「とにかく真面目にバカをやれ」柳楽優弥が福田雄一監督から教わった、“笑い”の真髄

熱烈な支持を受ける漫画であるほど、映像化の際に原作ファンの厳しい視線にさらされることになるのは必然。大人気漫画原作の作品が軒並み苦戦を強いられる中、昨年、見事に邦画実写映画No.1ヒットという称号を手にしたのが、空知英秋の人気漫画を実写化した『銀魂』である。

『銀魂』の何が特別だったのか? そしてこの大ヒットを受けて制作された続編『銀魂2 掟は破るためにこそある』は、前作のような…いや、前作を超えるヒットを記録することができるのか? ライブドアニュースではこの続編の鍵を握るキャストおよび制作陣にインタビューを敢行!

第3回は、真選組の“鬼の副長”土方十四郎を演じる柳楽優弥。ドラマ『アオイホノオ』(テレビ東京系)、映画『HK 変態仮面 アブノーマル・クライシス』、そして前作『銀魂』と福田雄一作品に出演してきた彼が、本作で新たに掴んだ“笑い”の手応えとは――?

撮影/ヨシダヤスシ 取材・文/黒豆直樹 制作/iD inc.

「映画『銀魂2』」特集一覧

トッシーの気質アリ? 「演じていて居心地がよかった」

今回の続編が、原作の「将軍接待篇」、「真選組動乱篇」をベースにしていることが発表されると、ネット上は歓喜に包まれた。とくに「真選組動乱篇」は原作でもっとも“胸アツ”と言われる人気エピソード。ここで笑いと感動の両面で、大車輪の活躍を見せているのが土方である。
前作の大ヒットを受けて、わずか1年での続編公開となりましたが、柳楽さんの周囲では作品や土方に対する反響はいかがでした?
意外と「土方、アリかも?」と言ってくださる方が多くてよかったです。もちろん、まだまだではあるのですが。『1』のおかげでいい緊張感を持って今回の『2』に臨めました。
前作の公開を迎えるまで、不安やプレッシャーはありましたか?
ありましたね。前作はそこまで出演シーンが多かったわけではないので、僕の中では手応えを感じる前に撮影が終わってしまった印象が強かったんです。だから今回は真選組の出番がすごく多いと聞いて、興奮しました。
続編が制作されると知ったときの気持ちは?
最初に続編があるということだけ聞いたのですが、それからしばらく経って「真選組動乱篇」をやると知らされたんです。マネージャーさんに何度も「真選組、いっぱい出るんですよね?」と確認したのを覚えてます。
今回、普段のクールな土方に加え、正反対の別人格で、ヘタレなオタク“トッシー”も演じられています。
同じ土方ではあるんですけど、言ってみれば一人二役のようなことができて、演じていてとても楽しかったです。
鬼の副長の側面は前作に続いてですが、トッシーは新たに作り上げなくてはならず、大変ではなかったですか?
普段の土方は、カッコよくもあり、お茶目な一面もあったりして演じるのがすごく難しいんですよ。でもトッシーは、じつは自分でもすごく演じやすかったです。
たぶん、僕の中にそういう気質があるんでしょうね(笑)。演じていて居心地がよくて楽しかったです。
前作に続いてかなりきわどいパロディシーンがあり、柳楽さんも某キャラクターを思わせる格好をされているようですが…。
「これ、大丈夫なのかな?」って(笑)。
やはり、まずそこが気になりますよね(笑)。
ぶっこんでくるなって(笑)。「本当に、大丈夫なのかな?」って、撮影中もいまも思ってます。(大丈夫か否かは)僕の知らない次元の話なんですけど…。
今回は前作と比べて万事屋の坂田銀時(小栗 旬)、志村新八(菅田将暉)、神楽(橋本環奈)の3人とのシーンが多かったかと思いますが、撮影はいかがでしたか?
みんなトッシーを面白がってくれて、溶け込みやすかったですね。
万事屋とのシーンは、トッシーの人格でいることが多いですからね。
トッシーの衣装は、ウエストポーチについているバッジがカラカラと鳴るんですよ。その音でみんな「あ、トッシー来たよ」って(笑)。
土方はマヨネーズが手放せない“マヨラー”ですが、柳楽さんがこれは手放せないという調味料は?
コショウです。あとは…ポン酢も好きだな。
コショウは何にでもかけるんですか?
コショウさえかければ安定の味になるというのはありますね。ケチャップも好きです(笑)。
コショウ、ポン酢、ケチャップといろいろと出てきましたが…目玉焼きにかけるのは?
目玉焼きはケチャップですね(笑)。

