やめるのは簡単。でも、いつかいいことがあるかも。前田敦子の決断と、充実の“いま”

“多様性”が叫ばれる現代だからこそ、人は人生の岐路で悩み、迷い、時に涙しながら、歯を食いしばって、たくさんの選択肢の中から自分の歩むべき未来を選んでいく。映画『食べる女』は、おいしいごはんとそれがもたらす人のつながりで、悩める者たちの背中をそっと押してくれる。

14歳でAKB48の結成オーディションに参加することを決めたときから、前田敦子の人生は選択と決断の連続である。想像を絶するプレッシャーや周囲の好奇の視線にさらされ、悩んだり迷ったりしながら、大事なものはいつも自分で選び取ってきた。何が彼女の決断を後押しし、“いま”を作り上げたのか?

撮影/祭貴義道 取材・文/黒豆直樹 制作/iD inc.

「映画『食べる女』」特集一覧

「どうやったらこんな素敵な大人になれるのか」と思った

映画『食べる女』は、雑文筆家で古本屋を営む“トン子”こと餅月敦子(小泉今日子)を中心に、彼女の周りに集う、それぞれに迷いや悩みを抱えた女性たちの恋や選択を描き出す群像劇ですが、最初にオファーが届いた際の心境は?
まずは「今日子さんと共演してみたい」という気持ち、それだけでした。いつか絶対に共演してみたい!と女優であれば絶対に思いますよね。
物語に関してはどのような印象を持たれましたか?
女性の魅力が炸裂しているなと思いました。私が演じた白子多実子は、わりと客観的な立場の役柄でしたけど、他のみなさん、女性の“武器”をあれこれ駆使されていて(笑)、なかなかこんな姿は見られないなぁって。完成作を見て、びっくりしました。
多実子を演じられていかがでしたか?
(トン子の家に集う)女子会に参加できるメンバーだったのがうれしかったですね。多実子は後輩キャラでしたし、すごく楽でした。
冒頭からトン子、その親友で料理屋の女将(鈴木京香)、トン子の担当編集(沢尻エリカ)とおいしい食事を囲み、後半になると料理が苦手な主婦(シャーロット・ケイト・フォックス)、別れた夫が忘れられない2児の母(壇蜜)らも加わり…。たしかに人生の先輩たちとの“女子会”ですね。
今日子さんはすごく自然体で、ほかのみなさんも素敵な方ばかりで、とても刺激されました。「綺麗だなぁ…どうやったらこんな素敵な大人になれるんだろう?」と思いながら、楽しませてもらいました。
演じられたみなさんが自然にその場を楽しんでいるんだろうという空気が伝わってきます。
これが会社の先輩と後輩という設定ならまた違うのかもしれませんが、物語の設定上、それぞれの年齢とか立場を越えて集まっていて、目の前においしいごはんがあって、それを囲むことでグッと距離が近くなるのを感じましたね。

基本、私と沢尻さんがよく食べてたんですけど(笑)、猫を飼ってる人が多くて、その話で盛り上がったり、撮影のあいだも含めてゆる〜い時間を過ごさせてもらいました。

役に“共感”はなかったけれど、女性として“理解”はできた

多実子はTV番組の制作会社でアシスタントプロデューサーとして働く女性。それまで不倫経験が長かったこともあって、いまの恋人との関係に生ぬるさを感じていて、相手からのプロポーズにもどうしたものかと思い悩みます。
私とキャラは全然違います!(笑)だから、共感するところはなかったけれど、こういう女性はたくさんいるし、等身大の悩みを抱えている女の子ですよね。仕事をバリバリしてると、そういう考えを持ちやすいよなぁ…って理解できる部分はありました。
「そういう考え」というのは、恋愛面での多実子の煮え切らない感じのことですね?
恋愛を見ないようにしてるというか、「仕事もあるから…」と結婚に踏み出せないような煮え切らなさはわりとどこにでもある話だろうなって。
前田さんご自身は、そういう部分は…。
ないです!(即答)でも、最初の恋愛がそんな感じだったら、そうなるよなぁって思いますね。多実子にはそれしか言えないですね…(苦笑)。
「気づいたら、隣に男性が寝ていて…」という衝撃の告白もありますが…。
そんな状況、なかなかなくないですか?(笑)いや、でもありうるんだろうな、なくはないんだろうなって。私の経験ではそういうことはないし(笑)、なくてよかったと思いますけど。

でも、そうなったら腐れ縁みたいに何となく関係が続いて、煮え切れなくなって…というのも、いくらでもある話なのかもしれないなと。

男と女は違うもの。でも考えをすり合わせるのは大事

劇中の多実子のようにバリバリ働き、それでも女性ゆえの生きづらさを覚えたり、男性との差に悩んだりしている女性も多いと思います。前田さんは、10代でこの世界に入り活躍されてきましたが、そうした難しさを感じることはありませんでしたか?
それはあまり感じたことはないかもしれません。自分がいる場所に関して言えば、女性が強くなって大丈夫でもあったし、女子だけの居場所もいっぱいありますし。それは、いまという時代が(以前と比べると)女性でも生きやすくなっているんだなと。そういう意味で時代に感謝ですね。
「男性に負けてたまるか!」と考えたり、「男はいいなぁ」とうらやむようなことも…。
ないですね。私自身、仕事をするうえで男女の違いをそこまで意識したことはないんです。女と男は考え方がまったく違うし、違う生き物なんだなと思います(笑)。でも、それはお互いさまで、男の人にしてみたら「女ってわかんない」って感じることも多いでしょうし。
まさにこの映画を見た男性はポカーンとなるかもしれませんね。「女性ってそんな考え方するの?」と。
私、昨日、お友達と話してて、彼女や奥さんについての悩み――たとえば、「(自分の彼女や妻は)こういうところがあるんだよね」という話を、男同士でしないでほしいって話で盛り上がったんです。
と言いますと…?
男性同士で話すと行動の解釈が、女性の意図とは全然変わってくるねって。(妻か彼女の悩みを聞いて)「たぶん、こういう理由からだよ」と言う、男性の“たぶん”も絶対に違うから!(笑)

