れてしまっているところはあるとは思うんですけど。
―久保王将は16才のときどんな少年だったのでしょうか。
自分らの頃のプロに成り立てというのは、本当に弱かったです。藤井君みたいに四段になった瞬間に、あれだけの強さを見せるというのはなかなか考えられなかったです。定跡を一応は知っていたとはいえ、序盤がめちゃくちゃで、中終盤でひっくり返して勝つみたいな将棋ばかりでした。

今では研究によって序盤の整備が進んでいるので、序盤が下手だとプロになれないですよ。全部がそろってないと。だから私の時代と違って、今はそこそこ出来上がった状態で四段になってくるんですね

羽生さんでも若い頃は、わりと逆転勝ちが多い将棋だったと思います。普通は序盤が悪いとそのまま負けてしまうんですが、羽生さんは終盤が強くて逆転で勝っていくから、羽生マジックといわれたんでしょうね。

今の時代はもう序盤から終盤まで全部が強くないと当然プロにもなれないですし、三段でもすでになかなか仕上がってます。若手とやってないと取り残されるんで、むしろこっちが教わるくらいです(笑)。
―やはり最近は三段からプロに上がった棋士のレベルは高いのでしょうか。藤井七段だけでなく、同期の大橋(貴洸)四段も勝率が良いですよね。
大橋四段とは昔、研究会でやっていて、やっぱり強かったです。でも私の若い頃もトップ棋士に当たらないので、だいたい勝率が最低7割くらいは勝たないといけないと思っていました。2年目に勝率8割ちょっとで1位だったんですけど、トップと全然当たっていないのであまり満足できなかったですね。やはり強くなると、その分強い相手と対局するので、勝率というのはだんだん落ちていくんですよ。トップと新人の勝率を比べちゃいけませんね
―久保王将は阪神ファンで知られていますが、今年は観戦に行かれたんですか。
行くとだいたい負けるんです(笑)。今の阪神はピッチャーがそこそこいるんですけど、打てないから勝てないことが多いので、打線をちょっと強化していただけるとありがたいかなと。

見ているとやっぱりもったいない印象がありますね。例えば藤浪(晋太郎)投手とか、才能はものすごいものを持っているんだけど、フォアボールを出して自滅してしまう。

野球というのは「心技体」がそろってこそだと思うんです。160キロ近くのボールを投げて、技と体はすでに相当なもんじゃないですか。これでメンタルをコントロールできるようになると、さらに逸材になれる選手が阪神にはいっぱいいると思っています。

よく「技術の向上を」という言う人もいると思うんですけど、僕は「心」だと思っていて。ある試合を見たときに、藤浪投手がファーストに下から投げていたんですよ。少しイップスなのかな、上から投げると近過ぎて投げられない、みたい感じなんですかね。今までだったら目つぶって投げてもファーストに良い球を投げていたはずなのに。その時、もう自分の中で自信をもって投げられない状態になっているのかな、メンタルが問題なんじゃないかと感じたんです。
―将棋をやるとメンタルを鍛えることはできますか。
将棋では鍛えられるか分かりませんが、メンタルトレーニングは必要なのかもしれません。自分もいっとき、やっていたことがあったんです。実力、技術、体力というのはそこまで変わりませんが、心や考え方というのは大きく変えられるので

自分がタイトルを獲る前、羽生さんに4回挑戦して4回敗れた頃です。将棋をやっていて、苦しかったんですね。トップでやればやるほど。対局をやっていても勝つか負けるかという緊張状態で。順位戦だと12時間ぐらいやるじゃないですか。負けたらどうしようみたいな気持ちで一日中ずっとドキドキしているんですよ。夕食休憩に入ったときも、ご飯を食べながらずっとドキドキしているんですよ。そんな精神状態ではさすがに勝てないって気づきました(笑)。

自分が強かったわけでも何でもないのに、勝手に自分でプレッシャーをかけてしまっていたんです。そのとき、知り合いにメンタルトレーナーがいたので門をたたいてみたんです。そのトレーナーに初めて会って話したときに「自信なさそうですね。久保さんはトップで活躍してるんでしょ?でも全く自信なさそうに見えますね。やっていて楽しくないでしょ?」と指摘をされました。

