「中村倫也といえば」で、いろんな作品が上がってほしい

先ほど、13年ぶりの朝ドラでの再会についてもお話いただきましたが、中村さんは役柄や作品、監督との出会いについて、どういうものだと捉えていますか?
引き寄せられるものでもあり、与えられるものでもあるのかな? 目に見えない大きな流れがどこかにある気はしてますね。いろんなきっかけで呼ばれることになるけど、その中で今回の永川のように、思ってもみなかった役が与えられることもありますし…。
その意外性が見る側にとっては面白くもありますが、もちろん、演じる側にとっても…。
予想もしてないところから意外なオファーが来ると「あぁ、この人にはそういう画が見えているのか?」と。化学反応を期待されている部分もあるでしょうし。役柄って、自分に近いからやりやすいってものでもないんですよ。
なるほど。
近けりゃ近いで、見えないものもあるし…。ベクトルは違えど、どこかで自分とつなげる努力が必要になる。そういうときは楽しいですね。「あ、そう来るか」って。
同時期に放送、公開となる朝ドラと映画ですが、『半分、青い。』の中村さんの出演パートは1990年(平成2年)の東京。そして『孤狼の血』は1988年(昭和63年)の広島と、奇しくもほぼ同時代なんですね。
ぜひとも朝ドラと映画、交互に見て、混乱してほしいですね。ホイップクリームを取るか、それともシャブ中を取るか…?(笑)
この2作に限らず、作品ごとにまったく異なるタイプの役柄に変身してしまうこともあって、俳優・中村倫也に対するイメージは、人によってかなりバラバラなのではないかと思います。
それこそ、昔はハリネズミの役(※日本テレビ系ドラマ『ハリ系』)とかやってましたから、そういう意味では若い頃と比べると、役の幅は狭まっているかと思うんですけどね(笑)。
少なくとも人間の役を演じるようになってると(笑)。
いろんなタイプの役者さんがいますけど、僕はいろんな役を演じわけるのが好きなんですね。演じわけたうえで、それぞれの人物がこの地球上のどこかに存在しているんじゃないか?と思ってもらえるように、ニヤニヤしながら細かいところまで考えるのが楽しいです。
ファンの中で「中村倫也といえばこの作品!」という話になったら…。
たとえばカフェとかで話し合ったとき、全員、違う答えが出てきたらうれしいですね(笑)。「結局、あの人は何なの?」と。
どの作品で中村さんと出会うかによって、その後の印象が180度、変わってきそうです。
この春はとくにマシュマロ男子、ヤクザに加えて、刑事(※Hulu配信ドラマ『ミス・シャーロック』)に料理人(※日本テレビ系ドラマ『崖っぷちホテル!』)と、カオスですね。混乱させすぎてこの春、一気にファン離れが進むんじゃないかと…(笑)。

舞台で無茶をしてきた経験が、大きな礎になっている

たしかに5月はスゴいことになっていますが、とはいえ、いまだけの現象ではなく、これまでもコンスタントにさまざまな役柄を演じられてきました。中村倫也にオファーが途切れない理由は?
いやいや、オファーが届くようになったのなんて、この2年ほどのことですよ。それまではマネージャーが営業してくれたり、同じ事務所の俳優が主演している作品におこぼれで出させてもらったり…。何ヶ月も予定がないなんてザラでした。それでも舞台には出てましたけど…。
この2年ほどで、変化は感じますか?
感じますね。プロデューサーさんたちの言葉遣いがやさしくなったかな?(笑)
そこですか?(笑) ご自身でやっていることは変わらないのでしょうか。手応えや、何かをつかんだという感触は?
大まかなところでは、やってることは変わってないと思います。もちろん、経験を重ねればやれることは増えるし、そうでないといけないけど…。
経験という意味で大きかったのは…?
やはり、演劇ですかね。僕の礎と言えると思います。舞台をいっぱいやってきて、それはすごくよかったなって思います。
舞台での経験の大きさに言及される俳優さんは多いですが、具体的にどういう部分でそれを感じるのでしょう?
生で何百、何千もの観客の前で恥をさらせるという経験ですね。1ヶ月の稽古の中であれこれ試したり、思い切りスベったりもできる(笑)。あとは舞台って、一枚の引いた画の中で見せるもので、その中で、映像でいうところの編集やカット割りを組み立てる力が必要になってくるんですよね。あとは、無茶をしてきたということかな?
無茶?
無茶が利く――腕力で持っていけるってすごく大きなことだなって思います。それは舞台で培ってきたものだなと。自分よりも上の年齢で活躍されている先輩で、舞台出身の方が多いのは、そういうことなんだろうと思います。

