みんなを笑顔にするために、僕に何ができるか――内田雄馬、音楽活動の原点。

声優・内田雄馬がアーティストデビューする。待ってました！と感じたファンは多いだろう。なぜならこれまでにも、『アイドルマスター SideM』、『KING OF PRISM』、『うたの☆プリンスさまっ♪』といった人気タイトルのキャラクターソングやステージでその実力は知られているからだ。歌唱力だけではない。1stシングルを自ら「ブライト」と言ったように、彼の声を聴きくるくる変わる表情を見ていると、世の憂さを忘れて元気が出てくる。そんな純粋なエネルギーはどこから湧いてくるのか？ 内田雄馬の音楽のルーツをたどった。

撮影／増田 慶　取材・文／佐久間裕子　制作／アンファン
スタイリング／奥村 渉　ヘアメイク／花嶋まき（addmix B.G）

学生時代に出会った、おじいちゃん先生が教えてくれたこと

アーティストデビューおめでとうございます。もともと音楽は好きでしたか？
好きでした。中学生の頃は吹奏楽部、高校からは合唱部にも入っていたので、音楽と触れ合う機会も多くて。
吹奏楽部に入ったきっかけは？
『スクール・オブ・ロック』という映画がすごく好きで。それに憧れてドラムやパーカッションがやりたいなと思って吹奏楽部に入ったんですけど、希望者があまりにも多かったんです。
パーカッションの？
そうです。パーカッションはもう足りているのでどうしようかなと思っていたら、先生に、「チューバがいいんじゃない？ 君の唇はチューバ向きだよ」と。そう言われて気分が良くなりまして（笑）。すぐにチューバを体験しに行きました。
そのままチューバをやることに？
チューバって低音楽器なので、そんなに人数がいないんです。だからやる人を欲していたみたいで、先輩にも「一緒にがんばろうよ！」と言っていただいて、そのままチューバを3年間続けました。高校生になってサックスを始めたんですけど、1年経った頃に先輩が卒業して、チューバを吹く人がいなくなってしまい、そこでまた僕がチューバを吹くことになりました（笑）。で、2年間チューバを吹いて、音楽部という形態だったので並行して合唱の活動もやっていたんです。
吹奏楽部や合唱部でコンクールや大会に出た経験は？
中学のときはコンクールに出ていたんですが、高校では先生の方針で、ボランティアがメインの活動でした。だから老人ホームに慰問演奏に行ったりしていたんです。
音楽を通していろいろな学びがあったのでは？
賞を取ることだけではない目的の音楽にも触れて、根本的に誰かに喜んでもらう音楽の楽しさを教えてもらいました。そこでの出会いは僕にとって大きいものだったなと思います。
先生との出会いも大きそうですね。
学校の音楽の先生でもあったんですが、「音楽とは何か」という勉強や技術ももちろん教えてくれましたけど、それ以上に「ちゃんと人に挨拶しなさい」、「間違えたらごめんなさいと言いなさい」、そういう人として大切なことを丁寧に教えてくれるようなおじいちゃん先生でしたね。
その先生が奥様方やご年配の方とシルバーコーラスをやられていて、僕もそこに連れていってもらいました。お手伝いというよりは、遊びに行かせてもらうような感じでしたけど、そのときに思ったことがあって。
どんなことを感じられたんでしょうか？
みんなで声を合わせて良い合唱を作っていくんですけど、先生が、その場所に来る方々に元気をあげるような空間を作っていて。人をどうしたら元気にできるか、楽しさを感じられるか――そういうことを考えて活動している先生で、それが自分にとって音楽の原点なのかなって思います。
では、普段よく聴く曲や好きなアーティストはどなたでしょう？
僕は歌って踊るアーティストを見るのがすごく好きなので、東方神起さんや三浦大知さんは高校生の頃からよく聴いていました。
観客としてライブに行ったりしますか？
タイミングが合えば行きたいですし、行ったこともあるんですけど、DVDになってから観ることのほうが多かったです。

