新米パパインタビュー/第3回:石田 明(NON STYLE)「肩の力を抜いて、子育てを楽しもう」

Twitterのフォロワー数、97万人。子育てエピソードを投稿すれば、5万以上の“いいね”がつくことも。イクメンアピールをして好感度をあげようとか、バズらせてやろうとか、そういう魂胆は一切ない。あるのは、娘たちへのあふれんばかりの愛情だという。「NON STYLEの白いほう」として、だけでなく、父親としての石田 明が何を発信するか、大きな注目を集めている。

2017年8月13日に双子の女児が誕生してから1年が経つ。授乳やおむつの交換もふたりぶん。交互に寝かしつけても、夜泣きの連鎖反応でふたりとも起きてしまったり、眠れない夜もあっただろう。大変な子育てを夫婦で支えあいながら1年を乗り切った。石田さん、パパも1歳、おめでとう。

撮影/すずき大すけ 取材・文/野口理香子

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双子だから大変なんじゃない。子育ては大変なんだよ

双子ちゃん、1歳おめでとうございます。そして石田さんも、パパ1歳おめでとうございます。この1年を振り返ってみていかがですか?

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楽しかったですね。最初の3ヶ月は、ほんまに寝る間もないという感じでしたけど、それでも僕自身は楽しんでることのほうが圧倒的に多いです。
嫁さんは僕よりずっと大変だったと思いますけど、友だちと夜ご飯を食べにいってもらって、そのあいだ僕が子どもの面倒を見て寝かしつけまでするとか。そうやって息抜きしてもらうことで、夫婦で子育てを楽しみながらできたんじゃないかなと思ってます。
結婚当初から子どもが欲しいと思っていたそうですね。
僕も嫁さんも子どもが好きで、4人は欲しいねって話してたんですよ。ただ、すぐにはできなくて。妊娠がわかったときはほんまにうれしかったです。
双子だと判明したときは、驚きよりも「一気にふたりも!」という喜びのほうが大きかったとお話されていましたね。出産前、まわりから「双子を育てるのは本当に大変。お前の人生は終わったと思え」と言われていたそうですが。
そうそう。「あそこのラーメンうまいで」って言われすぎた感覚というか。「うまいで」って言われまくって食べてみたら「まぁ、うまいっちゃうまいけど?」みたいな。それと同じで、「双子育てるのは大変やで」って言われすぎて、「まぁ、大変やけど?」みたいな。
そもそも、ひとりの子を育てたことがあるわけじゃないので比べられないですし。嫁さんも言ってますよ。「双子だから大変なんじゃない。子育ては大変なんだよ」と。
石田さんが双子育児と正面から向き合うことができたのは、出産前から厳しいことを言われ続けたことで、覚悟が決まっていたからなのでは、と思ったんですが。
たしかに子育てっていうのは、お母さんはお腹の中にいるときから始まってるわけですけど、男性は突然ですからね。
うちは双子の出産ということで、予定日の2ヶ月前くらいから管理入院していたんですよ。僕も泊まれるように病院に部屋を用意してもらって、仕事後はそっちに帰ってました。妊娠中からどれだけ寄り添えるかが、大事なんだと思います。