事務所に入ってきた後輩が、芸能界で生き残るかわかる

重ねての質問になりますが、ここ数年の活躍に関して、これまでと何が一番違っているのだと感じますか?
何でしょうね…? 何か“イケてる”風に見えるんじゃないですか(笑)。ちょっと、ここらへんで一回、中村と仕事しておくか…みたいな?
それぞれの作品における中村倫也という俳優の存在が、確実に以前とは違うものになっているとは思います。
いろいろ考えたり、思うことはありますけどね。役者としても、ひとりのビジネスマンとしても。周りにどう見られているかは、イマイチわかんないし、どう見られてもいいやって気持ちもあって…。
その中で、大切にしている軸のようなものは何でしょうか?
うーん、ひとつ思うのは、こういう取材であったり、現場でお会いする人が笑ってくれればいいなということですかね。あとは、本当の“核”はバラさずにやっていこうと…じつは、大したものを持ってないってことがバレちゃうんでね(笑)。
なりたい自分のイメージであったり、俳優像は?
存在として、漠然と目指すところはありますけど…まあ、気づいたらそういうふうになっていたらという感じで。それが何なのかは他人には言いませんが(笑)。これまでも「才能がないのかな? 辞めようかな」と思ったことはあったし、これからもあるんでしょうけど、やっていくしかないんでね。
先ほど、『孤狼の血』で共演された松坂さんが「うらやましかった」とおっしゃっていましたが、松坂さんや菅田将暉さんといった、事務所の後輩の活躍をどんなふうに見ていますか?
それこそ菅田は、17歳くらいのときかな? 初めて会ったときに、タイミングさえ合えば、いまみたいなことになるだろうって思いましたね。桃李もそうですね。事務所に入ってきた後輩が、残るかどうかはわかります。というか、僕の後輩はどんどん売れていくので「いいぞ! 行け行け!」って(笑)。
嫉妬することはないですか?
ないですね。いや、それこそ若い頃は同じ事務所に限らず、同世代に対していろんな思いがあったけど…。嫉妬や焦り、やきもちって、自分と誰かを比べての相対的な評価じゃないですか。でも、一番強いのは絶対的な評価であって、そこを磨いていくしかないんだなと。
誰かとの比較ではなく、中村倫也という俳優そのものの存在で勝負するしかない?
悩んだり、行きづまって考えて、その都度、壁を乗り越えようとしてきたけど、それって結局、自分との勝負だったりするんですよ。
向き合うべきは周囲の俳優ではなく自分自身だと?
もちろん、その中で周りの俳優が面白いことを提示したら「あぁ、ちくしょう!」って思うんですけど、それは嫉妬ではないんですよね。「あぁ、面白いことしやがって!」という。それはある種のスポーツマンシップのような。
相手を認めているからこそ出てくる思いですね。
あとは結局、自分なんだなと。評価も、準備も生きるも死ぬも自分次第。自分自身に問いかけて「やることはやったんじゃない?」という声を引き出せるかどうか?だと思います。
中村倫也(なかむら・ともや)
1986年12月24日生まれ。東京都出身。A型。2005年、映画『七人の弔』でデビュー。2014年の舞台初主演作『ヒストリーボーイズ』で第22回読売演劇大賞優秀男優賞を受賞。ドラマ『闇金ウシジマくん Season3』(TBS・MBS)、『スーパーサラリーマン左江内氏』(日本テレビ系)、『ホリデイラブ』(テレビ朝日系)などの話題作に加え、『愚行録』、『3月のライオン』などの映画にも出演。2018年は映画『伊藤くん A to E』、『孤狼の血』が公開。ドラマ『崖っぷちホテル!』(日本テレビ系)が放送中のほか、『ミス・シャーロック』もHuluにて配信中。

「NHK連続テレビ小説『半分、青い。』」特集一覧

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応募方法
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受付期間
2018年5月18日(金)12:00〜5月24日(木)12:00
当選者確定フロー
  • 当選者発表日/5月25日(金)
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  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから5月25日(金)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき5月28日(月)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
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