表現の幅を広げたい。ハードルの高い楽曲に自ら挑戦

いよいよ5月30日に1stシングル『NEW WORLD』が発売されますね。アーティストデビューが決まったときの心境はいかがでしたか？
とにかくうれしかったですね。アーティスト活動って、「内田雄馬の歌を聴きたい！」と言ってもらえて初めて一歩踏み出せるというか、そこで初めて活動することができるという感覚が僕の中ではあったので。僕の歌を聴きたいと言ってくれる方がいることがまずうれしかったです。新しい挑戦への意欲もあったので、キングレコードさんからお話をいただいて、「やらせてもらえるなら！」と、すぐにお答えしました。
デビュー曲はどうやって決まりましたか？
方向性として、1曲目は僕の性格や人間性を汲んで作ろうと、プロデューサーと話して決まりました。僕は「ブライトな曲でありたい」とお話ししたんです。
ブライトな曲というと？
音楽ではあらゆる表現ができると思うんですが、僕の性格はひと言で言うとすごくポジティブなので、そこを感じてもらえるような曲にしたいねって話し合いました。そこからコンペをして選ばせていただいたのが『NEW WORLD』でした。
『NEW WORLD』は最初から「これだ！」と思ったんでしょうか？
すぐに、すごく良い曲だなと思いました。プロデューサーとも「来た！」って話しましたね。満場一致でした。
レコーディングはいかがでしたか？
楽しかったです！ 最初は行くまでドキドキしたんですけど。
スタジオに行くまでってことですか（笑）。
そうです（笑）。着くまでは「どうしよう」って。でも、「今日から始まるんだな…！」というワクワクのほうが強かったですね。楽曲を選んだりしている最中は、アーティストとしてひとつずつ始まっているんだって感覚はあれど、明確な実感にまで繋がらなくて。じんわり実感しているというか…。だから、レコーディングで、「ついに自分の声で一歩を踏み出すんだな」って。
デビューが決まってからレコーディングまでに、ボイストレーニングなどは？
してないです。今まで人生で一度もボイストレーニングを受けたことがなくて。
『NEW WORLD』を聴いたとき、声に伸びもハリもあって、今までもスゴかったんですけどさらにスゴいなと思いました。だから改めてボイトレを受けたのかなと思っていたんですが。
合唱で勉強したことがベースになっています。それは、普段は意識していないんですけど、僕の中に根付いているものだと思います。今、自分の歌に生かされているのはそういうものですね。
高校のときに合唱部に入っていて良かったですね（笑）。
本当に良かったです！ 合唱部に入っていなかったら、僕の人生は全然違うものになっていたと思うので。
『NEW WORLD』のサビの伸ばす部分もスルッと出てしまったんですか？
そうですね、でもこの曲は意外と声が出やすいんですよ。それこそみなさん、カラオケで歌ってくださる方もいると思うんですけど、気持ち良く歌える曲だと思います。実は『NEW WORLD』は、歌っていてキツイと思ったことは一度もなくて。僕の中でスンッと声が出る。自分のキーに合わせてくださったこともあるのかもしれないです。
収録の3曲とも難しそうな曲だなと思いました。
今回、音楽活動を始めるにあたり、常にチャレンジしていきたいって気持ちが僕の中にあるんです。
具体的にどんなチャレンジを？
新しい音楽性と、もうひとつがダンス。今までダンスレッスンを積んできたわけではなかったので、キャラクターとしてでなく、僕個人としてダンスをやるのはチャレンジでした。楽曲も、今まで歌ってきていない音楽に挑戦していきたいと。もっと表現の幅が広がるような歌を歌っていきたいなって思っていました。
今後、内田雄馬としてどんな方向性で音楽活動をやっていきたいですか？
方向性を決めたくはないんですが、ひとつだけ言えることは、音楽には共有する楽しさがあると僕は思っていて。それは自分が合唱や吹奏楽をやっていたこともあるんですけど、みんなで音を合わせて何かを作るとか、セッションして何かが生まれるのはすごく楽しいことだと感じるんですね。それを自分のアーティスト活動でもやっていきたい。
たとえば、みんなでコーラスして楽しむってすごく素敵な表現だと思っているので、お客さんとのセッションができるようなライブを作っていけたらいいなって思います。それは自分ひとりではできない楽しさで、みんなと掛け合いをして芝居を作っていく声優の仕事の楽しさとも、近いものがある気がします。