便利なものは頼ればいい。自分を追い込みすぎないで

「子どもが生まれたら自由な時間はなくなるよ」とか「寝られなくなるよ」とか、子育て=大変と言われることが多いと思いますが、石田さんはすごく楽しんでいる印象があります。
大変なのは大変ですけど、実際、楽しいですからね。
子育てを楽しめる人と、そうでない人との違いとは?
うーん……僕はゲーム感覚で楽しんでる部分もあると思う。ご飯を食べさせて支度して家を出るまで、どれくらいスムーズにできるか、作戦を立てるじゃないですか。それが成功したら俺の勝ち、うまくいかなかったときは双子ちゃんの勝ちや、みたいなね。
なるほど。奥さんも石田さんと同じように楽しめるタイプの性格なんですか?
嫁さんは段取りとかを細かく決めておきたいタイプで、付き合ってた当時はそれが原因でよく喧嘩してたんですよ。きっちり決めすぎて、それがうまくいかないと不機嫌になるっていう。俺はそれを見てて、「細かく決めるのはいいことなんだけど、それで機嫌悪くなってたらちゃうやん? 楽しめるようになったほうがええやん」って。それからふたりとも楽しめるようになったのかもしれないです。
「双子だとどうしても手が回らないことがある。無理なものは無理とあきらめがつくから、肩の力を抜いた育児ができている気がする」とお話されていました。
ほんまにそうなんですよ。ふたり同時にわーって泣いても、どっちかに行くしかない。いい意味で、あきらめられるというか。
初めての育児は力の抜き方がわからなくて、「完璧にやらなくちゃ」と思い込んでしまいがちなのかもしれません。
僕もひとり娘だったら、育児に対してもう少し神経質になっていたかもしれないですけど。肩の力を抜いてって思いますね。
「肩の力を抜いて」。全国の新米ママ&パパにかけてあげたい言葉です……!
たとえば煮沸(消毒)がどうだとか、ね。ひとり目のときは、みんなとことんやりますけど、ふたり目になるとまぁまぁざっくりやってるお母さんも多いじゃないですか? 離乳食だって、自分が食べているものをつぶしてあげたりとかね。
世間体とかもあるんでしょうね。「離乳食は自分で作らないとあかん」とか「製氷皿を使って小分けにして冷凍」とか。それもいいけど、ベビーフードとか便利なものを使えばいいと思うんですよね。
奥さんも最初は力が入りすぎてた?
パンパンになってましたね……。それこそ最初の頃は離乳食も作り置きして冷凍してってやってましたけど、ひとりでも大変なのに、ふたりおるんやからこれは無理やでって。できるときとか、やりたいときにやったら、とは言いました。気分転換になるならええけど、しんどくなるならやめたほうがいい。あんまり自分を追い込まないでほしい、と。

子育ての悩みは夫婦で共有。嫁さんひとりに考えさせないで

産後のお母さんの精神状態はとても不安定とも言われています。石田さんは奥さんにどう寄り添っているのでしょうか?
僕がどう、とかよりも、地域の人との交流が大きいかもしれませんね。児童館に遊びに行ったり、地域の双子会に参加して、そこでいろいろ情報交換したり。娘たちもお友だちから刺激を受けるのか、児童館から帰ってくると、ハイハイが早くなってたりするからびっくりします。
うちの嫁さんは、自分の中で1日1回は外に出るって決めてるみたいで。それが気分転換になってるし、俺が仕事から帰ったら「きょう、こんなことあったよ〜」って話してくれたりして。
子連れで外出するのが億劫で家にこもりがちですけど、誰かとおしゃべりすることでママのストレスは軽減できそうですね。子どもも楽しそうなら、なおのこといいですし……!
あと、お母さんが子育ての悩みをひとりで考えすぎるのは、お父さんが考えてないからだと思うんですよ。僕らが何も言わないから、お母さんはひとりでずっとスマホとにらめっこしてるんですよ、ね? だから嫁さんひとりに任せないで、僕らがもっとやることが大事だと思います。
「子どもたちを笑顔にするには、まずは嫁さん。嫁さんを笑顔にしたい」とお話されていましたよね。石田さんが奥さんを大事にされている気持ちがすごく伝わってきます。
うちの嫁さんが言ってくれたのは、俺と一緒にいるときの嫁さんを見て、子どもは安心しているみたい、と。俺が一緒にいるときはグズらないんですって。それは、奥さんの精神状態がいいからじゃないかなって。子どもにはお母さんの気持ちが伝わってるんだと思います。
自分の好きな人が楽しそうにしているのっていいですよね。心の底から、まっすぐ笑ってる姿。この人に心を許しているんやろうな、この人といたら落ち着くんやろうなってわかるじゃないですか。つねにみんながそういう状態でいられたらなぁと思うんです。
つねに笑っていられたらいいんですけどね……。
いや、わかるんですよ、気持ちは。電車とかでつらそうなお母さんを見るのがつらいんですよ。子どもはひとりで遊んでて、お母さんは無表情でスマホいじってる、みたいな光景に遭遇するとね……。実際に子育ては大変だし、大変な顔も見せていいと思うんですけど、そのぶん笑顔も見せてあげてほしいと思います。
お母さんたちには笑っててほしい。ママが本気で笑ってる姿を子どもに見てもらいたい。そこで自分にできることはないだろうかと考えたのが、『ももたろう』という舞台なんですけど。
7月23日から8月10日までルミネtheよしもとで上演されていた夏休み企画『ももたろう』。大盛況でしたね。
めちゃくちゃ幸せな空間でした。笑う子もいれば泣く子もいてにぎやかで、お母さんたちの笑顔も見える。お母さんから「こういう場所から遠ざかっていたからうれしい」という声もいただきました。子連れで出かけられる場所って、なかなかないですもんね。僕も自分に子どもがいなかったら、こんな発想はできなかったので。子どもには与えてもらうことばかりで、ほんまにありがたいなと思いますよ。