福田監督から、初めて「好きなようにやって」と言われた

演じるにあたって、原作を見て参考にされたりは?
参考にしました。でも、(周りの)みんなは原作と違う方向性で役作りをしていたから「参考にしなきゃよかった」と後悔しました(苦笑)。監督がやってくださる芝居の見本がすごくうまいんですよ。僕はそれをマネするのに必死で。監督がやるとすごくウケるんです。
本作に限らず、福田監督作品では“笑い”が求められるシーンも多いかと思います。
僕は(2014年放送の)『アオイホノオ』からお世話になっているのですが、もともとコメディ色の強い作品が好きだったんです。なかなかそういう作品に出会う機会がなかったので「ようやく来た!」という感じで、すごく嬉しかったです。
ただ、僕には佐藤二朗さんやムロツヨシさん、安田 顕さんのようなセリフ回しはできません。演技しながら笑いを取るってすさまじい次元のことです。僕にはできないですが、福田監督が常に言ってくださっていたのは「とにかく真面目にバカをやれ」ということです。
「面白いことをして笑わせてやろう」と意識するのではなく?
とにかく真面目にやろうと意識しました。それが『アオイホノオ』から『銀魂』までで作り上げてきた部分です。
ちょっとした“間”や言い回し、ニュアンスに関しては監督から細かく指示があるんですか?
細かく指示していただくことが多いです。
それが今回、万事屋での神楽とのあるシーンでは、福田監督から「好きなようにやって」と言われたそうですね。
そうなんです。そういう意味では今回、ひとつレベルアップしたということなんですかね?(笑)15秒くらいの長さだったんですけど。
15秒というとCMひとつぶんの長さですよね。その間、面白いことをやり続けるというのはかなり難しいことだと思いますが、怖くはなかったですか?
自分の中では「来た!!」という感覚でした。思い切り演じてみたいという思いはずっとありましたし、怖さよりも「やってしまえ!」という気持ちで。ただ、どんなことをやったのか、あんまりハッキリと覚えてないんですよ(笑)。
手応えは?
神楽とのシーンに関しては、自分なりに手応えはあります。ただ、どうしてもやりすぎちゃうところがあって、別のシーンでもカットされてしまったことが…。今回はカットされてないといいんですけどねぇ(笑)。

三浦春馬の印象は「たくさんオーディションに受かる人」

コメディシーンだけでなく、シリアスな胸アツシーンも「真選組動乱篇」の大きな見どころです。とくに土方のライバルである伊東鴨太郎(三浦春馬)とのやり取りを楽しみにしているファンも多いかと思います。
僕自身、福田さんの作品のシリアスパートがすごく好きなんです。とくに今回、春馬くんとの終盤のシーンはグッときました。すごく大きな見どころだと思います。
原作でもかなり人気の高いエピソードですね。
前作のとき「あまり原作を読みすぎないで」と言われたのですが、怖くて見てしまったんです。そうしたら常に原作を意識するようになってしまい、やりづらさを感じたんです。
そこは漫画実写化の難しいところですよね。僕は、どちらかというと10代の頃からインディペンデント作品(※自主制作映画)や作家性の強い作品に出ることが多くて、あまり原作ものに出演したことがなかったので…。「真選組動乱篇」も以前読んではいたのですが、原作とのバランスの取り方、臨み方を前作で学んで、今回は読まないようにしていました。
三浦さんとは十数年前に共演経験があったとか?
12歳くらいの頃ですね。(カンヌ国際映画祭で男優賞を受賞した)映画『誰も知らない』を撮っていた頃に、並行して撮影していた『岸和田少年愚連隊 ゴーイングマイウェイ』というVシネがありまして。
僕は、哀川 翔さんが演じる主人公の少年時代を演じていて、そのときの役名も土方(マコト)なんですけど(笑)。バンドをやっていて、春馬くんはそのメンバーのひとりを演じていました。
昨年のNHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』におふたりとも出演されていますが、一緒のシーンはなかったので、今回ひさびさの共演になりましたね。
不思議なのですが、子どもの頃から知っているので、言葉にしなくても互いにわかっている感じがすごくあって。現場で「いまは集中してるときだな」とか「いまは話しかけていいときだ」というのがわかるし、独特の関係性があるんです。春馬くんにとって『銀魂』の現場は初めてだけど、お互いにいい環境だったと思います。
学年は違いますが、柳楽さんが1990年3月26日生まれで、三浦さんは同年の4月5日生まれということで、じつは生年月日が10日ほどしか離れてないんですよね?
そうなんです。だから“先輩と後輩”って感じでもなくて。この十数年、全然話したことがなかったので、僕にとっては12歳の頃から“たくさんオーディションに受かる人”って印象のままだったんですけど(笑)。
以前の『岸和田少年愚連隊』の際はよく話してたんですか?
お互いに現場で言われたことをやるのに必死で、そこまで話し込んだ覚えはないんです。今回、初めてたくさん話せました。こういう形で子どもの頃から知っている俳優さんと再会して、共演できるってめったにないことだと思うし、ここまでやってきて本当によかったなって思いました。
柳楽優弥(やぎら・ゆうや)
1990年3月26日生まれ。東京都出身。A型。2004年に主演映画『誰も知らない』が第57回カンヌ国際映画祭に出品され、14歳で史上最年少かつ日本人として初めての男優賞を受賞する。2012年に蜷川幸雄が演出した『海辺のカフカ』で初舞台にして主演を果たす。2014年、『アオイホノオ』(テレビ東京系)で連続ドラマ初主演。NHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』に出演。2016年放送のドラマ『ゆとりですがなにか』(日本テレビ系)でも11浪中のゆとり男子・道上まりぶを怪演し話題を集めた。2018年9月14日公開の映画『響 -HIBIKI-』、28日公開の『散り椿』、2019年公開の『夜明け』、『ザ・ファブル』が控える。

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出演作品

映画『銀魂2 掟は破るためにこそある』
2018年8月17日(金)ロードショー
gintama-film.com

©空知英秋/集英社 ©2018 映画「銀魂2」製作委員会

サイン入りポラプレゼント

今回インタビューをさせていただいた、柳楽優弥さんのサイン入りポラを抽選で1名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

応募方法
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受付期間
2018年8月15日(水)12:00〜8月21日(火)12:00
当選者確定フロー
  • 当選者発表日/8月22日(水)
  • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから8月22日(水)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき8月25日(土)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
キャンペーン規約
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  • 賞品発送先は日本国内のみです。
  • 応募にかかる通信料・通話料などはお客様のご負担となります。
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