ダンスはパッション！ 熱い気持ちをMVにつめこんだ

次に、パフォーマンスについても聞かせください。習ったことがないとすると、ダンスはどうやって体得されたんでしょうか？
ダンスは、声優としてお仕事でやらせていただいただけで。キャラクターとしてのライブで踊らせていただいたことが、ダンスをするきっかけですね。
となると、もともと運動神経が良いのではと思ってしまいますが。
良くなかったです（笑）。ダンスを踊る際は、パッションを大事にしてきました。
（笑）。リズム感も必要だし、そもそも振りを覚えるのも難しそうですが、スポーツは得意なほうでしたか？
昔はスポーツがあまり得意ではなかったんですが、今は体を使うことに関しては好きで。すごく負けず嫌いなんですけど、スポーツをやるとだいたい負けるので、やりたくないなって思ってました（笑）。大人になってからはランニングしたり、水泳したり、体を鍛える一環としてやるようになっています。
運動が好きになるきっかけがあったんですか？
声優業界って周りに運動をされる方が多いんですよね。それでなんとなく遊びでやってみたら楽しくなりました。あと球技やスポーツができることがカッコいいなと純粋に思えるようになって。最近、今からやっても遅くないよな、挑戦してみたいなという気持ちが芽生えてきました。
負けず嫌いな性格だと、ハードルが高い楽曲を前にメラメラしそうですね。
よく「負けねえ！」って言いますね。心で思うか口で言うかは、そのときによりますけど、とにかく「負けねえ！」って気持ちでやっています。
熱いですね！ 今回のMVで披露されているカッコいいダンスもパッションですか？
パッションです！（笑）
やりたい、なんとかしたい！でどうにかなるんですか？
やりたい、なんとかしたい。そういう気持ちがあると、できるようになりたいから一生懸命練習もするんですよね。それで何とかやっていられているのかもしれません。
いつかファンの方の前でダンスするのも楽しみなのでは？
みなさんにライブで楽しんでもらえるような踊りを、また作っていけたらいいですよね。そうやって一歩一歩成長してブラッシュアップしていきたい。それも自分にとっては挑戦だし、昔自分が憧れた姿にちょっとずつ近づいていけたらいいなって思いつつ、でも、気負わず楽しみながらやっていきたいです。

「自分を良く見せたい」という意識と引き換えに得たもの

さまざまな作品でライブにも出演されていて、本番に強い印象があります。
どうなんでしょう（笑）。グループで揃ったり、先輩とデュエットしたりするときは、メンバーや先輩に引っ張っていただいていますから。グループで歌うと、自然とみんなでパワーを共有して、バーンと出せるんですよね。そして、何よりキャラクターがいるからできることです。
内田雄馬として、というよりはキャラクターとして歌っているから、ステージで引き出してもらえる部分がある？
キャラクターとしてどうあるか？というところで頑張れる。作品のライブはそこが大きいのかなって気がします。
音楽がもともとお好きで、楽器や合唱にも親しまれて、音楽の仕事をしようと思ったことはないんですか？
僕は音楽を職業ではなく、一生の趣味にしようと思っていました。
今は人前で歌うときに緊張したりしませんか？
実は、あまりしないんです。…驚かれることが多いんですが（笑）。
何万人を前にしようが大丈夫！っていう（笑）。
緊張はしているんですよ。ライブが始まる3秒前くらいまですごく緊張します。でもステージの上に立つと忘れてしまうというか。“楽しい”が勝っちゃいます。
ステージではどんなことを考えているんですか？
作品ではキャラクターがいるので、そのキャラクターならどういうパフォーマンスをするのかを考えたり、ライブパフォーマンスとしてどうしたら面白いかな、楽しんでもらえるかなということを考えてやっています。
どこか客観的に観ているんでしょうか？
どちらかというと、客観視しようとしている、というほうが正しいかもしれないです。僕は意外と主観的に生きているので、俯瞰で見てあげないといけないというか。それでバランスを取れているのかも。今まで生きてきて、入りこみすぎて周りが見えなくなる瞬間がけっこうあったので。最近は、ある程度周りを見るように意識してやれている気がします。
ステージで緊張しないということは、精神面が強いのかなと思うんですけど。
これも、考え方が変わったことが大きいかもしれません。緊張する原因は、カッコよく見られたいとか、間違えたくないとか、自分がよく思われたいという気持ちが強かったからなんじゃないかと思うんです。でも、最近は「カッコよく見られたい」ではなく、「カッコよく見せて楽しませたい」と思うようになって。
「カッコよく見せて楽しませたい」は、自分よりも、お客様の気持ちを大事にしているように感じます。
お客様を強く意識するようになったら、緊張はあまり感じなくなりました。僕は思いついたことをパンッとすぐやってしまう性格なのですが、「これ思いついたけど、どうしよう…」って不安より、「これを楽しんでもらいたい」って自信を持って出せるポジティブさが勝つようになったというか（笑）。それはもしかしたらチャレンジ精神なのかもしれないですけど、そういうところが緊張を解いてくれる要因になってるのかな。
アーティスト活動ではいかがですか？
「僕はこうでなくちゃいけない」っていうのがあまりないんです。やりたいことは提案しますが、「こういうことをやってみたら？」、「こういうのもあるんじゃない？」と言われたら、試してみようって思います。自分で思いつかないことは、新しいチャレンジにもなりますよね。