「求められる前に与えよ」石田流・夫婦円満の秘訣

「産後クライシス」という言葉があるように、産後、夫婦喧嘩が増えると言われていますが……。
子どもができてから、喧嘩は一度もしてないです。むしろ、コミュニケーションが増えた気がしますね。家族みんなでマッサージ屋さんに行ったりとか、外出することも増えましたし。
夫婦円満の秘訣は、密なコミュニケーションにあるんでしょうか?
自分が楽するために、相手に求めたりしないうちは、大丈夫だと思うんですけどね。求めたり奪ったりするんではなく。
たとえば、子どもをお風呂に入れますよ、と。嫁さんが身体を洗ってくれてる。そしたら「お風呂洗ったほうがいいよね? 俺が、洗ったほうがいいよね……?」ってなるじゃないですか。仕事から帰ってきて疲れてるから、できれば洗いたくない。でも今、俺が洗ったら、あした嫁さんが楽になる。じゃあ洗っておこうっていう。
奥さんに「なんでお風呂洗ってくれないの?」って言われる前に洗っておく、と。
そうそう。求められる前に与えたらいい、と思うんですよ。うんこの臭いがするなぁって気づいても、しれっとした顔でいる父親もいると聞きますけどね。
臭いに気づいて「うんこ出たよ」って報告してくるんですよね、妻に。気づいたならお前がオムツ替えろよっていう。「うんこしたからオムツ替えたよ」って報告しろよっていう。あ、思わず言葉が汚くなってしまったんですけど。
あぁ……(笑)。うんこなんて、俺にとってはむちゃくちゃ一大イベントですけどね! わくわくしちゃう!
石田さんの奥さんは幸せですね!
いやいや。嫁さんあっての僕ですから。うちの嫁さん、ほんまスゴいんですよ。「今までどおり、ある程度は飲みにいかんとあかんで?」と言ってきますから。「帰ってこれるときに帰ってくればいいし、行かなあかんときや、行きたいときは行っておいで」って。男気があるんですよ。
奥さんがそうやって気持ちよく送り出せるのは、石田さんの日ごろの行いが素晴らしいからだと思いますよ!
ははは。お父さんの「やってあげたい」気持ちが伝われば、「きょうは私がやるからいいよ、休んでね」ってお母さんも言える日が来るかもしれませんね。