それから「あなたはどうして将棋を始めたんですか」から入って「楽しいから始めたんじゃないですか。だったらそのときの気持ちでやればいいじゃないですか。勝とうが負けようが別に、死ぬわけじゃない。どんなに強い人でも100回やれば30回くらい負けるんでしょ。だったら楽しめばいいじゃない」というアドバイスを受けまして。「そういう考え方もあるな」と思って自分を変えられたから、タイトルまでつながったと思うんです。

やっぱり自分を変えないと、何度挑戦してもおそらく挑戦までしか行けないなと。新しく何かをしようとすると当然リスクもあるんですけど、「それでだめになったとしてもやってみよう」と。その効果もあって、マイナス思考はなくなりました。今は将棋を指すのが、本当に楽しいです
―久保王将はマラソンをされていますね。普段から体力作りなどされていますか。
すべての優先順位の一番上に将棋があるんです。そこから全てが派生してるだけなんですよね。一番太ったとき75キロくらいありました。その時、足がしびれて30分も正座できなくなったので「まずいな。やせないと」と思ってジョギングを始めたんです。ゴルフも、将棋でずっと正座をしていて体を動かさないからということで始めました。それで6キロくらい減らして。やっぱり自分の中で将棋が一番上にあるんですよね。
―タイトル戦になると、昼食や夕食の他にダイエットの天敵となるおやつも出されますね。
それでどんどん太っていくんですよね(笑)。普段は甘いものをほとんど食べないですけど、対局中は糖分を必要とするので、いつもチョコレートを持っていきます。「AかBのどちらを選べば良いのか分からん。ちょっとひと呼吸を置きたい」というときに助かっています。だいたい盤面を見た瞬間に3〜4択くらいになるんですよ。難しい局面になるとAとBの未来予測が同じくらいの評価になり、迷い出したらきりがないので、頭を休めるために食べています。
―久保王将はお弟子さんがいらっしゃいますが、どういった経緯でとられたのでしょうか。
師匠(淡路仁茂九段)から「君は将棋界に育ててもらったんだから、弟子を取って後輩に指導していかないといけない立場なんだよ」と、常々言われていて、いつかは取ろうと思っていたんです。それがたまたまタイミングと縁もあったので取ってみようかと。一人取ると「久保先生は取るんだ」ってなって、毎年のように来るようになって、今は4人います。

弟子には「強くなってきたら、三段になったら研究会に呼ぶから」と言っています。自分も三段になったときに、師匠に研究会に呼んでもらって、村山聖さんや阿部(隆)先生とかの研究会に入れてもらいました。なので、三段までは自力でやってねと。高校2年で二段の弟子がいるのですが、藤井君の影響で焦ってるんでしょうけど彼が特異なだけで、自分のペースでやっていってもらえれば、と思っています。
―弟子への対応でどういうことを意識されていますか。
私の師匠は厳しい先生ではなく、指し手について何かを言われたことはいっさいありません。あいさつなど社会的なものは教わりましたけど、将棋界の中には「将棋は人に教わるものではなく、自分で強くなるものだ」という風土あります。自分も弟子を取って、将棋の内容で「ここはこうした方がいい」とか「振り飛車のほうが合っているから」とか、心の中で思っていても口には出さないですね。頑張れとも言わないです。

基本は放置で「段位が上がったときだけは連絡してくれ」くらいです。「お弟子さん上がられましたね」と、他の人から聞くのは寂しいじゃないですか(笑)、だからそれだけは伝えてくれと。そしたら結構メールで報告してくれるようになりました。
―改めて最後に今後の抱負をお願いします。
振り飛車党として振り飛車の火を消さないように、できるだけ長く活躍できるようにしていきたいです。そのための準備と努力は続けていきたいなと思っています。(了)

インタビュー=我満晴朗(スポニチ)
写真=浦田大作
衣装協力=甲冑工房丸武
デザイン=桜庭侑紀、野間志保
ディレクション=金泳樹、伊藤靖子(スポニチ)
企画・プロデュース=森 和文
第一弾「20代の逆襲」

読者プレゼント

今回インタビューをさせていただいた、久保利明王将が揮毫(きごう)した色紙と、第68期王将戦挑戦者決定リーグに出場する7人と久保王将のサイン入り扇子を1名様にセットでプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

応募方法
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受付期間
2018年9月29日(土)18:00〜10月5日(金)18:00
当選者確定フロー
  • 当選者発表日/10月9日(火)
  • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから10月9日(火)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき10月12日(金)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
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