声優もアーティストも体が資本。ジムに通って鍛える日々

アーティスト活動をする声優さんが増えていますが、憧れている方はいらっしゃいますか？
宮野真守さんです。僕にとって大きな存在で。学生時代から今まで、ずっと宮野さんの歌を聴かせていただいてきました。宮野さんが歌われてきた音楽が大好きですし、たくさんの方を笑顔にしているじゃないですか。あんなにたくさんの人が、宮野さんが作る世界で笑顔になる。そんな音楽を作れる人って、本当にスゴいなって思うんです。だから僕もみなさんを笑顔にしたり、楽しいと思ってもらえる音楽を作っていきたいと思います。
では、ステージで人を楽しませたり、自分の力を発揮するために前もって準備することはありますか？
最近は、体を鍛える、ということですかね。人生初の筋トレをデビュー前に始めました。石川界人くんに誘われたのがきっかけで、ジムに通い始めたんです。
イベントの何ヶ月前から始める、みたいなルールはあるんですか？
今は毎週続けています。どんなタイミングでも対応できる体を作っておきたくて。アーティストデビューでは今までと違う自分を見せたいという意識もあるし、「ここはこういう表現で歌いたい、こんな声を出したい」ってなったときに、やっぱり体を鍛えてないとできないんですよね。音楽活動でやりたいことを実現するための努力というか、良い機会だなと思って。ジムに通いだしてから体調が良くなって、調子を崩しにくくなりました。風邪も引かなくなりましたね。
体を鍛えることで仕事のモチベーションも上がると聞いたことがあります。
いろいろ良い効果もありました。声優も体が資本なので、アーティストもきっとそうだろうなって。今後いちばん大事なのは、いかに体を鍛え続けるかだと思います。すべて体で作り出す職業だから、土台がしっかりしていれば、きっといつかチャンスが巡ってきて、良いものが作れると思うんです。
内田雄馬（うちだ・ゆうま）
1992年9月21日生まれ。東京都出身。A型。2012年、声優デビュー。2014〜2016年『ガンダムビルドファイターズトライ』（コウサカ・ユウマ）、2016年『マクロスΔ』（ハヤテ・インメルマン）などで主演。『アイドルマスター SideM』（桜庭 薫）、『KING OF PRISM』（涼野ユウ）、『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』（アイン・ダルトン）などメインキャストを演じて注目を集め、2017年に第11回声優アワード新人男優賞を受賞。2018年も7月放送開始『BANANA FISH』（アッシュ・リンクス）の主演をはじめ、多数のアニメ・ゲーム作品で活躍中。

CD情報

1thシングル『NEW WORLD』
2018年5月30日（水）リリース！


左から期間限定盤、通常盤

【期間限定盤（CD＋DVD）】￥1,800＋税
【通常盤】￥1,300＋税

サイン入りポラプレゼント

今回インタビューをさせていただいた、内田雄馬さんのサイン入りポラを抽選で3名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

応募方法
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受付期間
2018年5月29日（火）12：00〜6月4日（月）12：00
当選者確定フロー
  • 当選者発表日／6月5日（火）
  • 当選者発表方法／応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
  • 当選者発表後の流れ／当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから6月5日（火）中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき6月8日（金）までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
キャンペーン規約
  • 複数回応募されても当選確率は上がりません。
  • 賞品発送先は日本国内のみです。
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