人類みな愛おしい。父親になって生まれたはじめての感覚

父親になって自分自身、変わったなと思うことはありますか?
仕事に関しては来るもの拒まず、だったんですけど、汚い言葉を使いたくないとか、わざわざこんな出方をしてまでテレビに出たいか?とか、考えるようになりましたね。映像って残るじゃないですか。自分が好きなお笑いをやっているぶんにはいいんですけど、自分が好きでもないお笑いのやりくちでテレビに出たくない。芸人として自分は胸を張っていたいから。
結果、今のほうが、仕事のスイッチが入ってますね。本腰が入ったというか、一個一個を大事にできている感じがします。
プライベートではいかがですか? 去年12月の ブログで「ご飯屋でも並ばへんのに、サンタさんと写真撮る整理券には並んだ」と。
ほんまそうですよ。このあいだはディズニーランドに行って、行列に並んで、ミッキーと写真を撮ってもらいました(と、スマホの待ち受け画面を見せてくれる)。
可愛すぎます……!!
昔の自分だったら、ディズニーランドに行こうとか思わなかったですからね。
あと、やっぱり僕も人間未熟やったと思うんですけど。たとえば出待ちの子とかいて、しんどいときとか機嫌がそんなによくないときに、いい対応ができなかったりして。だけど子どもができてからというもの、「この子たちにも親がいて……」とか考えちゃうんですよ。そうすると全員に優しくなれるというかね。
自分の子どもが生まれると、他人の子どもも愛おしく思うようになるとは聞きますけど、赤ちゃんや子どもに対してだけでなく……?
人類みな愛せるようになりましたね。
それはすごく大きな変化ですね(笑)。ジャングルポケットの太田さんは、子どもにもともと関心がなかったのが、子どもができてからめっちゃ好きになったとお話されていましたが。
僕の場合、もともと子どもが好きだから、その感覚は得られへんやろうなと思っていたんですよ。だけどね、格段に好きになりましたね。ただただ愛おしいです。

SNSの投稿が大人気。でも“いいパパ”を演じてるんじゃない

SNSには双子ちゃんのお写真や、子育てエピソードの投稿も多いですが、もともとアップしようと思っていたんですか?
全然。なんやったら、子どもができたことも発表するつもりなかったんですよ。聞かれたら答えるけど、わざわざ言うほどのことでもないな、みたいな。そしたら嫁さんが妊娠してるって週刊誌にすっぱぬかれてしまったんでね。これで子どもが生まれたことを黙ってたら変に思われるかなぁと思って、公表したんです。
正直、子どもの写真をSNSにアップする人を見て「何をしてんだろう?」と思っていたんですけど、気づいたら俺が一番あげてるっていう。顔と名前は公表してないんですけど、ほんまは顔も見せたいくらいなんですよ、めちゃくちゃ可愛いので。
5万以上の“いいね”がついている投稿も。ここまで反響があると思ってましたか?
いやーどうですかね。僕からすると、嫁さんのインスタグラムのほうがね。すっごい可愛い写真がいっぱいあるので。ほんまは嫁さんのアカウントをフォローしたいんですけど、フォローしたらバレちゃうからできないのがもどかしくて……。家に帰ってから、嫁さんのインスタを見せてもらうのが日課になっています。
石田さんのSNSのコメント欄には「子育て楽しそう」、「子どもが欲しくなった」といった感想がたくさん寄せられていて、とても幸せな気持ちになります。
すげぇうれしいですね。子育てってネガティブなことを言われがちだけど、ほんまにめっちゃいいもんですから。子どもができてから、増えたことばっかり。自分の感情もそうだし、仕事もそうだし。
石田さんのような立場の人がポジティブな発信をたくさんしていくと、それも変わるのかなと思うのですが。
そうですね。しかも俺は、SNS用にキャラを作ってるわけじゃないから。街中で俺を見た人は「ツイッターだけじゃないんや、ほんまあいつめっちゃ楽しそうやん」って思うと思う(笑)。ひとりで双子を抱っこしているときの俺、澄ました顔してますけど、心の中では「どうですかー? スゴいでしょー俺、こんなことできるんですよー?」って、めっちゃドヤ顔ですからね!
石田 明(いしだ・あきら)
1980年2月20日生まれ。大阪府出身。B型。2000年、漫才コンビ・NON STYLEを結成。2008年の「M-1グランプリ」王者。個人では、『新・幕末純情伝』、「『熱海殺人事件』CROSS OVER 45」、『火花〜Ghost of the Novelist〜』などの舞台作品にも出演。プライベートでは、2012年に結婚。2017年8月、第1子、第2子となる双子の女児が誕生した。現在、NON STYLEの全国ライブツアー中。公演スケジュールなどの詳細は公式HPにて。

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