つまり、それくらい女性が考えてることを男性が正しく理解するのは難しいんです。だから、この映画を見て「え、そんなこと考えてるの? そうなんだ?」と感じることは本当にいっぱいあるだろうなって思います。
“違う生き物”という言葉も出ましたが、男性に正しく理解してもらうことに関して、半ばあきらめている…?
違うものだと理解しつつ考えをすり合わせていくのはとても大事なことだと、いますごく感じますね。カップルであれ夫婦であれ一緒にいる男女なら、ふたりのなかだけででも、すり合わせていけばいいんじゃないかと思います。
逆に前田さんも、話をする中で「え? 男の人ってそうなんだ?」と驚いたりすることも?
ありますね。あとはやっぱり、言わなきゃお互いわかんないんだなって感じることはあります。「わかってよ」って思うだけじゃダメなんだなぁと。

悩んだときも「やり通してみよう」と思って、いまがある

先ほど、男性をうらやましく思う気持ちはないとおっしゃってましたが、女性として年齢を重ねていくことに面白さ、楽しさを感じる部分はありますか?
少し年上の女優さんとお話すると、みなさん「30代って本当に楽しいよ」と必ず言うんです。それがいまは楽しみでしょうがないですね。で、「30代を過ぎて、40代になるとまたさらに楽しいよ」とも今回の現場で言われました(笑)。
現在27歳ですが、自分なりに30代のイメージはお持ちですか?
これまでやんわりとしていたのが、少しずつ明確になってきた部分はありますね。いずれは子育てもしたいし…。いま27歳で、自分の中で一番いい生き方を3年かけて探せるというのは幸せなことだと思います。

結婚をして、お仕事と家庭、いずれは子どもを持って、子育てをしたり…いろんなことをどうやって進めていくのか? これから見つけていくのが楽しみです。
現在の充実は、やはり10代、20代のさまざまな経験があってこそだと思います。
そういう意味で、いろんなことを経験できたのは本当にいいことでした。多くの人にとって、何かを「やろう!」と重い腰を初めて上げるのが10代から20代の前半頃だと思いますが、私もアイドルの世界に飛び込んだのは14歳のとき。
アイドルなんてやめて、普通の学生に戻って結婚して幸せになったほうがいいんじゃないか?と考えた時期だってありましたよ。でも、将来のことやいろんなことを考えつつ、「やり通してみよう」と思って、いまがあるんだと感じます。
悩んで、迷って、考え抜いて選択、決断してきたからこそいまがある?
高校生くらいから20代にかけて、悩みの時期って絶対に誰にでもありますよね。「私は何をすればいいの?」、「このままでいいの?」って。私もそうだったし、悩んでよかったなって思います。何について悩んでたのか? いまではわかんないくらいなんですけどね(笑)。

10年前の自分に「それでいいんじゃない?」って言えるし、そういう経験があったから、いま、その頃とは心の感じ方や受け止め方が変わってきている。30代に向けて、もっと大人になれればいいなと期待を持てる楽しい時期なんだなと思います。
前田さんはどのように道を選択し、決断を下してきたんでしょうか?
そうですね…。さっきの「もうやめたい」という話も、本当にそう考えてたんですよ。でも(そうしなかったのは)負けず嫌いなのが大きかったんでしょうね。
「負けたくない」という思いに背中を押される?
そこで「まだやってみよう」「もうちょっとだけやってみよう」と思えたんですよね。続けていけば、いつかいいことがあるんじゃないか? そういう思いはいまも持っています。やめるのって一番簡単なことだけど、続けないと見えてこないものがあるんじゃないかって感じています。
前田敦子(まえだ・あつこ)
1991年7月10日生まれ。千葉県出身。A型。2005年にAKB48 オープニングメンバーオーディションに合格し、AKB48としての活動を開始。以降、2012年8月の卒業まで、グループの中心メンバーとして数々の楽曲でセンターを務め、選抜総選挙では2度にわたり1位を獲得する。2007年の映画『あしたの私のつくり方』で女優デビュー。その後もドラマ『マジすか学園』シリーズ(テレビ東京系)、『花ざかりの君たちへ〜イケメン☆パラダイス〜2011』(フジテレビ系)などに出演。グループ卒業後も、女優として精力的に活動し、ドラマ『毒島ゆり子のせきらら日記』(TBS系)、舞台『太陽2068』、映画『もらとりあむタマ子』、『探偵はBARにいる3』、『のみとり侍』など話題作に出演を続けている。来春には映画『旅のおわり、世界のはじまり』の公開が控えている。

「映画『食べる女』」特集一覧

出演作品

映画『食べる女』
2018年9月21日(金)ロードショー
http://www.taberuonna.jp/

サイン入りポラプレゼント

今回インタビューをさせていただいた、前田敦子さんのサイン入りポラを抽選で3名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

応募方法
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受付期間
2018年9月20日(木)18:00〜9月26日(水)18:00
当選者確定フロー
  • 当選者発表日/9月27日(木)
  • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから9月27日(木)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき9月30日(日)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
キャンペーン規約
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